◆[第6回原告団総会]原告団・世話人会からの報告

[2018年7月22日 第6回原告団総会]

[1] 京都地裁における大飯原発差止訴訟

◆京都地裁における大飯原発差止訴訟は,すべての原発を止めるための第一歩です!

◆福島第一原発の過酷事故(2011年3月11日~)のあと,国内の稼動原発はゼロの状態になっていました。ところが,福井県にある関西電力・大飯原発は,当時の民主党政権のもと2012年7月に再稼働が強行されました(3・4号機)。京都脱原発弁護団・原告団は,大飯原発の運転差し止めと損害賠償を求め,2012年11月29日,京都地裁に1,107名の原告で運転差止の裁判を起こしました。

◆大飯原発は2012年の再稼働後,2013年9月に定期検査にはいって止まりました(3・4号機)が,2018年3月(3号機),5月(4号機)から再稼働されています。なおこの間,1・2号機の廃炉が決定しました(2017年12月)。

◆私たちは,多くの市民でたたかう脱原発訴訟をめざし,原告募集をすすめてきました。2013年12月に856名で第二次,2015年1月に730名で第三次,2016年1月に393名で第四次,2017年2月に184名で第五次,2018年3月に53名で第六次[追加]提訴を行い,現在,原告総数は3,323名となりました。原告募集はこれで終了しました。

◆京都地裁の大飯原発差止訴訟では3,323名が原告となっているほか,裁判傍聴は原告以外も多くの市民が参加しています。市民の願い,弁護団の熱意,研究者の知恵を結集して,脱原発を実現しましょう。

◆私たちは,開廷の前には毎回,裁判所周辺の30分程度のデモを行って,脱原発裁判の意義を市民に訴えています。14:00開廷の場合,12:15に京都弁護士会館前からスタートしています。

◆現在の弁護団,原告団の体制は以下の通りです。
・弁護団長…出口治男 弁護士。弁護団長代行…中島晃 弁護士。弁護団事務局長…渡辺輝人 弁護士。
・原告団長…竹本修三 京大名誉教授。原告団事務局長…吉田明生。事務局次長…山崎正彦,田中善久。

[2] 法廷での追及

◆これまでの各回の口頭弁論(2013年7月第1回~2018年6月第20回)の概略は,本総会案内のチラシとともに,全原告にお送りしました。また,訴状は,第六次原告まで,すべての原告にお送りしました。

◆最近では,本年3月27日に第19回口頭弁論,6月5日に第20回口頭弁論と回を重ねています。その中で,事故が起こった際の避難が困難であること,そして大飯原発の安全性,設定された基準地震動への疑問について,着々と主張を積み重ねています。

◆次回第21回口頭弁論は9/4(火),第22回は11/20(火)。時間はいずれも,14:00開廷です。

◆被告・関西電力は,主張するだけで保有している根拠資料すら提出せず,それどころか原発の地域特性の調査として当然になすべき重要な調査がなされないままです。また実施された調査結果は「科学技術を冒涜する所作」以外の何物でもないと言えるほどに,基準地震動が小さくなるよう歪めて評価していることを明らかにしました。
◆2017年12月に関西電力が高経年原発である大飯1・2号機の廃炉を決定したことは,私たちの大きな勝利ということができます。安全対策費が膨大になり,経済的合理性からペイしなくなったのです。

[3] 大飯原発,各地の法廷での追及

◆福井地裁…2012年11月,大飯原発3・4号機の運転差止を請求した(福井から原発を止める裁判の会)のに対し,2014年5月,その運転差止を命じる勝利判決が言い渡されました(樋口英明裁判長)。福島第一原発事故後初めての原発運転差止訴訟の判決は,歴史的な住民側勝訴判決となりました。その後,同じ裁判長の下で運転差止の仮処分も出されました。しかし,仮処分は福井地裁の意義審で覆され(林潤裁判長),名古屋高裁金沢支部の控訴審も2018年7月差止を認めない判決により覆されました(内藤正之裁判長)。

◆大津地裁…2013年12月,美浜,大飯,高浜の各原発で,関電,国に対し運転差止を請求して,審理が続いています(7/12第19回口頭弁論。福井原発訴訟[滋賀]を支える会)。なお,2016年3月には,関西電力高浜原発3・4号機の運転を禁止する仮処分決定が出て(山本善彦裁判長),稼働中だった3号機は運転を停止しました(4号機はトラブルで停止中)が,2017年3月,大阪高裁で覆されました(山下郁夫裁判長)。

◆大阪地裁…2012年6月提訴の大飯原発3・4号機行政訴訟は,審理が続いています(9/10第27回口頭弁論。美浜の会)。2017年12月に大飯原発3・4号機運転差止の仮処分が提起され,現在,審尋が続いています。

[4] この一年間の原告団のおもな活動

(1)毎月1回の原告団・世話人会

①原告団・世話人会の成立(2013/2/9)後,毎月1回,土曜日の午前に世話人会を開催しています(2018/7/7に第66回)。原告団の事務,いろいろな取り組み,裁判期日の内容の確認などを行っています。

②現在,原告団・世話人会は27名の世話人で構成しています。一昨年総会時の世話人は22名でしたので,新しい人が増えています。世話人は,随時,募集しています。

(2)広瀬隆さん&守田敏也さんジョイント講演会~日本列島の全原発が危ない!
次の大事故で市民の命と生活は?

①【2018年2月17日】お二人の熱意あふれる講演で,原発と闘う決意を新たにさせたと思います。参加者は222名で,ほぼ会場いっぱいの満席になりました。広瀬さんの本,守田さんの書籍を販売しました。

②閉会後もロビーにて講師を囲んで交流してもらうことができました。その後,懇親会を設けました。

(3)京都府知事選挙で,弁護団の福山和人さんを推薦

①【2018年3月22日告示→4月8日投票】
・福山和人さんは,京都脱原発弁護団の一員として奮闘されてきました。京都脱原発原告団は,立候補を予定されているかた二人に原発に関する政策を質問しましたが,福山和人さんは,推薦するのにふさわしい回答でした。

②質問と回答は,原告団Webに掲載。選挙結果は,質問状に答えなかった相手候補が当選しましたが,福山和人さんは,多くの市民の運動にも支えられて,その奮闘はめざましいものがありました。

(4)原告名簿,原告団ML,原告団Webの管理

①原告の皆さまへの連絡は,郵送希望の原告(1,000円の実費で登録)のほかは,原告団メーリングリスト(一斉メール送信,ML)で行っています。できるだけメールアドレス(携帯可)の登録をお願いします。また,最近,配信停止となるメールアドレスが増えていますので,携帯の機種変更などでメールアドレスが変更になった場合は,再度,事務局宛にご連絡ください。

②原告の皆さまで,住所が変更になった場合も,事務局宛にご連絡ください。

③原告名簿,原告団MLの管理につきまして,かなり改善を図りました。しかし,専従者がいる訳ではなく,あくまでボランティアベースの活動ですので,行き届かない点もあるかと思われます。今後とも,原告の皆さまのご協力を得て可能な範囲で改善していきますので,お気づきの点はご指摘ください。

(5)原告団が協力してきた署名など

①原発賠償京都訴訟の公正判決要請署名…終了しました。原発賠償京都訴訟は,2018年3月に判決がでましたが,避難者原告団は大阪高裁に控訴しました。大飯原発差止訴訟の原告団は,これまでと同様に引き続き全力で支援していきます。

②原発の電気はいらない署名…2017年3月から始め,2017年末で9111筆,2018年5月現在で,累計9801筆になりました。この署名は,引き続き集めています。

(6)缶バッジマシンの貸し出し

・缶バッジをつくるための缶バッジマシンは,京都木津川マラソンの東日本震災復興支援に応募して援助を受けたものです。
・マシン本体は他団体への貸し出しに応じています(無料)。パーツを用意されれば(対応パーツは「バッジマン」製),各団体でオリジナルの缶バッジをつくることができます。事務局にご連絡ください。

[5] 世話人会からの提起とお願い

(1)これからの運動の方向

・脱原発といってもいろいろな運動の形があります。また,それぞれの人には,得手,不得手のフィールドもありますし,好き,嫌いのフィーリングもあります。しかし,民主主義をめざす,脱原発の社会を実現するという共通点があるのですから,お互いの取り組みを尊重しあいながら,いろいろな動きが少しずつ足し算されていく感覚で多方面に伸びていく運動を期待したいと思います。
①関電は高浜原発,大飯原発の4基を再稼働し,名古屋高裁金沢支部は大飯原発の運転差止を命じた福井地裁判決を覆しました。この結果,地元の若狭はもちろん,京都府,滋賀県などで原発事故のリスクは各段に高まっています。大小の事故の起きる確率は高まっていますので,原告団としては,今後,舞鶴や宮津など,若狭の原発に近い京都府北部を中心に運動をつくっていきます。

②当面,舞鶴での集会や,「このあたりプレート」の配布を検討します。

③原告の募集が終了しましたので,今後は原告にはなっていない方にも,メールなどで広く訴訟案内などを送るようにします。

④裁判の進行,遠くない将来の判決を見据えて,行政や関電との関係づくりを検討します。この点については,経験のある他団体と協力したいと考えています。

(2)本日のカンパのお願い

・カンパ袋を配付資料にセットにしています。お帰りの際,出口で,ご意見用紙と一緒にお願いします。
・経済情勢の厳しい折りですが,当原告団の活動は,皆さまのカンパによって成りたっています。ぜひとも,ご協力いただきますよう,心からお願い申し上げます。
・領収書が必要な場合は,袋の表に住所氏名などを記入してください。後日,郵送します。

(3)その他いろいろなお願い

・以下,お願いばかりで恐縮ですが,可能な範囲でご協力ください。

①裁判期日には,原告席や傍聴席にて裁判に参加してください。開廷前には,弁護士会館前を出発して裁判所周辺のデモを行い,市民に脱原発裁判をアピールしています。時間などはその都度,ご連絡します。

②陳述書をまだ提出されていない原告の皆さまには,本総会の案内とともに書き方や用紙などを同封していますので,脱原発の思いを陳述書に書いて送ってください。原告になっているからといって,どうしても作成する義務があるというものではありません。あくまで任意ですが,裁判所,裁判官に思いを伝える機会として捉えてください。なお,陳述書のお願いは,今回の総会をめどに区切りをつけます。

③書籍,物品販売に協力してください。

④「このあたりプレート」を活用してください。
ご自分の土地などに,大型看板を出せる場合,ご連絡ください。

[6] 財政について

(1)財政の基本

・弁護団と原告団の活動は,皆さまのカンパでまかなっています。
・財政は弁護団財政一つです。
・弁護団は無報酬で活動しています。
・原告団,世話人の活動も,無償のボランティアが基本です。

(2)会計の報告

・(略)

<[◆第6回原告団総会の報告]に戻る>