◆原告第24準備書面
第1 全体を通じて

原告第24準備書面
-被告関西電力が反論していない原告の主張について- 目次

2016年(平成28年)9月12日

第1 全体を通じて

被告は、発生し得る地震の規模、地震動の大きさ、原発の重要施設の耐震性や想定される津波の高さ等については、原告の主張・立証に対して、独自の視点で反論をしている。しかし、それとて、東日本大震災後の今日、客観性、妥当性を欠くものであることは、すでに原告が主張・立証し、今後もする通りである。

しかし、一方で、被告関西電力は、原告が主張・立証した下記の諸点については、ほとんど、まともな反論をしていないのが現状である。

すなわち、まず、被告関西電力は、原告が指摘している新規制基準の根本的な問題点に対して何ら反論できない。被告関西電力は、「新規制基準」が完全無欠の基準だとでも主張するつもりなのだろうか。

また、被告関西電力の反論は、そのほとんどが、大飯原発の重要施設が地震・津波に耐えられるから重大事故がおこらない、という点に収斂しているところ、大飯原発が全体として地震に耐えられることすら反論できていない。水素爆轟の危険の防止、という、「新規制基準」で定められている点を大飯原発3、4号機がクリアできていない点について何ら反論できないのは異常である。それどころか、実際に大飯原発や被告関西電力の他の加圧水型の原発で、過去に重大事故につながりかねない想定外の事故が多発していることにも反論できない。これらの事故は、大地震など外からの力が加わったときこそ発生しやすいのに、である。

その先の、住民、その財産の放射能汚染、放射線被ばくの危険性、自治体の策定する避難計画の実現可能性に至っては、全くといって良いほど反論していない。

また、自然再生エネルギーなどが普及し、我が国の電力供給の上で、原発が必要ないという厳然たる事実についても、被告関西電力は何も反論していないに等しい。

原告の主張の要旨と、それに対する被告関西電力の対応の状況は、添付の表にまとめたとおりであるが、その要旨は第2以下で述べるとおりである。