投稿者「meisei」のアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆093◆

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◆関西電力送配電、電圧測定怠り記録を捏造、虚偽報告
 経産省が詳細報告求める(2023年3月)

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◆怠慢、捏造、虚偽報告
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・経産省は2023/3/14、関西電力送配電株式会社が法律で義務付けられた電圧の測定を怠り、記録を捏造していたと発表。問題があったのは、関西電力送配電の一部営業所。経産省は電気事業法に基づき報告を求め、ほかの送配電会社などでも同様の事案がないか、確認を始めた。

・電気の安定供給を確保するため、電気事業法では送配電会社に対し、電圧と周波数を測定し、記録を保管することを義務付けている。違反した場合は30万円以下の罰金が科される。作業は年1回行う必要があるが、関電送配電の営業所の一つが2020年度から3年間、約120か所の家庭を対象に測定していなかった。本店には虚偽の結果を報告していた。問題の営業所では、毎年1回、120程度の家庭を抽出し、その電圧を測定すべきところ、実際は行わずに虚偽の数値を本店に報告していた。不正は確認できる限りでは2020年度から始まっていた。

・関電は不祥事が多すぎてコンプライアンスが崩壊している。そんな企業が原発を動かすのだから、恐ろしいこと、この上ない。

◆092◆←←関西電力 闇歴史→→◆094◆(未)】

New!3/2 第36回口頭弁論の報告

 2023年3月2日(木)に京都地裁で第36回口頭弁論が開かれました。
模擬法廷&報告集会は、ハートピア京都で行いました。
事前のお知らせチラシ→こちら

  • 今回、1年ぶりに開廷前の裁判所周辺デモを行いました。参加者は、20名とやや少なめでしたが、今後は、さらに呼びかけを広げます。
  • 開廷前デモ、法廷傍聴、報告集会にご参加の皆さまは、たいへん御苦労様でした。
  • 原告席…14名の申込を受け付けました。この回から人数が多くなりました。
  • 傍聴席…昨年6月よりコロナ禍による制限がなくなり、全席およそ90席が使えるようになったのですが、傍聴希望者の方が少なくて抽選にはなりませんでした。
  • 原告の意見陳述…舞鶴市に在住の添田光子さん。原発事故が起こったときの避難の困難性、ヨウ素剤配布の問題などを具体的に主張しました。→こちら[231 KB]
  • 弁護団の準備書面…原告第99準備書面-過酷事故発生時の公務員の被ばく労働の問題-を提出、要旨を陳述しました。→こちら[318 KB]
    ・第1 自治体職員の被ばくを前提にした住民避難計画は法令上実施不可能であること
    ・第2 避難計画実施以後のメンタル疾患の恐れ
    ・第3 被告らの責任放棄の結果であること
  • 報告集会…意見陳述をされた添田光子さんの発言があり、弁護団および原告団からの報告がありました。
  • カンパ…参加者の皆さまからカンパをいただきました。感謝いたします。


▲報告集会にて

 

 

◆3/2 第36回口頭弁論 原告提出の書面

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【原告】裁判資料ーー今回の準備書面、意見陳述 → このページで以下に掲載。
    前回までの準備書面、意見陳述は → こちらのページから。
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【原告】裁判資料ーー今回の証拠説明書と書証(甲号証)→ このページで以下に掲載。
    前回までの証拠説明書と書証は → こちらのページから。
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【参考】
・今回、被告–国 が第5準備書面、書証などを提出しています → こちら
・今回、被告–関電 が第38準備書面、書証などを提出しています → こちら
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★[第100準備書面[206 KB] 関係]証拠説明書甲第627号証[73 KB]
(2023年2月20日)

甲第627号証[231 KB]…口頭弁論要旨【添田光子さん】

★[第99準備書面[318 KB] 関係]証拠説明書甲第620~626号証[185 KB]
(2023年2月17日)

甲第626号証[620 KB]…自治体職員のメンタルヘルス 原発被災自治体職員の意識調査から – 特集 – 情報労連リポート
甲第625号証[3 MB]…東日本大震災の被災地で・・・自治体職員の心理的ストレス
甲第624号証[23 KB]…舞鶴原子力災害時職員行動マニュアル(抄)
甲第623号証[5 MB]…京都府緊急時モニタリング実施要領(抄)※証拠化は印字20頁のみ
甲第622号証[1 MB]…京都府地域防災計画原子力対策編(令和4年6月9日修正)(抄)京都府防災会議 ※証拠化は印字47頁のみ
甲第621号証[2 MB]…舞鶴市原子力災害住民避難計画(平成31年3月19日)(抄)証拠化は印字11~14頁
甲第620号証[1 MB]…防災基本計画(令和4年6月)(抄)中央防災会議 ※証拠化は印字271~279頁及び285~287頁

◆3/2 第36回口頭弁論のお知らせ

・電話、FAX、葉書による連絡で原告席参加を希望される場合(郵送希望原告に登録されている場合)は、案内の郵便を発送しましたので、その案内にしたがって申込ください。
・メールによる参加申込は、2月16日のメーリングリストによる案内を受信されてから申込ください。
・今回、以下の点にご注意ください。
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・前回に続き、開廷前の裁判所周辺デモを行います。
・模擬法廷、閉廷後の報告集会は、★ハートピア京都★となります。
(ハートピア京都は、地下鉄烏丸線・丸太町駅のすぐ上です)
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◆特別のお願い
傍聴席の制限は解除されています。可能な範囲で多くの皆さまの傍聴ご参加をお待ちしていますが、無理をされないようにお願いします。
発熱や風邪のような症状のある方、体調不良の方は、参加をお控えください。マスク着用をお願いします。咳エチケットの励行をお願いします。また、消毒液が用意されていますので、お使いください。
・模擬法廷&報告集会の会場入口では、念のための連絡用として、氏名と電話番号をご記入ください。2週間程度で廃棄します。

◆タイムテーブル
12:10…裁判所構内の南東角、弁護士会館の玄関前に集合
12:15…裁判所周辺の定例デモに出発。13:00頃まで
13:25(見込み)…傍聴券の抽選リストバンド配布開始。地裁北玄関前。傍聴は誰でも参加可能
13:40(見込み)…裁判所による傍聴席の抽選リストバンド配付終了。直ちに抽選→傍聴券の配布。抽選にもれた方、入廷を希望されず模擬法廷に参加される方は14:30までに★ハートピア京都★の模擬法廷へどうぞ
14:30…開廷、弁論開始。同時刻に★ハートピア京都★で模擬法廷も開始
15:45頃から…閉廷後、★ハートピア京都★で報告集会。30~60分程度

裁判に参加する方法…以下、三つの方法があります。
原告の皆さまは下記、[1] 原告席か、[2] 傍聴席か、[3] 模擬法廷のいずれかでご参加ください。
原告でない方は、[2][3]でご参加ください。

[1] 原告席…法廷の中で柵の内側に、原告として入ります。
被告「関電、国」の正面に座ります。
・原告団が氏名を裁判所に通知します。希望される場合は、郵送の案内またはメーリングリストにしたがって、事務局宛ご連絡ください。
・コロナ以前は合計35名ほどの原告が参加できましたが、今回は、14名程度となります。
・定員に達するまで、先着順で受け付けます。

[2] 傍聴席…法廷の中で柵の外側。88席あります。
傍聴席に座るには、裁判所が抽選を行います。
・13:25~13:40(見込み)の間に、京都地裁正面玄関前で、抽選リストバンドが配布されます。
・傍聴席は、原告でない方も、誰でも抽選によって参加することができます。
・傍聴席に入ることができなかった場合、または、最初から法廷に入ることを希望されない場合は、次項に記載の模擬法廷にご参加ください。

[3] 模擬法廷…弁護団が用意します(法廷と同じ14:30開始)。そこに参加するには
★ハートピア京都★へ、直接おこしください。
・法廷よりもわかりやすく、弁護団が解説します。
・事前に提出されている被告(国や関電)側の書面があれば、その解説も行います。

◆報告集会の開催
・法廷の終了後、★ハートピア京都★にて報告集会を開催します(15:45頃から16:30頃まで)。
・裁判の進行などを、弁護団から説明いたします。裁判に関するご質問などもどうぞ。
・コロナ禍の状況によっては、報告集会自体を取りやめる可能性もあります。その場合は、あらかじめ原告団Webサイト(「京都脱原発原告団」で検索可)に掲載します。
・電話でのお問い合わせは、090-5660-2416(吉田あて)。


(原発関連裁判、詳しくは→こちら

◆関西電力 闇歴史◆092◆

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◆際立つ関西電力の悪質な経営姿勢!
 原発を含めた基幹インフラをになう公益企業として
 目に余るルール無視、欠如する倫理や規律(2019~22年噴出)
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(1) 原発マネー不正還流…2019年発覚。総額3億7000万円もの金品受領、減額した役員報酬の闇補填、追徴課税分の闇補填、水増し高値発注、利益供与を目的とした発注など、最悪の幹部腐敗。株主による訴訟(◆018◆)では、関電現経営陣も及び腰ながら旧幹部を訴えざるを得なくなった。市民による刑事告発(◆072◆)では、大阪地検が露骨に関電を擁護して不起訴処分を連発しているため、検察審査会が舞台になっている。

(2) 不正資格取得…2021年発覚。グループ全体で社員180人と退職者17人が、国家資格の施工管理技士を不正取得。不正取得者は原発工事15件にも関係。(◆022◆

(3) カルテル…2021年発覚。関電が主導で大手電力のカルテル。自主申告をした関電は課徴金なしになった。自主申告がコンプライアンス(法令遵守)意識によるものか、単なる打算、経済的なインセンティブ(動機)にすぎないのか、地域独占と総括原価方式で培われた唯我独尊の企業体質が問われている。電力システム改革ばかりでなく、資本主義経済の競争原則を真っ向から否定する違法行為の責任は重大。電力業界のリーダー格とされる関電は、罰金を免れたからといって、責任をとらなくてよいはずはない。(◆024◆

(4) 不正アクセス…2022年発覚。関電の小売部門が送配電子会社の情報に不正アクセスし、競争相手の新電力の顧客情報を盗み見ていた。22年4~12月分では計1013人の社員らが計4万806件分もの情報を閲覧し、営業活動にも利用。関電の社内調査によると、閲覧した社員の4割は「電気事業法上問題になり得る」と認識していた。送配電分離という電力システム改革を真っ向から否認する違法行為。(◆087◆

(5) 使用済み核燃料の中間貯蔵施設を県外に確保…2023年末までに福井県に提示することになっている。過去何回も、約束を破り、前言を翻してきた。その場しのぎ、口先だけで騙しているともみえ、倫理観がまったく欠如している。森本前社長は「2023年末の期限までに計画地点を確定できない場合には、その後確定できるまでの間、美浜3号機、高浜1、2号機の運転は実施しないという不退転の覚悟で臨みたいと考えております」と発言している。森現社長も、「23年末までに計画地点を確定できない場合、運転開始から40年を超えた美浜原発3号機、高浜原発1、2号機は計画地点確定まで運転しないとする方針を引き継ぐ」と福井県知事に約束している。この約束を守ることができるのか。(◆012◆

……使用済み核燃料を何処に置くかを問題にしているわけではない。置き場所を早く決めるべきだと言うことでもない。使用済み核燃料についていえば、増やさないようにしなければならない。これまで何回も約束を守らなかった関電の口先の出任せが倫理観欠如。平気で空約束をする体質が問題。仮に今年はようやく守ったとしても、過去の不履行の非行は消えてなくなったりしない!

◆091◆←←関西電力 闇歴史→→◆093◆

◆関西電力 闇歴史◆091◆

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◆[1]◆福井地裁では、2023年1月現在、
 2件の仮処分裁判が進行中

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(1) 一つは、高浜原発1~4号機の運転差止を求めるもの。中嶌哲演さんと田内雄司さんが2022年に本人訴訟として始めたが、現在は代理人弁護士がついている。2023/1/30に第4回審尋。

(2) もう一つは、老朽美浜原発3号機の運転差止を求めるもの。大阪地裁での美浜3号機仮処分が2022/12/20に却下されたのを受けて(大阪高裁に即時抗告しているが)、それとは別に、福井県民10名が2023/1/13に申立。

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◆[2]◆高浜1~4号機の差止を求める仮処分について……上記[1]-(1)について
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 申立人のおもな主張。
・関電は原発を稼働しうる最大の根拠として「原子力規制委員会が新基準に適合の判断をしたこと」を掲げているが、地元住民としては根本的に疑義がある。規制委は、安全だとは言っていない。
・老朽原発の1・2号機が稼働すれば、危険はつねに緊急、重大である。
・若狭への15基もの集中化こそ、「危険性」を根源的に実証している。
・関西電力は、設置前後から企業倫理を逸脱!
・「あとからくる者のために」原発のない社会を!

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◆設置前後から企業倫理を逸脱していた関西電力!
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 第5準備書面(2022/9/30付)では、申立人が、「設置前後から企業倫理を逸脱していた関西電力!」などの主張のもとに、下記の資料を書証として裁判所に提出。

  • 『父と子の原発ノート――それは若狭に灯をともしたか』~~ゆきのした文化協会・日本科学者会議、1978年。高浜1・2号機反対の運動について。
  • 「脱原発のための小浜市民からの提言」~~『環境と公害』2016年1月号(岩波書店)より
     →本項◆091◆、以下に掲載。小浜市民の半世紀に及ぶ活動を簡約した論考。
  • 「インタビュー 関西電力との50年闘争」~~『世界』2020年4月号(岩波書店)より。高浜3・4号機増設の顛末について。
     →前項◆090◆

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◆[3]◆脱原発のための小浜市民からの提言
 中嶌哲演

 ~~『環境と公害』2016年1月号(岩波書店)より
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1.5次にわたる小浜市民のたたかい
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 15基もの原発群が集中した若狭において、小浜市民がこの40数年間、原発および関連施設を拒否し続けてきたたたかいは、要約すれば以下の通りである。

①小浜原発誘致の第一次阻止運動(1968~72年)
②同第二次阻止運動(1975~76年)
③同第三次阻止運動(1984~87年)
④使用済み核燃料中間貯蔵施設誘致の第一次阻止運動(1999~2004年)
⑤同第二次阻止運動(2008年)

 また、70年代の大飯原発1・2号機の建設、80年代の3・4号機の増設に対しても、実質上の地元住民(同原発から10 km以内の住民分布で、小浜市民は75%を占めていた)として、強力な反対運動に取り組んだ。だが、関西電力や国・県などの理不尽な原子力行政(「地元」は大飯原発の立地自治体の大飯町のみ)によって、阻止に至らなかったことは痛恨の極みである。

 関西電力の小浜原発誘致問題が浮上した頃、小浜市はすでに敦賀市、美浜町、高浜町で建設や計画が進む7基の原発によって包囲されていた。当時の小浜市長や市議会の多数会派も誘致に意欲満々であった。そのような四面楚歌の状況の中で、上記の小浜市民のたたかいは展開されたのである。

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2.美しい若狭を守ろう―共同と協働
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 これまでの運動を支えてぎた小浜市民の理念には、以下の3点があったように思う。

(1) 全運動を通じて、「美しい若狭を守ろう!」のメインスローガンが貫かれた

 上記①では、青・緑・赤の同心円のシンボルマークが大きな役割を果たした。美しく青い小浜・若狭の海を抱きこむ緑の半島や岬、それらを取り巻く原発群の危険な赤。最外円の赤は、その危険を美しい故郷を守る団結の輪に変えようという両義性をもっていた。また①の運動で、6回にわたって全戸配布されたビラの中でも、小浜を訪ねた観光客たちのことばも紹介しながら、次のような一節も含まれていた。

 「水がきれい/新鮮な魚/景色がすばらしい/古い文化財が多いのに感心/素朴、土地の人がとても親切/文化財と自然環境を破壊しないように/自然との調和を図りながら観光都市としての発展を。
…公害列島化しつつあるわが国において、美しい若狭は、いまや私たちだけのふるさとというものにとどまらず、国民的なオアシスになっています。また、こうした条件を生かす地域開発こそ、若狭・小浜の真の発展をもたらすものといえましょう」と。

 若狭の原発群から関西広域圏へ送電されてきた40余年の経緯を振り返るにつけ、小浜市民のこの初心を忘れてはなるまい。

(2) 共同と協働

 これがわが市民運動を支えてきた伝統でもあった。上記①~③の運動を担ったのは、1971年末に結成された原発設置反対市民の会である。60~70年代にすでに分裂していた原水禁運動や反原発運動のはざまで、小浜市民の会を構成した6加盟団体と3オブザーバー加盟団体は、先のシンボルマークの精神にそって、小浜に原発や中間貯蔵施設の設置を許さないという共同目的のもとに団結し、有権者(2万4000人)の過半数を達成する署名運動などで協働した。④の運動では、小浜市民の会だけでなく、若狭小浜の自然と文化を守る会などの広範な共同と協働によって、中間貯蔵施設誘致と引き換えに50年間で約1300億円の交付金をという誘惑を乗り越えて阻止したのである。

(3)「あとからくる:者のために」–注1)

 たとえば、④の運動の渦中で、小浜市民の会は全市民対象のビラの末尾で訴えた。「1970年代に、市民の声に耳傾けられた鳥居・浦谷両市長は、『原発による財源よりも、市民の豊かな心を選ぶ』と、小浜市への原発誘致を断られました。小浜の自然や歴史・文化をふまえた『食中心の町つくり』を高唱されている現在の村上市政にも、『核のゴミ施設』の誘致は決定的なイメージダウンを招くでしょう。何よりも、私たちの『後からくる可愛い者たちのために』再び小浜からの良識の声を上げていきましょう」と。数千世代後の後世代にまでそのツケを残す放射性廃棄物(死の灰)を、新たに生成・蓄積するという一事だけでも、原発の再稼働は許容されないだろう。

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3.3つの「地元」
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 「フクシマ」の惨禍にもかかわらず、原子力ムラと原子力行政は原発の再稼働と延命へ向けて暴走している。その背景をなす過去のプロセスと現在の問題点を、以下のような視座からとらえ直してみたい。

 原発の「地元」概念で、「立地地元」と「被害地元」の2つは定着したが、私は「消費地元」も加えて検討したい。日本列島の原発「地元」は、例外なく過疎・辺境の地域にある。敦賀・美浜・大飯・高浜の若狭の原発群もしかり。しかし、それらの地域が最初から原発を歓迎したわけでは決してない。道路やトンネル、橋などのインフラ整備、巨額の固定資産税や交付金などとの交換条件によって、当初の疑惑や反対運動が押さえ込まれていったのである。ここでは詳論できないが、その過程を「原発マネー・ファシズム」の支配あるいは「国内植民地化」と私は表現している。

 原発が真に「安全」で「必要」であるならば、火力発電所と同じように大都市圏の「消費地元」の海岸部になぜ建設できなかったのか。原発の「安全神話」と「必要神話」は、福島や若狭に1基目の原発が建設された時、すでに原理的にも客観的にも崩壊していたのではないだろうか。

 2014年5月の福井地裁の判決で明らかなように、大事故時の「被害地元」は、いまや250 km圏に及ぶ。それが、立地地元と消費地元を結びつけつつある。と同時に、「立地地元」住民は、目先のメリットのために自然や地域社会を破壊し、後世代に巨大なツケを残す倫理的責任を問われるだろうし、「消費地元」住民も、これまで弱小の地域・住民に危険施設を押し付けてきた倫理的責任を問われるのではないだろうか。原子力ムラや原子力行政の根本的な責任を糾明するとともに、3つの「地元」住民の各当事者性の内実をも反省する必要があろう。

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4.小浜市民からの6つの提言
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 若狭・小浜は、明治時代の一時期、滋賀県に属したことがある。ことほどさように、琵琶湖を介して、若狭と関西圏のつながりは地理的にも歴史的にも深い。小浜から奈良へのお水送りとお水取りの行事でも象徴されている通り、美しい若狭の海の塩や魚介類を畿内に送ってきた食の伝統は、全国の自治体に先駆けて2001年に制定された「小浜市食のまちづくり条例」に継承されている。それに基づく身土不二や地産地消の産業、環境、福祉、教育、観光などへの具体化は、原発関連産業とは両立せず、前記の中間貯蔵施設阻止運動を力強く支えた。

 若狭の原発群の廃炉や後始末へ向けて、私たちは小浜市民の会の隔月刊紙で2012年に次のような提言をおこなった(「若狭の原発を考える一はとぽっぽ通信」第190号より)。

①過酷な被災の後だったとはいえ、福島県は「原子力に依存しない安全・安心で持続的な発展可能な社会つくり」を決断し、国も法的・財政的な支援をすでに始めている。
②福井県も自ら原発震災を被る前に、福島県をモデルにするべきだろう。再稼働・延命存続のための巨額な予算と、脱原発に資する諸事業への予算の配分を逆転させよう。
③かつての国の基幹エネルギーとして石炭から石油へ転換した際に、「産炭地域振興臨時措置法」(1961~2001年)を制定・施行したことも再検討しよう。
④原発の後始末や原発に依存しない地域つくりを試みている海外の先行事例も参照してみよう。
⑤地元の草の根から原発にたよらない方途を模索している若い世代を支援しよう。
⑥原発電力の「消費地元」たる関西大都市圏なども、原発の永久停止を条件に、合理的な電気料金値上げも含めて、脱原発への具体的で速やかな方策にとりかかろう。

 この提言が反映されたのかは不明だが、2013年10月、福井県庁内に、原発依存の地域経済・社会をどう転換していくかという研究テーマも含む「廃炉・新電源対策室」が立ち上げられた。まだ緒についたばかりだが、若狭の住民・福井県民はこれに注目し、「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富」(2014年5月21日「大飯原発3、4号機運転差止請求事件」の福井地裁の判決文より)という精神を吹き込んでいかなければならない。

 そのことはまた、関西広域圏の水がめを守るための上記⑥の実践ともつながらなければならない。
(なかじま てつえん・明通寺住職〉


1) 坂村真民(1974)「あとからくる者のために」『詩国』13巻12月号(通巻150号)([1986]『坂村真民全詩集』第3巻(大東出版社)等に収録)。

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◆関西電力 闇歴史◆090◆

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◆「インタビュー 関西電力との50年闘争」(中嶌哲演さん)
 ~~『世界』2020年4月号(岩波書店)より
・関西電力と若狭の原発……反対派を黙らせようとした工作の数々
・反対運動に対する嫌がらせ……原発マネー・ファシズム
・地域から見た森山助役……反対運動をおさえる政治工作に関与
・原発がはらむ差別構造……若狭に突き刺さる差別の逆ピラミッド
・関西電力は今後変わるか?……カギを握るのは市民

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◆送られてきた内部告発文書
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・略
中嶌 関西電力側は、当初、問題を甘く見ていたようですが、ついにトップは辞任に追い込まれ、多くの市民から刑事告発を受けるに至っています。あの不誠実で傲慢無礼きわまる関電幹部達が辞任に追い込まれたことは、かつてない快挙といえるでしょう。内部告発者の勇気ある行動と、報道機関のジャーナリズム、そして市民の広範な運動が、この快挙をもたらしたのです。

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◆断食闘争と裁判
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・略

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◆関西電力と若狭の原発
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――福井県南部の嶺南地区、若狭湾の沿岸には、一五基もの原発がひしめき、文字通り世界一の原発集積地域となっています。

中嶌 関西電力の美浜原発は三基、高浜原発が四基、大飯原発四基、それに日本原電の敦賀原発に二基のほか、高速増殖炉もんじゅ、新型転換炉ふげんもあり、まさに「原発銀座」です。

 私が原発問題にかかわり始めたのは一九六八年で、私の住むここ小浜市で原発建設計画が表面化してからです。そのときすでに若狭では七基の原発が計画決定、建設中だったのです。一九六六年には関西電力が小浜市の内外海(うちとみ)半島の奈胡崎(なござき)に地質調査に入っていました。

 関西電力は小浜に四基の原発計画を持っていました。.私は被爆者の支援に関わっていたのですが、そこから原発誘致に反対する市民運動に関わることとなって、現在に至っています。

 かつてこの若狭は、自然はあくまで美しく、澄みきった海は夏になれば多くの海水浴客を集めて繁盛し、歴史と調和した景観は「海のある奈良」とも呼ばれたものでした。しかし、悲しいことに、この地を原発建設の適地と見た関西電力にとってみれば、そのような自然も景観も人々の営みも無に等しいものでありました。

 この五〇年間にわたって、若狭の人々は、あらゆる抵抗を押しつぶされ、脅され、懐柔され、侮辱され、事実を隠され、不和の種を地域に撒かれ、自由を奪われ、まさに国内における植民地としての位置を押し付けられてきたのでした。市民の抵抗なく原発が立地されてきたのではありません。

 そして、抵抗は現在も続いているのです。そして、その私たちの抵抗を押しつぶそうとする動きの末端に、森山元助役は存在しておりました。

 反対派を黙らせようとして行われてきた工作の数々は、まさに枚挙に暇がありません。私自身も、盗聴や尾行をはじめ、多くの妨害を経験してきました。中には直接的に命を狙われるようなこともあります。大飯原発の建設の際、用地買収には地主に土地を手放させる必要がありますが、,最後まで反対した二人のうちの一人は「住みよい町造りの会」のメンバーでした。彼が会の会議で夜遅く帰宅する際、国道二七号線から路地に入ったところで、後ろから猛スピードで車が突っ込んできて、もし側溝をまたいで民家の塀にしがみつけなかったら、そのまま轢き殺されていたでしょう。これは殺し屋を雇っての仕業ではないかと話題になりました。

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◆反対運動に対する嫌がらせ
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中嶌 小浜では請願署名その他の長年にわたる住民運動の積み重ねの上にどうにか原発建設は阻止できましたが、その過程での嫌がらせといえば、それはもう、いろいろありました。

 小浜市の対岸に位置する大飯原発3・4号機の増設をめぐって、向かいの内外海(うちとみ)半島の集落で若いお母さんに集まってもらい勉強会を開きました。私はただ話をし、数枚の資料を配ったにすぎないのですが、後日、その地区の区長のもとに警察官がやってきて、何人が集まり何を話し何を配ったか事細かに聞いたそうです。その区長から私に対し、「警察沙汰は困る。もう来ないでくれ」と電話がきたのです。せっかく勉強会を継続する話ができていたのに、それで絶たれてしまいました。

 私はすぐ小浜警察署に抗議に行ったのですが、部屋に入ろうとしたら、両側から署員に抱えられ、追い出されました。抗議の内容すら聞かない。後日、知事との交渉の際、こういうことがあったと訴えたら、「民主主義の時代にありえないことだ」と否定して、これも話をろくに聞こうとしない。

 小浜原発反対署名を市議会に提出し、ついに議会で建設断念の決着がついたあと、夜中に私のもとに電話がかかってきて、「月夜の晩ばかりあると思うなよ!」と時代がかった文句の脅迫がありました。

 しかし、高浜や敦賀など、原発現地の住民が受けた嫌がらせは、そんな生やさしいものではありません。生活の根底が脅かされるのです。高浜の老舗旅館の館主は、関西電力や町当局と穏やかな関係をもっていたのですが、批判というほどでもないちょっとした一言が関電関係者の気に障り、半年間その旅館に客を寄りつかなくさせられました。この一例だけで地域の商工業者全体への「示し」となるわけです。

 子どもを楯にとった嫌がらせは本当にたまらないものですが、親が原発に反対していると、その子どもにいじめがいく。巨大な原発を小さな町に押し付けているのですから、ことはいくらでも起きます。

 大飯原発の地元の漁村で、住民投票条例を求める署名に応じてくれた女性が、あとで娘さんの運転する車で血相を変えて事務所に飛び込んできて、「あの署名はなかったことにしてくれ」と抹消を求めたこともありました。近所の人に、「あなたのところは関電の下請けで働いている人がいるよね」と言われたのです。あとでわかったことですが、私たちが署名活動をすることが二、三日前にもれていて、関電が下請け企業に指示を出し、企業の管理職が、その地域の社員に、署名運動に応じないよう地域住民に働きかけろという業務命令を出していたのです。また別の家庭では、署名に応じてくれた妻に対して、漁業補償を得るつもりだった夫の暴力事件も起きました。

 私はこれらを、「原発マネーの支配と、それによる原発マネー・ファシズム」と言っています。札束によって言論の自由、集会の自由、署名の自由をことごとく束縛していくのです。

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◆地域から見た森山助役
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――今回、森山栄治元助役の存在が注目を浴びていますが、地域から見た場合にはどのような存在だったのでしょうか。

中嶌 関電が発注する工事の割り振りなどに介入していたとのことですが、先ほども申し上げたように、森山元助役の存在は、地域では反対運動をおさえ、反対派の町長などが当選しないよう政治的に工作することにも携わっていたと私たちは認識しています。

 反対運動の初期、一九七〇年後半、高浜3・4号機増設に反対する福井県知事あての署名に取り組んだことがあります。高浜町民からも二千数百筆ほど集まったのですが、あろうことか高浜町の職員が県に署名の閲覧を請求し、町民提出分を全部カメラに収め、署名者のうちの有力な人に圧力を加えていったのです。これは森山氏が高浜町の収入役から助役になった時代のことで、彼の指示ないし関与があったでしょう。

 この時の最大の山場は、一九七八年の高浜町長選挙でした。それまで「高浜の海と子どもたちを守る母の会」の反対署名や議会傍聴の取り組み、請願活動もあって関電から当時の浜田倫三町長・森山助役に流れた「黒い九億円」、実際には十数億円とも言われていますが、黒い霧を追及する町内の宣伝行動も行なっていました。そうした町民の声を背景として、慎重派の元小学校長が出馬し、一騎打ちとなりました。この方は保守ではあっても良識派で、3・4号機増設については、「まず町民の声を聞く」という態度で臨んでいました。私どもからみれば生ぬるい公約ではありますが、それでも、森山元助役たち推進派にとってみれば脅威だったでしょう。握り飯に一万円札が入っているといったうわさが飛び交う熾烈な選挙となりました。結果は、四〇〇〇票対三六〇〇票で浜田氏が五選を果たしたのですが、後日談があり、町長選の三ヵ月前に、新しく六〇〇人が高浜町民として住民票を移していたのです。関西電力や下請け企業の従業員、それに3・4号機建設が決まればそれを請け負うゼネコンの従業員たちで、それが町長選の結果を変えたわけです。森山氏はリアリストで、住民感情をリアルに認識していた。このまま町長選に突入したら危ない、負ける、と思ったのでしょう。関電に進言し、推進派の「住民」が送り込まれ、その結果、3・4号機建設に至ったのです。最近の報道で、この時期に関電トップと森山氏が会っていたということが出ていましたが、さもありなんと思います。森山氏はこうしたこともメモとして残していたようで、それを関電経営陣への脅迫にも利用していたようですから、その点もジャーナリズムには引き続き追及してほしいと思います。

 高浜町で森山氏のことを知らない人はおらず、「天皇」とも呼ばれる力をもっていました。原子力という閉鎖的で巨額のカネが飛び交う世界には、多くの「天皇」が必要となるようで、関電にも「天皇」はいたようですし、福井県の政財界に君臨する熊谷組の二代目社長・熊谷太三郎氏は「熊谷天皇」と呼ばれ、のちに参議院議員、原子力委員会の委員長も務めました。長く北陸三県の長者番付のダントツ一位。今回、森山氏の介入の中でも名前が出てきましたが、熊谷組は若狭の原発建設を支配していました。

 森山氏が関電に資金を還流させていた問題は、原発立地の現地と、それを押しつけてきた関西電力の「両極」に歪みを生んだと思っています。現地では森山氏や彼がかかわる吉田開発などの存在が現れ、もう一方では、ばらまいたカネを自分の懐に還流させる、関西電力のモラル崩壊を生じさせた。

 3・11を経て、もはや原子力産業自体が末期症状を呈しているのです。

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◆原発がはらむ差別構造
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――関西電力に対して今、言いたいことはありますか。

中嶌 モラルが地に堕ちた関西電力ですが、私は必ずしも絶対悪という全面否定はしたくないと思っています。電力会社は、形態としては私企業ではあっても、私たちの生活に必要な電力を供給する、公共的性絡を帯びている事業体です。この公共性に沿った企業運営があってしかるべきです。

 原発は負の部分が重くて大きい。若狭は、その原発を受け入れたことにより、それまで放置されつづけてきたインフラ整備は進みました。出稼ぎに出ずとも働ける場所ができました。しかしそれは麻薬的なメリットであり、地域は分断されました。

 他地域の原発も基本的には同じ構造で、自分たちが受け入れたものが何だったかを思い知らされたのが、福島の原発事故でした。

 なぜ若狭に原発が集中したのか、そこには、幾重にも重なる差別構造があります。若狭の中でも原発立地場所となったのは、半島の先端で、もともと不便をかこっていた地域でした。しかし、その若狭は、福井県にとってはどういう土地か。福井県は木ノ芽峠を境に、旧越前の嶺北地域と、主に旧若狭の嶺南とに分けられますが、一九七〇年代当蒔、福井県の人口約八〇万のうち嶺北に六五万人、嶺南は一五万人です。インフラ整備などは福井市など嶺北が優先され、嶺南は後回し。そこに一五基の原発ができたのです。明治維新で福井県が誕生して以来の「南北問題」で、若狭は本来関西とのつながりの方が強いのです。

 日本列島の中の福井県という位置、さらに、アメリカに従属的な位置に置かれている日本という構造もあります。膨大な体積の差別的な逆ピラミッドが、この小さな若狭地域に突き刺さっているといえます。

 被ばく労働者の数は、ヒロシマ・ナガサキの被爆者の数を最近、上回りました。被ばく労働者を犠牲にしながら、現代都市文明の「繁栄」はあるのです。そして何より不都合な事実は、大型原発一基でも広島に投下された原爆の一〇〇〇発分の死の灰が一年間に生まれ、長崎原爆の三〇発分のプルトニウムが生成されていることです。非常に危険な施設だからこそ、日本列島の不便をかこっていた地域に押し付けてきたのです。その構造の末端部分の不正だけが問題なのではありません。そのような不正がなければ、再稼動が、原発という存在が、許されるのでしょうか。若狭の一住民、一仏教者として声を大にして言いたいのは、このことです。

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◆関西電力は今後変わるか?
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 今回の不祥事を契機として、関西電力には変わってもらわないと困るのです。関西電力の新経営陣、いや、すべての電力会社は、真の公共的な企業として生まれ変わり、住民の声に謙虚に耳を傾け、未来のない危険な原発から脱却していかなくてはなりません。

 まず、新経営陣は、原発再稼働について、いかなる方針で臨むのか。もはや時代の趨勢は明らかであり、今回の事態を奇貨として、原発ゼロの方向へ転換すべきです。

 関電内部で内部告発があったのですから、良心的な社員もいるのです。電力会社の労働組合は原発推進の役割を果たしていますが、労組員のみなさん、こんな電力会社のままでいいんですか。

 引き続き電力会社の自浄作用にも期待をかけたいと思いますが、関西電力内部を変えること、原子力ムラを変えること、立法・行政・司法の三権を変えること、差別構造を転換していくこと、これらすべては、やはり私たち市民がどれだけ学習を深め、運動を広げて、脱原発への転換をはかっていけるかにかかっています。至難の業ですが、そうでない限り状況が自動的に変化することはありえません。

 若狭の原発が生み出す電力は、ほぼすべて、若狭の山々を切り刻むグロテスクな送電線に乗って、関西の都市部に送電されておりました。都市部の住民の方々にこそ、この若狭の問題を自分の問題として考えていただきたい。関西電力の株式の十数パーセントをもっているのは、大阪市、神戸市、京都市などの都市部の自治体です。カギを握るのは市民なのです。

◆089◆←←関西電力 闇歴史→→◆091◆

◆老朽原発・美浜3号、高浜1、2号を廃炉に

【2023年1月5日。アメーバ用チラシ、京都キンカンで配付】
【PDF→tirasi2023-01-05[913 KB]

老朽原発・美浜3号、高浜1、2号を廃炉に
過酷事故が起こる前に
岸田政権の「原発依存社会」への暴走を許すな!

 原発は現在科学技術で制御できる装置でないことを、発生後12年になろうとする福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。一方、昨年2月に始まったウクライナ紛争では、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。このように、原発は、人類の手に負える装置でなく、人の命と尊厳を脅かします。

 それでも、電力会社、政府、原発立地自治体などの原発推進勢力は、ウクライナ紛争によるエネルギーひっ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

岸田政権は「原発依存社会」を画策

 政府は、1昨年10月に決定した「エネルギー基本計画」の中で「原発の新増設や建て替えは想定しない」としていましたが、岸田首相は、決定から1年もたたない昨年8月24日、この基本計画まで無視し、また、原発の運転期間は最大60年とした法律をないがしろにして、「原発依存社会」への方向転換を表明しました。

 岸田政権は、原発の停止期間を運転期間から除くことで、原発の60年超え運転への道を開こうとしています。しかし、原発の老朽化は、停止中であっても進行します。

 一方、廃炉になった原発の代わりに革新型原子炉、新型小型原子炉を建設するとしていますが、これらの原子炉は、過酷事故の危険性や何万年もの保管を要する使用済み核燃料を残す点では、従来の大型原子炉と変わるところがありません。「革新」や「小型」の言葉遊びで人々をだまそうとしているのです。

 さらに、岸田政権は、「もんじゅ」の廃炉によって破綻が明らかになった高速炉、60年以上も膨大な研究予算を投下し続けたにも拘らず、いまだに実用の兆候も見えない高温ガス炉や核融合を新しいテーマのごとく取り上げて、さらに膨大な予算を投下しようとしています。

 岸田政権は、原子炉システム、原子炉材料、放射性廃棄物の処理処分、安全対策などの科学・技術に何ら進歩がないにも拘らず、「原子力ムラ」の救済のために、自民党のポスターにあるように、原発推進を「決断と実行」しようとしているのです。福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、人の命と尊厳を蹂躙するものです。岸田首相がどう願望しようとも、政治的判断で科学・技術が急に進歩することはありません。

7年後(2030年)に15基もの老朽原発

 原発の60年運転が認められ、停止期間分の追加運転が認められれば、国内の原発15基(高浜1~4号機、敦賀2号機を含む)が2030年に、28基(若狭の全原発を含む)が2040年に超危険な老朽原発になります。過酷事故が起こりかねません。一方、「40年超え運転」を認めず、原発を新設しなければ、2033年に若狭から、2049年に全国から稼働可能な原発が無くなります。

原発はトラブル頻発の装置

 老朽原発・美浜3号機で相次ぐトラブル

 関電は、運転開始後45年を超えた(当時)老朽原発・美浜3号機を1昨年6月23日に再稼働させましたが、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置が間に合わず、わずか3ヶ月の営業運転で停止を余儀なくされています。しかも、この短い運転中に二度もトラブルを発生させています。そのうちの一つは、電源が断たれて蒸気発生器中の2次冷却水が失われたとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかったものです。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。老朽原発を全国に先駆けて動かすために、10年近く準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と原子力規制委員会のいい加減さは許されるものではありません。

 さらに、関電は、特重施設が完成したとして、美浜3号機の再稼動を、当初予定の昨年10月から8月12日に前倒しすると発表しましたが、直前の8月1日、放射性物質を含む水7トンの漏洩が発覚し、再稼動は延期されました。

 美浜3号機では、次の再稼動を目論んだ8月23日の直前・21日にも、「緊急時に1次冷却系に注入するほう酸水を蓄えている蓄圧タンク(アキュムレータ)」の圧力が低下していることが確認され、再稼働はさらに延期されました。原子炉から冷却水が失われ、1次冷却系の圧力が低下した時や、制御棒の挿入に失敗した際には、原子炉の暴走を防ぐために、ほう酸水を1次冷却系に緊急注入しなければなりませんが、そのほう酸水は、逆止弁を介して1次冷却系につながる蓄圧タンクに蓄えられています。このタンクの異常は、重大事故に繋がりかねず、深刻です。

 関電は、8月1日の水漏れの原因は、下請け作業員が容器のふたを閉めるボルトを規定の5分の1の弱い力で締めていたため、21日の蓄圧タンクの圧力低下の原因は、近傍で行われた足場設置作業の資材が同タンクの安全弁に接触したためとしています。以上のような、美浜3号機で1昨年来発生したトラブルの原因は、あきれ返るほど稚拙なミスです。このようなミスは、技術者がしっかりしていれば、簡単に気がつくものです。

 しかし、現在は、下請け任せの上に、責任感と科学的常識の乏しい、技術者、作業者、監督者、点検者などが原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が腐敗し、たるみ切っているのです。この事態は、一旦、体制全てを解体して、総点検しなければ、改善されません。ただし、体制を根本的に刷新して判断すれば、原発運転は、無理だという結論に至るでしょう。

高浜3、4号機、大飯3、4号機でもトラブル頻発

 美浜3号機と同じ加圧水型原発・高浜3、4号機、大飯3、4号機でも、これらの原発は運転開始後40年に到っていないにも拘らず、たびたびトラブルが発生しています。とくに、320℃、160気圧近くの高温・高圧水が流れる1次冷却系配管(蒸気発生器伝熱管など)の損傷は深刻です。これらの配管が完全破断すれば、1次冷却水が噴出して、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る可能性があるからです。

 例えば、昨年3月、定期点検中の高浜原発3号機では、蒸気発生器伝熱管3本の外側が削れて管厚が大幅に減肉していることが発覚しています。関電は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削ったためとしています。蒸気発生器の中には、腐食等によって、2トン以上もの鉄さびが発生しているともいわれています。同様な伝熱管損傷は、高浜4号機でも発生しています。

 関電は、去る10月21日、定期点検中に伝熱管多数の損傷が発覚した高浜4号機の再稼慟を目指しましたが、さらにトラブルを発生させ、再稼慟を延期しました。(再稼動は、11月4日に強行されました。)

 高浜4号機で新たに発生したトラブルは『1次冷却系の加圧器に設置されている「圧力逃し弁」の異常』です。原子炉で緊急事態が発生したとき、1次冷却系に緊急給水しなければなりませんが、1次冷却系の圧力が高すぎると、水が入りません。「圧力逃し弁」は、このようなとき、1次冷却系の圧力を逃がすための弁で、この弁が正常に働かなければ、緊急給水できなくなる場合があります。

 高浜4号機は、運転開始後40年に至っていない(37年超え)にも拘らず、上述のようにボロボロです。46年を超えた老朽原発・美浜3号機、48年、47年超えの高浜1、2号機の運転など、もっての他です。なお、関電は、高浜1、2号機の再稼働を来る6月、7月に画策しています。
 トラブル続きで、過酷事故を起こしかねない原発は、一刻も早く全廃しましょう!

電気は足りています

 今、政府は電力需給のひっ迫を喧伝し、原発の推進に躍起です。しかし、日常的には、電気は足りています(余っています)。一時的に電力ひっ迫が発生しても、節電によって乗り切れます。このことは昨年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリアでの電力不足、昨夏の猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

【節電協力で電力需給ひっ迫を乗り切った例】

 昨年3月22日、東北、東京エリアで、地震による発電所の停止と寒波の到来が重なって、電力需給ひっ迫が発生しました。このひっ迫を乗り切れたのは、揚水発電と広域での電力融通に加え、次のような節電が行われたからです。

 当日8~23時の時間帯で約4000万kW時(W;ワット)、また、需要の大きな17時台の1時間に、約500万kWの節電が実行されています。原発5基分(1基約100万kWとして)もの節電が可能であることを示しています。

 なお、「節電で余剰電力を得ることは、発電所を新設することと同じ価値がある」との考えから「発電所の代わりに節電所を」の提案もあります。国民(約1億2500万人)一人ひとりが100W節電すれば、1250万kW(原発10基分以上)の電力需要を抑制できます。

 電力需給ひっ迫時だけでなく、日常からの節電も重要です。電気機器やシステムのエネルギー効率のよいものへの更新、断熱などの「省エネルギー化」も節電です。

電力需給量を正しく把握し、適度な節電に心がければ、
大規模停電になることもありません。

 大規模停電は、地震などによって一気・多量の電力供給不足が生じたときに起こります。通常の電力需要増加で大規模停電に至った例はありません。

 原発が重大事故を起こせば、電力の大規模供給不足になり、大規模停電に至る可能性があります。

 電力需給ひっ迫を口実に、人々や環境に放射線被ばくを強い、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料を残す原発の推進を許してはなりません!とりわけ危険な老朽原発の再稼働など、もってのほかです。

「原発過酷運転(酷使)」を画策する政府、電力会社

 岸田政権が1昨年10月22日に閣議決定した第6次エネルギー基本計画では、2030年の電源構成に占める原子力の割合を20~22%としています。(なお、先述のように、岸田首相は、8月24日、この「エネルギー基本計画」を無視し、これを遙かに上回る原発推進政策を打ち出しています。)

 政府は、「エネルギー基本計画」を達成するために、2030年には15基となる老朽原発の再稼働と建設中の3原発の稼働を画策するだけでなく、以下のように、原発の過酷運転を行い、原発利用率を引き上げようとしています。

●定期検査間の運転期間の長期化
 現在は13ヶ月ごとに定期検査していますが、18~24ヶ月に変えようとしています。

●手抜き検査による定期検査の効率的実施と原発酷使
 現在の定期検査では、原子炉を停止し、平均90日をかけて一斉分解点検していますが、これを短縮するために、

①「状態監視保全」方式(早めの部品交換をせず、機器ごとに劣化状況に合わせて保守する方式)を導入し、機器を限界まで酷使しようとしています。また、
②原子炉を止めないでおこなう検査「運転中保全」を導入しようとしています。

原発を酷使すれば、
重大事故の危険度が急増します。
危険極まりない老朽原発の運転、
原発過酷運転を許してはなりません。

原発重大事故時、避難は不可能

 政府や自治体は、原発過酷事故を想定した避難訓練を行っています。それは、原発は重大事故を起こしかねないことを、政府や自治体が認めているからです。

 政府や自治体の「原発災害時の避難計画」では、わずかの期間だけ避難することになっていて、原発事故では住民全員が、何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視しています。「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしているのです。

 ところで、政府や自治体の避難計画では、若狭の原発で過酷事故が起こったとき、原発から5km圏内の住民は即時避難となっていますが、それ以外の住民は屋内退避となっていて、放射能汚染レベルが自然放射能の1万倍の500マイクロシーベルトになって、やっと避難を始めることになっています。一斉避難は不可能であるから、原発周辺住民のほとんどは、大量被ばくするまで待ちなさいと定めているのです。

 避難先も非現実的です。例えば、美浜原発で過酷事故が起こったとき、美浜町の皆さんの避難先は、おおい町または大野市になっています。しかし、人口約8100人のおおい町が、9600人を超える美浜町の皆さんを一週間以上の長期にわたって受け入れることは不可能です。人口約33600人の大野市でも不可能です。

 過酷事故を起こしかねず、事故が起これば大量被ばくを強いる老朽原発再稼働を許してはなりません。原発廃炉こそが、最大の安全対策です。即時廃炉を求めましょう!

処理法も行き場もない使用済み核燃料
それでも老朽原発再稼働まで画策

 関電は、2017年、「2018年末までに、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を福井県外に探す」と明言しました。西川前福井県知事が、大飯原発の再稼働に同意したのは、この約束を前提としていました。しかし、関電は、この約束をホゴにし、「候補地提示期限を2020年末まで」と再約束して、原発の運転を継続し、使用済み核燃料を増やし続けました。さらに関電は、再約束の期限もホゴにし、1昨年2月12日には、候補地提示期限を「2023年末まで」と先送りし、「この期限が守られなければ老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機を停止する」として、福井県に老朽原発再稼働への同意を求めました。これを受けて、杉本知事は、それまでの「中間貯蔵地を示すことが再稼働議論の前提」とした発言を一転させ、再稼働同意へと変節しました。なお、関電が「2023年末を期限」とした拠り所は、青森県むつ市の中間貯蔵施設の共同利用の可能性ですが、宮下むつ市長は、これを否定し、猛反発しています。

 関電は、何の成算も無く「空約束」を繰り返し、平気でそれをホゴにした、倫理のかけらも持ち合わせない企業です。こんな関電に原発を安全に運転できるはずがありません。

老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の
再稼働を許さず、即時廃炉を!

企業倫理と責任感が欠如した電力会社は
原発過酷事故を起こしかねません

 昨年7月13日、東京地裁は「東電株主代表訴訟」判決で、福島原発事故前の東電幹部の対応には「安全意識や責任感が根本的に欠如していた」と述べ、東電旧経営陣に、原発事故による損害・約13兆円の賠償を命じています。

 今、関電経営陣が、多くの危険性指摘を無視して老朽原発を稼働させるのは「安全意識や責任感の根本的欠如」のためとしか言いようがありません。「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙して老朽原発を稼働させ、重大事故に至った場合、それは関電経営陣の故意による犯罪です。

┌────────────────────────────────┐
原子炉過酷事故の危険性が高い
老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の
運転を許してはなりません!
老朽原発完全廃炉を突破口に、
原発全廃を実現し、
過酷事故の心配のない、
人の命と尊厳が大切にされる街づくりを!
└────────────────────────────────┘

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)

◆関西電力 闇歴史◆089◆

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◆神戸製鋼所の巨大石炭火力発電所は膨大なCO2を排出!
 その電気をほぼすべて買い取り、販売する関電は、
 石炭火力発電所の廃止に向けた行程表を作成せよ!
 神戸製鋼所を相手にした神戸石炭訴訟の判決は3月20日

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 神戸市灘区では神戸製鋼所が、2基の大型石炭火力発電所を運転中。これに加えて、新たに2基の巨大な石炭火力発電所の建設が計画され、4基になろうとしている。2022年2月から3号機が運転開始、4月から4号機が試運転を開始した。これで、神戸発電所1~4号機から年間最大1,372万t-CO2が排出されることになる。これは日本における温室効果ガス排出量(年間)の約1.3%に相当する膨大な量。大量のCO2だけでなく、PM2.5などの大気汚染物質も排出される。

 これら4基の石炭火力発電所でつくられた電気は、関西電力がほぼすべて買い取る契約になっている。

 「神戸の石炭火力発電を考える会」は、かつての大気汚染公害裁判の被告企業である神戸製鋼所、関西電力が、再び神戸の大気を汚すことは、公害地域の再生の取り組みに逆行する暴挙と批判している。大気汚染、気候変動への影響をかえりみず、新たな石炭火力発電所を稼働させようとしている神戸製鋼所、ならびに発電された電力を買取り、販売する関電に対して抗議するとともに、2030年までのできるかぎり早期に石炭火力事業から撤退することを強く求めている。

 京都市は株主提案として石炭火力の新設禁止を求めている。しかし、神戸市は名を連ねていない。関西電力の株主として、神戸市は関西電力に対し、経営方針の転換を求め、神戸発電所との受給契約の早期解消を求めるべき。また、CO2を削減し温暖化目標(世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑える1.5℃目標)を実現するには、京都市提案のように石炭火力の新設禁止を求めるだけでは不十分。関電に対して、受給契約先の発電所を含む石炭火力発電所の廃止に向けた行程表の作成を求めることも必要となっている。

 以上、「神戸の石炭火力発電を考える会」→こちらより

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 神戸石炭訴訟…民事判決は 3/20
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 神戸石炭訴訟は、2つの訴訟からなる。→こちら

(1) 一つは、神戸地裁において、石炭火力発電所の建設・稼働をすすめている神戸製鋼所に対して、建設と稼働の差し止めを求める民事訴訟。大気を汚し、地球温暖化を加速させる石炭火力発電所の建設計画に反対。2022年10月に結審、2023年3月20日(月)に判決期日を迎える。

(2) もう一つは、気候危機が深刻化するなかで、石炭火力発電所の建設を認めた国の判断・責任を問う行政訴訟。こちらは神戸地裁の敗訴判決(2021年3月15日)、大阪高裁の敗訴判決(2022年4月26日)をうけ、現在は最高裁へ上告し、審理するか否かについて検討中となっている。

 原告は、大阪高裁の控訴審判決について、CO2の大量排出という重大な人権侵害行為を、現時点では行政訴訟では一切争えないとする憲法上保障されている「裁判を受ける権利」をも侵害するものであり、PM2.5 について本件アセスで評価していない点は、環境アセスの制度の根本的欠陥を示すものと批判。

 こちらの訴訟については、この裁判で何が争われているかについて、初めて触れる方にもわかりやすく伝える必要があると考え、行政訴訟をテーマとした法廷ドラマが制作されている。

 YouTubeドラマ「温暖化で争えない?発電所稼働をめぐる国との裁判」(本編)| Kobe Climate Case, Legal Drama, No Coal Kobe → こちら

◆088◆←←関西電力 闇歴史→→◆090◆

◆関西電力 闇歴史◆088◆

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◆関電の電源構成は、原子力、石炭、石油で50%近い!
 環境汚染など汚れた電源→汚れた電気で、
 二酸化炭素も出しまくり
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原子力、石炭、石油で50%近い
被ばく、大気汚染などをまねく汚れた電源→汚れた電気
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 関電の電源構成(2021年度実績→こちら)の上位をみると、以下の通り。
1位…原子力、27.9%
2位…LNG火力、23.0%
3位…石炭火力、17.0%

・汚れた電源の原子力と石炭火力で、約45%をしめる。石油火力2.8%を加えると、50%近くになる。
・原子力は、事故を起こさなくても、トリチウムなどの放射性物質を環境に拡散させる。過酷事故を起こせば更に悲惨な結果をまねく。
・原発を運転するには、被ばく労働が必須となり、生命と健康をむしばむ。
・石炭、石油は、硫黄酸化物、窒素酸化物、PM2.5など大気汚染の元凶として、問題が大きい。

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二酸化炭素も出しまくり
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 発電方法別、二酸化炭素排出係数(kg – CO2 / kWh)…1kWhの電気をつくるために排出する二酸化炭素kgは、以下の通り。
(資源エネルギー庁、「発電燃料の燃焼直接排出」+「設備の建設など間接排出」)
・石炭火力…直接0.887+間接0.088
・石油火力…0.704+0.038
・LNG火力…0.478+0.130
・LNG火力(コンバインド)…0.408+0.111(コンバインドサイクル発電→ ◆074◆
・太陽光…0+0.053
・風力…0+0.030
・原子力…0+0.022(←核燃料製造、使用済み核燃料の処理などのCO2は??)
・地熱…0+0.015
・水力…0+0.011

 中国電力のWebサイト(→こちら)では、『原子力・エネルギー図面集』から作成として以下の図を掲載。数字は少し異なるが、傾向は同じ。(単位が「g – CO2 / kWh」になっている)
 

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