◆第26回口頭弁論 意見陳述

口頭弁論要旨

口頭弁論要旨

2020年6月2日
吉田 邦子

 私は、京都府南丹市日吉町に住み始めておおよそ50年になります。吉田邦子と申します。

 日吉町は、大飯原発から45キロ、高浜原発からおおむね40キロの距離に位置しています。今日は、大飯原発の運転差し止めを求める意見陳述をします。日吉町は、山に囲まれた谷間に集落がありますが、私の住んでいる地域は静かな低山に囲まれた地域で、先祖代々受け継がれてきた田畑を守りつつ、それだけでは生活できないので多くの方は勤めに行きながら、農業をしています。

 私の家も夫は勤めながら米作りと自家菜園を営んでいます。私は、町中で育ちましたので日吉町に来まして、四季折々の山々等の色合いのうつり変わりのうつくしさにいつも心がわくわくします。この豊かな自然を大切に守りたいです。

 40年近く前になりますが、子どもが小さいころ、毎年子供会で若狭方面に海水浴に行っていました。海水浴場の向こうに白い大きな建物が見えていました。あれが、原子力発電所だと教えてもらい、原子力発電所がはっきり見えるほど近い場所で、海水浴をして大丈夫なんだろうかと不安になりました。発電所から出る水で奇形の魚が生まれるという話なども聞き気持ちが悪くなりました。原子力発電所は安全だと宣伝され、婦人会で見学に行き、職員の方から、安全であるという説明を聞きましたが、私の疑念は、続いていました。

 日吉町も子供たちは結婚しても町内になかなか住みたがらず町外へと出て行き高齢化が進み、人口減少が続いています。私の住んでいる地域でも公共交通手段は日吉駅まで通学用のバスがあり、一般の方も利用することができますが、朝1往復と、夕方に2往復があるだけです。自家用車がなければ移動手段は無いに等しい状況で日常生活にも支障をきたしてしまうことも多くあります。

 日本は地震大国です。大飯原発のすぐ近くにも活断層があります。地震はいつ起こるかわかりません。日本の各地で活断層による地震で原発事故が起きています。2011年の東北地方太平洋沖地震でも原発による事故で多くの人々が避難を余儀なくされました。未だ故郷に帰れない人々が多くおられます。

 南丹市が2012年3月に発行した原子力防災パンフレットには、情報収集や防災無線・有線テレビによる災害情報の伝達については記載されています。しかし、緊急事態において本当にきちんと情報が伝えられるのでしょうか。原子力パンフレットは、20キロ圏域、30キロ圏域の住民については、「避難しなければならないとき」という項目があり、避難のための輸送計画や避難場所などについて記載されています。しかし、日吉町等30キロ圏外の町については、避難場所などが記載されていません。南丹地域は北からの風がよく吹きます。原発事故が起きた場合、放射性物質を含んだ風は30キロで止まるということはありません。屋内に退避してもいつまでも屋内にとどまることも困難です。また、高齢で運転できない住民はどうしたらいいのでしょうか。日吉町には、明治国際医療大学附属病院や、診療所も複数ありますが、病気の方はどうしたらよいのでしょうか。たとえ自動車で避難するにしてもどこに避難すればよいのか。南丹地域から、京都市内に移動する場合、国道や縦貫道を利用することになりますが、国道や縦貫道は避難する車で渋滞が予想されます。避難することは困難です。原発事故が起きれば、畑の作物は、汚染され、どうやって生活していけばいいのでしょうか。

 美山地域では、安定ヨウ素剤が配布されたという話を聞きましたが、日吉町では、安定ヨウ素剤の備蓄、配布については何も知らされていない状況です。

 原子力災害は将来にわたって様々な害を人にも自然にも引き起こします。原子力災害を引き起こさないために原子力発電の再稼働中止、そして廃止を強く願います。

以 上