◆ 原告第8準備書面
-避難計画の不備についての敷衍-

2015年(平成27年)1月28日

原告第8準備書面 PDF (134KB)

原告第8準備書面
-避難計画の不備についての敷衍-

1 舞鶴市の避難計画の問題点

舞鶴市は、高浜原発からも大飯原発からも、30km圏内にほとんどが入り、88,787人が避難対象者となっている。市民からは、「ヨウ素剤まで配って、再稼働せなあかんのか。」との声も聞かれる。一方、30km圏外では、ヨウ素剤を配付する計画の目処すら立っていない。

舞鶴市の避難計画は、大枠が定められているのみで、具体的なことは決まっていないことが多く、住民は、実際問題、どこに避難したら良いのか分からない状況である。事故の際の「避難等に関する情報伝達」についてもテレビ・ラジオ・広報車・有線放送などあらゆる手段を使うとされ、住民の問い合わせる根本となる専用電話(現在は、舞鶴市企画管理部危機管理室危機管理防災課0773-63-1089)を備えた窓口の設置、人員配置を行うとしているが、体制は具体化していない。また、一斉に市の代表電話にかかってくれば、対応できないことは明らかである。

また、避難先についても、南方面(京都府内)、西方面(阪神方面)の地域は公表されているが、実際にどこに逃げたら良いのか、受け入れ施設も、まだ公表されておらず、どこを目指して行ったらいいのか分からない状況である。

要支援者、病院、学校、園児については、「各施設、管理者が定める避難計画に基づき」となっていますが、これらは決まっていない。「今後、京都府などで作成されるひな形に基づいて」となっている。原告の家族の一例で見ても、親は日中は勤務しており、事故が起きた際に、子供らを学校に迎えに行くのか、学校単位で避難してくれるのかすら判らない。

避難手段として、バス・乗用車を使用することになっており、避難時集合場所が自治会ごとに定められているが、倉橋小・新舞鶴小・倉橋第二小・青葉中など、多いところは4000名を超える。しかし、集まった市民を無事避難させる方法については全く展望がない。現在、市から住民に示されているのは、舞鶴市内における「協力に関する協定締結事業者一覧」のバス71台、ワゴン2台、タクシー121台の計3500人のみである。このような状況では、避難場所に集まった人々を避難させることは到底困難である。

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2 京都府の秘何時間予測シミュレーションについて

京都府のホームページの「避難時間シミュレーション」では

  1. PAZ圏内においては避難指示から直ちに避難が始まり、1時間以内に圏内のすべての住民が避難開始。全ての住民が避難完了まで、6時間10分~8時間
  2. 5~10㎞圏については「PAZ避難開始から20時間後に避難開始(屋内退避)」とされ、「発電所からの距離に応じて、自治会単位で避難時集結場所に集結し、避難する」、10~20㎞圏、20~30㎞圏はそれぞれ前の圏の避難者が90%、UPZを離脱した時点で避難開始となっており、避難完了まで15時間10分~29時間20分

とされる。

このシミュレーションは、

  1. 大混乱の中で、発電所からの距離で区切った段階的退避、時間差退避は実効性がない。
  2. 一旦、過酷事故があった場合、約19分でメルトダウン、約90分で圧力容器に穴が空き、格納容器から放射性物質漏洩が始まり、この進行に対して逃げるのが到底間に合わない。
  3. 地震、津波、積雪の想定をしていない。国道27号線は海抜の低いところを通り、高速道路もこの間の大雨で度々通行止めとなっている。しかしこれらは考慮されておらず、福島第一原発事故の際の福島県の避難と比べても、複合災害となれば、舞鶴市は一層の大混乱に陥ることが考えられる。
  4. 避難手段として、バス利用1350台(うち600台がUPZ内をピストン輸送)とされているが、例えば、福島県浪江町の場合、避難に貸切バスを確保したが、放射能汚染区域には運転手が入らず、運行管理者も入れなかった。

などいくつもの問題点がある。

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3 無事に避難できない可能性に対する住民の不安

これらの不安は直近に行われた舞鶴市職員労働組合が行った市民アンケートでもあらわれており、

  1. 高浜・大飯原発の再稼働に賛成20%に対し、反対63%
  2. 避難方法について、知っている34%、知らない63%
  3. 避難計画がじっさいに機能すると思うかに対し、機能する・ある程度機能する17%、機能しない、あまり機能しない69%

となっている。

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4 避難ができても残る問題

福島県で12万人が避難している現実を見れば、一旦事故が起きれば、いつ戻れるのか分からず、戻れたとしても子どもの放射線被ばくの事を考えると一緒に住めるかどうかも不確実であり、避難により生活基盤は失われ、また、仕事がなくなったとしても家のローンは残る。仮に避難できるとしても、舞鶴市の住民の不安がなくなることは決して無い。

以上