◆原告第4準備書面
第2 福井地裁判決の評価

原告第4準備書面
-平成26年5月12日福井地裁判決について- 目次

第2 福井地裁判決の評価

 福井地裁の採用した判断枠組みは、原告が訴状にて既に述べていることであり、本件においても同様の判断枠組みが採用されるべきである。
 上記、判断枠組みのもと、大飯原発の危険性(=万が一の危険)について審理されたい。
  この点、現行の新規制基準が原発の稼動基準であり、万が一の危険性の有無を審査するものでないことについては、田中俊一・原子力規制委員会委員長が福井地裁判決当日の平成26年5月21日の定例記者会見において、判決言い渡しの30分前から会見を始め、差し止めの判決が出た旨の知らせを受けると直ちに「いつも申し上げていることですけれども、司法の判断について、私の方から申し上げることはないということです。だから、大飯については、従来どおり、我々は我々の考え方での適合性審査をしていくということになろうかと思います。」(甲67p12)と述べていること、同氏が本年7月16日、九州電力川内原発の審査書案を了承した日の記者会見において、「原子力規制委員会の審査は安全審査ではなくて、基準の適合性の審査であり、基準の適合性は見ているが、安全だということは言わない」「基準をクリアしてもなお残るリスクというのは、現段階でリスクの低減化には努めてきたが、一般論として技術であるから、人事で全部尽くしている、対策も尽くしていることは言い切れない。自然災害についても重大事故対策についても、不確さが伴うので、基準に適合したからといって、ゼロリスクではない」と述べている(甲64)事からも明らかである。

  「改正原子炉規制法に基づく新規制基準が原子力発電所の安全性に関わる問題のうちいくつかを電力会社の自主的判断に委ねていたとしても、その事項についても裁判所の判断が及ぼされるべきであるし、新規制基準の対象となっている事項に関しても新規制基準への適合性や原子力規制委員会による新規制基準への適合性の審査の適否という観点からではなく、裁判所の判断が及ぼされるべき」
  「(福島原発事故のような)事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しい

以上