◆関西電力 闇歴史◆036◆

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◆関電のカネと社内権力抗争
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 ここでは、以下の2冊の本を紹介。
原発利権を追う』 朝日新聞特別報道部/著 — 朝日新聞出版
社長解任』有森 隆/著 — さくら舎

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原発利権を追う

 2014年9月に発行。第7章が“「関電の裏面史」独白”で、内藤千百里(ちもり、1923~2018年)元関西電力代表取締役副社長がとりあげられている。政界との結びつきが強い電力業界にあって、内藤は「電力の政治部長」との異名を取り、関西の政治がらみの話はすべて取り仕切ったと言われる陰の実力者であった。その彼が、朝日新聞の取材に応じ、2013年12月から2014年7月にかけて延べ69時間にわたって関電の政界工作を証言した。

 それによると、少なくとも1972年から18年間、歴代現職内閣総理大臣7人(田中角栄・三木武夫・福田赳夫・大平正芳・鈴木善幸・中曽根康弘・竹下登)や自由民主党有力者らに「盆暮れのあいさつ」として年2回200~1000万円ずつ政治献金する慣行があった、政界全体に配付した資金は年間数億円に上った、電力各社は1974年に企業献金廃止宣言をしたものの水面下で献金を続けた、という。原発依存度の高い関電にとって円滑に原発導入を進める上で政界工作が重要だった、原資はすべて電気料金で、「一に電力の安泰、二に国家の繁栄」のために「漢方薬のように時間をかけて効果が出ることを期待していた」、などと語っている。そして、献金も宴席代も電気料金からで、“玉手箱”と言っている。

 事業報酬率(→下記【参考総括原価方式)から簡単に利益が出てくる。下図はp.229より。

 

 

 

 

 

 

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社長解任~権力抗争の内幕


 2016年2月発行。第2章が“関西電力--長期独裁政権転覆のクーデター”。突然の解任動議が出されてクビになったのは関電のドンの芦原義重・代表取締役名誉会長と、懐刀の内藤千百里(ちもり)副社長。芦原は相談役名誉会長に棚上げになり、内藤は関電産業(現・関電不動産)の社長に飛ばされた。関電は「芦原-内藤体制」と言われ、会長や社長をしのぐ権力を握っていた。

 本章の締めくくりは、以下の通り。
株式会社は業績がすべてだ。…ところが、電力料金の集金人と発電所の技術者で成り立つ電力会社は、トップを誰にするかを業績と無関係に決めている。誰にくっついて引き立ててもらえるかが決め手となる。役員は御殿女中のようなものだ。役員たちが三度のメシより好きな人事抗争に明け暮れるのはこのためだ。長期政権の果ての人事抗争は、まさに関電の病理そのものだった。

 その権力構造については、“腐蝕企業”関西電力…公益企業を私物化した歴代経営陣の「飽くなき人事抗争」のサイトにも詳しい。
 その一部↓
 社内に張りめぐらされた内藤特務機関<その内部は真っ暗闇で、外からはもちろん、内部の人間にもどうなっているのかさっぱりわからない。とりわけ人事は密室人事である>。龍谷大学教授だった奥村宏は、「朝日ジャーナル」(1986年9月12日号)の「関西電力 暗黒大陸」で、こう書いた。……長期政権の果ての人事抗争は、まさに関電の病理そのものだった。
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【参考】総括原価方式とは
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 関電など大手電力は、事業報酬率をもちいた利益確保、総括原価方式で、富と権力を集中してきました。

総括原価方式…経費の3%とかを自動的に利益にできる。経費を節約して利益を出すのではなくて、経費を増やして利益を増やす。5000億円の原発を何基つくっても、経営リスクがない。そして経費を節減するどころか、経費を水増して大量の購入物品を調達してきた。こうして大手電力は、どの地域でも、その地域の財界のお殿様になって大きな顔をしています。関電の場合、水増し発注は、受注者(元高浜町助役など)の懐を経て、関電経営者とりわけ原発部門幹部の懐をうるおしてきました。

 電気料金は、税金みたいに強制的に支払わされます。大手電力は、消費者の電気料金でつくった発電施設、送配電網を独占し、それだけでなく再エネ普及を妨げ、原発温存の基盤となっています。

 どんな経営をしても自動的に利益を確保できる中で育ってきた電力会社の経営者には、経営能力はない。どこに行ってもお殿様だから、チヤホヤされる。経費は使い放題、巨額の賄賂をもらっても、預かっただけだと平気で言える厚顔さも、こうした特異な経営者だからこそ。

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【参考】高価なMOX燃料も「総括原価方式」の故に
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 電力会社は,何故わざわざ,高価なMOX燃料◆003◆)を使うのか。「プルトニウムを再利用して減らす」という国の核燃料サイクル政策に協力している(協力させられている)という面はあるが,電力会社自身にも,高価なMOX燃料を使うと,大きなメリットがある。

 それが,総括原価方式。

 すべての費用を「総括原価」とし,さらにその上に一定割合(たとえば3%)の会社利益を上乗せした金額で,電気料金を決めることができる方法。

 常に一定割合(たとえば3%)の利益が保証されているため,無駄な設備投資が増えてしまうこと,コストカットの努力を行いにくくなる欠点がある。

→ 普通の会社は経費をけずって利益を上げるが,電力会社はそうではなくて,経費を増やすことで,利益が増える。

→ 発注が杜撰になり,恣意的な高値発注や水増し発注が起こりやすく,受注者から発注者へのマネー還流が起こる。多額の「安全対策工事費」の一部が高浜町元助役を通じて関電幹部に流れたのもここに問題。

→ コストカットとは無縁でいつも高めに購入してくれる電力会社は,地域の経済界で頼りにされ(チヤホヤされ),大きな顔をしがちになる。「関経連」など地域の経済団体の中枢を占めている。

→ 経済合理性から経営方針を決めたり経営判断をする必要がない(経費を増やすことだけを考えれば良い)ので,経営陣は社内の政治力に秀でる人間のみで占められるようになる。

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1本1億円のウラン燃料を使うよりは
1本9億円のMOX燃料を使う方が
総括原価が高くなるので
 ↓↓↓
会社の利益も(3%とすれば),300万円から,900万円に増える。
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発電規模がほぼ同等の場合,
1基1000億円のガス火力発電所を作るよりは
1基5000億円の原子力発電所を作る方が,
(原発は現在は2倍ほどになっているとされるが)
総括原価が高くなるので
 ↓↓↓
会社の利益も(3%とすれば),30億円から,150億円に増える。
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(総括原価の場合は利益ではなくて事業報酬であり,普通の企業の利益とは異なると説明される(弁解?される)こともあるが,実際には,普通の企業の儲けと同じような内容。)