◆原発報告

5/21の口頭弁論~福井地裁での画期的判決~6/7原告団総会
自由法曹団京都支部ニュース 2014年7月 第327号
  尾崎彰俊(大飯原発差止訴訟、弁護団)

1 大飯原発差し止め訴訟弁論期日

 5月21日、京都地方裁判所において、大飯原発差し止め訴訟第4回口頭弁論期日が開かれました。当日は、午後12時過ぎから裁判所を出発してデモ行進を行いました。デモには約50人が参加し、「原発やめろ」のシュプレヒコールを行いました。

 午後2時から第4回口頭弁論が101号法廷で開かれました。原告団や支援者の方で120人の傍聴席が埋まりました。今回の期日から、これまで裁判を行ってきた3人の裁判官が全員交代しました。3人の裁判官にこれまで原告側が行ってきた弁論内容を伝えるために、原告側が第1回から第3回までの口頭弁論期日に行った弁論のまとめを行うとともに竹本修三原告団長と原告の福島さんが意見陳述を行いました。竹本団長は、地震国日本では、どの原発も福島第一原発事故と同じ事故が起きる危険性を孕んでいると力強く述べられました。福島さんは、福島第一原発事故からの避難者として、原発事故の被害について述べた後、司法に真剣に原発事故と向き合うよう求めました。原告代理人の弁論では、安全神話の崩壊、放射線の人体への影響、日本の安全対策の遅れ、新規性基準の問題点について、これまでの期日で原告が主張してきたポイントを再度主張し大飯原発の危険性を訴えました。

 第4回口頭弁論が行われた5月21日は、福井地裁で行われている大飯原発差し止め訴訟の判決期日でもありました。京都地裁での口頭弁論が終わり、弁護団と裁判を傍聴した原告団・支援者の方が報告集会のため、京都弁護士会に移動した15時過ぎに、福井地裁での差し止め訴訟の原告勝利判決の速報が流れました。この速報を聞き、報告集会のために会場に集まった原告団・弁護団から大きな歓声と拍手がありました。複数人の新聞記者も会場に来ており、出口弁護団長は自ら裁判官を務めてきた経験からもこういう住民勝訴の判決は大変難しいと思っていたが、司法が住民の命と暮らしに向き合い、憲法が保障した人権を生かそうとの判断に立ったもの、私たちも未来をみすえて原発のない社会へ行政の政策転換をもとめてこの裁判でもたたかう、と述べました。次回、裁判期日は9月30日になります。次回も多くの方の傍聴をお願いします。

2 福井地裁での画期的判決

 福井地裁の判決文の特徴は、生存を基礎とする人格権が公法、司法を問わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされていると指摘し、人格権の価値を最高のもとに認めている点です。さらに判決は、人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできないと述べています。

 私は判決のこの部分を読んだとき思わず「かっこいい」と言ってしまいました。
さらに、判決文は、本件原発に関わる安全技術及び設備は、万全ではないのではないかという疑いが残るにとどまらず、むしろ、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る脆弱なものであると認めざるを得ないと述べています。これまで、国と電力会社が宣伝し続けてきた安全神話が崩壊したことを裁判所が認めました。他にもすばらしいところが数え切れないほどある判決ですので、まだ読まれていない方は、是非とも判決原文を読んでいただきたいと思います。

3 原告団総会

 6月7日午後1時30分から京都駅前のキャンパスプラザ京都で第2回原告団総会が行われ約100人の方が参加されました。原告団総会の前に梅小路公園に集合し関電京都支店周辺のデモ行進を行いました。デモ行進には約40人が参加しました。

 総会では、まず、竹本原告団長が5月21日福井地裁の勝訴判決を紹介して、京都でも勝訴判決を勝ち取るためもっと原告を増やそうと呼びかけられました。続いて、出口弁護団長から挨拶がありました。次に、お楽しみ企画として「乙女文楽」によるパフォーマンスが行われました。総会に参加された参加者の多くが携帯電話を使って、パフォーマンスの映像を記録していました。最後に、横断幕に人形が「脱」の文字を書き、「きょうから脱被爆」の横断幕が完成しました。「乙女文楽」によるお楽しみ企画が終わった後に、弁護団事務局長の渡辺弁護士が訴訟の経過報告と判決の紹介を行い、第三次提訴を予定しているので、さらに原告を増やしましょうと呼びかけられました。その後、原告団新募集ツール「紙芝居」の発表が行われました。紙芝居では、国や電力会社は「原発は絶対安全」と宣伝を振りまき、夢のエネルギーとして原発が始まったこと、しかし2011年の原発事故で安全神話が崩壊したこと、原発事故による被害、なぜ国や電力会社が安全神話に乗り続けてきたのかを可愛い絵とイラストで紹介が行われました。

 休憩を挟んで、国会事故調査委員であった田中三彦さんによる記念講演がありました。田中さんは記念講演の中で、①実は、いまもなお地震と津波の議論決着がついていないこと②新規制基準は「がけっぷちの安全論」であることについてお話されました。特に田中さんが講演の中で強調されていたのが、新規制基準を満たせば、原発は安全になったと思った方がいるかもしれないが、そんなことは全くないという点です。新規制基準という考え方自体がこれまで国や電力会社が安全だと言い張ってきた原発が、実は危険なものであることを認めているのです。

 これまで、原発の安全性対策は、3段構えで行われてきました。1層目(異常、故障の発生防止)の対策が機能せず、原発に異常、故障が発生しても2層目(事故への拡大防止)の対策がある。2層目がダメでも3層目(著しい炉心損傷事故の防止)がある。3層目の対策がダメなことはあり得ない。このように考えられてきたのです。新規制基準はさらに2つの基準を加えて、3層目がダメでも4層目、5層目の対策があるから安全だと言っています。しかし、このように2つの対策を付け加えたということは、万に一つも原発事故は起こらないというこれまでの考え方を180度転換して、原発は本質的に危険なものであることを認めたのと同じ事だと言えます。田中さんの記念講演を聴いて、原発が本質的に危険であり、事故が起きれば、取り返しのつかないことになるということを改めて感じました。最後に、原告団のアピール文を採択して第2回原告団総会は終了しました。

 今年の秋には、第3次原告を提訴したいと思います。そのために、新しい原告募集ツールである紙芝居などを使って原告拡大をがんばっていきたいと思います。