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◆12/20 第39回口頭弁論の報告

 2023年12月20日(水)に京都地裁で第39回口頭弁論が開かれました。
模擬法廷&報告集会は、弁護士会館の地階ホールで行いました。
参加者(弁護団、原告、傍聴など)総数は、配付資料の数から 72名。
事前のお知らせチラシ→こちら

  • 恒例の裁判所周辺デモは30人程度でしたが、賑やかでした。今後、さらに呼びかけを広げます。開廷前デモ、法廷傍聴、模擬法廷、報告集会にご参加の皆さまは、たいへん御苦労様でした。以下、吉見さん撮影。
     
    ▼開廷前のデモ

    ▼原発賠償京都訴訟の新しい幟「原発事故は国の責任!」

  • 原告席…14名で募集し、11名の申込を受け付けました。
  • 傍聴席…昨年6月よりコロナ禍による制限がなくなり、全席およそ90席が使えるようになっています。今回、抽選にはならず、傍聴席のうまり具合は4分の3程度でした。
  • この回は、美山診療所の元事務長、原龍治さんが、原発事故が起こった際の避難の困難性を陳述されました。写真などで詳細、網羅的な内容となっていて、原発事故が起こった場合、避難できないこと、被ばくを余儀なくされるを明らかにしました。弁護団からは準備書面で、原発事故の際の避難困難性について、道路の通行止めなど交通の問題過去の災害事例を徹底的に調べて、避難の困難性を主張しました。
    →原告提出の書面(原龍治さんの口頭弁論要旨、弁護団の準備書面)は→ こちら
  • 被告の関電、国からの書面などはありませんでした。
  • 閉廷後、今後の進行協議(裁判所、原告、被告の弁護団代表による)があり、来年には証人調べに入ることになったとの報告がありました。日程は弁護団全体での確認後、公表されます。2012年以来の裁判もいよいよ終盤となりました。
  • 報告集会の参加者数…およそ50名ほど。
    ▼設営した報告集会の会場(横長の「大飯原発差止訴訟」バナーは大植さんによる)


    ▲▼原告として意見陳述をした原龍治さんの報告

  • カンパ…参加者の皆さまからカンパをいただきました。感謝いたします。
    ・金額は、その都度、会場ですぐに計算して報告できていませんが、この1年は以下の通りです。傍聴参加者の数が多いと増え、少ないと減る傾向になっています。(天候、報告集会の会場の場所なども影響すると思われます)
    ・2023年:3/2…21,683円、 6/1…44,572円、9/21…34,091円、12/20…25,631円

◆12/20 第39回口頭弁論 原告提出の書面

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【原告】裁判資料ーー今回の準備書面、意見陳述 → このページでは以下にリンクを掲載。
    前回までの準備書面、意見陳述は → こちらのページから。
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【原告】裁判資料ーー今回の証拠説明書と書証(甲号証)→ このページでは以下にリンクを掲載。
    前回までの証拠説明書と書証は → こちらのページから。
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第104準備書面[194 KB] 関係]甲第631号証の証拠説明書[90 KB]
(2023年12月13日)

甲第631号証[811 KB]…河北新報オンライン 避難計画実効性判断へ 仙台高裁控訴審・進行協議で見通し


第103準備書面[2 MB] 関係]甲第630号証の証拠説明書[83 KB]
(2023年12月14日)

甲第630号証[809 KB]…通行止め関係京都新聞記事


第102準備書面[253 KB] 関係]甲第628~629号の証証拠説明書[76 KB]
(2023年12月13日)

甲第628号証[1 MB]…原さん 陳述書(カラー)
甲第629_1号証[250 KB]…原さん 口頭弁論要旨
甲第629_2号証[6 MB]…原さん 口頭弁論要旨(カラー)


◆12/20 第39回口頭弁論のお知らせ

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・開廷時間のご注意…これまでの開廷時間は14:30でしたが、今回のみ、15:00の開廷です。
・開廷前の裁判所周辺デモを行います。
・模擬法廷、閉廷後の報告集会は、★弁護士会館★地階大ホールとなります。
(弁護士会館は、地裁構内、南東角です)
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◆裁判所にお越しください!
・2012年11月29日提訴以来の長い裁判も、ようやく先が見えてきました。4月から裁判長が交代し、この新しい裁判長の3年の間に、判決に至る可能性もあります。
・12/20(水)は、今年最後の口頭弁論の期日となっています。裁判の内容も、すでに主張すべき点は終わりに近づいていて、証人尋問など今後の展開を検討する段階になっています。
憲法とそれを支えるべき裁判官の良心と勇気に期待して闘っていますが、裁判官を動かすのは、裁判に多くの人が注目していることを示す運動です。皆さまの、目に見える応援が力になります。12月20日には、どうぞ裁判所にお越しください。

◆原告から
・美山診療所 元事務長の原告、原 龍治さんが、原発事故避難について、医療現場に特有の問題点などについて陳述されます。

◆弁護団から
原発事故の際の避難困難性について…道路の通行止めなど交通の問題を主張します。

◆タイムテーブル

12:40…裁判所構内の南東角、弁護士会館の玄関前に集合
12:45…裁判所周辺の定例デモに出発。13:30頃まで
14:10(見込み)…傍聴券の抽選リストバンド配布開始。
 地裁北玄関前。傍聴は誰でも参加可能
14:25(見込み)…裁判所による傍聴席の抽選リストバンド配付終了
 直ちに抽選→傍聴券の配布抽選にもれた方、入廷を希望されず模擬法廷に参加される方は
 15:00までに弁護士会館(地階ホール)の模擬法廷へどうぞ
15:00…開廷、弁論開始。同時刻に模擬法廷も開始
16:15頃から…閉廷後、弁護士会館(地階ホール)で報告集会。45~60分程度

裁判に参加する方法…以下、三つの方法があります。
原告の皆さまは下記、[1] 原告席か、[2] 傍聴席か、[3] 模擬法廷のいずれかでご参加ください。
原告でない方は、[2][3]でご参加ください。

[1] 原告席…法廷の中で柵の内側に、原告として入ります。
被告「関電、国」の正面に座ります。
・原告団が氏名を裁判所に通知します。
【いつもメールによる連絡を受け取っている原告】 12/6頃にメーリングリストにより案内メールをお送りしますので、それを受信されてから、返信として申込ください。
【いつも郵送による期日案内連絡を受け取っている原告】 原告席での参加を希望される場合は、12/12(火)までに事務局宛ご連絡ください。
・コロナ以前は合計35名ほどの原告が参加できましたが、今回は、14名程度となります。
・定員に達するまで、先着順で受け付けます。

[2] 傍聴席…法廷の中で柵の外側。88席あります。
傍聴席に座るには、裁判所が抽選を行います。
傍聴希望者が少なかった場合は、抽選はありません。
・14:10~14:25(見込み)の間に、京都地裁正面玄関前で、抽選リストバンドが配布されます。
・傍聴席は、原告でない方も、誰でも抽選によって参加することができます。
・傍聴席に入ることができなかった場合、または、最初から法廷に入ることを希望されない場合は、次項に記載の模擬法廷にご参加ください。

[3] 模擬法廷…弁護団が用意します(法廷と同じ15:00開始)。そこに参加するには
★弁護士会館★地階ホールへ、直接おこしください。
・法廷よりもわかりやすく、弁護団が解説します。
・事前に提出されている被告(国や関電)側の書面があれば、その解説も行います。

◆報告集会の開催
・法廷の終了後、★弁護士会館★地階ホールにて報告集会を開催します(16:15頃から)。
・裁判の進行などを、弁護団から説明いたします。裁判に関するご質問などもどうぞ。
・コロナ禍の状況によっては、報告集会自体を取りやめる可能性もあります。その場合は、あらかじめ原告団Webサイト(「京都脱原発原告団」で検索可)に掲載します。
・電話でのお問い合わせは、090-5660-2416(吉田あて)。

◆関西電力 闇歴史◆109◆

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◆関電の “安全無視文化” は、1980年代には既に定着!
 もうけ優先の結果、関電の原発で何が起こっていたか!

 (1) 一次冷却水のポンプが破壊寸前!――高浜原発、大飯原発
 (2) 放射能汚染水漏れを放置――美浜原発、大飯原発
 (3) 緊急停止回路を切っての曲芸運転!――美浜原発
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◆『決定版 原発大論争!』にみる関電の “安全無視文化”
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 この闇歴史◆109◆の内容は『決定版 原発大論争! 電力会社 VS 反原発派』(別冊宝島81号、1988年9月発行、1999年12月 宝島社文庫)によるものです。

 同書は、チェルノブイリ原発事故(1986年)以来、急速に高まる国民の批判の声を封じ込めるために、電力会社が作成した『内部資料・原子力発電に関する疑問に答えて』に対して、1988年、反原発派の論客、久米三四郎、小林圭二、生越忠、堀江邦夫、西尾漠、小出裕章、藤田祐幸、槌田敦、山口俊明、高木仁三郎ら15名が反論し、推進か廃炉かの「原発論争」を巻き起こした歴史的名著です。東海村臨界事故が起こった1999年に文庫版として復刻されました。現在も、amazonなどネット通販で中古本が入手できます。

 この闇歴史◆109◆の内容は、同書の中の「第三部 経済性 電力会社 VS 河田昌東」から、“傷だらけの原発たちが告発する電力会社のコストダウンと「金儲け」”(文庫版p.278~)に従ったものです。

 その著者、河田昌東さん(かわた・まさはる、同書肩書は名古屋大学助手)は、現在、「チェルノブイリ救援・中部」でボランティアをされています(関連記事→こちら)。関電はじめ電力会社の “安全無視文化” の闇歴史がいかに根深いものか、鋭く告発しています。

 以下、河田昌東さんの了承の下に引用してまとめ、その後に該当部分を転載しています。(転載は関電以外の部分は省略。漢数字の年号は算用数字に変換)

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1980年代から原発のコストダウン、経済最優先が叫ばれる!
 「ECCS(非常用炉心冷却装置)のような過度な付属設備は除去すべき」

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 1982~83年頃から、原発のコストダウンの必要性が声高に叫ばれだした。その背景には、原発の建設費が急上昇を続ける中、初年度発電原価が石炭とあまり変わらなくなったことがある。このままでは「原発の電気は安い」という経済性神話が崩れそうになってきた。その対処として、ハード面、ソフト面で対策が検討された。

ハード面では、原発建設費のコストダウン。
・設計の合理化。日本の原発は「安全すぎる」のでムダを省く。日本原子力産業会議の有沢広巳会長(当時)は「軽水炉のECCS(非常用炉心冷却装置)のような過度な付属設備は除去すべき」と主張(1986年)。
・原発設計の標準化。
・建設工期の短縮、つまり手抜き工事のすすめ。

ソフト面では、
・過剰検査の是正、つまり手抜き検査のすすめ。
・長期サイクル運転による稼動率向上。定期点検期問をできるだけ短縮し、運転期間をできるだけ延長する。

 このように、現代に至る「安全無視、経済性優先」の“安全無視文化”の流れが1980年代から始まっている。

【注】2023/11/15、関電は、原発の利用率向上に向けて、従来より長い期間の連続運転や点検の効率化に取り組む方針を示した。連続運転については、従来より2ヵ月長い15ヵ月への変更を検討とのこと。

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★以下は『決定版 原発大論争!』~傷だらけの原発たちが告発する電力会社のコストダウンと「金儲け」~から転載。
 
 原発のコストダウンの必要性が業界で声高に叫ばれだしたのは、原発の建設費が急上昇を続ける中、初年度発電原価が石炭とあまり変わらなくなり、このままでは“原発の電気は安い”という経済性神話が崩れそうになった1982~83年頃からである。
 
 この問題に対処するため、たとえば東京電力では、1982年9月、「原子力コストダウンプロジェクトチーム」を設置し、検討を始めている。原発メーカーや電力業界のワーキンググループが考え出した原発建設費のコストダウンのための処方筆は、次の三つである。
 
コストダウンの三つの処方箋
 
 第一に、設計の合理化。その具体的内容は、耐震設計や安全設計の見直し、というもので、要するに、日本の原発は“安全すぎる”のでムダを省いて身軽にし、これによって建設費の数%は下げられる、というものである。
 
 第二に、原発設計の標準化。これまでの原発建設は、建設地の地盤や地形などの地理的条件によって基礎工事などが違い、あるいは以前につくった原発で具合の悪かったところを手直ししたりしながら、一つひとつ、手作りに近いかたちでつくられていた。その結果がコスト上昇につながっている、と言うのである。だから“標準型を決め、余分な設計変更を行なわないようにしよう”というわけだ。
 
 第三は、建設工期の短縮、つまり手抜き工事のすすめである。工期が一ヵ月短縮されれば、建設費の0.2~0.3%程度は安上がりになると試算されていた。
 
 こうしたハード面でのコストダウンを実行すると同時に、ソフト面でも、たとえば、“過剰検査の是正”、つまり“手抜き検査のすすめ”や、“長期サイクル運転による稼動率向上”などが提案されている。
 
 建設費のコストダウンについては、日本原子力産業会議の有沢広巳会長(当時、1988年3月死亡)が、1986年4月8日に行なわれた同会議の第19回年次大会で、「軽水炉のECCS(非常用炉心冷却装置)のような過度な付属設備は除去すべきである。ある面だけ丈夫にしても、安全上意味がなく、ムダな投資である」と所信表明し、話題になった。ところが「それからわずか18日後の4月26日、ソ連のチェルノブイリ原発事故が起こると、日本では、原発推進側から、『(ゾ連炉は)欠陥炉だ、人為ミスだ」の声に混じって、「ECCSのスイッチを切っだのはけしからん」の大合唱が起こり、この有沢発言は、いつのまにか立ち消えになってしまった。もしチェルノブイリ原発事故がなかったら、日本の原発から、ECCSは省かれていたかもしれないのだ。
 
 さて、このようなコストダウン戦略の結果、日本の原発はどのような状況下に置かれることになったか、ソフト面に焦点をあてて見よう。
 
 コスト低減のために稼動率を上げるには、定期点検期問をできるだけ短縮し、運転期間をできるだけ延長する。これが長期サイクル運転である。そのために、さまざまな無理が行なわれ、原発事故につながっている。
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“安全無視文化”のもと、関電の原発では、何が起こったか!
 (1) 一次冷却水ポンプが破壊寸前!――高浜原発、大飯原発

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・1987年7月11日、定格出力運転中の高浜原発1号機で、一次冷却水ポンプの一台が異常音をたてて大きく振動したため、原子炉が手動停止された。原因は、関電が無届けで蒸気発生器内部に金具を取り付け、それが脱落したためと分かった。はずれた金具の一部は、原子炉内に入り込み、循環したらしい。

・この金具は、定期点検の期間短縮のために設置、その後は取り外すべきところ、次の定期検査に使えるとして、そのままにされていた。定期点検をたった四日間短縮するために、関電は、高浜1、大飯1、2、美浜2、3号機など、計5基の原発に同様の金具を取り付けており、さすがの原子力安全委員会も、これら原発の即時停止と金具の取りはずしを命じた。

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★以下は『決定版 原発大論争!』~傷だらけの原発たちが告発する電力会社のコストダウンと「金儲け」~から転載。
★冷却剤ポンプ破壊寸前!――高浜原発・大飯原発

 1987年7月11日、定格出力運転中の関西電力高浜一号で、一次冷却水ポンプの一台が異常音をたてて大きく振動したため、原子炉が手動停止された。原因は、それより三ヵ月前に、関西電力が通産省に無届で、蒸気発生器内に取り付けた重さ7.8キログラムの金具が、高速水流によって振動し、ボルトや止めピンがはずれて脱落、一次冷却水ポンプに巻き込まれたためとわかった。はずれた金具の一部は、原子炉内に入り込み、循環したらしい。この事故は、あと一歩すすめば冷却剤ポンプの破壊と停止、蒸気発生器細管の破断や燃料棒破損による放射能洩れにとどまらず、原子炉制御の最後の頼みの綱である制御棒の作動妨害など、メルトダウンにも核暴走にも発展しうる重大な事故であった。
 
 関西電力は、なぜこのような金具を付けたのだろうか。それまで、定期点検の際には、燃料棒の交換と蒸気発生器の点検を、順次、別々に行なっていたのだが、これを同時並行的に行なうことで点検期間を短縮しようとしたのである。そのために、蒸気発生器の一次冷却水の出入口に臨時の隔離蓋を取り付け、原子炉内の水が蒸気発生器内に流入しないようにした。点検が終わった後、この蓋は取りはずされたが、この蓋の取付金具は、次の定期点検でも使えるように、そのまま蒸気発生器に、ボルトで取り付けられたまま残された。これがはずれたのである。
 
 高浜一号の事故から五ヵ月後の12月17日、今度は大飯一号で同様の事故が発生し、住民の不安は高まった。関西電力は、高浜一号、大飯一・二号、美浜二・三号など、計五基の原発に同様の金具を取り付けており、たび重なる事故に、さすがの原子力安全委員会も、これら原発の即時停止と金具の取りはずしを命じざるをえなかったのである。この金具は、定期点検をたった四日間短縮するためのものだったが、経済性優先のために安全性を犠牲にした典型といえる。
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“安全無視文化”のもと、関電の原発では、何が起こったか!
 (2) 放射能汚染水漏れを放置――美浜原発、大飯原発

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・1987年5月28日、美浜原発3号機は、放射能を含む一次冷却水の水漏れがひどくなって原子炉を手動停止した。以前から毎時7.7リットルも漏れていたのだが、この日、12.5リットルにまで増加したので、やむなく原子炉を止め、修理した。

・1987年6月15日、大飯原発2号機で、放射能を含む一次冷却水が毎日100リットルも漏れながら、一年以上も放置、運転が強行されていたことが発覚。定期点検入りまでに470日間の長期連続運転を達成し、日本新記録をつくったのだが、こうした長期サイクル運転の裏には、30トン以上もの放射能汚染水漏れの放置という、信じがたい事態が続いていた。

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★以下は『決定版 原発大論争!』~傷だらけの原発たちが告発する電力会社のコストダウンと「金儲け」~から転載。
★150トンの放射能汚染水漏れを放置――美浜原発・大飯原発・福島第一原発

 1987年5月28日、関西電力美浜三号は、放射能を含む一次冷却水の水漏れがひどくなって原子炉を手動停止した。パイプのパッキング不良で、だいぶ前から毎時7.7リットルも漏れていたのだが、この日、12.5リットルにまで増加したので、やむなく原子炉を止め、修理したのである。
 
 1987年6月15日、関西電力大飯二号で、放射能を含む一次冷却水が毎日100リットルも漏れながら、一年以上も放置され、運転が強行されていたことが発覚した。関西電力は水漏れを知りながら、2月からの定期点検時までこれを隠し続けていたのである。実は、大飯二号は、この2月定期点検入りまでに470日間の長期連続運転を達成し、日本新記録をつくったのだが、こうした長期サイクル運転の裏には、30トン以上もの放射能汚染水漏れの放置という、信じがたい事態が続いていたのである。
 
 1986年、東京電力福島第一原発二号で定格出力運転中、10月9日から一次冷却水漏れが始まり(毎分約4リットル、一時間約240リットル)、しだいに増加し続けたが、東電は25日間も運転を続行し、11月3日になってようやく原子炉を止めた。原因は、再循環系配管の溶接部に「振動によるひび割れが生じたためであった。この問に漏れた放射能汚染水は、何と150トンにも及んだ。
 
 このひび割れは、パイプの破断と一次冷却水喪失による炉心空だきへと進む可能性があり、非常に重大な事故である。これとまったく同じ事故が、前年7月29日、日本原電の東海第二原発で起こったのだが、電力会社はこの教訓を生かさず、点検を怠っていた結果、同じことを繰り返したのである。
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“安全無視文化”のもと、関電の原発では、何が起こったか!
 (3) 緊急停止回路を切っての曲芸運転!――美浜原発

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・1986年8月2日、美浜原発1、2号機は、落雷によるタービン停止で、原子炉も緊急自動停止することになっていたのに、停止させなかった。緊急停止(スクラム)回路を切って、出力低下(7%まで)のまま、各種機器を大急ぎで点検、操作し、再び出力を回復させるという、曲芸運転をやってのけた。その操作は、警報を鳴らし、点滅する約100個のアラーム・ライトの一つ一つに対応するものであった。操作を誤れば、暴走事故につながりかねない綱渡り、曲芸としか言いようがなかった。
(このあたりは前掲書『決定版 原発大論争!』文庫版のp.19あたりも参考にしています)

・わずか3か月前に起こったチェルノブイリ原発事故が、緊急停止回路を切っての出力低下試験中に発生したことの教訓はどこに行っていたのか。

・しかし、このはなれ技というべき操作をした運転員は、会社から、よくやったと表彰され、金一封をもらっている。原発は止めると、再起動まで時間がかかるし、その間のコストも大きくなることから、原発は止めないことが、電力会社の儲けそのものに直結する。運転の継続を最優先した、恐ろしい安全無視!

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★『決定版 原発大論争!』~傷だらけの原発たちが告発する電力会社のコストダウンと「金儲け」~から転載。
★緊急停止回路を切っての曲芸運転!――美浜原発

 1986年8月2日、日本原電敦賀一号と関西電力美浜一、ニ号から送電を受けている変電所に落雷があり、変電所からの送電がストップした。そのため、負荷を失った上記三発電所のタービンが自動停止した。それに伴い、原子炉も緊急自動停止することになっていた(安全審査資料)のだが、この時、敦賀一号はスクラムしたのに、美浜一、二号はなぜかスクラムせず、出力低下(7%まで)のまま、各種機器を大急ぎで点検し、再び出力を回復させるというはなれ技をやってのけたのである
 
 この時は、当然、タービン停止で発せられるスクラム信号回路を切っていたはずである。この操作をした運転員は、会社から、よくやったとほめられ金一封をもらったとのこと。それというのも、原子炉はいったん停止すると、燃料棒内にキセノン毒が溜まり、数日間は運転が再開できないので、会社にとっては大損害を与えるからである。一旦止めれば数億円の損害を出す、と言われる原発を、いかに止めないかは、電力会社にとって死活問題なのである。
 
 このような緊急停止回路を切っての曲芸運転がいかに危険かは、この事故のたった三ヵ月前に起こったチェルノブイリ原発事故で証明ずみのはずだ。その“意図的操作ミス”を片方で大声であげつらいながら、他方では、このような危険を冒しているのである。チェルノブイリの運転員と美浜の運転員の違いは、「結果良ければすべて良し」ということだけなのだ。
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関電では、事故の日常化、原因を究明しない杜撰な体質がめだっている!
 「金だけ、今だけ、自分だけ」という“安全無視文化”は根深い!

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 関電の原発トラブルは、現在も相変わらず続いている。たとえば、蒸気発生器細管の損傷は、高浜原発3、4号機で、定期検査ごとに連続して発見されている(→◆071-2◆)。しかし、関電は、抜本的な原因究明をせずに、原因を推定したとして運転を再開、継続している。蒸気発生器細管の損傷は、大事故にもつながりかねない大きな問題であるにもかかわらず、規制委も関電の言い分をそのまま認めている。「金だけ、今だけ、自分だけ」という関電の“安全無視文化”は根深い。

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★以下は『決定版 原発大論争!』~傷だらけの原発たちが告発する電力会社のコストダウンと「金儲け」~から転載。
★稼動率競争で傷だらけの原発たち

 以上述べてきたように、日本の原発は今、炉型の違いを問わず、傷だらけの状態で運転されており、言わば、事故の日常化現象が起こってきている。1970年に大阪万博ではじめて原子の灯をともして以来、18年(88年当時)がたち、部品の劣化による事故があちこちで頻繁に起こるようになっているにもかかわらず、今や石油にさえ追い抜かれてしまった発電コスト低減のために、電力各社は少々の事故が起こっても原子炉を止めず、運転を続けながら修理する、などの稼動率競争に明け暮れているのである。
 
 無理やり運転と同時に、事故隠しも少なくない。監督官庁であるはずの通産省(資源エネルギー庁)が、電力会社に対して事故隠しを指示している事実さえ明らかにされ、地元の人びとの怒りをかっている。
 
 1986年11月27日、衆議院科学技術委員会で明らかにされたところによると、1986年の9月16日に起きた敦賀一号のECCSの高圧注水系配管からの水漏れ事故について、資源エネルギー庁は日本原電に対し「非公開とすること」を要求していた。これも、公開によって批判が高まり、原子炉を停止せざるをえなくなる事態を避けたい、という意図のあらわれである。
 
 このように、事故の日常化と事故隠しの体質は、すでに確証された厳然たる事実として、我われの目の前に明らかにされている。安全性を「犠牲にしたコストダウンはあり得」ないという電事連の主張のデタラメさを、原発そのものが、自らの事故史によって激しく告発し続けているのである。
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◆108◆←←関西電力 闇歴史→→◆110◆

◆関西電力 闇歴史◆108◆

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◆関電などによるバイオマス発電事業が破綻(2022年12月)
 結局、発電事業は大東建託に事業譲渡(2023年7月)
 関電の電源構成→原発は20.3%だが、
        →太陽光0.3%、地熱、風力、バイオマスは各0.0%
 【付 RE100 】
 【付 関電の電源構成】

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(1) 2013年12月9日、兵庫県森林組合連合会(県森連)、公益社団法人兵庫みどり公社、ならびに関西電力は、兵庫県、兵庫県朝来(あさご)市と協働で、朝来市における木質バイオマス事業計画を本格的に検討していくことに合意、協定を結んだ。

・未利用木材(間伐材)の搬出から乾燥、燃料チップ製造、燃料チップを活用した発電までを官民協働で行う今回の事業スキームは、「兵庫モデル」といわれ、国内初の取組み。地元の間伐材の有効活用が期待された。関西電力グループにおいては、初めての木質バイオマス燃料専燃発電所。2030年までに50万kW程度の再生可能エネルギー電源を開発することを目標とした。

(2) 2016年から、バイオマス発電事業を開始。年間の発電量は3700万kWh。ただし、当初から赤字が続いた。関電の発電所は、子会社の関電エネルギーソリューション。

【参考】 関電サイト(→こちら)より、兵庫県朝来市における木質バイオマス事業の概要。

(3) 2022年末に破綻。兵庫県森林組合連合会(県森連)が2022年11月に事業撤退を申し出て、関西電力は、2022年12月24日に発電停止。協定は2022年12月25日付けで解約された。5者の協定により、県内の未利用木材=間伐材を搬出し、燃料チップの製造及びバイオマス発電までを行う事業に取り組んできたが、木材価格の高騰「ウッドショック」の影響で燃料となる木材チップの確保が困難となったという。県森連は関電側から損害賠償を請求される可能性を想定し、2022年11月、大阪地裁に特定調停を申し立てた。関電は事業の譲渡を検討。

(4) 2023年7月6日、大東建託(株)は、関電エネルギーソリューション、兵庫県森林組合連合会と、間伐材などを燃料にした朝来バイオマス発電所と、間伐材などの供給センターの事業譲渡契約を締結。2024年度中の再稼働をめざしている。

【参考】大東建託のWebサイト(→こちらこちらも)より。当社は、RE100に加盟し2040年までに、事業活動で消費する電力を100%自社発電の再生可能エネルギーにすることを目標として掲げています。今後は、本発電所で発電した再生可能エネルギーを利用することで、当社グループにおける再生可能エネルギーの国内導入率は50%に達する見込みです。

【付 RE100 】
Renewable Energy 100%、アールイー100。企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ(リーダーシップ)。世界や日本の企業が参加。世界的に有名な加盟企業としては、AppleやGoogle、Microsoftやスターバックス、IKEAやネスレなどが名を連ねている。
「RE100とは?日本企業一覧・取り組み事例やメリットをわかりやすく紹介」→こちら
「RE100とは?意味・読み方や国内外の加盟企業をわかりやすく解説」
(環境価値証書についても)→こちら

(5) 2023年10月19日、新聞報道によれば、衆議院議員(兵庫5区)と県議が代表理事を務める兵庫県森林組合連合会(県森連)に、県が貸し付けた9億円が回収困難となっている。県森連の財政状況が悪化しているとの指摘がある中、県が貸付額を増やしていたことがわかったという。バイオマス発電事業が県森連の資金繰りを悪化させたとみられている。

【付 関電の電源構成】(→こちら
・関電の電源構成は、火力と原子力が中心となっている。LNG火力が第1位で22.3%、続いて、原子力20.3%、石炭火力19.5%となり、この三者で計62.1%をしめる。
・再生可能エネルギーの割合は、大規模水力8.8%を除けば、ごく小さい。とくに、太陽光0.3%、地熱風力バイオマスは各0.0%。この四者で計0.3%にとどまるのは、お粗末としか言いようがない。
・関電の風力発電事業→◆066◆
(2022年度実績)(以下、グラフ及び注記は関電サイトより)


[グラフの注記]
※1 この電気のうち、非化石証書を使用していない部分は、再生可能エネルギーとしての価値やCO2ゼロエミッション電源としての価値は有さず、火力発電なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持った電気として扱われます。
※2 当社がこの電気を調達する費用の一部は、当社のお客さま以外の方も含め、電気をご利用のすべての皆様から集めた賦課金により賄われており、この電気は再生可能エネルギーとしての価値を有さず、CO2排出量については、火力発電なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持った電気として扱われます。
※3 この電気には、水力、火力、原子力、FIT電気、再生可能エネルギーなどが含まれます。
※4 この電気には、他社から調達している電気の一部で発電所が特定できないもの等が含まれます。
注1) 四捨五入の関係で合計が100%にならないことがあります。
注2) 経済産業省の制定する「電力の小売営業に関する指針(2023年4月)」に基づき、算定・公表しています。
注3) 当社は再エネ指定の非化石証書の購入により、実質的に、再生可能エネルギー電気の割合の向上をはかります。

◆107◆←←関西電力 闇歴史→→◆109◆

◆使い捨て時代を考える会–汚染水の海洋放出の中止を求める声明

声 明
ALPS処理汚染水の海洋放出を直ちに中止すること

2023年10月7日 使い捨て時代を考える会

 政府と東京電力は福島県漁連をはじめとする多くの反対の声を無視して、ついに8月24日~9月11日に第1回目の放射能汚染水海洋放出を、10月5日に第2回目の放出を実施してしまいました。放射能汚染があると知りながら廃水を海へ捨てるとは常識では考えられないことです。大量に放射能汚染物質を流す行為は、国家と企業による犯罪とも言えるのではないでしょうか。

 「科学的根拠」とは何を指しているのでしょう。放射能に関しては、過去の長い人類の歴史の中で、微量でも影響があると立証されているからこそ厳しい基準値が設けられているのです。薄めれば安全と言えるのでしょうか。薄めたものが魚や海藻などに蓄積され、生物濃縮で他の生物に影響を及ぼす可能性は否定できません。かつて起きた公害問題への対応として、希釈しても総量は変わらないからと総量規制方式になりました。薄めての放出は水俣病を経験した歴史的経過で人類が築き上げた経験を反故にするものです。

 国と東電はトリチウムは「他の原発からも出ている」「中国や韓国の原発からも出ている」と言い訳をしています。確かに福島原発でも事故前に2.2兆ベクレル/年のトリチウムを放出していました。しかし、汚染水ではなんと22兆ベクレル/年の放出を予定しているのです。また汚染水にはトリチウムのみならず、ヨウ素129、ストロンチウム90、セシウム137、プルトニウム239、カドミウム113など62種類に及ぶ放射性核種も含まれています。その除去も100%できるものではありません。特にトリチウムは、水と分離できずALPSでは処理できないことが明らかになっています。すさまじい総量の放射性物質がすでに放出され、これからも放出され続けるのです。

 海外の反応にしても、中国のみクローズアップされていますが、太平洋諸島はもとより欧米諸国の市民からも反対の声が上がっていることはまったく報道されていません。
風評被害と言いますが、放射能による健康被害は否定できない事実です。もろに生活を脅かされる漁民は最大の被害者ですが、地球に住む誰もが被害を受ける可能性を否定できません。風評などという言葉でごまかすのは許せません。

 福島第一原発事故を正しく認識して、放射能をこれ以上ばらまく行為をやめ、まず閉じ込めてその後始末を検討していくという姿勢をとるべきです。汚染水発生の根本原因である原子炉建屋に日々流れ込みデブリに触れる地下水を止めなければなりません。タンクに溜めた汚染水についてはモルタル固化による保管なども検討するべきです。真摯に、嘘をつかずに原発事故の後始末に取り組むべきです。

 「科学的」などという言葉でごまかすのはやめて、真に科学的な方策を一刻も早く練ることを願ってやみません。

 私たちは、ALPS処理汚染水の海洋放出を直ちに中止することを求めます!

◆小浜市の松本浩さんからの報告

 50年以上の長きにわたり、福井県内における原発や行政の不正に対する異議申し立てを、様々な形で行ってきている福井県小浜市在住の松本浩さんからの報告を転載しています。

(1) 『はとぽっぽ通信』(原発設置反対小浜市民の会)より転載
(2016年6月~連載)
河内(こうち)川ダム建設の無駄と無謀
 若狭における福井県の「でたらめ行政」を検証する~~河内川ダム 編
こちら

(2) 『かたくり通信』(福井から原発を止める裁判の会)より転載
(2023年10月)
・使用済み核燃料について、そして、
・プルサーマル計画とカラ出張問題で国と県が結託し
 高浜町の森山元助役の手も借り
 「ふれあいの浜辺事業」(脇坂公園)で裏金疑惑
こちら

◆関西電力 闇歴史◆107◆

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◆関西電力送配電(株)、インバランス料金を複数回、誤算定
 電力・ガス取引監視等委員会が報告を公表(2023/7/28)
 誤算定の原因は、マニュアルの不備など事務の正確性欠如
 【付 インバランス料金】
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 関西電力の100%子会社である関西電力送配電(株)は、インバランス料金(発電計画などに対する電力の過不足に応じ、発電・小売り事業者と送配電事業者がやりとりするお金)について、誤算定を繰り返していた。

 マニュアルの不備、運用設定の誤り、システム改修時の誤り(仕様変更の認識不足)が原因とされている。インバランス料金は、卸電力市場における重要な指標の一つであり、電力小売業者にとっては、重要な経営指標。誤算定の結果、多くの小売電気事業者の会計処理に多大な影響を与えている。電取委は報告のまとめで、「重い事象」と指摘している。

 電力・ガス取引監視等委員会は、インバランス料金の誤算定を引き起こした東北、中部、関西、九州及び沖縄に対し、電気事業法に基づく報告徴収を実施した。2023/7/28、各社から報告された概要を公表した。(→こちら

 経緯としては、まず関西電力送配電(株)で発覚した。
  
(1) 2022年10月、関西電力送配電(株)の中央給電指令所システムにおけるデータ取込設定の誤りに伴うインバランス料金単価の公表値の誤りが発覚
(誤算定期間:2022年4月分~2022年10月分)
(2) 関西電力送配電(株)は誤算定を発生させたことから、中給システムの再点検を実施
(再点検期間:2022年11月~2023年3月末)
(3) 再点検の結果、新たな誤算定が発覚
(誤算定期間:2021年6月分~2023年2月分)
※2021年6月分~2022年3月分は旧インバランス料金単価の誤算定。

・電力・ガス取引監視等委員会(電取委)から報告徴収に対する関西電力送配電(株)の報告は
 
インバランス料金の誤算定に係る報告徴収への報告について(→こちら
2023年3月15日 関西電力送配電(株)

・関西電力送配電(株)のWebサイトにおける
インバランス料金に関連するお知らせ………数が多すぎ!
(→こちら
(→こちらも
 
・2023年5月17日 インバランス料金単価算定根拠となるデータ誤りについて
・2023年5月10日 【終報】インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出のためのデータ取り込設定の誤りについて
・2023年4月25日 インバランス料金単価算定根拠となるデータ誤りの可能性について
・2023年3月30日 【続報】インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出のためのデータ取り込設定の誤りについて
・2023年1月6日 【終報】インバランス料金単価算定根拠となるデータ誤りについて
・2022年12月17日 インバランス料金単価算定根拠となるデータ誤りの可能性について
・2022年11月10日 【続報】インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出のためのデータ取り込み設定の誤りについて
・2022年11月1日 【続報】インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出のためのデータ取り込み設定の誤りについて
・2022年10月25日 【続報】インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出のためのデータ取り込み設定の誤りについて
・2022年10月14日 【訂正】インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出プログラムの誤りについて
・2022年10月13日 インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出プログラムの誤りについて
・2022年7月25日 【終報】6 月28 日のインバランス料金単価200 円/kWh の誤りについて
・2022年7月11日 【続報】6月28日のインバランス料金単価200円/kWhの誤りについて
・2022年6月29日 6月28日のインバランス料金単価200円/kWhの誤りについて
・2022年6月28日 新たなインバランス料金制度におけるインバランス料金単価算定根拠である「調整力の限界的なkWh 価格」の誤りについて
・2022年5月30日 【終報】新たなインバランス料金制度におけるインバランス料金単価算定根拠である「調整力の限界的なkWh 価格」の誤りについて
・2022年5月25日 新たなインバランス料金制度におけるインバランス料金単価算定根拠である「調整力の限界的なkWh 価格」の誤りについて

【付 インバランス料金】

 電力の小売業者が事前に確保した供給量に対し、実際には顧客の需要量の方が多くて、供給量が足りなくなった場合には、送配電会社が足りない分を供給することになっている。電力の小売業者は、需要を正確に見積もることが求められる。送配電会社が電力を融通することで、需要家に電気が届かなくなることはない。しかし、電力を融通してもらった小売業者は、送配電会社に「インバランス料金」という追加料金を支払う必要がある。(インバランス=アンバランス)
 このインバランス料金は、ペナルティ的な意味合いが強く、卸電力よりも高く設定されている。(需要が少なくて供給の方が多くなった場合は、送配電会社が余剰分を買い取る。)

◆106◆←←関西電力 闇歴史→→◆108◆

◆関西電力 闇歴史◆106◆

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中性子照射脆化の進み具合をみるのに、関電は、規制委の規格にない方法で測定!
 福井県には「規格にない図(WOL試験片)」を示していながら(2016年)、
 訴訟では「規格にある図(CT試験片)」を「イメージ図」として提示!(2021年)
 老朽原発40年廃炉訴訟(名古屋地裁)で明らかに!
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 中性子照射脆化の進み具合をみるための監視試験片のうち「破壊靭性試験片」は母材と溶接金属の2種類を毎回取り出して試験すべきところ、関電は、1回の取り出しでどちらかしか試験していないことも裁判で明らかとなりました(◆022◆)。

 さらに、意見書の書籍化(『原発の老朽化はこのように』→こちら)作業の中で、高浜1、2号機と美浜3号機の破壊靭性試験片は、今は使われていないWOL試験片というタイプで、規制委が破壊靭性試験の方法として採用している日本電気協会のJEAC4206-2007という規格にもないことを確認しました。この試験片は破壊靭性値を正しく測定できない問題があります。書籍のQ&Aで解説しています。

 関西電力が原子力規制委員会の審査で提出した資料では、破壊靭性試験片の型は明示されていませんでした。また、当訴訟では、国も関電も、破壊靭性試験については、「イメージ」図として、CT試験片とその試験の図を準備書面で示し、本件原発の破壊靭性試験片の型については明示していないので、CT試験片なのかと思っていましたが、以下のことから、WOL試験片であることがわかりました。

・意見書でも紹介している日本電気協会が規制委に提出した資料に、高浜1号炉であると特定できる図があるのですが、よく見ると、その「試験片種類」は「1X-WOL」と書かれている。(2020年1月10日 第5回原子炉圧力容器に対する供用期間中の破壊靱性の確認方法等の技術評価に関する検討チーム)

・辻元清美議員提出「原子力発電所の劣化状況の点検・評価・審査に関する質問主意書」(2023年3月13日)への答弁書(同年3月24日)において(→こちら)、国内の全ての原発の高経年化技術評価等報告書に記載された監視試験片の種類について、高浜1、2号機は記載がありませんが、美浜3号機は「WOL試験片」と記載。

・関電が福井県の原子力安全専門委員会に提出した資料には、高浜1、2号機と美浜3号機の破壊靭性試験片としてWOL試験片の絵が示されていることを確認(高浜1、2号機は2016年5月13日開催第85回、美浜3号機は同年11月2日開催第87回の各資料に記載。福井県原子力安全対策課WEBサイト掲載)。

 関電は、福井県の専門委員会にはWOL試験片の絵を提出しているのに<下記>、名古屋地裁の訴訟では、「イメージ」図として、CT試験片を図示しており、あまりに不誠実です。

 CT試験片は、二つの穴に棒を通して上下に引っ張って、き裂の進展が始まる限界の力を測定しますが、WOL試験片は、引っ張る片方にネジ穴が開けらていて、ネジを差し込んで引っ張るために塑性変形が起こり、引っ張る力が塑性変形に使われることで、より大きな力まで耐えられることになってしまうのだそうです。

 WOL試験片をCT試験片と同じように扱うために、WOL試験片にサイドグルーブと呼ばれる溝をつけて破壊しやすくするなどの修正を行う手法もあるそうです。関電が福井県の専門委員会に提出したWOL試験片の絵にはサイドグルーブがついているように見えます。しかし、審査において、WOL試験片の測定値の妥当性が議論された記録はありません。

 以上、『デンジャラスくん通信 第24号』(→こちら)より

▼破壊靭性試験片–CT試験片
名古屋地裁、2021年10月28日参加人 関電 高浜準備書面(11)より(→こちら

▼破壊靭性試験片–WOL試験片(図中「関連温度」とは、「脆性遷移温度」のこと)
・2016年5月13日開催 第85回福井県原子力安全専門委員会
「資料No.3[関西電力((株))]高浜発電所1、2号機の運転期間延長申請の概要について」より
(→こちら
・2016年11月2日開催 第87回福井県原子力安全専門委員会
「資料No.2[関西電力((株))]美浜発電所3号機の運転期間延長申請の概要について」より
(→こちら

◆105◆←←関西電力 闇歴史→→◆107◆

◆9/21 第38回口頭弁論の報告

 2023年9月21日(木)に京都地裁で第38回口頭弁論が開かれました。
模擬法廷&報告集会は、弁護士会館の3階大会議室で行いました。
事前のお知らせチラシ→こちら

  • 恒例の裁判所周辺デモは30人程度で、心配された雨は降らずにすみました。今後、さらに呼びかけを広げます。
  • 開廷前デモ、法廷傍聴、模擬法廷、報告集会にご参加の皆さまは、たいへん御苦労様でした。
  • 原告席…14名で募集し、13名の申込を受け付けました。
  • 傍聴席…昨年6月よりコロナ禍による制限がなくなり、全席およそ90席が使えるようになっています。今回、抽選にはなりませんでしたが、満席に近い状況でした。
  • この回は、被告の関電、国が、弁論更新を行いました。被告関電が45分、被告国が15分のプレゼンテーション。関電や国の言い分を耳で聞くのは、この11年の訴訟の中で初めてでした。
  • 関電は「地震に対する安全確保対策について」69枚のスライドでした。そのスライドファイルは、前日にしか届きませんでしたし、ページ数やカラーが多くて、傍聴の皆さまにもプリント配布することができませんでした。そのPDFファイルを以下にアップしましたので、こちら[89 MB]より、ご覧ください。長いので、読むには時間がかかりますが、法廷でも、時間の関係と言って、スキップされたところが多々、ありました。
  • 報告集会での赤松純平先生のコメントでは、地下構造については、自分に都合の良いことだけを述べ、不都合な点は触れていないとのことでした。聞いていた感じでは、科学的保守的(安全性をより重視しているという意味)、専門家(の意見書)の三つが何回も出てきて、耳につきました。基準地震動など技術論を述べて耐震安全性を強調したのかな、と思いました。科学的とか、専門家と言えば、人は(裁判官は)ひれ伏すと思っているようです。
  • 科学より前に信頼が必要です。とりわけ関電は信頼できません。福島第一原発事故がおきて、科学も専門家も完全に信頼を失墜したのに(全く信頼できない専門家がいることが明白になったのに)、関電は何も学んでいないようです。東電も自民党政府も同じですが。
  • 報告集会の参加者数…およそ50名ほど。
  • カンパ…参加者の皆さまからカンパをいただきました。感謝いたします。
    ・金額は、その都度、会場ですぐに計算して報告できていませんが、この1年は以下の通りです。傍聴参加者の数が多いと増え、少ないと減る傾向になっています。(天候、報告集会の会場の場所なども影響すると思われます)
    ・2022年、9/6…14,605円、12/6…34,473円
    ・2023年、3/2…21,683円、 6/1…44,572円、9/21…34,091円