◆福井地裁の高浜原発運転差止・仮処分決定!京都報告会
…井戸弁護士の報告動画ほか

[1] 4/14、福井地裁で
高浜原発3・4号機の運転差止を命ずる仮処分の“ 決定 ” が出ました。

  • 決定のおもな内容は次の通りですが、新規制基準が緩すぎるとした点がとくに注目されます。
    「基準地震動は実績のみならず理論面でも信頼性を失っている」
    「根本的耐震補強工事もせずに基準地震動の数値だけを引き上げる対応は社会的に許容できることではない」
    「新規制基準は合理性を欠く」
    「そうである以上、債権者が人格権を侵害される具体的危険性の存在が認められる」
  • この決定は、全国の脱原発運動の大きな成果です。また、この成果を守り発展させていくためには、さらに広い市民の運動と、多くの脱原発訴訟のいっそうの展開が重要です。
  • 今回の決定の詳しい内容は、脱原発弁護団全国連絡会からダウンロードできます。
  • 弁護団事務局長の渡辺輝人弁護士による解説が、アップされています
    こちら

[2] 4/26、京都で報告会を開催します。

  • 京都では、4月26日(日)13:30から報告会を行います
  • 「若狭の原発を考える会」と「大飯原発差止訴訟原告団」の共催で、会場は京都大学文学部校舎の新館2F(入口は西側)第3講義室 【時計台の北北東のあたり】 です。
    SONY DSC

[3] 4/26、京都で報告会を開催しました。

  • 4月26日、京大の教室を会場に「福井地裁の高浜原発運転差止・仮処分決定!京都報告会」を開きました。主催は、「若狭の原発を考える会」(代表、木原壯林)、「大飯原発差止訴訟 京都脱原発原告団」(原告団長、竹本修三)。
    s-DSC04990
  • 集会は、仮処分決定の要旨の読み合わせから始まりました。その後、今回の仮処分裁判の福井の原告松田正さんから報告をうけました。松田さんは、昨年5月、福井地裁で大飯原発差止の判決をかちとった「福井から原発を止める裁判の会」原告団・事務局長でもあります。仮処分裁判を提起するに至った経過などをユーモアを交えて説明しつつ、関電の経営方針を鋭く批判しました。
    s-DSC04993
  • 続いて、「福井地裁 大飯・高浜原発運転差止仮処分訴訟原告弁護団」の井戸謙一弁護士から、パワーポイントを使って仮処分内容のわかりやすい報告がありました。4/14の福井地裁で住民側が勝った決定の内容とともに、4/22の鹿児島地裁で住民側が負けた仮処分決定についても説明され、「最初から結論ありきの鹿児島地裁決定」として明解に切り捨てました。なお、井戸弁護士は、金沢地裁の裁判官のときの2006年、耐震性の疑問に対し運転中の志賀原発2号機の運転差し止め命令の判決を出しました。現在は各地の脱原発裁判にかかわり、市民の運動を励まし続けています。
    s-DSC04996
  • 脱原発アピールタイムには、①大飯原発差止訴訟、②原発賠償京都訴訟、③若狭の原発を考える会、④日本科学者会議京都支部、⑤同滋賀支部の5団体から、それぞれ運動のアピールがありました。
  • 最後に、関電宛の申入書提案と採択があり、閉会しました。参加者数は会場ほぼいっぱいの163名でした。遠くは福井県からの出席者もあり(「福井県民署名」実行委の山本富士夫さんなど)、原発再稼働阻止にむけ、参加者全員で団結をかためた、たいへん元気の出る集会となりました。集会の様子は、27日の京都新聞で報道されました。
  • 集会後、報告していただいた松田さん、井戸弁護士のほか、小林圭二さん(元京大原子炉実験所講師)、主催団体の関係者、市民有志など20名ほどで懇親会が開かれて、一人一人の感想や自由な発言で盛り上がりました。

 [4] 井戸弁護士の報告…ビデオまとめ

  • (約58分)

 [5] 関西電力宛の申入れ書

関西電力株式会社 取締役社長 八木 誠 殿

申入れ書

福井地裁の高浜原発3、4号機運転差止・仮処分決定を受け入れ、
関西電力が所有する全ての原発の即時廃炉を決定されるよう申入れます。

4月14日、福井地裁は、住民の人格権、すなわち人が安全に安心して自由に人間らしく生きる権利を侵害する恐れのある高浜原発3、4号機の再稼働を認めないとする仮処分決定を出しました。この決定は、昨年5月21日の大飯原発の運転差止判決に引き続いて、福島第一原発事故の惨状を直視し、原発が持つ本質的な危険性を認定したものです。

今回の仮処分決定では、貴社や原子力規制委員会が採用している基準地震動の予測法は緩やかに過ぎ、使用済み燃料の保管は極めて困難であり、保管プールの耐震性が貧弱である点などをあげ、新規制基準による審査が欺瞞に満ちていることも明らかにしています。このことは、規制委員会が行っている全ての原発の再稼働審査が正当でなく、したがって、例え規制委員会が適合と判断しても、原発の安全運転は保証できず、原発再稼働は許されないことを示しています。また、決定全体を通して、原発は人類の手におえる技術でなく、人類と共存し得ないことを指摘しています。

この仮処分裁判において、貴職に率いられる関西電力は、裁判中に誠実な応対もせず、結審においては裁判官忌避という極めて異例な行動を行いました。さらに、判決文を真摯に受け止めず、高浜近辺のみならず関西を始めとする広域の住民の安心・安全と地球の保全を最優先する今回決定の主旨を理解せず、17日、決定を不服として、異議と差止めの執行停止を福井地裁に申し立てました。日本国憲法で定められた三権の一つ、司法権を軽んじる、許しがたい行為です。貴職がこのような行為を行うのなら、万が一にも事故が発生した時の責任の取り方を、明確に示すべきですが、住民の生命を奪い、人々に筆舌に尽くし難い苦痛を与え、広域を放射性汚染させたとき、責任の取り様が無いことは、福島の惨事が実証しています。

ところで、周知のように、福井地裁だけでなく、国民の大多数も脱原発を求めています。今、脱原発を求める国民は、調査機関や調査法によらず60~80%と多数派です。原発立地で、経済的に原発依存度の高い若狭の住民の中にも「原発はない方が良い」という声は多数あります。それは、①原発は人類が制御できる装置ではない、②原発重大事故では、避難は著しく困難で、避難者は永遠に故郷を失う、③重大事故では、極めて広域(若狭で事故が起これば、近畿、中部、中国、四国まで)を被害地にすることが、福島の大惨事によって不幸にも実証されているからです。

一方、福島原発事故以降の経験は、原発に頼らなくても電力不足には陥らないことを教えています。また、省エネ機器の開発、水力、火力、その他の発電法の効率化、蓄電法の開発が加速しています。天然ガス、メタンハイドレートなども次々に発見され、太陽光、風力、波動、地熱発電法も進歩を重ねています。したがって、何十万年もの保管が必要な使用済み核燃料などの手におえない負の遺産を残す原発は、厄介者以外の何者でもないことを多くの国民が認識しているから、脱原発を願うのです。

なお、貴社や政府が再稼働を強行しようとしている高浜原発3、4号機の廃炉には、今がチャンスです。それは、貴職も良くご存じのように、原子炉中の核燃料の放射線量および発熱量は、3年以上の運転停止によって、かなり減少しているからです。しかし、再稼働すれば、元に戻ります。

以上の理由により、私たちは、貴職が高浜原発3、4号機の再稼働を即時断念され、廃炉作業に着手されるよう強く要望し、その旨、厳重に申入れます。

2015 年 4 月 26 日
福井地裁の高浜原発運転差止・仮処分決定!京都報告会 参加者一同