◆原告第49準備書面
―2017年台風21号による交通遮断、集落の孤立等―

原告第49準備書面
―2017年台風21号による交通遮断、集落の孤立等―

2018年(平成30年)3月23日

原告提出の第49準備書面[177 KB]

目 次

第1 2017年の台風21号の概略
第2 集落の孤立
第3 道路の寸断
第4 まとめ



第1 2017年の台風21号の概略

2017年の台風第21号は、同年10月21日から22日にかけて日本の南を北上し、23日3時頃、超大型・強い勢力で静岡県御前崎(おまえざき)市付近に上陸した。台風はその後、広い暴風域を伴ったまま北東に進み、23日15時に北海道の東の海上で温帯低気圧となった。

台風の中心が京都府を通過したわけではなかったが、京都府下でも、様々な被害が生じた。

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第2 集落の孤立

この台風により、京都府下では、京都府南丹市美山町の芦生・白石・佐々利地区の41世帯82名が10月24日16時まで孤立した。原因は主要地方道京都広河原美山線が崩土・倒木により通行不能となったためである。

また、京都府綾部市睦寄町古屋でも2世帯3名が11月1日10:30頃まで孤立した。原因は、主要地方同舞鶴和知線が崩土・倒木により通行不能となったためである。

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第3 道路の寸断

 1 倒木・土砂崩れ等による国道の通行止め

また、この台風により、京都府北部の国道に限っても、多くの場所で通行止めとなった。国道162号線は、周山街道とも呼ばれ、京都市内から、国宝の鳥獣戯画が伝わる高山寺(京都市右京区梅ヶ畑栂尾町)の脇を通り、周山(京都市右京区京北町)、京都府南丹市美山町をへて、福井県小浜市に至る道路である。この道路は、京都市北区杉阪口~北区小野郷で、電線が破損し危険なため、10月23日に至るまで通行止めとなった。また、京都市右京区京北上弓削町(深見峠)も事前規制から、倒木による通行止めとなり、10月27日まで通行止めとなった。

また、国道477号線は京都市左京区の百井峠(百井別れ)で倒木により通行止めとなった。

 2 雨による高速道路等の通行止め

また、台風による事前規制や、冠水による通行止めを含めると、京都府北部に限っても、舞鶴若狭道、京都縦貫道、山陰近畿自動車道など京都府下北部の主要な高速道路、国道27号線、175号線、178号線、477号線、482号線などの道路が通行止めとなった。

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第4 まとめ

このように、台風発生時に、風雨によって地盤が緩み生じた土砂崩れや倒木等に起因して、道路が寸断され、集落が孤立することがあるのは顕著な事実である。

そして、地盤が緩む原因が風雨であるか、地震による震動であるかの違いはあっても、特に巨大地震の際に、土砂崩れや倒木が発生するのも顕著な事実である。

さらに、巨大地震が発生するのが、暴風雨の時であれば、地震と風雨が相まって、更に大きな被害が生じるであろう。

土砂崩れや倒木により、道路の寸断や集落の孤立がおこれば、避難ができなくなる。

台風による被害については、速やかな応急措置が可能となるが、原発の過酷事故の際は、応急措置を取るべき人々も避難対象の住民であるから、そのような措置が執れるかも不明である。実際、福島第一原発事故の際、同原発に近い地域では、津波や地震による被害者の捜索活動が打ちきられている。

2017年の台風21号の際に京都府下(特に京都府北部)で発生した道路の寸断や集落の孤立は、大地震とそれに引き続く原発の過酷事故の際に京都府北部で発生することをスケールを小さくして実現したものといわざるを得ない。

この一事をもってしても、原発事故が起きた際の避難計画が実施困難なものであることは論を俟たない。

以上

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