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◆第25回口頭弁論 原告提出の書証

甲第506~510号証(第67準備書面関係)
甲第511~512号証(第68準備書面関係)



証拠説明書 甲第506~510号証(第67準備書面関係)
(2019年11月25日)

甲第506号証
岩の力学 基礎から応用まで(抜粋)(日本材料学会)

甲第507号証
ホームページ(「岩の判別」)(社団法人日本機械土工協会)

甲第508号証
RQDと弾性波速度(杉本卓司)

・甲第509号証 ファイルの上限を超えているので3つに分割しています。
甲第509号証(1/3)  甲第509号証(2/3)  甲第509号証(3/3)
美浜発電所 地下構造評価について(被告関西電力)

甲第510号証
大飯発電所の地盤構造について―岩盤の亀裂および断層破砕帯に伴う地震波速度の低下―(赤松純平)

証拠説明書 甲第511~512号証(第68準備書面関係)
(2019年11月25日)

甲第511号証
口頭弁論要旨(原告 今井崇)

甲第512号証
Googleストリートビュー(原告代理人)

◆第25回口頭弁論 意見陳述

口頭弁論要旨

口頭弁論要旨

2019年11月28日
今井 崇

私は南丹市美山町芦生に住まいして66年になります今井崇と申します。芦生は由良川最上流の村で、美山町のなかでも一番北東の位置にあります。おおい町とも隣接しており、大飯原発から30km範囲のところで生活しています。

今日は大飯原発の差し止めを求める意見陳述をいたします。

私が住んでいる芦生は約5200ヘクタール程の面積がございます。そのうち4200ヘクタールは京都大学の研究林として使われており、650ヘクタールが村の山で、芦生の面積のほとんどは山です。山深く生活条件の大変厳しいところに、2歳の子供から92歳のお婆さんまで計38名が地域住民として生活しています。あと、研究林に勤める京都大学の職員さんが生活しています。

生活するのが困難な芦生でありますが、自然を守り自然を生かして生活してきたからこそ今日まで住み続けてこられました。私は「芦生山の家」の管理運営をやっています。訪れていただく皆さんには、芦生でとれた物を食べていただいております。お婆さんの作る野菜、私が栽培する椎茸、なめこなどのキノコ類です。また、山の家の下に流れる由良川には、鮎をはじめ様々な種類の魚が泳いでいます。これらも大切な食材です。皆、食事がおいしいと言われます。そしてブナの木1本ブリ千匹とも言います。自然の中に在り自然を生かして生活することがこれからの芦生につながっていくものだと確信をしています。台風や大雨にも大きなダメージを受けましたが、その都度地域のみんなで力を合わせ復旧してきました。自然災害は、人々が住む地域を奪われるということはありませんが原発の事故だったらどうでしょうか。30キロ圏内の我々は地域再生が出来なくなり、生活の場を奪われてしまいます。

現在、生活道路である市道芦生灰野線と府道38号線を通学バスと市営バスが1日に7本程度走っています。ところが、市道芦生灰野線は最終まで完成していません。車道がなくなる終点からトロッコ道を約1キロ歩いたところにお二人の方が生活しておられます。今までも台風により橋が流され孤立するということが起きています。私が生まれた4日後、昭和28年の13号台風により自宅には土砂が入り大変でした。その後昭和40年の台風24号、57年台風10号、平成2年台風19号、3年の台風19号、と大きな災害が発生しています。雪も一晩に95センチ積もる大雪の時もありました。

災害のたびに生活道路が通行止めになることが、たびたび発生しています。南丹市道は道幅3.5メートと狭いうえに、ガードレールが整備されていないところもあり、一つ間違えると命がなくなるような道を、生活道路として活用しています。冬季になると除雪作業が行われますが、夕方6時ごろから朝6時ごろまでは30センチ以上の積雪になると通行止めになります。府道38号線も道幅も狭く150ミリの雨が降ると通行止めになります。台風時の倒木、土砂の流出、冬季の積雪、自然災害のたびに通行止めとなります。

このような状況で、由良川の最上流に住んでいる者は避難をすることは困難です。無理です。陸の孤島になる状況です。

また、京都大学芦生研究林は、滋賀県福井県と県境を接した山深いところに位置しここに京都大学生をはじめ多くの学生が植物等の研究にやってきます。職員さんも林内の整備や調査等、頻繁に入山されています。この研究地一部は一般にも開放されており4月から11月ごろまで多くの一般の方がハイキングに訪れていますが、これらのことは原発事故の想定がなされていません。山の中にいる時に事故が起こればどこへ行けばいいのか、入山者に知らせる手立てはあるのか、知らせることが出来たとしても逃げるすべがありません。

私は、昨年度集落の区長をいたしました。台風時においても、連絡網はあるが、独居老人まで、連絡が難しく何よりも避難場所に集まるということ自体無理です。落石や倒木の危険の中、トロッコ道を約一キロ歩き村に出てくることや3.5キロにおよび点在している人家、安全に避難をすることは無理です。降雪時も同じです。

私が管理運営する「芦生山の家」では、原生林のハイキングの案内もしております。専任のガイドが研究林内を案内するものです。ガイドには衛星携帯を所持しながら案内をしておりますが、林内は、通話できるところが限られており、谷合では通話できません。原発事故を知らせるすべがございません。京都大学からも原発事故の対応についての指示は何もありません。由良川の最上流に位置する芦生の森を守ることはそこに住んでいる者だけの利益だけではありません。川を守りそして海を守る、ブナの木一本、ぶり千匹と言われているように豊かな海を守っていくためにも山を荒らしてはなりません。原発事故が起これば、山も川もそして海もあらしてしまいます。元には還りません。原発は自然との共生は出来ないのです。

芦生にはかつて高浜原発とセットで建設されようとしていた、揚水式のダム計画がありました。芦生の研究林内に建設が計画されたのです。地域は関西電力に振り回されました。お金をちらつかせたり、飲食を提供したり、金銭で人の心を奪い取るようなことを何度も仕掛けましたが、村に生きる人々は、お金は一時のもの、一度ダムで村を潰してしまえば二度と美しい山は戻らない。頭の上に水を張ったバケツを置いて安心して眠ることなど出来るはずがないと、反対を貫いてきました。今、この自然を求めて多くのハイカーが訪れてくれています。ここに住まいするものの使命は自然を大切に守り発展させることです。地域に仕事場を作りたくさんの人が住まいできる村にしなくてはなりません。

原発事故が起きたらどうするのか、どう逃げるのか、このような思いを抱えて生活するのは息苦しくて未来への展望も生まれてきません。住むものがこの地を生かして住み続けるために、原発停止、完全な廃止しかないと強く思います。

芦生の村人は貧乏な者ばかりでした。子育て中もどんなにか苦労をしてきたかと思います。けれども貧乏をしてもお金に惑わされなかった父達は、本当に正しかったと思います。ダム建設を許さず、芦生に生きてきた人々のおかげでこの村がある。私もその思いを受け止めこの地域で生きていくそのためにも原発の再稼働中止、そして原発廃止を強く願うものです。

以上

◆原告第68準備書面
-避難困難性の敷衍(京都府南丹市美山町芦生における問題点について)-

原告第68準備書面
-避難困難性の敷衍(京都府南丹市美山町芦生における問題点について)-

2019年11月20日

原告提出の第68準備書面

目 次

1 原告今井崇について
2 原発事故は、かけがえのない自然を破壊する。
3 避難の困難さ


原告第6準備書面において、避難困難性について述べたが、本準備書面で京都府南丹市美山町芦生に在住する原告の今井崇の日々の暮らしをもとに、避難困難性に関する個別事情について述べる。

1 原告今井崇について

原告今井崇は、大飯原発から約30kmのところに位置する、南丹市美山町芦生に住んでいる。芦生は由良川最上流の村で、美山町のなかでも一番北東の位置にあり、おおい町とも隣接している。下記の写真は、原告今井が経営する山の家の付近の風景である。道幅は非常に狭く、がけ崩れや木が倒れるなどすると通行が非常に困難である。

甲512-1参照 【図省略】)

甲512-2 【図省略】)

甲512-3 【図省略】)

2 原発事故は、かけがえのない自然を破壊する。

芦生で生活する住民は、自然を守り自然を生かして生活してきたからこそ今日まで住み続けてこられたのである。原告今井は、「芦生山の家」の管理運営を行っており、訪れた人々に、芦生で生活する住民が作った野菜、原告今井が栽培する椎茸、なめこなどのキノコ類など芦生でとれた物を提供している。また、山の家の下に流れる由良川には、鮎をはじめ様々な種類の魚が泳いでいる。これらも大切な食材である。芦生を訪れたものは、皆、食事がおいしいと言っている。ブナの木1本ブリ千匹とも言われるように、自然の中に在り自然を生かして生活することがこれからの芦生の生活にとって重要なことである。台風や大雨によるダメージを受けることもあるが、その都度地域の住民が力を合わせ復旧してきた。

芦生では、かつて揚水式のダム計画があったが、村に生きる人々は、お金は一時のもの、一度ダムで村を潰してしまえば二度と美しい山は戻らないと考え、反対を貫き、自然を守ってきた。

自然災害は、人々が住む地域を奪うことはないが、仮に原発事故が起きた場合、かけがえのない自然が破壊され、大飯原発から30キロ圏内の芦生は、地域再生が出来なくなり、芦生の住民は、生活の場を奪われてしまう。

3 避難の困難さ

現在、生活道路である市道芦生灰野線と府道38号線を通学バスと市営バスが日に何便か走っているが、市道芦生灰野線は最終まで完成していない。車道がなくなる終点からトロッコ道を約1キロ歩いたところに二人の住民が生活している。これまでも、台風により橋が流され孤立するということが起きていた。原告今井が、生まれた4日後、昭和28年の13号台風により自宅には土砂が入り大変な状態となった。その後昭和40年の台風24号、57年台風10号、平成2年台風19号、3年の台風19号、と大きな災害が発生している。雪が、一晩に95センチ積もる大雪が発生したこともあった。災害のたびに生活道路が通行止めになることが、たびたび発生している。南丹市道は道幅3,5メートと狭いうえに、ガードレールが整備されていないところもあり、一つ間違えると命がなくなるような道を、生活道路として活用している。冬季になると除雪作業が行われるが、夕方6時ごろから朝6時ごろまでは30センチ以上の積雪になると通行止めになる。府道38号線も道幅も狭く150ミリの雨が降ると通行止めになる。台風時の倒木、土砂の流出、冬季の積雪、自然災害のたびに通行止めとなる。このような状況で、由良川の最上流に住んでいる者は避難をすることは困難である。

また、京都大学芦生研究林は、滋賀県福井県と県境を接した山深いところに位置しここに京都大学生をはじめ多くの学生が植物等の研究を行っている。この研究地の一部は一般にも開放されており4月から11月ごろまで多くの一般の方がハイキングに訪れるが、原発事故の想定は、一切なされていない。山の中にいる時に仮に原発事故が起きた場合、どこへ行けばいいのか、入山者に知らせる手立て等なく、避難するすべもない。

原告今井は、昨年度集落の区長をしていたが、台風時においても、連絡網はあるものの、一人住まいの高齢者には、連絡が難しく何よりも避難場所に集まるということ自体が無理である。

原告今井が管理運営する「芦生山の家」では、原生林のハイキングの案内もしているが、原発事故を知らせるすべ等ない。

このように、仮に原発事故が、起きた場合、避難が不可能である大飯原発は、今すぐに、廃炉にしなければならない。

以上

◆原告第67準備書面
第3 被告関西電力が等閑視する断層破砕帯は地震動に大きく影響すること

原告第67準備書面
-被告関西電力関西電力準備書面(22)に対する反論等-

2019年11月22日

目次

第3 被告関西電力が等閑視する断層破砕帯は地震動に大きく影響すること

1 断層破砕帯が存在することについては争いがないこと
2 断層破砕帯が地震動に与える影響を考慮しなければならないこと
3 断層破砕帯の存在は考慮されておらずその影響も検討されていないこと
4 岩質が堅硬であるとの被告関西電力の主張について


第3 被告関西電力が等閑視する断層破砕帯は地震動に大きく影響すること


 1 断層破砕帯が存在することについては争いがないこと

上記でも述べたとおり,大飯原発敷地には15本の破砕帯が存在する(次頁に丙45・40頁・図2を引用)《図省略》。

被告関西電力がこれらの破砕帯について調査・検討を行ったのは,これらが将来活動する可能性のある断層であるか否かという観点のみであり,これらが地震動に与える影響という観点からは何ら検討を行っていない(原告第56準備書面・16頁以下)。そして準備書面22では断層破砕帯に一切触れていない。

そこで,この点について敷衍する。

 2 断層破砕帯が地震動に与える影響を考慮しなければならないこと

  (1)新規制基準によっても断層破砕帯が地震動に与える影響を考慮しなければならないこと

基準地震動ガイドは,応答スペクトルに基づく地震動評価において,敷地周辺の地下構造に基づく地震波の伝播特性(サイト特性)の影響を考慮して応答スペクトルを適切に評価することを求め【基準地震動ガイドⅠ 3.3.1(1)②1)】,また,断層モデルを用いた手法による地震動評価においても,地下構造データが適切に取得されていること,地層の傾斜,断層,褶曲構造等の地質構造を評価するとともに,地下構造モデルの設定においては,地震発生層の上端深さ,地震基盤・解放基盤の位置や形状,地下構造の三次元的不整形性,地震波速度構造等の地下構造及び地盤の減衰特性が適切に評価されていることを求めている【基準地震動ガイドⅠ 3.3.2(4)⑤】。

そうすると,「敷地周辺の地下構造」の一である断層破砕帯が地震動に与える影響(サイト特性)についても考慮しなければならず,地層の傾斜等の地質構造や地下構造の三次元的不整形性等も適切に考慮しなければならない。

  (2)材料力学的観点からも断層破砕帯の適切な考慮が必須であること

日本材料学会「岩の力学-基礎から応用まで」(甲506)にあるとおり,「岩盤は大小様々の不連続面(地質学的分離面)を含んだ複雑な構造体で」(445頁)あり,大飯原発敷地も例外ではない。むしろ,第2・5項P波速度コンター図及び被告関西電力の「試掘坑内の平均速度法による弾性波試験結果は,第5.110図に示すようにP波速度は3.0km/s~5.2km/sで平均値4.3km/s,変動係数7.0%である」(丙178・添付書類六 地盤構造に関する図面,6-3-128頁)との主張から,大飯原発敷地の岩盤が均質でないことは明らかであること,「高角度傾斜の節理が発達している」こと(被告関西電力準備書面22・12頁),多数の破砕帯が存在することから,同敷地の岩盤は不連続性の大きい岩盤である。

そして,日本材料学会「岩の力学-基礎から応用まで」(甲506)は,「不連続性岩盤の力学挙動が信頼し得る制度で予測・評価できるためには,不連続面の分布性状及び力学特性が明らかにされているとともに,それら不連続面の影響を合理的に評価し得る力学モデルが確立されねばならない」(445頁)とする。地震動も岩盤に力が加わった結果であるから,ある地点における地震動を信頼し得る制度で予測・評価できるためには地盤の不連続面の力学挙動を予測・評価する必要があるのであることとなり,そのためには,上記のとおり,不連続面の分布性状等を明らかにすることが必須なのである。

断層破砕帯の分布性状等によって岩盤の力学挙動は変わる。新規制基準によっても断層破砕帯の存在が地震動に与える影響を考慮すべきであるという結論は,こうした材料力学的観点からも裏付けることができる。

 3 断層破砕帯の存在は考慮されておらずその影響も検討されていないこと

  (1)そもそも断層破砕帯が地震動に与える影響を全く検討していないこと

上記のとおり,被告関西電力は,断層破砕帯が活断層であるか否かの観点でのみ検討しており,サイト特性としての観点,すなわち断層破砕帯の存在による構造変化,シームの規模や分布様式などが地震時の震動性状に及ぼす影響は全く検討されていない。

よって,被告関西電力は,新規制基準が求める断層破砕帯についての考慮を行っていない。

  (2)地下構造を適切に把握・考慮していないこと

   ア CM級が広く分布しており堅硬な岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっているのではないという前提に立っていないこと
上記のとおり,被告関西電力は,大飯原発敷地の岩盤の大部分はCH級であると見せかけるように丙28・14頁,同196・11頁の図を引用しているが,実際には1/3以上が「多少軟質化しており,岩質も多少軟らかくなっている」(丙307・101頁)CM級であり,孔によっては半分以上を占めているのであって,堅硬な岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっているとは認められない。被告関西電力はこの事実を等閑視しており,むしろ恣意的に歪めているのである。

   イ 低速度層の存在する深さが場所によって異なっており平坦かつ成層な構造ではないこと
★第2・3項・(3)で明らかにしたとおり,RQDは深さ方向に数~数十mの幅で増減しており,かつボーリング孔の位置によってRQDの小さい層の深さが異なっている。深さ25mごとの平均値を内挿して得たコンター図を次頁に再掲する《図省略》。

上図の赤色の部分はRQDの値が小さく,P波速度は低くなる。図のとおり低速度層が存在しているが,ボーリング孔によって深さ分布は一様ではない。例えばRQDが25%以下の区間は,4号炉西側のNo.1159孔でEL-10~-70m、直下のNo.1157孔でEL-0~-13m、-70~-90m、-125~-145m、-265~-285m、3号炉西側のNo.1155孔でEL-20~-70m、直下のNo.1158孔では部分的に25%を僅かに越える場所があるがEL-30~-130m、-200~-230m、東側のNo.1162孔でEl0~-80mなどの深さにあり、RQDの小さい層の深さが異なっているのである。共通した深さでRQDが著しく低下するような地層は形成されていない。これは、断層破砕帯がシームを伴って髙角度で沈み込み、それぞれのボーリング孔とは異なる深さで斜交しているためと解するのが合理的であり,反対にいえば平坦な成層構造とは認められない。

被告関西電力はこのような地下構造を把握していないか,あるいは恣意的に等閑視しており,当然それが地震時の震動性状に及ぼす影響も全く検討していない。

  (3)断層破砕帯が地震動に与える影響

被告関西電力が「RQDが小さい深度及び孔径が大きい深度,つまり割れ目が多く,地質的に脆弱な深度においてVpと密度の低下が確認された」と述べ,断層破砕帯が存在しRQDが小さい層は低速度層であると認めているように,RQDの小さい岩盤は堅硬ではなく,低速度層であるために,地震動を増幅させることになる。

だからこそ新規制基準も,地質構造や地下構造等を適切に把握しなければならないとしているのである。

  (4)被告関西電力の策定した基準地震動は新規制基準にも悖ること

それにもかかわらず,以上のとおり被告関西電力は,大飯原発敷地は堅硬でないのに恣意的に評価を歪め,地震動に大きな影響を与える断層破砕帯が高角度で沈み込んでいるにもかかわらずこれを等閑視し,地盤は堅硬であるなどと主張しているのであって,新規制基準を前提にしたとしてもサイト特性や地質構造,地下構造を適切に評価しているとは認められない。

よって,被告関西電力の策定した基準地震動は新規制基準にも悖るものであって,信頼性がないこともまた明らかである。

 4 岩質が堅硬であるとの被告関西電力の主張について

被告関西電力はボーリングコア等によって岩質が堅硬であること等が確認されたと主張しているが,新規制基準は敷地周辺の地下構造に基づく地震波のサイト特性の影響を考慮するように,あるいは地下構造及び地盤の減衰特性が適切に評価されることを求めているのであるから,岩質が堅硬であることを確認したのみでは同基準を充たしたことにはならない。上記のとおり,「地盤の力学挙動は…岩石が示すそれとは本質的に異なる」(日本材料学会「岩の力学-基礎から応用まで」 甲506)のであるから,サイト特性の影響等を考慮するためには断層破砕帯が地震動に及ぼす影響を考慮しなければならないのである。

よって,岩質が堅硬であることを確認したとしてもサイト特性その他新規制基準の要求する要素を考慮したことにはならず,被告関西電力の主張には理由がない。

以 上

◆原告第67準備書面
第2 地盤は堅硬ではないこと

原告第67準備書面
-被告関西電力関西電力準備書面(22)に対する反論等-

2019年11月22日

目次

第2 地盤は堅硬ではないこと

1 基本的な誤り
2 「軟質化し軟らかい」CM級が広く分布しており堅硬な岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっているとはいえないこと
3 RQDの値が低く「普通」水準にも遠く及ばないこと
4 最大コア長の平均値が小さく堅硬な岩盤とはいえないこと
5 P波速度が場所によって大きく異なっており堅硬でないことを示すこと
6 岩級区分・RQD・最大コア長・地震波伝播速度の各検討結果に整合性があること
7 平成28年2月の事業者ヒアリングにおける被告関西電力の説明
8 まとめ

 


第2 地盤は堅硬ではないこと


 1 基本的な誤り

  (1)被告関西電力の主張

被告関西電力は,大飯原発敷地の岩盤が堅硬であることの根拠として,まず,地質調査の結果RQDは高くないものの細粒石英閃緑岩及び輝緑岩そのものは堅硬で節理が密着していること(10頁以下),岩盤を構成する主要な岩石の種類が硬岩であること(13頁以下)を挙げている。

しかし,次のとおり,岩石が堅硬であることは岩盤が堅硬であることを意味しない。

  (2)岩石が堅硬であることは岩盤が堅硬であることを意味しないこと

「同一種類の硬岩の岩盤であっても,風化や変質を受け,あるいは亀裂,節理及び破砕帯等が存在する場合には,その堅硬度合いには若干の違いが生じ得る」(16頁)と自認せざるを得ないように,岩盤の強度は,不連続面[1]によって決まる。とりわけ硬岩の場合,軟岩に比べて不連続面の与える影響が大きい。

これらの点について,日本材料学会編「岩の力学」(甲506号証)は次のとおり述べる。

「岩盤は大小様々の不連続面(地質学的分離面)を含んだ複雑な構造体である。岩盤の力学挙動は,構成母岩材の材料特性と不連続面の配置状態およびそれら不連続面の力学特性が混ざり合って発揮された結果として具現し,岩石が示すそれとは本質的に異なる。」(445頁)

「鋼構造物のように工場で生産される均質な鋼製品を構造材料とするようなものについては,試験片から構造材料の特性を特定すれば構造物全体の力学挙動は精度よく予測・評価することができる。しかしながら,自然界で形成された岩盤についてはその内部における不連続面の位置,方向,大きさ,連結性,およびそれらの力学特性といったような,岩盤の構造を特徴づけている事柄は完全に特定することはできない。それがために,岩盤については鋼構造物に対するように,構成材料(岩石)の特性を知って目的とする構造物全体の力学挙動を予測するといった力学の図式は単純にあてはまらない。」(445頁)

「一般的に言えることは,軟岩においては,岩質と不連続面の力学的性質の差が少なく,岩質を中心とした評価が可能なのに対し,硬岩では岩質よりも不連続面の影響が大きいため,現地における不連続面の評価が重要となる。」(529頁)

このように,「岩盤の力学挙動は…岩石が示すそれとは本質的に異なる」「岩盤については…(岩石)の特性を知って目的とする構造物全体の力学挙動を予測するといった力学の図式は単純にあてはまらない」(445頁)のである。

[1] 節理,断層,破砕帯〔断層に沿って岩石が破壊された帯状の部分〕,シーム〔破砕帯に付随する岩盤の割れ目〕等

  (3)小括

よって,岩石の種類を根拠に岩盤が堅硬であると述べる被告関西電力の主張が誤りであることは明らかである。

被告関西電力は「ボーリングコア及び試掘坑内から採取した資料について,その他物理試験,超音波速度測定及び力学試験も実施して,岩盤が堅硬であることを確認している」と主張するが(18頁),それらの試験は採取した試料即ち岩石についてのものでしかなく,岩盤そのものの堅硬さを試すものではないから,やはり岩盤が堅硬であることの論拠とはなり得ない。

 2 「軟質化し軟らかい」CM級が広く分布しており堅硬な岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっているとはいえないこと

  (1)被告関西電力の主張する地質調査結果

被告関西電力は,大飯原発敷地の岩盤が堅硬であることの根拠として,次に,その岩盤は大部分が電研式岩盤分類におけるCH級であるかのように見せかけた上で(丙28・14頁同196・11頁),岩質が堅硬であること,そうした堅硬な岩盤が著しい高低差なくほぼ水平に広がっていること,を挙げる(16頁以下)。《図省略》

そこで,この点について述べる。

  (2)ボーリング柱状図(被告関西電力の主張する地質調査結果の原データ)

被告関西電力が大飯発電所建設前に実施したボーリングの柱状図が丙178・6-3-588頁以下に掲載されている。例としてNo.1157孔の柱状図の一部を次頁に引用する(同608頁)。《図省略》

  (3)実際にはCM級が約37%を占めていること

   ア No.1157孔
このうち「岩級区分」[2]を読み取り図化すると,例えば先に示した柱状図と同じNo.1157孔について以下のとおりとなる。《図省略》

オレンジ色で表されるCM級が深部まで分布しており,標高0m以深では厚さにして全体の27.9%がCM級となっている。また、断面図(前掲〔5頁〕。丙28・14頁同196・11頁)に記載されていない標高-200m以深では約-266~-282mに厚さ16mに及ぶCM級の層が存在している。

[2] 電研式岩盤分類について丙307・101頁。
CH級:造岩鉱物および粒子は石英を除けば風化作用を受けてはいるが岩質は比較的堅硬である。一般に褐鉄鉱などに汚染せられ,節理あるいは亀裂の間の粘着力はわずかに減少しており,ハンマーの強打によって割れ目に沿って岩塊が剥脱し,剥脱面には粘土質物質の薄層が残留することがある。ハンマーによって打診すれば少し濁った音を出す。
CM級:造岩鉱物および粒子は石英を除けば風化作用を受けて多少軟質化しており,岩質も多少軟らかくなっている。節理あるいは亀裂の間の粘着力は多少減少しておりハンマーの普通程度の打撃によって,割れ目に沿って岩塊が剥脱し,剥脱面には粘土質物質の層が残留することがある。ハンマーによって打診すれば多少濁った音を出す。

   イ 敷地全体
同様にすべてのボーリング柱状図について「岩級区分」を読み取り図化すると,次のとおりとなる。《図省略》

オレンジ色で表されるCM級が深部まで,かつ相当程度の割合で存在していることが見て取れる。

そこで各岩級の層の厚さが占める割合を算出すると,次頁の表のとおりとなる《表省略》。標高0~-150mの範囲では全体の約37%(累計約55m)がCM級以下の岩級となっており,堅硬さの劣るCM級以下の岩盤が全体の1/3以上を占めているのである。
さらに,ボーリング孔の位置による岩級分布の違いが顕著となっている。すなわち、まず3、4号炉の北西側に位置するNo.1153~1156孔4本を平均するとCM級以下が31.3%となり,次に炉心直下のNo.1157、1158孔を平均すると33.1%に増加し,さらに南東側のNo.1159~1162孔では47.7%とさらに増加しているのであり、北西側から南東側にCM級以下が増加し、岩盤が弱くなっていることが読み取れる。特に南端のNo.1159孔は半分以上の53%がCM級以下である。

この標高-150mまでの岩級分布による北西側から南東側への岩盤の劣化傾向は、後述のシームの分布密度やP波速度の場所による変化の傾向と一致しており,深部でも南東側で地震波速度が低下していることを示している。

  (4)まとめ

前述のとおり被告関西電力は,大飯原発敷地の岩盤の大部分はCH級であると見せかけるように下図を引用している(丙28・14頁同196・11頁)。《図省略》

しかし実際には全体の1/3以上が電研式岩盤分類において「多少軟質化しており,岩質も多少軟らかくなっている」(丙307・101頁)CM級であり,孔によっては半分以上を占めていることが明らかとなった。上図は事実に反する。そして上記のとおり,これは被告関西電力の作成したデータ(丙178・6-3-588頁以下)を分析した結果である。

よって,堅硬な岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっているとの被告関西電力の主張は事実に反している。被告関西電力が引用している上図も岩級を正確に表現したものではなく,恣意的に作成されたものである。

被告関西電力が原子力規制委員会に提示した岩級区分に関する情報が事実に反する以上,同委員会が被告関西電力の言い分を是認しているとしても(準備書面22・22頁),そのことが何らの意味を持たないことは明らかである。

 3 RQDの値が低く「普通」水準にも遠く及ばないこと

(1)岩盤の堅硬さについて定量的評価を可能とするRQDの値

1項で述べた通り,岩石の種類は岩盤が堅硬であることの論拠とならないのであるが,では,どのような指標により判断されるか。それがRQD[3]の値であり,これによって岩石の砕けやすさと岩盤の不連続面の頻度に関する情報を得ることができる(甲507)。CM級などの岩級は定性的な分類であるため試験者の技量・経験など主観による個人差が含まれる面も否定できないが,RQDによれば個人差を排し定量的評価が可能となり,岩盤の堅硬さを示す客観的指標となる。

この点,被告関西電力は「R.Q.D.は高くないが」(準備書面22・12頁)と,RQD(Rock Quality Designation)の値が低いことを自認しつつ,それを等閑視するが,岩盤の物性に関する定量的・客観的指標を無視するものであって不当である。

[3] Rock Quality Designation

  (2)RQDの意義

RQDは,準備書面22脚注9のとおり,ボ-リング1m区間毎の10cm以上のコア[4]長の総和を%で表す。式で表せば以下のとおり(甲507)。

RQD=Σ(10cm以上のコア長)%

これにより不連続面の多寡を定量的に客観的指標として表すことができるため,岩盤の質を主観を排して判定することができ,50%~70%が「普通」,75%以上が「良好」,90%以上が「非常に良好」とされる(★甲506・541頁)。

上記のとおり被告関西電力は「R.Q.D.は高くないが」(準備書面22・12頁)と述べながら,ではその高くないとするRQDの値がどの程度なのかを一切示していない。RQDの値が小さいということは岩盤に亀裂が多くそれだけ脆弱であるということであり,地震伝播速度も小さくなる[5]

そこで,被告関西電力が意図的に明らかにしないRQDの分布について検討する。

[4] 地盤の状況を調査するためのボーリング調査によって得られる円柱状の土壌や岩石片
[5] 被告関西電力も「RQDが小さい深度及び孔径が大きい深度,つまり割れ目が多く,地質的に脆弱な深度においてVpと密度の低下が確認された」と述べ,断層破砕帯が存在しRQDが小さい層が低速度層であることを認めている。

  (3)大飯原発敷地のRQDの値は「普通」の水準にも遥かに及ばないこと

   ア 大飯原発敷地のボーリング柱状図のRQD
以下は4号炉直下のNo.1157孔のRQD等の値である。《図省略》

RQDの大部分は「普通」にも充たない50%以下であり,岩盤が脆弱であることが示される。

特にCM級の層のRQDは小さくなっており,両者の相関性は高い。

   イ ボーリング柱状図のRQDの深度毎の比較
提示されている10本すべてのボーリング柱状図のRQDは次図のとおりである。《図省略》

これを元に標高0m以下の層のRQDの平均値をまとめると次頁の表のとおりとなる。《表省略》

すべてのRQDの平均値は(28.7±25.1)%であり,全体としてみても不連続面の多い「普通」以下の岩盤ということになる。

また,RQDは深さ方向に数~数十mの幅で増減しており,かつボーリング孔の位置によってRQDの小さい層の深さが異なっている。これは、断層破砕帯がシームを伴って高角度で沈み込み、それぞれのボーリング孔とは異なる深さで斜交していることを反映したものと考えられる。

さらに,炉心の北西側(孔番No.1153~1156)、炉心位置(孔番No.1157~1158)、南東側(孔番No.1159~1162)の平均値(標高0~-150m)を見ると,RQDの平均値は、北西側の33.6%から、炉心直下の27.8%、南東側の22.6%へと系統的に著しく減少している。これは、北西側から南東側へ岩盤の不連続性が増していること、すなわち亀裂の頻度が増していることを表している。

  (4)RQDから示されるP波速度の場所による変化

上記のとおり,RQDの値が小さいということは不連続面が多いということであり,それだけ地震波速度が遅くなるということである。

次頁の図は,3,4号炉建屋を含む240m×130mの直下における,各ボーリング孔の深さ25mごとの平均値を内挿して得たコンター図である《図省略》。RQDの彩色表示のスケールは同じで、RQD大(速度大に相当)が緑、黄から赤にかけてRQD小(速度小に相当)となる。また、ボーリング孔の位置が茶色の点で示されている。

ボーリングが10地点でしか行われていないものの,それぞれの図の上部(北西側)でRQDが大きく=速度が大きく,下部(南東側)で小さい=速度が小さいという傾向は、概ね共通する。

 4 最大コア長の平均値が小さく堅硬な岩盤とはいえないこと

次に最大コア長[6]の分布について検討する。

最大コア長もRQDなどと同じくボーリングコア観察において検討される要素の一つであり,コアの形状(長さ)のイメージは次図のとおりである《図省略》。

各ボーリング孔における最大コア長の平均値は次頁の表のとおりである《表省略》。

標高0~-150m区間ではボーリング孔によって最大コア長の平均値が12.5~18.8cmに分布しており、全体の平均値は16.0cmである。最大コア長の平均値がこれであるから,採取されるコアはさらに短く,平均コア長はより短い。

電研式岩盤分類によれば,CM級の岩盤の「コアは10cm前後」とされており(次頁の表《表省略》),上記のとおり,被告関西電力が示している図(丙28・14頁同196・11頁)とは異なって大飯原発敷地にCM級が広く分布しているとの分析結果と整合している。

さらに,炉心の北西側(孔番No.1153~1156)、炉心位置(孔番No.1157~1158)、南東側(孔番No.1159~1162)の平均値(標高0~-150m)を見ると,最大コア長は、北西側の18.0cmから、炉心直下の16.2cm、南東側の13.9cmへと系統的に大きく減少している。これは、北西側から南東側へ岩盤の不均質性が増していること、すなわち亀裂の頻度が増していることを表している。

岩級区分分布やRQDの値などと同じく、最大コア長の分布という観点から検討しても、深部まで南東側で岩盤が劣化して地震波速度が低下していることが示されている。

[6] 1m区間ごとに採取されたコアの最大の長さをセンチメートル単位で記したもの

 5 P波速度が場所によって大きく異なっており堅硬でないことを示すこと

  (1)地盤の堅硬さと地震波伝播速度との関係

地盤が堅固であれば地震波伝播速度は大きく,堅固でなければ同速度は小さい。

そうすると,被告関西電力の主張するように堅硬な岩盤が著しい高低差なくほぼ水平に広がっているのであれば,大飯原発の敷地において,地震波の伝播速度にほとんど違いは生じないはずである。

  (2)東に向かうほどP波速度が低下していること

しかし現実には,P波速度は西(図の左上)から東に顕著に低下しており,4号炉の炉心下では4.3~4.5km/sであるが,3号炉の炉心下では3.8~4.0km/sと,大きな違いがある(原告第56準備書面5頁,12~13頁,甲422・付図42の下の図)《図省略》。この結果は,岩盤が均質ではないこと,特に3号炉炉心下の岩盤が相当堅硬でないことを示してもいる。

3号炉・4号炉地下の破砕帯及びシームの分布図は,前頁の上の図(甲422・付図42の上の図)のとおりである《図省略》。

  (3)P波速度からも岩盤が堅硬でないことが明らかであること

両図を合わせ見れば,西方向から東方向へのP波速度の低下と破砕帯及びシームの分布との関係性は明らかであり,特に東側において破砕帯等が多く存在し堅硬な岩盤でないことを示している。

被告関西電力も「試掘坑内の平均速度法による弾性波試験結果は,第3.5.114図に示すようにP波速度は3.0km/s~5.2km/sで平均値4.3km/s,変動係数7.0%である」(丙178・添付書類六 地盤構造に関する図面,6-3-128頁)とP波速度に大きなバラツキがあることを認めており,このことは,岩盤が均質でないことを裏付けているといえる。

 6 岩級区分・RQD・最大コア長・地震波伝播速度の各検討結果に整合性があること

上記の各検討結果のいずれも,大飯原発敷地の北西側から南東側にかけて岩盤の脆弱化(亀裂の増加)・地震波速度の低下があることを示しており,整合的である。

 7 平成28年2月の事業者ヒアリングにおける被告関西電力の説明

上記のとおり被告関西電力は,平成28年2月の事業者ヒアリングでは「試掘坑内の平均速度法による弾性波試験結果は、第5.110図に示すようにP波速度は3.0km/s~5.2km/sで平均値4.3km/s、変動係数7.0%である」(丙178・添付書類六 地盤構造に関する図面,6-3-128頁)と説明していた。

然るに,①まずP波速度に3.0km/s~5.2km/sと倍近い開きがあるのにこれを無視し,②次に「平均値4.3km/s」と説明しているにもかかわらず基準地震動評価用の地盤モデルでは何の留保もなく表層のP波速度を4.6km/sとしている。岩盤が堅硬であるほどP波速度は大きくなるのであるから,被告関西電力は,自身の説明を超えて地盤がより堅硬であると根拠なく修正しているのである。

 8 まとめ

大飯原発敷地の岩盤が堅硬であるとの被告関西電力主張の論拠は,上記のとおり,地質調査の結果判明した岩石が堅硬であること(10頁以下),岩盤を構成する主要な岩石の種類が硬岩であること(13頁以下),CM級以上の岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっていること(16頁以下)の3点である。

しかし,前二者の「岩石」が堅硬であることは「岩盤」が堅硬であることの論拠となり得ないことから,実質的には後者のみが論拠ということになる。然るに,その点について被告関西電力が行ったボーリングコア等の原データを分析すれば,CM級以上の岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっているという事実は認められない。それどころか「普通」にも遥かに及ばない脆弱とすらいえる岩盤であることは明らかである。

よって,大飯原発敷地の岩盤が堅硬であるとの被告関西電力の主張は論拠がなく,失当である。

◆原告第67準備書面
第1 被告関西電力の主張

原告第67準備書面
-被告関西電力関西電力準備書面(22)に対する反論等-

2019年11月22日

目次


第1 被告関西電力の主張

被告関西電力は,準備書面22において,大飯原発敷地の地質調査の内容及び調査結果を述べた上,地質構造上,そもそも敷地が堅硬な岩盤で構成されていること,かかる堅硬な岩盤が著しい高低差無くほぼ水平に拡がっていると主張している。

そこでは断層破砕帯の存在には一切触れられておらず,原告らの主張を「些末な指摘」(5頁)と等閑視し,繰り返し強調されるのは原子力規制委員会で被告関西電力の見解は適切と認められている,との点である。

そこでこの点について反論する(全体として甲510)。また,同準備書面のその余の点に対する反論は追って別書面にて行う。

◆原告第67準備書面
-被告関西電力関西電力準備書面(22)に対する反論等-
目次

原告第67準備書面
-被告関西電力関西電力準備書面(22)に対する反論等-

2019年11月22日

原告提出の第67準備書面

目次

第1 被告関西電力の主張

第2 地盤は堅硬ではないこと
1 基本的な誤り
2 「軟質化し軟らかい」CM級が広く分布しており堅硬な岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっているとはいえないこと
3 RQDの値が低く「普通」水準にも遠く及ばないこと
4 最大コア長の平均値が小さく堅硬な岩盤とはいえないこと
5 P波速度が場所によって大きく異なっており堅硬でないことを示すこと
6 岩級区分・RQD・最大コア長・地震波伝播速度の各検討結果に整合性があること
7 平成28年2月の事業者ヒアリングにおける被告関西電力の説明
8 まとめ

第3 被告関西電力が等閑視する断層破砕帯は地震動に大きく影響すること
1 断層破砕帯が存在することについては争いがないこと
2 断層破砕帯が地震動に与える影響を考慮しなければならないこと
3 断層破砕帯の存在は考慮されておらずその影響も検討されていないこと
4 岩質が堅硬であるとの被告関西電力の主張について

◆本訴請求の一部取下げについて

本訴請求の一部取下げについて

2019(令和元)年11月28日

本訴請求の一部取下げについて

  1.  被告関西電力株式会社は、平成30年3月1日をもって大飯原子力発電所1号機と2号機を廃止し、これにともない電気事業法27条の27第3項にもとづく発電事業の変更の届出を行い、これにより、大飯原発1号機と2号機については、本件訴訟の差止請求の対象となる発電事業そのものが存在しないことになった。そこで、原告らは、本訴請求のうち、大飯原発1号機及び2号機の運転差止を求める請求を取り下げることにするものである。

    しかし、大飯原発1号機、2号機の廃止は、原告らが本件訴訟の中で主張してきた、大飯原発の再稼働が技術的にみて安全な運用を確保できないことを、被告関西電力自身が認めざるを得なかったことを物語るものであり、その意味では、原告らの大飯原発1号機、2号機の差止めを求める請求を事実上認諾するに等しいということができる。

    このように見てくると、原告らが本件訴訟で大飯原発の再稼働の危険性を指摘してきたことは、きわめて真っ当なことであり、その主張の正当性が客観的に裏付けられたことを意味するものであり、その点で、きわめて重要な意味をもっているといわなければならない。

  2.  その一方で、関西電力は大飯原発3号機と4号機については、いまだに再稼働を進める方針を変えていない。しかし、最近の新聞報道等によって明らかになったことであるが、関西電力の代表取締役などの役員が福井県高浜町の元助役から、2億円とも3億円ともいわれる多額の金銭の提供をうけている事実が発覚している。こうしたことからいえば、関西電力の大飯原発3号機、4号機の再稼働の方針は、原発の安全性の客観的な評価にもとづくものではなく、経済的金銭的利害にもとづくゆがめられた誤った判断であることが強く疑われるといわなければならない。

    そうだとすると、まさに貴裁判所こそが国民の負託と信頼にこたえて、大飯原発3、4号機の再稼働の危険性を軽視する関西電力の誤った経営判断とそれに放置している国の対応をきびしく批判して、運転差止を命ずる判決を下すことがま何よりも求められていることであり、それは8年前のあの福島原発事故の悲惨きわまりない悲劇をくり返さないために必要不可欠なことであるといわなければならない。

    この点、直近の時期には、被告関西電力の幹部職員が高浜原発の立地自治体である高浜町の元助役から多額の金品を受けとっていたことが明らかになっている。一方、被告関西電力がこの元助役の在任中に町に多額の寄付金をしたり、元助役の関連会社に多額の工事を発注したりしていたことも明らかになっている。被告関西電力の行為は、電力消費者に対する背信行為であり、このような不正行為を行っていた関西電力が、原発の審査では不正を行わない、という根拠は無い。被告関西電力が原発を運用する資格がないことは明らかである。

原告らは、ここにそのことをあらためて指摘したうえで、本訴請求のうち、大飯原発1号機及び2号機の運転差止めを求める請求を取り下げるものである。

以上

◆被告 関西電力の準備書面、答弁書、書証(丙号証)など(~2019/11)

証拠説明書   上申書   書証    答弁書

準備書面


上申書

証拠説明書

書証

 答弁書

◆第24回口頭弁論 原告提出の書証

甲第497~500号証(第64準備書面関係)
甲第501号証(第65準備書面関係)
甲第502~505号証(第66準備書面関係)



証拠説明書 甲第497~500号証(第64準備書面関係)
(2019年7月26日)

甲第497号証
意見書(基準地震動評価のための強震動予測について一後追い予測における不確かさ-)(赤松純平)

甲第498号証
朝日新聞記事(朝日新聞社)

甲第499号証
活断層を調べる~トレンチ調査の紹介~(二階堂学)

甲第500号証
反訳文(NHKラジオ)(弁護士島田広)

証拠説明書 甲第501号証(第65準備書面関係)
(2018年7月26日)

甲第501号証
口頭弁論要旨(原告 太田歩美)

証拠説明書 甲第502~505号証(第66準備書面関係)
(2018年7月26日)

甲第502号証
いのちを守る『知恵』をはぐくむために~学校における安全教育の手引~―原子力防災編―」(京都府教育委員会)

甲第503号証
京丹後市地域防災計画・原子力災害対策編(京丹後市防災会議)

甲第504号証
京丹後市原子力災害住民避難計画(京都府教育委員会)

甲第505号証
口頭弁論要旨(原告近江裕之)