◆関西電力 闇歴史◆003◆

┌─────────────────────────────────
◆高浜原発用のMOX燃料製造データ改ざんを隠ぺい(1999年)
 ( ↓ 各記事へのリンク)
 【付 (10) ◆大手電力がプルトニウムの所有権を交換(2024年2月)】
 【付 (9) ◆高浜原発のMOX燃料 】
 【付 (8) ◆MOX燃料を使っている原発と不良品多発問題 】
 【付 (7) ◆MOX燃料の経済性 】
 【付 (6) ◆MOX燃料の危険性 】
 【付 (5) ◆毎日新聞の連載「迷走プルトニウム」(2022年9月 】
 【付 (4) ◆廃止措置中の東海再処理施設も難題山積 】
 【付 (3) ◆核燃料サイクルと会計問題 …再処理等拠出金法 】
 【付 (2) ◆核燃料サイクルとその破綻 】
 【付 (1) ◆MOX燃料をめぐる資源エネルギー庁との交渉 】

└─────────────────────────────────

┌─────────────
◆MOX燃料製造データ改ざんと隠ぺい
└─────────────
 1999年9月14日、高浜原発3号機に使用予定だったMOX燃料ペレット(イギリス原子燃料公社[BNFL]製造)の寸法データが改ざんされていることが明らかになった。データの偽造は、22ロット分。関電は独自の抜き取り調査を行っていたが、偽造を見抜けなかったとしている。発覚当時、高浜4号機用のMOX燃料が日本へ向けて輸送中であったが、国と関電は1999年9月24日、現地調査に基づく中間報告を発表した。この報告書は、高浜3号機用のデータ改ざんを認めたが、高浜4号機用のMOX燃料については不正はないとしていた。しかし、その後、4号機用の燃料でもデータのねつ造が判明した。MOX燃料製造の難しさの結果とされる、

 関電は翌2000年1月に、1999年10月の段階で4号機用燃料でのデータ改ざんの疑惑について情報を得ていたが、BNFLからの不正はないとの連絡を受けて、12月まで通産省や福井県に報告していなかったことを発表したとしている。つまり、不正があったという報告を受けていても、それを福井県をはじめ一般に公開せず握りつぶしていた。

 以上が、「BNFL製MOX燃料品質保証データ不正事件」。なお、東芝は2006年にアメリカの原子炉メーカー大手のウエスチングハウス(WH)を買収したが、売り手は1999年にWHを買収したBNFLであった。イギリス政府は2002年以来、原子力産業のリストラを行い、政府資産の削減を進め、BNFLも2010年に廃止され、MOX燃料工場も閉鎖された。
(Wikipedia、グリーン・アクション、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会などによる)

┌─────────────
【付 (10) ◆大手電力がプルトニウムの所有権を交換(2024年2月) 】
└─────────────
 政府は「利用目的のないプルトニウムは持たない」ことを原則にして、プルトニウム保有量を減少させるとしている。しかし、見通しは立っていない。プルトニウムを減らす具体策の一つが、MOX燃料を使ったプルサーマル運転であるが、それもゆきづまっている。
 2024年2月15日、電力大手は、海外に保管するプルトニウムの所有権を交換するという契約を結んだが、まったく小手先の打開策にすぎない。電気事業連合会が発表した。

┌─────────────
【付 (9) ◆高浜原発のMOX燃料 】
└─────────────

▲『はとぽっぽ通信』(原発設置反対小浜市民の会)、2023年8月、第254号より

┌─────────────
【付 (8) ◆MOX燃料を使っている原発 と不良品多発問題】
└─────────────
(以下、毎日新聞「迷走プルトニウム 日本保有の22トンが英国で塩漬け 国内原発での再利用難航 2022/9/1」、続報による)
 2022年2月、電力各社で作る「電気事業連合会」が22~24年度のプルトニウム利用計画を明らかにした。それによると、関西電力は高浜原発3、4号機でプルトニウム0.7トンずつを新たに原子炉に入れて使うが、他の電力会社には利用する計画がないという。

 そもそも、2011年3月の福島第1原発事故以降、プルサーマルを実施できたのは高浜3、4号機、九州電力玄海原発3号機、四国電力伊方原発3号機の4基だけ。しかし玄海3号機は19年度に、伊方3号機は21年度に、それぞれ約0.2トンのプルトニウムを入れたのが最後となった。玄海3号機は2023年11月、伊方3号機は2024年7月までの運転で、海外に加工を委託したMOX燃料を使い切り、プルサーマルを中断する見通し。九電と四電がプルサーマルをできなくなってしまった理由は、燃料用に加工したプルトニウムの在庫が尽きたからだ。高浜原発3、4号機も、2024年度の利用は、0.0トンとなった(2023/2/17発表)。

 在庫が尽きたのは、フランス工場(オラノ社メロックス工場)の不良品多発問題による。ウランとプルトニムを均一に混ぜる技術的なハードルは高い。不均一なMOX燃料を使うと、部分的に高温になり、燃料自体が壊れやすくなる。

▼「はんげんぱつ新聞」2022年10月20日号より

┌─────────────
【付 (7) ◆MOX燃料の経済性 】
└─────────────
MOX燃料は、高価でプルサーマルに経済合理性はまったくない。
・2013年6月輸送のMOX燃料は、1体当たり9.3億円。
・2011年3月輸送のウラン燃料は、1体当たり1億円。MOXは、9.3倍。

その詳細(1)…『電力と政治(上)』(上川龍之進,勁草書房,2018)によると

◆MOX燃料は価格が高く,プルサーマルに経済合理性はない。電力会社は「契約に関わる事項」などとしてMOX燃料の価格を公表していない。だが,財務省の貿易統計で輸送費や保険料を含むとされる総額が公表されている。それを輸入本数で割ると,MOX燃料(燃料集合体)は一本あたり,2010年と2013年では7億~9億円台になり,2013年6月に高浜原発に搬入されたものは,一本9億2570万円となった。
◆それに対しウラン燃料の価格も非公表だが,同様の方法で計算すると,2013年10月輸入分は一本1億259万円で,同年6月輸入のMOX燃料は,その約9倍の高値ということになる。要するにプルサーマルには,余剰プルトニウムを増やさないという目的しかないのである。そのうえ,使用済みMOX燃料は六ヶ所村で建設中の再処理工場では処理できない。将来,第二処理工場が建設予定ではあるが,その見通しは立たず,使用済みMOX燃料の処分方法は決まっていない。

その詳細(2)…2016年2月28日 朝日新聞によると

◆使用済み核燃料を再処理して作るウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料は,通常のウラン燃料より数倍高価なことが,財務省の貿易統計などから分かった。再稼働した関西電力高浜原発3,4号機(福井県)などプルサーマル発電を行う原発で使われるが値上がり傾向がうかがえ,高浜で使うMOX燃料は1本約9億円となっている。
◆プルサーマル発電は使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを再利用する国の核燃料サイクル政策の柱とされる。核兵器に転用できるプルトニウムの日本保有量(47.8トン)を増やさない狙いもあるが,国内の再処理施設は未完成なうえ,コスト面でも利点が乏しいことが浮き彫りになった。
◆電力各社は「契約に関わる事項」などとしてMOX燃料の価格を明らかにしていないが,貿易統計で輸送費や保険料を含むとされる総額が公表されている。それを輸入本数で割ると,MOX燃料1本あたり2億604万~9億2570万円。時期でみると,1999年の福島第一は1本2億3444万円なのに対し,直近の2010年と2013年は7億~9億円台。13年6月に高浜に搬入されたものは1本9億2570万円となった。
◆ウラン燃料の価格も非公表だが,同様に1998年7月輸入分は1本1億1873万円。2013年10月の輸入分は同1億259万円で,13年6月輸入のMOX燃料はこの約9倍にあたる。


┌─────────────
【付 (6) ◆MOX燃料の危険性 】
└─────────────
(以下、「老朽原発うごかすな!実行委」木原壯林さんによる)
 2021年9月9日の報道によれば、高浜原発3、4号機で使用するMOX燃料を積んだ船が8日、フランス北西部のシェルブール港を出発し、11月後半に高浜原発に到着する見通しです(ルート、日程の詳細は、公表されていません)。

・この燃料の製造は、関電がフランスの企業「オラノ」に依頼していたものです。フランスから日本へのMOX燃料の輸送は7回目(高浜原発へは4回目)で、福島原発事故以降では3回目です(前回は4年前です)。このMOX 燃料は、港から20km離れた「アレバ」の施設から、数10台の車両とヘリコプター1機に護衛された2台のトラックで夜明け前に港に運び込まれたそうですが、車列が港に到着する直前には、グリーンピースの約20人が横断幕を掲げて抗議デモを行い、車列に発煙弾を投げつけたそうです。

・高浜原発では現在、3号機で20体、4号機で20体のMOX燃料が使用されていて、両機ともに、炉心の3分の1までの使用が認可されています(全燃料体は157体)。現在MOX燃料を使用して、プルサーマル運転を行っている原発は、玄海3号機(2009年から)、伊方原発3号機(2010年から)、高浜原発3号機(2011年から)、4号機(2016年から)の4基です。

・原発は事故確率の高い装置ですが、MOX燃料を使用してプルサーマル運転すれば、以下のような理由で、重大事故の確率さらに高くなります。

① 燃料被覆管が破損しやすい。例えば、酸素と結合し難い白金族元素が生成しやすく、余った酸素が被覆管を腐食します。また、核分裂生成物ガスとアルファ線であるヘリウムガスの放出が多く、燃料棒内の圧力が高くなり、被覆管を破損させやすくなります。

② MOX燃料では、中性子を吸収しやすいアメリシウムの生成量が多く、原子炉の運転や停止を行う制御棒やホウ酸の効きが低下します。

③ 核燃料の不均質化(いわゆるプルトニウムスポットの生成)を招きやすい。

④ MOX燃料では、中性子束(中性子密度)が大きく、高出力で、過渡時(出力の増減時)に原子炉の制御が難しくなる。

⑤ 使用済みMOX燃料の発熱量は、ウラン燃料に比べて下がり難い。そのため、使用済みウラン燃料の4倍以上も長期にわたって燃料プール内で水冷保管しなければ、空冷保管が可能な状態になりません。なお、燃料保管プールが脆弱であり、冷却水を喪失しやすいことは、福島原発4号機のプールが倒壊寸前であった事実からも明らかです。

 危険きわまりないMOX 燃料の搬入を許してはなりません!MOX 燃料搬入阻止の闘いを準備しましょう!

 関電は、老朽原発・美浜3号機を再稼動し、高浜1、2号機の再稼動を画策し、高浜3、4号機のプルサーマル運転を強行しています。危険極まりないこれらの原発の運転を許してはなりません!「老朽原発廃炉」を勝ち取り、プルサーマル運転を阻止し、原発全廃へと前進しましょう!


▲2021年11月、高浜原発にてMOX燃料搬入に抗議。そのチラシ…◆報告とお礼~11.17「MOX 燃料搬入抗議!緊急現地行動」に早朝から約30 人→こちら。なお、フランス原子力大手オラノ(Orano)は2022年9月17日、MOX燃料を積んだ、英企業PNTL所属の特殊船、パシフィック・ヘロン『(Pacific Heron)』と『パシフィック・イーグレット(Pacific Egret)』がフランスのシェルブールを出港したと発表。11月頃に高浜到着の予定。

┌─────────────
【付 (5) ◆毎日新聞の連載「迷走プルトニウム」(2022年9月 】
└─────────────

・9/1…日本保有の22トンが英国で塩漬け 国内原発での再利用難航 → こちら
(データねつ造が迷走の始まり)
・9/2…「裏技」編み出した電力業界 塩漬け解消の切り札となるのか→ こちら
(イギリスとフランスにあるプルトニウムの所有権を交換)
・9/3…仏のMOX燃料工場で相次ぐ不良品 原発で異常核反応も→ こちら
(プルトニウムとウランを均一に混ぜるのは難しい)
・9/4…燃料の不良品多発で脱プルサーマル化 仏が直面する「負のサイクル」→ こちら
(期待通りの品質と量を製造するのが困難で、仕様を満たしたMOX燃料が不足)
・9/5…高すぎるMOX燃料 電力会社が口をつぐむその価格と経済性→ こちら
(元米国務次官補のトーマス・カントリーマン氏「ウラン燃料の8倍高い」)
・9/6…使用済みMOX燃料は「ごみ」となる運命か 再処理に技術的な壁→ こちら
(使用済み核燃料の再処理はいまだ実験レベル)

▲いつまで経っても完成しない六ヶ所村の再処理工場(トリチウムの放出◆075◆、再処理工場→◆082◆)。その竣工延期は、2022年9月に26回目となった。次の竣工時期は示されていなかったが、2022年12月になって「2024年度上期のできるだけ早期」と発表した。2022年に再処理工場冷却停止事故→こちら
▼破綻した核燃料サイクルの現状。MOX燃料製造工場はイギリスで閉鎖(製造の難しさから検査データのねつ造が発覚した末に)、フランスでは工法が「湿式」「乾式」と二転三転している。そんな中で、日本のMOX燃料工場がうまくいくのか、疑念はつのるのみ。

核燃料サイクルの現状

┌─────────────
【付 (4) 廃止措置中の東海再処理施設も難題山積 】
└─────────────
 2022/10/1、日本原子力研究開発機構は、廃止措置中の東海再処理施設(茨城県東海村)で高レベル放射性廃液のガラス固化処理を中断した。7月に約9か月ぶりに再開したばかりだが、前回の中断と同様、廃液をガラスと混ぜる溶融炉に残留ガラスが想定より早くたまったため、炉の運転を停止。今年11月下旬までに60本を予定していたガラス固化体の製造は、25本にとどまった。廃止措置に向けて固化処理を始めた2016年1月以降では5回目の中断。

 共同通信は、以下のように伝える(2022/9/3)。日本原子力研究開発機構が使わなくなった「東海再処理施設」(茨城県東海村)の廃止措置(解体)の担い手確保が課題となっている。2014年に廃止が決まり70年かけて作業を進める計画だが、同施設で働く機構職員は最盛期から4割減り、熟練技術者は定年を迎えて次々と退職している。人がそばにいれば数十秒で死ぬともされる強力放射性物質を安定化させ、総額1兆円規模となる巨大プロジェクト。
 以下、タイトルのみ。記事は → こちら
▽廃止は1兆円の費用がかかる巨大プロジェクト
▽50代は10年たてばいなくなる
▽絶対に落としてはいけない緊張感
▽食品、IT業界より歴史に残る仕事
▽なかなか来ない人材

 茨城新聞は、以下のように伝える(2023/9/25)。原子力規制委員会は9/25の会合で、日本原子力研究開発機構に対し、「東海再処理施設」(廃止措置中)で保管している高レベル放射性廃液のガラス固化作業を巡り、2028年度に完了するとしている計画について「非現実的な数字ではないか」として、見直すよう求めた。原子力機構は年内に見直す方針。28年度末までにガラス固化体を880本製造する計画だが、溶融炉トラブルが相次ぎ、これまでの製造は354本のみ。しかし、固化作業は炉内に金属が堆積したため中断しており、溶融炉を交換した上で(溶融炉の炉底を四角錐状から円錐状に改良)25年3月末にも再開させるという。再開から3年間で残り526本を作るというのが、現行計画。なお、「東海再処理施設」では、使用済み核燃料の再処理で発生した廃液を約360立方メートル保管している(2023年3月末)。

┌─────────────
【付 (3) ◆核燃料サイクルと会計問題…再処理等拠出金法 】
└─────────────
 核燃料サイクルと再処理等拠出金法における会計問題  → こちら。日本大学商学部『商学研究』 第34号 121-144 2018年3月)、村井秀樹。原発の会計基準はあくまでもリアルな原発の経済実態を財務諸表に落とし込むためのツールであるが,これまで核燃料サイクルを作為的に後押ししてきたツールでもあった。今後は,核燃料サイクルを推進させるような基準を策定するのではなく,破綻している核燃料サイクルの現実を直視して,このサイクルを停止,廃止に導くような会計基準の策定が求められる。

 なお、再処理等拠出金法(2016年)は、使用済燃料の再処理等事業に必要な資金を引き続き安定的に確保するため、以下の措置を講ずることになっている。(1)発生者責任の原則に基づいて、使用済燃料の発生量に応じて再処理等事業に必要な資金は原子力事業者が負担するが、積立金制度を改め、新たに設立する法人に拠出する仕組みとする。(2)拠出金が支払われた場合、当該拠出金に係る使用済燃料の再処理等事業を経産省の新認可法人「使用済燃料再処理機構NuRO、Nuclear Reprocessing Organization of Japan)」(青森市)が進める。この法律は、2023年に改正され、「使用済燃料再処理機構(NuRO)」の業務に、各地の廃炉作業の統括を追加した上で、名称を「使用済燃料再処理・廃炉推進機構」に変更。

▼原子力事業に係る既存の法人と新法人の検討資料。左端が、使用済燃料再処理・廃炉推進機構となった。資源エネルギー庁(→ こちら )より。なお、NUMO(ニューモ)は、英語名「Nuclear Waste Management Organization of Japan」を素直に訳せば、核廃棄物管理機構となる。

┌─────────────
【付 (2) ◆核燃料サイクルとその破綻 】
└─────────────
 核燃料サイクルをになう日本原燃株式会社には、関西電力からも人材が投入されている。関電の大飯原発所長から2022年6月に日本原燃の審査担当執行役員再処理事業部副事業部長に就任した决得(けっとく)恭弘氏は、8月25日の規制委事務局との面談で「これまで多くの支援があったにもかかわらず、いまだ審査が進まず、改革は難しい」と吐露。経験のある外部人材を登用しても、組織の立て直しは望めそうにない。なお、决得恭弘氏は、大飯3号機加圧器スプレイライン配管溶接部のひび割れの進展予測をごまかして、配管を取り替えないまま運転しようとした(→◆019◆)ときの審査会合で指揮をとっていた。
・東京新聞…核燃料サイクル政策の破綻が明らかな理由、「26回目」核燃料再処理工場の完成延期を発表、日本原燃(2022年9月8日)→ こちら

 2022年9月末、「核燃料サイクル」の要である日本原燃の六ヶ所再処理工場では、26回目の完成時期の延期が発表された。すでに着工(1993年4月28日、当初完成予定は1997年)から30年近くが経過しており、総事業費は、当初発表されていた7600億円から、14.44兆円(2021年時点)にまで膨れ上がっている。一方、事業主の日本原燃は、使用済み核燃料の再処理実績はゼロにもかかわらず、工場の維持に必要な費用(毎年2,000億円超)を使用済燃料再処理機構(NuRO)から得ており、それを「収入」として計上するといった、企業会計の常識からかけ離れた処理が続けられている。

┌─────────────
【付 (1) ◆MOX燃料をめぐる資源エネルギー庁との交渉 】
└─────────────
 以下は、2019年6月21日に行われた「玄海原発プルサーマルと全基ををみんなで止める裁判の会」「原子力規制を監視する市民の会」などによる政府交渉の報告。★は経産省資源エネルギー庁の発言。

<政府交渉報告>原発の使用済み燃料問題・使用済みMOX冷却に300年以上!
こちら

原子力規制を監視する市民の会…使用済みMOX燃料のトイレ問題~発熱量がウラン燃料と同等になるのに「300年以上」・資源エネ庁に根拠を聞いてみた →こちら。(下図も)


▲「プルトニウム燃料産業–その影響と危険性 核戦争防止国際医師会議報告書」(1995/10/4)

・市民側は、使用済ウラン燃料を乾式貯蔵所に移すためには燃料プールで15年間冷却する必要があり、これと同等の発熱量になるのは、使用済MOX燃料の場合は100年以上プールでの冷却が必要であることを指摘しました。

┌──経産省資源エネルギー庁
★使用済MOX燃料が使用済ウラン燃料と同等の発熱量となるのに
「300年以上かかるのは事実」
└──
・交渉で,参加者がいちばん驚いたのが,プルトニウム燃料(MOX燃料)をプルサーマルで用いた後の使用済MOX燃料の発熱量が,使用済ウラン燃料と同等になるのに300年以上かかることをエネ庁が明言したときでした。こちらで示した資料は100年までしかなく,100年以上かかりますねと聞いた答えがこれでしたので,なおさらでした。ウラン燃料ですら,使用後15年経って発熱量が下がってからでないと,乾式貯蔵に回すことはできません。使用済MOX燃料は,300年以上経たないと再処理はおろか,運搬することもできないことになります。
・使用済みMOX燃料は発熱量が高いため乾式貯蔵施設にも入れられませんが,国は「使用済ウラン燃料の15年後と同等の発熱量まで下がるには300年かかる」と言いました。その間,ずっと原発サイトのプールで保管するのでしょうか? 誰がどうやって安全に保管するのでしょうか? 処理方法は「研究開発段階」とのこと。伊方原発でも高浜原発でも,使用済みMOX燃料が出てきています。玄海原発でももうすぐ出てくるのです。
(ただし、後でこの「300年」については「過去の報道の内容を申し上げたもの」と否定)

┌──経産省資源エネルギー庁
★使用済MOX燃料を処理するための
第二再処理工場は「目途は立っていない」
└──
・使用済MOX燃料の再処理は,現在の六ヶ所再処理工場では技術的にできないため,第二再処理工場で行うことになっています。しかし,エネ庁に対して,技術的な目途はあるのかと問うと「目途は立っていない」と答えました。
・プルサーマルにより出てくる使用済MOX燃料は,原発サイトのプールで300年以上冷やし続けなければならないことになります。原発を抱える地元の住民にしてみればたまったものではありません。300年間,冷やしたあとの処理方法も決まっていないのです。

┌──経産省資源エネルギー庁
★中間貯蔵・乾式貯蔵後の使用済燃料の
「行き先は決まっていない」
└──
・交渉では,六ヶ所再処理工場の稼働期間について,日本原燃が40年としていることをエネ庁に確認しました。中間貯蔵・乾式貯蔵への搬出時には,六ヶ所再処理工場は操業が終っています。審査中のむつの中間貯蔵施設について,申請書では搬出先について,「契約者に返還する」としか書いていないことを規制庁に確認しました。第二再処理工場の目途はたたず,中間貯蔵・乾式貯蔵後の使用済燃料の行き場がないことが改めて確認されました。

◆002◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆004◆