◆原告第35準備書面[4]
第3 震源特性
第4 伝播特性
第5 まとめ

原告第35準備書面
 ―被告主張の地域特性に根拠がないことについて― 目次

第3 震源特性

被告関電は、断層モデルの設定において不確かさがあるとして断層モデルの形や傾き、アスペリティの分布など、形状に関するパラメーターを触っているものの、地域特性を考慮するためには応力降下量など地震発生層の物性に依拠する物理量を検討する必要があるところ、そのような検討を一切していない。

この点、若狭湾で発生した地震は(1985.11.27、M5.1、最大進度III)、他地域で発生する地震に比べ高周波数の震動が卓越し、地域に被害を惹起し、大飯原発1号炉を自動停止させた事実がある(甲234)。この事例は、応力降下量の地域性の検討が重要であることを示すとともに、データの蓄積が不十分であるので、なおのこと不確かさを量的に検討すべきであることを示している。

第4 伝播特性

被告関電は、基準地震動の計算において、波動の減衰に関わる伝播特性としてQ=50f1.1を用いていると図表註に記載している(丙28の42頁)。

しかし、この式を採用する根拠が示されていないうえ、地域性を考慮した式であることの説明は全くない。どのように地域性を考慮したのか明らかにされたい。

さらに、Q値の推定値は偏差が大きいので、偏差値を考慮して計算する必要がある。

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第5 まとめ

(1)被告関電は、敷地の解放基盤としてVs=2.2km/sの堅固で一様な岩があると主張しているが、開示されたデータからはその主張の根拠は得られない。調査結果の隠蔽、データ解釈の誤認、さらには恣意的な作為による地盤のモデル化がある。このようなモデルを使って評価された基準地震動は過小評価であり、認められない。

(2)被告関電が実施した試掘坑弾性波探査の結果、4号炉近傍から3号炉近傍に向けてP波、S波とも速度が低下している。この延長方向の1,2号炉近傍の更なる速度低下が懸念されるが、調査結果が提示されていない。被告関電に、1号炉と2号炉直下近傍における弾性波探査およびPS検層等の調査結果の開示を求める。

(3)提示されている反射法地震探査の深度断面には速度値が記載されていない。また、『屈折法解析結果より、浅部地下構造において低速度帯の顕著な落ち込み構造等はなく、特異な構造を示すようなものは認められなかった(丙28号証19ページ)』と記載されているが、屈折法解析結果は提示されていない。被告関電に、速度値の記載された深度断面や屈折法解析結果等、地盤構造策定の妥当性を正確に判断するための全ての資料の開示を求める。

(4)被告関電は、微動アレイ観測と地震波干渉法によって得た位相速度から逆解析によって地盤速度モデルを構築する際、反射法地震探査、試掘坑における弾性波探査、ボーリング孔におけるPS検層など他の調査結果により低速度の地層の存在が予測されるにも拘わらず、低速度層が解析結果に出ないような恣意的な初期値設定をした解析を行っている。地表付近および地中の低速度の地層が探索できる解析をすべきである。

(5)被告関電は、基準地震動の策定において、震源特性、波動の伝播特性、敷地の地盤特性(サイト特性)の地域性をそれぞれ考慮したと述べ、敷地の構造調査結果を踏まえているので地域性を考慮したと主張している。しかし、地盤特性については恣意的なモデル化を行っており、震源特性と波動伝播特性については地域性を考慮していない。また、基準地震動策定において、不確定性を考慮するとして、断層の形、傾き、アスペリティーの分布、あるいは短周期レベルを1.25倍にするなど、主に断層の形状に関するパラメータを操作するのみで、震源特性に関わる応力降下量、波動伝播特性に関わるQ値などの物性の地域性とその不確定性は考慮していない。基準地震動評価の計算に用いられる物理量は、観測量から推測され、平均値と標準偏差値が得られているはずである。標準偏差は不確定性の指標である。したがって、基準地震動の計算には、不確定性の指標として、サイト特性、波動伝播特性、震源特性のパラメータに、それぞれ物理量の標準偏差値を導入する必要がある。被告関電の提示している基準地震動は、物理量の標準偏差による不確定性の評価が出来ないので、信頼性がない。

以上

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