◆7/24 第4回原告団総会…竹本修三・原告団長の開会あいさつ

  • ご紹介いただいた竹本です。本日は再稼働中の高浜原発3,4号機に対して3度にわたり「ノ―」の判決を勝ち取った大津地裁の闘いについて、井戸謙一弁護団長からお話を聞かせていただけるということで楽しみにしております。京都地裁におけるわれわれの大飯原発差止訴訟でも参考にさせていただきたいと思いますので、どうか、よろしくお願い致します。
  • さて、私は今年の4月20日に、マニュアルハウス社から「日本の原発と地震・津波・火山」と題する本を出しました。私は、地球物理学を専門としておりますが、「地震大国・火山大国のニッポンにおいて、原発稼働は土台無理スジ」という強い信念をもっております。この本は、大飯原発差止京都訴訟の法廷闘争のなかで、国や関電側が主張する地球物理学分野の矛盾点を追及したもので、今日お集まりの皆さんにも是非読んでいただきたいと願っております。この会場の前の方に本が置いてありますが、定価1000円、消費税80円のところ、本日は1000円ぽっきりの「出版協力金」で引き受けていただきたいと考えておりますので、ご協力をどうかよろしくお願い申し上げます。
  • ところで、この本の執筆を終えた直後に熊本地震が起きました。4月14日にマグニチュード6.5、翌15日に6.4、そして16日には7.3の地震が起きました。これらを含めて、熊本・大分地域では、1カ月の間に震度7が2回、震度6強が2回あり、震度1を超える地震が1500回を超えました。地震大国ニッポンに住んでいるわれわれの大多数が、一生のうちに、震度7か震度6強の地震に巡り合うのは1回あるかどうかというところだと思いますが、一か月の間にこれだけ揺すられた現地の人達は生きた心地もしなかったと思います。多大の被害を被った被災地の皆さんに、衷心よりお見舞いを申し上げます。
  • この一連の地震活動は、何の前触れもなく熊本地域に起きました。この地域で前兆的ひずみ変化が全くなかったということは、規制委員会前委員長代理の島崎邦彦さん、政府の地震調査委員会・前委員長の本蔵義守さん、今の地震予知連会長の平原和朗さんらの専門家に確認済みですので間違いないと考えています。熊本地震が何の前触れもなく、あの場所に起こったということになると、次のM7クラスの地震が日本のどこで起きるかは、全く予想がつきません。
  • 1995年にマグニチュード7.3の兵庫県南部地震が起きましたが、そのあと今回の熊本地震が起きるまでの21年間のM7クラスの内陸地震の発生状況を調べてみますと、2000年にはM 7.3の鳥取県西部地震、2005年にはM 7.0の福岡県西方沖地震、2008年にはM7.2の岩手・宮城内陸地震、2011年にはM 7.0の福島県浜通り地震と5年から3年間隔で広い範囲にパラパラと起こっています。このことは、2016年熊本地震の日本の原発への影響として、比較的近くにある川内原発や伊方原発周辺の活断層系の動きを引き続き警戒することもさることながら、今回の地震とは遥かに離れた地域、例えば、活断層の多い近畿・中部地方にある若狭湾の原発群周辺の活断層の動きにも注意しなければならないでしょう。
  • 1995年の兵庫県南部地震のあと、今回の熊本地震までの21年間に起こったM7クラスの内陸地震の4例のうち、2011年福島県浜通り地震は、1か月前に起こった海溝型超巨大地震である東北地方太平洋沖地震の影響で日本列島が東に大きく引っ張られたために発生した正断層型の地震であり、他の地震とは性質が違います。それ以外は、日本列島が東西に圧縮しているために生じる逆断層型地震ですが、2000年の鳥取県西部地震と2005年福岡県西方沖地震は、それまで活断層が見出されていない空白域で起きました。こうなると、M7クラスの地殻内断層地震は既存の活断層だけに注目していてもダメだということが皆さんにおわかりいただけると思います。また、今回の一連の熊本地震の震源域は、既知の活断層の位置とは完全には一致しませんでした。
  • 今日このあと、大飯原発差止京都訴訟の渡辺輝人弁護団事務局長から9月14日に予定されている第12回口頭弁論の説明がありますが、そこでは「熊本地震の教訓」も陳述される予定です。熊本地震の教訓として、大飯原発に近い上林川断層の東北延長上の空白域でM7クラスの地震が起こり得る危険性についても、法廷で鋭く追及していただきたいと考えております。以上です。

元に戻る