◆原告第24準備書面
第3 実際に重大事故が起きた場合の放射線被ばくや避難等の点

原告第24準備書面
-被告関西電力が反論していない原告の主張について- 目次

2016年(平成28年)9月12日

第3 実際に重大事故が起きた場合の放射線被ばくや避難等の点

1 原告第3準備書面との関係

原子力発電(原発)の仕組み、ひとたび原発事故が起これば放射性核種が外界に拡散して人体に多大な影響を及ぼすことを指摘した。そして、実際の原発事故であるチェルノブイリ事故における人体被害の実相を告発した。また、我が国における放射線被ばく線量規制基準が政策的に緩和され、放射性物質による環境汚染そのものを規制する立法等が行われていない事実等を告発した。

しかし、被告関電は、放射性物質による影響を防止するための安全策を講じていると述べるのみで、具体的な認否反論を行おうとしない。

2 原告第6準備書面との関係

多重防護の考え方からすれば、原発における重大事故発生の可能性とは別個独立に、万全な避難計画を策定する必要があり、実際、アメリカやイギリスでは避難計画の策定が原発の許認可要件となっている。実際に福島第一原発の事故が起きた以上、原発における重大事故発生の可能性と、重大事故が発生した際の避難可能性は、別個独立の危険性の要件と考えるべきである。しかし、日本では、そうなっておらず、かつ、各自治体が策定した避難計画は様々な点で実現困難である。

ひとたび重大事故が発生すれば、近畿の広範な範囲で、住民が大量の放射線被ばくをする具体的な危険性があることは、滋賀県、兵庫県、京都府が算定、公表した各種のシミュレーション結果からも明らかである。
また、その際、琵琶湖等の水源が汚染されると、滋賀県のみならず、京都府、大阪府、兵庫県など広範な地域で水道水が高濃度に汚染される可能性がある。この点、東日本大震災の際、千葉県北西部では、実際に摂取制限すべきレベルの水道水を100万人単位の住民が無警告のまま飲用していた可能性が高い。琵琶湖が汚染された場合、影響が最も大きい可能性があるのは他ならぬ京都市である。

これらの諸点について被告関電は反論していない。

3 原告第12準備書面との関係

福島原発事故では、未だ、避難生活を余儀なくされているものがおり、コミュニテイの崩壊、格差等、深刻な被害を生み、被害が更に生み出されて続けていること、原発事故の被害が収束していないことは明かであり、その被害が甚大であることを、各種調査をもとに明らかにしてきた。

放射性物質による環境汚染の状況も深刻であり、原発関連死も日増しに増加している。国は、除染について進んでいるような錯覚を起こさせる動きをとっているが、除染には、限界があり、除染には限界があることは明かである。また、福島原発事故は、廃炉の点をとっても、廃炉は困難な点が各種あり、この点をとっても福島原発事故の被害の甚大性が明らかである。理の道筋がたっていないもとで、廃炉の困難性は明かである。

このように福島原発事故が甚大な被害を生み出し続けていることは享かであり、再び福島原発事故のような惨事が起こることのないよう大飯原発の稼働は決して許されないのである。

現在においては、原子力発電を行えば行うほど高レベル放射性廃棄物が増えていく状況であり、高レベル廃棄物を安全適切に処理する方法が全く見つかっていないこと、放射性廃棄物を長期間安全に保管し、人体等に影響を及ぼさないように完全にコントロールする方策も見つかっていない。従って、大飯原発の稼働は決して許されないのである。

これらの点について、被告関電は何ら認否・反論や主張をしていない。

4 原告第8171922準備書面との関係

原告らは、原告第6書面において避難計画の重要性を主張すると共に、福島原発事故を経てなお、避難計画には、多くの重大な問題点があることを指摘した。それらの問題点を、大飯原発より30キロ圏内である舞鶴市、綾部市、京都市左京区久多の例をもとに、具体的に指摘した。

これらの点について被告関電は何ら認否・反論をしていない。