◆原告第24準備書面
第4 原発のぜい弱性等

原告第24準備書面
-被告関西電力が反論していない原告の主張について- 目次

2016年(平成28年)9月12日

第4 原発のぜい弱性等

1 原告第9準備書面との関係

原告の主張は以下の通りである。

  1.  新規制基準は水素爆発防止のために、事故時の格納容器内水素濃度の規制を行い、「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈」において、格納容器内の水素濃度最大値を13%以下にすることを定めた。
  2.  被告関西電力は、大飯原発3、4号機の水素濃度最大値約12.8%として設置変更許可を申請した。しかし、関西電力の申請内容は、「実用発電用原子炉に係る炉心損傷防止対策及び格納容器破損防止対策の有効性評価に関する審査ガイド」で定めた溶融炉心・コンクリート相互作用(MCCI)による水素の発生を適切に考慮していない。
  3.  審査ガイドに従って厳格な条件により解析すれば規制基準の13%を超える結果が生じる。したがって、大飯原発3、4号機は、新規制基準の要件を充たさない。
  4.  結論:重大事故時の格納容器水素爆発の具体的危険がある。

かかる原告の主張に対し、被告関電は認否・反論をしていない。

2 原告第10準備書面との関係

大飯原発や他の被告関電の加圧水型原発、また、大飯原発と同様、三菱重工業が重要な部品を作成した海外の加圧水型原発では、過去に以下の事故が実際に発生しており、これらはいずれも想定外の事故であった。そして、これらの事故はいずれも、巨大地震発生時に加わる力に連動して発生し、重大事故につながる可能性がある。

 燃料集合体からの放射性物質漏洩事故

(1) 燃料集合体2体から、漏れを確認(2010年2月1日)

(2) 4号炉で燃料集合体漏えい(2008年8月19日)

(3) 2号炉で燃料集合体漏えいに(2009年8月31日)

(4) 燃料集合体漏えい(2004年2月25日)

 1次冷却材漏出事故

(1) 1次冷却材ポンプから水漏れ(2007年9月3日)

(2) 1号炉で、余熱除去ポンプ空気抜き弁から1次冷却水漏れ(2005年9月20日)

(3) 1次冷却材から水漏れ(2005年1月9日)

(4) 原子炉格納容器内に1次冷却水漏れ(2005年3月7日)

(5) 2号炉で、湿分分離加熱器空気抜き管から蒸気漏れ(2007年12月15日)

(6) 3号炉の原子炉容器出口管台溶接部に割れが確認された(2008年4月17日)資料<10>

(7) 3号炉で原子炉容器上蓋から1次冷却水漏れ。管台溶接部に割れ(2004年5月5日)

 大飯原発と同型の他の被告関電の加圧水型原子力発電所等における主要な事故

(1) 関西電力・美浜2号機の二次冷却水の伝熱管破断(1991年2月9日)

(2) 関西電力・美浜3号機原子炉で一次冷却水漏れの事故があったことが発覚(2002年11月)

(3) 関西電力美浜3号機の二次冷却水噴出事故(2004年8月9日)
この事故では死者が出ている。

(4) サン・オノフレ原子力発電所の蒸気発生器の伝熱細管破断事故
2012年1月には、アメリカ合衆国の「サウス・カリフォルニア・エジソン社」(以下、「SCE」と略称)経営のサン・オノフレ(San Onofre)原発で1号機の蒸気発生器の伝熱配管が損耗して水漏れが発生し、且つ放射能汚染水漏れも発生するという事故が発生した。日本の三菱重工製の蒸気発生器の配管の欠陥が原因であったところ、大飯原発も同社製であること。

これらの主張に対し、被告関西電力は反論していない。

3 原告第20準備書面関係

原告の主張は以下の通りである。

  1.  大飯原子力発電所の(1)外部電源、及び、(2)非常用取水設備は耐震Sクラスに分類されていない。したがって、基準地震動未満の地震により破損する可能性が高い。
  2.  非常用取水設備が地震により損傷すれば、最終排熱のための海水の汲み上げが不可能となる。この場合、原子炉補機冷却海水設備への海水供給による熱交換が所定通りにはできなくなり、原子炉補機冷却水の温度が異常に上昇し、崩壊熱除去設備による原子炉の崩壊熱除去機能が喪失し、その結果、炉心損傷に至る。
  3.  大飯原発は、最終排熱機能喪失に備え、「大飯3号機および4号機の取水口から復水ピットまでの距離は約1400mであり、約60本のホースを接続して敷設するとされている。」が、1系統しかない上に、余震が続く中では実現困難な作業である。
  4.  結論:基準地震動未満の地震でも、炉心溶融の具体的危険がある。

かかる原告の主張に対し、被告関電は認否・反論をしていない。