◆6/27の第3回原告団総会
…弁護団長の開会挨拶

◆弁護団長の開会挨拶

  • 原告団長・出口治男
  • 本日記念講演をいただく吉岡斉先生は、2011年10月25日に、新版原子力の社会史―その日本的展開- と言う著書を、朝日選書の一冊として出版されました。あとがきを書かれたのが同年9月8日。3・11から殆ど日数を経ない時に、この著書を書かれたわけです。先生は、1970年代の半ば、ベトナム戦争、公害・環境問題が激しくなったころに、科学技術に対して批判的な視点に立った現代科学技術史の研究を志されたと、同著で書いておられます。原子力の社会史は、先生のそのような長年の研究の成果を踏まえ、原子力技術に対する厳しい批判を含んだ現在史です。現在、原子力市民委員会の座長も務めておられ、学問と市民とともに歩む行動と言う、両方に軸足を置かれ、両者の架け橋としてご活躍しておられます。そのような先生をお招きして、記念講演お聞きできるのは、大変有意義であり、嬉しく思います。
  • さて、本日の新聞では、百田某と言う人物が、沖縄タイムズと琉球新報をつぶせと発言し、その尻馬に乗る議員の発言が紹介されていました。沖縄の歴史と現実を見ず、事実に立脚しない、徒に世の中を煽り立てる議論と言うしかありません。同様に、集団的自衛権、安保法制の問題にしても、戦争の歴史と実情を見ず、法の基本原則を無視し、理性的な議論が全くできない。原発問題にしても同様です。福島第一原発の破滅的な事実を見ようとせず、理性をかなぐり捨てて、なにがなんでも再稼働をさせようとする電力業界、政府。先日の九つの全電力会社が、株主総会で再稼働の方針を打ち出しています。
  • 裁判所では、福井地裁の、福島第一原発事故の現実を直視した判断が出されたのに対し、鹿児島地裁では、事故前の裁判所の判断のコピーを見るような判断が示されました。このような状況の下で、私達京都訴訟は、福井地裁の再稼働を認めない判断を全国的に定着させるための、大きなカギを握る訴訟と位置づけられます。
  • 本日の原告団総会では、原発再稼働を進めようとしている勢力に対する怒りを共有し、勝利を目指して大いに勇気の出る総会になることを願い、また期待を致します。

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