関電離れデータ

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[13] 低圧の契約スイッチング件数、
関電が引き続き増加(2023年4月末現在)
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[12] 低圧の契約スイッチング件数、
 関電が増加に転ずる(2022年11月分から)
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▲2023年11月以来、関電の低圧契約は増加に転じている。2016年4月に自由化以来、一貫して減少していた関電の低圧契約数が、初めて増加に転じた。世界的なインフレ、ウクライナ戦争による輸入燃料価格の値上がり、卸電力市場の価格高騰などで、新電力が電気代の値上げに走る中、値上げをしなかった関電の規制料金の方が安くなったか。2023年3月期決算は当初、純損益で450億円の赤字予想であった。それにもかかわらず、規制料金値上げの申請をしていなかった。しかし、その後の報道(4/28、日経新聞)では、一転して176億円の黒字となった。連結では、純利益が前期の17倍の3050億円と、過去最高になる見通しとなっている。年初以来、株価は上昇。年初来安値:1,181円(2023年1月12日)に対して、年初来高値:1,563円を記録(2023年5月16日現在)。

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[11] 関電エリアの電圧種別の販売電力量
 2016年4月~2022年10月
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▲関電エリアの電圧種別の販売電力量(2016年4月~2022年10月)を見ると、特別高圧、高圧、低圧とも関電のシェアは圧倒的。低圧だけは関電が減ってきているが、特別高圧、高圧は最近半年間でとくに伸びて、新電力を圧倒している。新電力は、低圧だけは関電のシェアを奪ってきたが、最近は関電に押され、特別高圧、高圧は6年前の水準に後退している。なお、販売電力量は、季節変動が大きいので、このグラフでは、4月=春と10月=秋だけで推移を見ている。

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[10] 低圧の契約スイッチング件数、
 関電純減(単月)は更なる減少(2022年10月分)
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▲2023年1月30日になって、ようやく2022年10月分の発表があって、関電の純減が1400件となった。8月末で8400、9月末で5500の減少であったが、10月末には1400になった訳だ。傾向は一貫している。
 2016年4月の低圧電力の小売自由化以来、初めて、単月で関電の契約が増加するかもしれないと思われていたが、10月分はかろうじて減少にとどまった。ずっと減少し続けていた関電の低圧契約は、来月発表分(2022年11月分)では、いよいよ増加に転ずる可能性が高い(>_<)
 原発マネー不正還流、カルテル事件、不正アクセス事件など、数々の違法行為を重ねながら、低圧契約は確保、株価は維持している !!!(> <)!!!
 新電力各社が続々と値上げに踏み切る中、関電は、値上げしないという訳だから、今後がこわい。

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[9] 低圧の契約スイッチング件数、
 関電純減(単月)は更なる減少(2022年9月)
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▲関電の低圧のスイッチング情報(電力・ガス取引監視等委員会調べ)で、関電から新電力への流出と、新電力から関電への流入の両方をみると、関電の契約数の純減を求めることができる。2016年4月の低圧自由化以来、関電の契約は一貫して減少してきた。累積では350万件に達する。しかし、単月でみると、最近は違う。
 最近は、「関電純減の減少」が著しい。つまり、関電が契約を維持して、新電力への流出を防いでいる。新電力の値上げ、新電力の倒産や募集停止、安定供給への不安、などによるか。
 上のグラフは、2022年8月末で、8400件の関電減少(単月)を示しているが、9月末のデータ(2022年12月発表)では、更に減少して、5500件となっている。この調子でいけば、関電が、契約を増やす可能性もある。そうなれば、低圧自由化以来、初めての事態となる。

  • 関電エリアの低圧スイッチング件数で、関電純減が更なる減少(関電の契約維持件数が増加)。新電力の供給不安、料金高騰のためか。多くの電力会社が規制料金値上げを申請しているにも関わらず、​関電は、料金値上げを申請していない。
  • 関電は、原発依存率が高い。現在、関電の原発は、高浜3、4、大飯3、4、老朽美浜3号機の5機が運転中。来年、老朽高浜1、2も再稼働させると発表している。
  • 事故リスクの高まり、使用済み核燃料の増加をものともせず !!!(> <)!!!
  • 岸田政権の軍拡増税路線でますます危険になるはずの原発。それでも、原発回帰がすすむという、矛盾に満ちた状況(>_<)
     

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[8] 低圧の契約スイッチング件数、
 関電純減は累積で349.9万件に!(2022年8月)
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  • 2022年のスイッチング件数をみると、6月、7月が1万件台と、関電の減少幅(純減)がかつてないくらい小さくなった。8月単月の関電純減は、1万件を割り、過去最低になっている。
  • 卸電力市場の電力高騰で、新電力の電気代が高くなり、関電→新電力のスイッチングが減少し、新電力→関電のスイッチングが増加している反映か。電気代の値上がり、新電力の倒産や新規募集停止など、電気の供給に対する不安の高まりで、関電が選択されているのか。
  • このままの流れだと、関電の契約が増加してしまう。さらに今後の動向を注視する必要がある。
  • 2021年4月から2022年7月までの動向は、下表のとおり。
     
    ▼電力・ガス取引等監視委員会(電取委)「電力取引の状況」による関電純減。2021年4月~
    2022年8月。下の表にない8月は、単月で8.4、累積で3498.7(11/21発表)。

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[7] 2022年4月度までの低圧販売電力量
 …関電と新電力の比較
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  • 関電の低圧販売電力量は、2021年6月に過去最低の211万MWhを記録。
  • 新電力の低圧販売電力量は、2022年1月に過去最高の180万MWhを記録。
  • 最新統計の2022年4月でみると、
    新電力は116万MWhで、関電は291万MWhとなっている。
  • 新電力が、28.6%をしめ、関電の支配力はまだまだ大きいが、
    かつての70%しか販売できていない。
  • 新電力の販売量が関電を追い越すのも、遠くはない!
  • (関電エリア)
    (電力・ガス取引監視等委員会調べ)
    (7/15発表の2022年4月度データが最新)

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[6] 関電地域、電取委[電力・ガス取引監視等委員会]による
 低圧の契約減少数(2016年4月~2022年1月)
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  • 低圧の契約変更(スイッチング)数を示す(高圧、特別高圧を含まない)。
  • データの発表は2~3か月後になる。
  • 「①関電→新電力」「②新電力→関電」「③新電力→新電力」で数字が分けられている。
  • 「①関電→新電力」は、関電離れの件数を示す。
  • 「②新電力→関電」は、取戻営業=おトク営業で関電に戻った件数、出戻りの件数を示す。
  • [①-②]が、関電純減の件数を示す。
  • 電力広域的運営推進機関(OCCTO)から公表されている累積スイッチング件数との数値には、若干相違がある。それは、電力広域的運営推進機関の情報には高圧の一部(50kW未満)のスイッチング件数が含まれること、同機関へのスイッチング申請を行った後、実際にスイッチングが行われるまでに2~3週間程度のタイムラグが存在していること等による、と説明されている。

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[5] 2021年度の契約変更件数と関電純減(累積)
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 関電地域の契約変更件数はOCCTO[オクト、電力広域的運営推進機関]による小口(低圧と、高圧の一部)の全契約変更(スイッチング)件数。したがって、新電力→関電、新電力→新電力という契約変更件数を含む。
 関電純減は電取委[電力・ガス取引監視等委員会]による低圧の契約減少数。
 いずれも2016年4月の電力小売自由化以来の累計。
 
(2022年)…2021年度末で、関電純減は340万件に達した。

  • 3/31…関電地域の契約変更件数は、512.3万件。関電純減は、340.2万件
  • 2/28…関電地域の契約変更件数は、501.8万件。関電純減は、337.4万件
  • 1/31…関電地域の契約変更件数は、494.9万件。関電純減は、335.1万件

(2021年)

  • 12/31…関電地域の契約変更件数は、487.6万件。関電純減は、332.7万件
  • 11/30…関電地域の契約変更件数は、480.7万件。関電純減は、329.8万件
  • 10/31…関電地域の契約変更件数は、473.6万件。関電純減は、326.9万件
  • 9/30…関電地域の契約変更件数は、466.2万件。関電純減は、323.5万件
  • 8/31…関電地域の契約変更件数は、453.2万件。関電純減は、320.5万件
  • 7/31…関電地域の契約変更件数は、446.3万件。関電純減は、317.1万件
  • 6/30…関電地域の契約変更件数は、438.2万件。関電純減は、313.6万件
  • 5/31…関電地域の契約変更件数は、430.2万件。関電純減は、309.8万件
  • 4/30…関電地域の契約変更件数は、422.3万件。関電純減は、305.5万件
  • 3/31…関電地域の契約変更件数は、414.0万件。関電純減は、300.9万件
  • 2/28…関電地域の契約変更件数は、404.5万件。関電純減は、297.4万件
  • 1/31…関電地域の契約変更件数は、397.0万件。関電純減は、293.7万件

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[4] 関電地域の販売電力量
(低圧、2016年4月~2021年10月)
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  • 関電の販売電力量(低圧)は、2021年6月に過去最低の211万MWhを記録。
  • 新電力の販売電力量(低圧)は、2021年1月に過去最高の159万MWhを記録。
  • 最新統計の2021年10月でみると、新電力は101万MWhで、関電は239万MWhとなっている。新電力が、29.6%をしめ、関電の支配力はまだまだ大きいが、かつての70%しか販売できていない。新電力の販売量が関電を追い越すのも、遠くはない!
  • [参考]関電地域の特別高圧は合計352万MWh、高圧は合計359万MWh、低圧は合計340万MWhで、前二者に占める新電力の割合はそれぞれ11.9%、27.7%(2021年10月)。なお、小売部門の電力自由化は2016年4月から。以上、2022年1月19日現在。

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[3] これまでのスイッチング情報–グラフや表
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▼2021年7月31日まで

▼2020年11月30日まで

▼2020年10月31日まで

▼2020年8月31日まで(グラフ)

▼2020年8月31日まで(表)

▼2019年3月31日まで

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[2] 関電離れ,一般論として
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  • 関電からの小口顧客離れは,着実に進行しています。さらに促進させましょう。加速する関電の顧客離れの根底には、電気代の違いにとどまらない関電の企業体質の問題が横たわっています。関電の顧客軽視、消費者軽視の姿勢、ユーザー目線の欠落は、地域独占総括原価方式関電 闇歴史◆036◆)で培われた本性のようなものです。
  • しかし,2020年4月から予定されていた電気料金の全面自由化が見送られた(新電力のシェアが小さかった)ことからも分かるように,電力産業において,関電など大手電力(旧一電・いちでん)の支配力は依然として強大です。
  • 発電部門では圧倒的な力をもち,送配電部門も事実上,支配しています。小売部門では,大口顧客に対しては,強烈な低価格を提示しているのではないかといわれる取戻営業,小口顧客に対してはガスとのセット販売で攻勢に出るなど,関電の存在は圧倒的です。
  • 関電には原発ノーの声をさらに大きく突きつけていきましょう。関電など大手電力の市場支配力を減衰させるには,再生可能な自然エネルギーのいっそうの拡大による地域分散型エネルギーシステムが各地で普及することが必要です。また,送配電網の完全分離も求められます。

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[1] 関西電力地域の契約変更(スイッチング)件数について
 –まとめ
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[1] 元データは二つ

(1) 電力広域的運営推進機関OCCTOオクト)の「スイッチング支援システムの利用状況」による
(2) 電力・ガス取引監視等委員会電取委)の「電力取引の状況」による

[2] 電力広域的運営推進機関(OCCTO、オクト)調べ

  • 低圧と、高圧の一部(50kW未満の高圧、2~3%程度)の合計データなので、便宜的に「小口」と表記してきた。
  • 契約変更の内訳、「①関電→新電力」「②新電力→関電」「③新電力→新電力」のすべての合計件数を示す。2020/9/30で367.7万件、2020/11/30で381.8万件。
  • 自由化が始まった(2016年4月~)当初は、「②新電力→関電」へ戻るといったケース、「③新電力→新電力」のケースはごく少数であった。そこで、OCCTOの合計スイッチング件数を、関電離れと判断してきた。
    [例]2016年度末までの累積では、②と③はそれぞれ0.34万件しかなかった。
    2017年度末までの累積では、②は4.1万件、③は3.4万件しかなかった。
  • しかし、関電がガスとのセット販売(2017年4月~)で取戻営業を進めたり(餃子の王将お食事券2000円プレゼントなどのおトク営業など)、新電力間の競争が激しくなる(新電力間の契約移動が増える)と、OCCTOの契約変更数は必ずしも関電の純減とは言いにくいようになってきた。
  • ただし、データの発表は、前月分が翌月の10日頃に公表と素早いので、関電の減少傾向を速報的に示している。

[3] 電力・ガス取引監視等委員会(電取委)調べ

  • 低圧の契約変更(スイッチング)数を示す(高圧、特別高圧を含まない)。
  • データの発表は2~3か月後になる。
  • 「①関電→新電力」「②新電力→関電」「③新電力→新電力」で数字が分けられている。
  • 「①関電→新電力」は、関電離れの件数を示す。2020/9/30で、295.5万件。
  • 「②新電力→関電」は、取戻営業=おトク営業で関電に戻った件数、出戻りの件数を示す。2020/9/30で、17.9万件。
  • [①-②]が、関電純減の件数を示す。2020/9/30で、関電純減は、取戻営業のかいなく
    277.6万件[295.5-17.9=277.6]に達した。
  • 電力広域的運営推進機関(OCCTO)から公表されている累積スイッチング件数との数値には、若干相違がある。それは、電力広域的運営推進機関の情報には高圧の一部(50kW未満)のスイッチング件数が含まれること、同機関へのスイッチング申請を行った後、実際にスイッチングが行われるまでに2~3週間程度のタイムラグが存在していること等による、と説明されている。

[4] 一般的な留意点

  • 新電力の中には関電の子会社があるほか、関電と密接な関係の新電力もある。
  • 関電の契約口数が減っても、すべての電気料金の25~30%をしめる託送料金は、関電100%子会社の関電送配電(株)の収入となる。
  • 低圧とは…特別高圧、高圧を除いた部分。電灯契約(従量電灯、照明や家庭用電気機器等)と電力契約(商店、事務所、飲食店、工場等で使用される電動機等)の合計。
  • 関電の契約件数(2020/9/30)は、電取委の「電力取引の状況」によると、
    特別高圧が 2,158件、
    高圧が  130,144件、
    低圧が14,026,899件
    (そのうち電灯が13,109,649件、電力が917,250件)
    (電灯の中の公衆街路灯など内訳は不明)
    合計契約件数は、14,159,201件となっている。
  • 関電の契約件数は、ほかにもう一つ参考にできるデータがある。
    それは、電気事業連合会・電力データ→電力統計情報
    ただし、2015年度(電力自由化は2016年度から開始)までの数値しかない。
    それによると、以下の通り。
    ・関電の2015年度末用途別契約口数は
     電灯需要(定額電灯,従量電灯ABC,選択約款など総計)…12,697,962件。
     電力需要(低圧電力)…793,537件。
    ・したがって、低圧の契約件数は合計で、13,491,499件。
    ・そこから契約件数としてあまり意味のない公衆街路灯(1,877,616件)
     (電気料金は、都道府県、市町村、自治会などが支払う)を除けば,
     低圧の契約数は11,613,883万件となる。