◆大飯原発運転差止等請求事件 京都地裁判決を受けての声明

2026年7月14日
京都脱原発弁護団
京都脱原発原告団

本日、京都地方裁判所第6民事部は大飯原発運転差止等請求事件の判決を出した。

本訴訟は、東日本大震災後の福島第一原発の過酷事故発生という事態を受け、日本全国で最初に再稼働した大飯原発の1~4号機の運転差止及び関西電力と国に対して慰謝料の支払いを求めたものである。2012年11月29日に第1陣が提訴して以降、第7陣の提訴までで原告数は3457名に達した。提訴者のうち約7割は京都府下の住民で、他にも大飯原発近傍の福井県の住民や滋賀県、大阪府、兵庫県、奈良県の住民をはじめ大飯原発を取り囲む全国の住民・市民による訴訟である。

本訴訟係属中の2017年12月22日には、関西電力が大飯原発1、2号機の廃炉を決定した。全国で、大飯原発1、2号機を対象とした差止請求は本訴訟のみであり、老朽化した原発の再稼働の動きが強まる中で、百万キロワット級の原発を事業者が自ら廃炉にしたのも大飯原発1、2号機のみである。関西電力がこのような判断をせざるを得なかったのは、多くの住民・市民の監視、全国の力強い脱原発運動の動きの下で、関西電力がこれらの原発を再稼働させる展望を持てなかったからであり、訴訟による差止請求で詰め寄って廃炉に追い込んだことは、本訴訟の大きな成果となった。

本訴訟の争点は多岐に渡るが、私たち弁護団・原告団が特に強調してきたのは(1)そもそも大飯原発の耐震設計の根本をなす地震や地震動の想定や審査が甘すぎ、“想定外”の地震や地震動が大飯原発を襲う可能性があること、(2)大飯原発の敷地地盤にはデータ上も不均質な点があること等により同原発の基準地震動を超える大きな地震動に襲われる可能性があること、(3)過酷事故が起きた際に住民が安全に避難できる計画の存在と実効性は国際的に見ても国内の法令でも原発の安全性を確保して稼働するための要件であるのに、大飯原発の過酷事故に対する避難計画は画餅であり実効性のないものであること、の各点であった。

このうち(1)について、私たちが神戸大学名誉教授の石橋克彦氏の法廷での証言も得て十分な根拠を以て立証したにも関わらず、本日の判決は、関西電力が提出した資料に基づく机上の審査に過ぎない原子力規制委員会の判断を鵜呑みにして具体的危険性の存在を否定した。この間、原発事業者が基準地震動策定の根拠となるデータを原子力規制委員会に対してさえブラックボックス化したうえで改ざんしたり“値切り”をし、同委員会も事業者のデータ改ざんを見抜けないことを自白し、事業者の“値切り”にも屈している。このような事態は大飯原発の再稼働審査でも起きているが、判決は原子力規制行政を追認するものである。

また、(2)についても、私たちが、原告でもある元京都大学助教授の赤松純平氏の多大なご助力を頂きながら、関西電力自身が原子力規制委員会に提出した資料から問題点を具体的に明らかにし、再稼働審査の過程でも問題点が見過ごされていることを具体的に立証したにもかかわらず、本日の判決は、技術的、法的に明らかに立ち後れている水準の原子力規制委員会の審査を鵜呑みにして、私たちの主張を退けた。

そして(3)について、私たちは提訴以来、多数の原告が居住地から避難しようのない実態を告発・証言し、また、福島第一原発事故で政府による避難の対象となった住民にも法廷にお越し頂いて証言を得たにもかかわらず、本日の判決は、避難計画の実効性が原発を稼働させるための要件であることすら否定しており、原発の危険性から目を背け、過酷事故が起きた際には逃げ場すらない住民を危険の中に置き去りするものと言わざるを得ない。

本日の判決は、総じて、現に私たちの目の前で起きている事実や科学的知見の到達を無視し、原発の安全性について審査能力がないことを自白する原子力規制委員会の再稼働許可にさらにお墨付きを与える姿勢に終始し、住民の安全性確保の訴えすら冷たく拒絶するものである。これは裁判所に付託された行政の監視役、住民市民の人権確保の役割をかなぐり捨て、我が国の将来にも暗い影を落とすものに他ならない。

弁護団、原告団はこのような判決を断じて受け入れることはできず、すでに控訴する方針を固めた。控訴審では本日の判決の問題点を徹底的に洗い出し、関西電力に対してもさらなる追及を続け、逆転勝訴を目指す所存である。また、弁護団、原告団は、今後も引き続き、脱原発を求める住民、市民の声や全国の脱原発運動に連帯し、大飯原発をはじめとする全ての原発を廃炉に追い込むために力を尽くすものである。

京都地裁判決を受けての声明(京都脱原発弁護団・京都脱原発原告団)[639 KB]