◆原告第14準備書面
第3 大飯原発の構造(具体的危険性を生じる津波高さ)

原告第14準備書面
-津波の危険性について 目次

  第3 大飯原発の構造(具体的危険性を生じる津波高さ)

それでは、大飯原発(第3、第4号機)の構造上、具体的危険を生じる津波高は何メートルか。

この点、原子力発電所施設の冷却系の要である海水ポンプが停止すれば冷却系が維持できなくなるため、海水ポンプ施設の高さまで津波が到達する「万が一」の可能性があれば具体的危険性を肯定できる。また、津波の引波により海水ポンプ施設の取水が不可能な程度に津波水位が低下すれば冷却系が維持できなくなるため、これを下回る水位の低下の可能性があれば具体的危険性が肯定できる。

ここで「大飯発電所3、4号機新規制基準適合性確認結果について(報告)」(甲203-38~40)によれば、

「また、重要な安全機能を有する屋外設備である3、4号機海水ポンプについては、3、4号機海水ポンプ室前面の基準津波による設計津波高さT.P.+2.54mに対して、周辺地盤ならびに前面壁がT.P.+5.0mであることから、地上部からは浸水しないが、津波に対する信頼性向上の観点から防護壁(高さT.P.+6.0m)を設置している。
「非常用海水冷却系については、基準津波による設計津波高さ(3、4号機海水ポンプ室前面T.P.-1.84m)に対して、海水ポンプの機能維持水位はT.P.-2.62mであるため、冷却に必要な海水が確保できる。」

との記載がある。

その後、3、4号機海水ポンプ室については、津波に対する裕度が小さいことが判明したため、T.P.+8.0mの防護壁を施設する予定とのことである(被告関電準備書面(2)29頁)。

したがって、押し波でT.P.+8.0を上回る津波、引き波でT.P.-2.62[8]を下回る津波が発生する可能性が「万が一」にも存在すれば具体的な危険性が認められる。

【甲203.添付1-2-1-1-7[大飯発電所3、4号機新規制基準適合性確認結果について(報告)]】【図省略】

[8] 関電作成の報告書(甲203)によれば、第3,4号炉海水ポンプの取水可能レベルはT.P.-2.62mである。その他の関電作成資料においては、取水可能レベルをT.P.-3.1mと表示するものもあるが、本書面では「T.P.-2.62m」を前提として論ずる。