投稿者「meisei」のアーカイブ

◆第8回原告団総会の報告

◆京都脱原発原告団は,「原発の再稼働を許さず,すべての原発を廃炉に」と
6月27日(土)ハートピア京都(京都市中京区)で第8回原告団総会を開きました。

◆新型コロナウィルス感染を防ぐために,200人の会場でしたが,参加者を半分程度とし,事前の宣伝などを控えました。その結果,参加者は84名でした。Facebookでは,ある参加者の感想として

> 人数調整のために入れない場合も予想していたけれど、そんなことはなく、
> むしろ、参加者が少ないくらい。「コロナ明け」と考えると、こんな感じ
> かな?と、思ったりもあるけれど、少し寂しい感じ。

という書き込みがありました。昨年の総会は200名を越える参加者があったことを思うと,確かにそう言えます。しかし,コロナ下の人数としては,妥当なところに収まったと思います。

◆閉会時に参加者の皆さまから多額のカンパをいただきました。ありがとうございました。

◆プログラム
【1】原告団長の挨拶…竹本 修三 原告団長
【2】弁護団から挨拶…中島 晃 弁護団長代行
【3】弁護団からの報告,裁判の経緯と今後の見通し…渡辺 輝人 弁護団事務局長

【4】記念講演…石原 和弘 先生「日本の火山噴火予知の現状」

【5】原告団・世話人会からの報告…吉田 明生 原告団事務局長
【6】会場からの意見,アピールなど意見交換。世話人会からの報告の確認


◆受付配付のPDF資料…出口治男弁護団長の挨拶のほか,原告団・世話人会からの報告など。
 
2020年総会資料


【このページの最初に戻る】


◆第8回原告団総会のお知らせ

京都脱原発原告団…大飯原発差止訴訟[京都地裁]…は,
下記のように2020年原告団総会を開きます。
 
●日時と場所
 6月27日(土)13:30~
 ハートピア京都(京都市営地下鉄 烏丸線「丸太町」駅下車すぐ上)
●記念講演…当初予定は,下記のお二人でしたが,②島崎邦彦さんの講演は取りやめ
 講演① 石原和弘さん「日本の火山噴火予知の現状」
 講演② 島崎邦彦さん「大飯原発と熊本地震」……取りやめ
 

総会は規模縮小などの対応で開催

    • 新型コロナウィウルスの影響により,社会的な活動全般が抑制されていますが,原告団世話人会としては,以下の対応の元で,原告団総会を開催します。
    • 参加者は先着100名。会場のハートピア京都のホールは,200名定員ですが,参加者を制限させていただきます。別に講師,弁護団,世話人用などに20名程度までの椅子,机を用意します。
    • アルコール消毒。1階正面玄関入口に会館備え付けのものがあり,別に会議室前に置くものは一つ貸してもらえますので,その使用を徹底します。
    • マスク着用。ホール入口で目視チェックするとともに,熱がないことを口頭で確認します。
    • 時間を短縮。記念講演は,石原先生と島崎先生のお二人を予定していましたが,石原先生お一人になります。島崎先生は,来年の総会などまたの機会とします。その分だけ,全体の時間を当初予定より短縮します。13:30開会,16:30閉会。
    • 総会後の懇親会は行いません。

【特別のお願い】

    • 発熱や風邪のような症状のある方,体調不良の方は,参加をお控えください。
    • マスク着用は,厳守してください。咳エチケットの励行をお願いします。なお,ハートピア京都でのマスク販売はありません。
    • ・手指の消毒,うがい,手洗いの徹底にご協力ください。

 
【チラシPDF】こちら(ファイル名:2020-06-27-sokai)。以下のチラシにある島崎邦彦さんの講演は取りやめとなりました。
 

◆第26回口頭弁論 原告提出の書証

甲第513号証(第69準備書面関係)
甲第514~519号証(第70準備書面関係)
甲第520~521号証(第71準備書面関係)



証拠説明書 甲第513号証(第69準備書面関係)
(2020年2月26日)

甲第513号証
岩石のP波伝播速度に関する統計的研究(Ⅰ)(服部保正 杉本卓司)

証拠説明書 甲第514~519号証(第70準備書面関係)
(2020年2月26日)

甲第514号証
2016年熊本地震の加速度記録による大飯原発サイトの地震動評価並びに「おつきあい地震断層」の危険性について(赤松純平)

甲第515号証
地震動の物理学(纐纈一起)

甲第516号証
国土地理院として地震本部に期待すること、取り組むべきこと(国土地理院)

甲第517号証
SARで見るお付き合い地震断層- 熊本地震、大阪府北部の地震及び北海道胆振東部地震(藤原智外)

甲第518号証
干渉SARで見えてきた新たな地震像(宇根寛)

・甲第519号証 ファイルの上限を超えているので2つに分割しています。
 甲第519号証(1/2)
 甲第519号証(2/2)
断層の活動と変位地形 ―甲陽断層を中心として― (波田重煕 平野昌繁)

証拠説明書 甲第520~521号証(第71準備書面関係)
(2020年2月26日)

甲第520号証
口頭弁論要旨(原告 吉田邦子)

・甲第521号証(南丹市のホームページ→こちら)。
南丹原子力防災パンフレット(京都府南丹市総務部総務課)

◆第26回口頭弁論 意見陳述

口頭弁論要旨

口頭弁論要旨

2020年6月2日
吉田 邦子

 私は、京都府南丹市日吉町に住み始めておおよそ50年になります。吉田邦子と申します。

 日吉町は、大飯原発から45キロ、高浜原発からおおむね40キロの距離に位置しています。今日は、大飯原発の運転差し止めを求める意見陳述をします。日吉町は、山に囲まれた谷間に集落がありますが、私の住んでいる地域は静かな低山に囲まれた地域で、先祖代々受け継がれてきた田畑を守りつつ、それだけでは生活できないので多くの方は勤めに行きながら、農業をしています。

 私の家も夫は勤めながら米作りと自家菜園を営んでいます。私は、町中で育ちましたので日吉町に来まして、四季折々の山々等の色合いのうつり変わりのうつくしさにいつも心がわくわくします。この豊かな自然を大切に守りたいです。

 40年近く前になりますが、子どもが小さいころ、毎年子供会で若狭方面に海水浴に行っていました。海水浴場の向こうに白い大きな建物が見えていました。あれが、原子力発電所だと教えてもらい、原子力発電所がはっきり見えるほど近い場所で、海水浴をして大丈夫なんだろうかと不安になりました。発電所から出る水で奇形の魚が生まれるという話なども聞き気持ちが悪くなりました。原子力発電所は安全だと宣伝され、婦人会で見学に行き、職員の方から、安全であるという説明を聞きましたが、私の疑念は、続いていました。

 日吉町も子供たちは結婚しても町内になかなか住みたがらず町外へと出て行き高齢化が進み、人口減少が続いています。私の住んでいる地域でも公共交通手段は日吉駅まで通学用のバスがあり、一般の方も利用することができますが、朝1往復と、夕方に2往復があるだけです。自家用車がなければ移動手段は無いに等しい状況で日常生活にも支障をきたしてしまうことも多くあります。

 日本は地震大国です。大飯原発のすぐ近くにも活断層があります。地震はいつ起こるかわかりません。日本の各地で活断層による地震で原発事故が起きています。2011年の東北地方太平洋沖地震でも原発による事故で多くの人々が避難を余儀なくされました。未だ故郷に帰れない人々が多くおられます。

 南丹市が2012年3月に発行した原子力防災パンフレットには、情報収集や防災無線・有線テレビによる災害情報の伝達については記載されています。しかし、緊急事態において本当にきちんと情報が伝えられるのでしょうか。原子力パンフレットは、20キロ圏域、30キロ圏域の住民については、「避難しなければならないとき」という項目があり、避難のための輸送計画や避難場所などについて記載されています。しかし、日吉町等30キロ圏外の町については、避難場所などが記載されていません。南丹地域は北からの風がよく吹きます。原発事故が起きた場合、放射性物質を含んだ風は30キロで止まるということはありません。屋内に退避してもいつまでも屋内にとどまることも困難です。また、高齢で運転できない住民はどうしたらいいのでしょうか。日吉町には、明治国際医療大学附属病院や、診療所も複数ありますが、病気の方はどうしたらよいのでしょうか。たとえ自動車で避難するにしてもどこに避難すればよいのか。南丹地域から、京都市内に移動する場合、国道や縦貫道を利用することになりますが、国道や縦貫道は避難する車で渋滞が予想されます。避難することは困難です。原発事故が起きれば、畑の作物は、汚染され、どうやって生活していけばいいのでしょうか。

 美山地域では、安定ヨウ素剤が配布されたという話を聞きましたが、日吉町では、安定ヨウ素剤の備蓄、配布については何も知らされていない状況です。

 原子力災害は将来にわたって様々な害を人にも自然にも引き起こします。原子力災害を引き起こさないために原子力発電の再稼働中止、そして廃止を強く願います。

以 上

◆原告第71準備書面
-避難困難性の敷衍(京都府南丹市日吉町における問題点について)-

原告第71準備書面
-避難困難性の敷衍(京都府南丹市日吉町における問題点について)-

2020年2月26日

原告提出の第71準備書面

目 次

1 原告吉田邦子について
2 原発事故は、かけがえのない自然を破壊する。
3 避難の困難さ
4 南丹市原子力防災パンフレットについて
5 大飯原発は今すぐ、廃炉にすべきである


 原告第6準備書面において、避難困難性について述べたが、本準備書面で京都府南丹市日吉町に在住する原告吉田邦子の日々の暮らしをもとに、避難困難性に関する個別事情について述べる。

1 原告吉田邦子について

 原告吉田邦子は、大飯原発から45km南に位置する、京都府丹市日吉町で、50年間生活を送ってきた。

2 原発事故は、かけがえのない自然を破壊する。
 原告吉田邦子が、住んでいる南丹市日吉町は、山に囲まれた谷間に集落がある。原告吉田邦子が、住んでいる地域は静かな低山に囲まれた地域で、四季折々の山々等の色合いのうつり変わりが美しい地域である。先祖代々受け継がれてきた田畑を守りあつつ、それだけでは生活できないので多くの者は、勤めに行きながら、農業をしている。原告吉田邦子の夫も勤めながら米作りと自家菜園を営んでいる。仮に、原発事故が起きた場合、南丹市日吉町のかけがえのない自然環境、農業をしている者の田畑が奪われ、金銭に置き換えることができない、回復不可能な損害が発生し、重大な人権侵害が起こることになる。

3 避難の困難さ

 原発事故が起きて電気が止まった場合、電車を使用する事は出来ないため、自動車だけが、逃げる手段となる。原告吉田邦子が、居住している南丹市日吉町は、町外へと出て行く者が多く、高齢化が進み、人口減少が続いている。原告吉田邦子が居住している地域でも公共交通手段は日吉駅まで通学用のバスがあり、学生以外も利用することができるが、朝1往復と、夕方に2往復があるだけであり、自家用車がなければ移動手段は無いに等しい状況で日常生活にも支障をきたしてしまうことも多くある。原告吉田邦子自身は、自家用車を所有しているが、仮に、原発事故が起きた場合、自家用車を所有していない者は、避難すること事態が、不可能である。自家用車を所有している場合でも、南丹地域から、避難先として想定される京都市内に移動する場合、国道や縦貫道を利用することになるが、国道や縦貫道は避難する車で渋滞が予想される。そもそも、地震が起こった場合には、国道や縦貫道が、利用できるとは限らない。

4 南丹市原子力防災パンフレットについて

 南丹市が、2012年3月に発行した原子力防災パンフレット(甲第521号証→こちら)には、情報収集や防災無線・有線テレビによる災害情報の伝達については記載されている。しかし、緊急事態において、正確な情報が伝えることは、非常に困難である。原子力パンフレットは、20km圏域、30km圏域の住民については、「避難しなければならないとき」という項目があり、避難のための輸送計画や避難場所などについて記載されている。しかし、日吉町等30km圏外の町については、避難場所などが記載されていない。南丹地域は北からの風がよく吹くが、原発事故が起きた場合、放射性物質を含んだ風は30kmで止まるということは無い。屋内に退避してもいつまでも屋内にとどまることなど非現実的である。

5 大飯原発は今すぐ、廃炉にすべきである
 原発の本質の一つは、事故を起こしたときに、その被害が何十kmもの広範囲にわたる点にある。このような、原発は、今すぐ、廃炉にするべきである。

以 上

◆原告第70準備書面 第4
なぜMが小さいのに基準地震動を超過するのか

原告第70準備書面
-2016年熊本地震を踏まえた主張-

2020年2月26日

目 次

第4 なぜMが小さいのに基準地震動を超過するのか

1 序
2 震源特性の違い
3 サイト特性の違い(関電地盤モデルと3号炉地盤モデルの違い)


第4 なぜMが小さいのに基準地震動を超過するのか


1 序
 被告関西電力は,FO-B~FO-A~熊川断層モデルによるM7.8の地震を想定して基準地震動を策定している。これに対して熊本地震は,前震がM6.5,本震がM7.3であり,地震エネルギーとしてみると,M7.8の地震は,M6.5の地震の約90倍,M7.3の地震の約5.6倍も大きなエネルギーである。

 それにもかかわらず,M7.3の地震が発生した場合でも基準地震動を上回る地震動が生ずることが明らかとなった(第2)。それはなぜか。


2 震源特性の違い

(1)断層破壊の不均質性

 レシピによる基準地震動の計算では,各小断層で同じ波形の地震波が発生し,次々値観測点に到達しているとする。しかも,小断層から次の小断層への破壊伝播速度は一定である。

 実際は,震源断層面上で発生する地震波は,断層面上の場所によって異なる(場所によって応力の大きさ,向きが違うため)うえ,破壊伝播速度も変化する。このため,観測点での実地震波形は,レシピによる計算波形に比べ,スムーズではなく,ギクシャクしており(バラついており)均質ではない。

 レシピは,これまでの観測波形の平均値(平均像)で考えているが,波動の平均値が同じであっても,ギクシャクの程度によって,ピーク値,応答スペクトルは変化することは自明である。このことは,平均値・平均像を用いることの限界を如実に示すものである(第16準備書面等)。

(2)断層走向の影響

 震源から出る波には,断層の走向と断層すべりの方向との関係に依存した放射特性と破壊伝播に依存するディレクティビティ効果がある。FO-B~FO-A~熊川断層の場合,断層走向方向(北西-南東方向)および直交方向(北東-南西方向)の震動成分が大きく(レシピ計算でも同様),NS・EW方向では小さい。それにもかかわらず基準地震動はNS・EWで計算しているため,それだけ過小評価となっているのである。

 熊本地震は,このことを明瞭に示している(上記第2・7)。


3 サイト特性の違い(関電地盤モデルと3号炉地盤モデルの違い)

(1)解放基盤の速度の違い

 解放基盤の速度が大きいと地震動は小さく計算される。関電は,基準地震動を計算するための地盤構造モデルを策定するにあたり,解放基盤の速度を,物理探査および地質調査の結果を無視して,P波速度は4.6km/s,S波速度は2.2km/sといずれも大きく設定した(これは原子炉建設時の許可申請時に用いた値を踏襲したもの)。例えば,試掘坑における弾性波探査結果について関電自ら「解放基盤のP波速度を4.3km/sと評価した」と表明している(丙196・9,10頁)にもかかわらずこれを無視したのである。さらに,3号炉付近の値は,P波速度は4km/s以下,S波速度は2km/s以下である(甲422・4~7頁)。

 なお,被告関西電力が作為的に地盤構造モデルを策定していることについては,原告第69準備書面・第1(被告関西電力準備書面(22)への反論)で述べたとおりである。

(2)減衰量の違い

 地盤における地震波の減衰量が大きいと,当然,地震動は小さく計算される。被告関西電力は,地盤構造モデルの減衰量を算定するうえで,新潟平野の土質地盤の知見を大飯の岩盤に流用し,散乱減衰の理論を展開しながら散乱減衰の基本である周波数依存性について考慮していないなど,不合理な評価をしている(甲422)。

 土質地盤では岩盤よりも減衰が大きいが,関電のモデルでは逆に,大飯岩盤の減衰が,実測された大阪平野の土質地盤の減衰より1.5倍も大きいのである(甲481)。これについても原告第69準備書面・第1(被告関西電力準備書面(22)への反論)や原告第60準備書面等で指摘している。

以 上

◆原告第70準備書面 第3
「おつきあい地震断層」について

原告第70準備書面
-2016年熊本地震を踏まえた主張-

2020年2月26日

目 次

第3 「おつきあい地震断層」について

1 技術の進歩によって認知されるようになった「おつきあい地震断層」
2 FO-B~FO-A~熊川断層に伴う「おつきあい地震断層」の危険性
3 まとめ


第3 「おつきあい地震断層」について


1 技術の進歩によって認知されるようになった「おつきあい地震断層」

 技術の進歩により,2016年熊本地震以降,いわゆる「おつきあい地震断層」の詳細が明らかとなってきた。それが,「だいち2号(ALOS-2)」に搭載された合成開口レーダー(SAR)である。SARによって,2016年の熊本地震(M7.3)以降,2018年の大阪府北部地震(M6.1),北海道胆振東部地震(M6.7)で類似の特徴を有する地変が観測され,「おつきあい地震断層」と呼称されて学会で認知されるようになってきた。

 これら「おつきあい地震断層」の共通した特徴は以下のとおりである。

  • 標準的な長さは数km,直線もしくはゆるやかな曲線状の変位が連続し,断層を挟む変位量は数cmから数10cm程度である。
  • 震源断層から離れており,震源断層または直接の分岐断層である可能性は低い。
  • 大きな地震動を出したとする証拠は確認されていない。
  • 自ら動かずに受動的に動かされたと考えられ,大きな地震の原因ではなく結果として断層変位が生じた。
  • 走向や変位の向きは周辺の応力場と整合的である。

 以上の特徴から,おつきあい地震断層は,強震動を発生した震源断層付近の既存の構造弱面が,地震を発生した地域の地殻応力によって強震動を発生することなく「くい違い」,地表に直線状の変位として出現した地変と考えられている。そして,このような受動的な断層の活動が地震時に多数発生し,それ自身が大きな地震動を発生することはないが,地表のずれによる被害や地震動の増幅をもたらすことになる。

2 FO-B~FO-A~熊川断層に伴う「おつきあい地震断層」の危険性

 大飯原発サイトは直近のFO-A断層から南西に約2km離れている。次頁(19頁)の上図のとおり,敷地にはF-1~F-6,f-1~f-4,A~Eの15本の断層破砕帯が確認されている。
《図省略→目次ページにリンクのあるPDFファイルに掲載。以下同》

 また,下図のとおり,破砕帯には無数のシームが付随しており,地盤の弱面を形成している。
《図省略》

 従って,FO-B~FO-A~熊川断層によるマグニチュード7.8の地震が発生すれば,これらの断層破砕帯に沿って「おつきあい地震断層」が生じることになる。例えば,3号炉直下のF-3破砕帯は,長さ約190m,最大幅50cm,走向はほぼ南北,傾斜角は北西約60°である。若狭湾地域は東西方向に主圧力軸をもつ地殻応力下にあるので,F-3破砕帯では逆断層が生じ,3号炉直下の北西側が最大10数cm隆起する。

 基準地震動はFO-B~FO-A~熊川断層によるマグニチュード7.8の地震を想定した強震動を評価しているが,おつきあい地震断層による地表変位と,地表変位による地盤震動特性への影響は,地震による危険性として考慮されていない。規制委員会の議論でも俎上に上がっていない。被告関西電力は,最新の知見を耐震安全評価に組み込んでおらず,危険性が認められる。

3 まとめ

 「だいち2号(ALOS-2)」に搭載された合成開口レーダー(SAR)により,2016年熊本地震(M7.3),2018年大阪府北部地震(M6.1)および2018年北海道胆振東部地震(M6.7)に伴って「おつきあい地震断層」が生じていることが明らかになった。

 このように,災害をもたらした地殻内の大地震では,地盤の弱面に沿って「おつきあい地震断層」が生じていることから,FO-B~FO-A~熊川断層によるマグニチュード7.8の想定地震によっても大飯原発敷地に存在するF-1~F-6,f-1~f-4,A~Eの15本の断層破砕帯に沿って「おつきあい地震断層」が生じる危険性がある。「おつきあい地震断層」による地表変位と地表変位による地盤震動特性への影響を耐震安全評価に組み込む必要があるのであり,それがなされていない現状では,危険が到底払拭できないのである。

◆原告第70準備書面 第2
熊本地震で記録された地震波動が原子炉直下の地盤に入射した場合

原告第70準備書面
-2016年熊本地震を踏まえた主張-

2020年2月26日

目 次

第2 熊本地震で記録された地震波動が原子炉直下の地盤に入射した場合

1 熊本地震の前震(M6.5)と本震(M7.3)の強震動生成域
2 地震波の入射位置の設定
3 熊本地震の前震(M6.5)と本震(M7.3)の加速度記録
4 地盤構造モデルと地盤による増幅率
5 地盤モデルへの入力地震波
6 大飯原発サイト解放基盤における強震動
7 断層面上のすべり方向と強震動の振動方向との関係
8 まとめ


第2 熊本地震で記録された地震波動が原子炉直下の地盤に入射した場合


1 熊本地震の前震(M6.5)と本震(M7.3)の強震動生成域

 熊本地震についてAsanoandIwata(2016)が設定した断層モデルによる,断層面の地表面投影図と断層面上のすべり量分布図は次頁(5頁)の図のとおりである。

《図省略》

 上図の地表面投影図では,前震の断層面の傾斜はほぼ鉛直であるので,震源断層は青色の直線で示されている。本震の断層面は両セグメントとも傾斜しているので断層面は幅を持って示されている。KMMH16観測点は前震の断層線から約2.5km離れている。本震では,観測点は布田川断層面(北東側セグメント)の上に位置している。

 中図と下図はそれぞれ前震と本震の断層面上のすべり量の分布を示している。両図とも右側が南西方向であるので,上図の平面図とは逆の位置関係にあることに留意する必要がある。中図に示した前震は深さ8.5km付近で断層破壊が始まりその周辺付近ですべり量が大きい。下図の本震では,右側(南西側)の日奈久断層面上の☆印で破壊が始まり,破壊が伝播して左側(北東側)の布田川断層中央部付近のすべり量が最も大きい。


2 地震波の入射位置の設定

 KMMH16地中観測点はVs=2.7km/s(標高-197m)の岩盤に設置されているところ,関電地盤モデルにおいて同じVs=2.7km/sの層は深さ0.79kmの第6層である。

 そこで第1~5層を地盤,第6層以下を地震基盤と考え,第6層から第5層に熊本地震で観測された加速度記録の地震波が入射した場合の地表面の地震動を計算する。


3 熊本地震の前震(M6.5)と本震(M7.3)の加速度記録

(1) 前 震

 前震のKMMH16地中水平動成分加速度記録は次頁(7頁)の図のとおりである。加速度ピーク値は,NS成分は237ガル,EW成分は178ガルである。
 地震波の震幅は断層の走向と振動方向の関係によって変化しており,次々頁(8頁)の図のとおり,震動方向によって加速度ピーク値の最大値と最小値には1.56倍の開きがある。

《図省略》

(2) 本 震

 本震のKMMH16地中水平動成分加速度記録は次頁(9頁)の図のとおりである。加速度ピーク値は,NS成分は159ガル,EW成分は243ガルである。

《図省略》


4 地盤構造モデルと地盤による増幅率

 KMMH16地中観測点で記録された地震波動が大飯原発原子炉直下の地盤に入射したとして,原子炉が設置されている岩盤(解放基盤)の地震動を評価する。検討に用いる地盤構造モデルは,被告関西電力が基準地震動策定用に用いているモデル(関電地盤モデル)と,3号炉近辺の速度と地震波減衰量とを考慮したモデル(3号炉地盤モデル)である。

(1) 関電地盤モデル

 基準地震動策定用に用いているモデル(関電地盤モデル)の定数と地盤増幅率は次頁(10頁)の図「関電地盤モデル」のとおりである。

《図省略》

 被告関西電力が基準地震動を評価した地盤モデルでは,第6層のS波速度が2.7km/sであるので,この層から上部の地盤にKMMH16の波形が入射するとする。増幅率は表面効果により全ての周波数で2倍である。第1層のS波速度が2.2km/sと大きく層厚も大きいので,表層による増幅効果は小さい。また,減衰量(h)が大きく設定されているので,増幅率は高周波数域に向けて大きく減衰している(この点については第60準備書面6頁以下で詳述)。

(2) 3号炉地盤モデル

 3号炉近辺の速度と地震波減衰量とを考慮したモデル(3号炉地盤モデル)の定数と地盤増幅率は上図「3号炉地盤モデル」のとおりである。

 既述のとおり,関電地盤モデルの減衰定数(h)は,大阪平野の土質地盤の値よりも約1.5倍大きい。岩盤の減衰が土質地盤よりも大きいことはあり得ないので,減衰定数は関電モデルの値の1/1.5(=2/3)とした。3号炉地盤モデルの増幅率は,関電地盤モデルに比べ,8Hz以上の周波数域で1.2~1.5倍大きい。


5 地盤モデルへの入力地震波

(1) 距離減衰量の補正

 熊本地震のKMMH16地中加速度記録をFO-B~FO-A~熊川断層に適用するにあたっては,前震および本震のすべり量の大きい領域(強震動生成域)が原発サイトの直下付近であるとして,KMMH16の記録波形に距離減衰量を補正(補正量kを算出)して地盤モデルへの入力波とする必要がある[脚注1]

 そこで前震及び本震における補正量を求めると次のようになる。

[脚注1] 補正量kの算出方法は次のとおり。
《数式省略》

(2) 前 震(M6.5)

 前震の断層面はほぼ鉛直(傾斜角89°)であり,強震動生成域の深さを10km(図1)とすると,KMMH16地中観測点までの距離は12.4kmとなる。

 大飯原発サイトはFO-A断層線から南西方向に約2km離れており,また地盤下部のVs=2.7km/s層の上面は深さ0.79kmであるので,強震動生成域からの距離は9.4kmである。

 波面の拡がりによる幾何減衰補正量は1.32,Qによる減衰補正量は0.1~20Hzで1.068~1.040であるので,簡単のために1.05とした。従って補正量kは1.39となる。

(3) 本 震(M7.3)

 本震の布田川断層中央部の強震動生成域の深さを,断層面に沿って8km(図1)とすると,断層面の傾斜は65°であるので,深さは7.25kmとなり,KMMH16までの距離は11.7kmとなる。

 FO-A断層面も同じく65°南西側に傾斜しているとすると,強震動生成域は大飯原発サイトの南西側約1kmとなり,サイト直下のVs=2.7km/s層上面までの距離は6.54kmとなる。

 幾何減衰補正量は1.79,Qによる減衰補正量は0.1~20Hzで1.120~1.069であるので,簡単のために1.08とした。これによると補正量kは1.93となる。


6 大飯原発サイト解放基盤における強震動

 前震と本震について,それぞれ関電地盤モデルおよび3号炉地盤モデルに入射した場合の地表面(解放基盤)における加速度波形と加速度応答スペクトル(h=0.05)を計算すると,次のとおりとなる。

(1) 前 震

ア 関電地盤モデルの場合

  (ア) NS・EW方向
・加速度ピーク値Peakは,Peak_NS=659ガル,Peak_EW=487ガルである。
・応答スペクトルは,0.2秒以上の周期帯でSs-1を約1.7倍越える周期帯がある。

  (イ) 断層平行(∥)・直交(⊥)方向
・加速度ピーク値Peakは,Peak_∥=780ガル,Peak_⊥=655ガルである。
・応答スペクトルは,0.2秒以上の周期帯でSs-1を約1.8倍越える周期帯がある。

イ 3号炉地盤モデルの場合

  (ア) NS・EW方向
・加速度ピーク値Peakは,Peak_NS=735ガル,Peak_EW=528ガルである。
・応答スペクトルは,0.2秒以上の周期帯でSs-1を約1.7倍越える周期帯がある。

  (イ) 断層平行(∥)・直交(⊥)方向
・加速度ピーク値Peakは,Peak_∥=841ガル,Peak_⊥=741ガルであり,Peak_∥の値は,基準地震動856ガルの98.2%である。
・応答スペクトルは,0.2秒以上の周期帯でSs-1を約1.8倍越える周期帯がある。

(2) 本 震

 ア 関電地盤モデルの場合

  (ア) NS・EW方向
・加速度ピーク値Peakは,Peak_NS=656ガル,Peak_EW=988ガルであり,後者の値は基準地震動856ガルの1.15倍となっている。
・応答スペクトルは,Ss-1の0.12秒で約1.4倍,0.35秒以上で最大約3.8倍となっている。

  (イ) 断層平行(∥)・直交(⊥)方向
・加速度ピーク値Peakは,Peak_∥=760ガル,Peak_⊥=1013ガルであり,Peak_⊥の値は,基準地震動856ガルの1.18倍となっている(ただし,断層平行・直交はそれに近いという意味で使っており,断層平行はN15°E,直交はN105°Eの方位である)。
・応答スペクトルは,Ss-1の0.12秒で約1.4倍,0.35秒以上で約3.3倍となっている。

イ 3号炉地盤モデルの場合

  (ア) NS・EW方向
・加速度ピーク値Peakは,Peak_NS=697ガル,Peak_EW=1067ガルであり,後者の値は基準地震動856ガルの1.25倍となっている。
・ 応答スペクトルは,Ss-1の0.12秒で約1.7倍,0.35秒以上で最大約4倍となっている。

  (イ) 断層平行(∥)・直交(⊥)方向
・加速度ピーク値Peakは,Peak_∥=812ガル,Peak_⊥=1095ガルであり,Peak_⊥の値は,基準地震動856ガルの1.28倍となっている。
・応答スペクトルは,Ss-1の0.12秒で約1.7倍,0.35秒以上で約3.3倍となっている。

(3) 被告関西電力の策定した基準地震動との比較

 以上のとおり,熊本地震の本震による速度応答スペクトルは,0.5秒以上の周期で基準地震動Ss-2~Ss-18より2~8倍,平均して4倍程度大きい。M6.5の前震でも0.3秒以上の周期で基準地震動と同程度の振幅である。

 基準地震動は「レシピ」に従って計算されたM7.8地殻内地震の平均的な地震動である。熊本地震は地殻内地震のスケーリング則に従う標準的な地震であったとされている。解放基盤の地震動を応答スペクトルで評価すると,M7.8の地震を想定した基準地震動は,0.3秒以上の周期帯でM6.5の実地震と同程度,0.5秒以上の周期帯ではM7.3の実地震の1/4程度の大きさでしかない。

 基準地震動の想定するM7.8と,熊本地震のM7.3とでは,地震の規模が何倍も違っており,後者の程度の地震が発生する可能性は十分にある。被告関西電力の基準地震動を耐震基準とした大飯原発は,そのような地震に耐えられないということである。


7 断層面上のすべり方向と強震動の振動方向との関係

 8頁の図のとおり,熊本地震の前震の地震動の振幅は,断層の走向と同じ方向及び直交する方向の2方向で大きくなっている。これには,断層面のすべりの方向で決まる地震波の放射特性(ラディエーション・パターンradiation pattern[脚注2])と断層破壊の伝播方向(ディレクティビティdirectivity[脚注3])とが関係する。

 震源断層に近い強震動は,1995年兵庫県南部地震(M7.3)で強く認識されたように,震源断層に直行する方向に強く揺れる。ディレクティビティ効果によって断層直交方向の震動が卓越することが,モデル計算によっても明らかにされた。かかる効果の影響を受け,南西-北東方向である震源断層の走向と概ね平行して伸びていた鉄道や道路網などが,横倒しになり,あるいは横方向にずれたのである。近似の研究により,このディレクティビティ効果は震源断層近傍の普遍的な現象であることが明らかとなってきた(甲515516)。

 断層破壊を仮定した強震動予測は,次頁(16頁)の図のように,断層面上の要素断層が次々に破壊して生じる地震波の重ね合わせとして表現される。

[脚注2] 断層運動(すべり)によって生じる地震波の振幅は,波の伝播方向に依存して変化する。この方向特性をラディエーション・パターンと称する。
[脚注3] 断層面上で破壊の伝わる速さはS波速度よりやや小さい。そのため,破壊の伝搬方向にある観測点では,次々と伝わってくる断層破壊の震動が建設的に干渉して大きく増幅される。この現象を「ディレクティビティ効果」と呼ぶ。救急車が近づいてくる際のドップラー効果に似ている。

《図省略》

 微小な要素断層のS波のラディエーション・パターンは4象限型をしており,最大振幅の方向は,断層すべりの方向とその直角方向とであり,その重ね合わせも概ねこの方向性を保持している。このような指向性を有する水平動成分の振幅は,地震計の設置方向に依存して変化するため,地震動の振幅は,記録する地震計の設置方位によって見かけ上異なることとなる。

 被告関西電力は,大飯発電所の基準地震動(総括)として,最終的にSs-1~Ss-19を策定し,最大加速度は,水平がSs-4の856ガル,鉛直がSs-14の613ガルと評価して,それぞれの加速度波形と応答スペクトルを提示している。水平加速度ピーク値が最大のSs-4は,NS方向が546ガル,EW方向が856ガルである。しかし,表示されている加速度波形が同位相(同時刻の波)であるとすると,最大のピーク値は,EW成分の856ガルではなく,概ね北東-南西方向の1,015ガルである。この方向はFO-B~FO-A~熊川断層モデルの走向に直交する。

 水平動成分の基準地震動は,断層走向に応じてディレクティビティ効果を考慮し,最大震動方向によって評価しなければならないのである。被告関西電力はこれを怠っており,過小評価となっている。規制委員会でも,ディレクティビティ効果を踏まえた検討はなされていない。


8 まとめ

 基準地震動を計算した大飯原発直下のアスペリティに熊本地震本震(M7.3)の強震動生成域が生じたとすると,解放基盤における加速度ピーク値は,関電地盤モデルでは水平動成分の向きにより最大1,013ガル,また3号炉地盤モデルでは最大1,095ガルに達する(上記(6))。これはM7.8 の地殻内地震を想定しているはずの基準地震動856ガルの1.18~1.28倍である。また,解放基盤における応答スペクトルを基準地震動Ss-1の応答スペクトルと比較すると,速度スペクトルの値はM6.5の前震でさえ0.3秒以上の周期帯でSs-1と同程度~2倍近く,M7.3の本震では0.5秒以上の周期帯ではSs-1の4倍に達する(同)。このように,被告関西電力が独自に策定した基準地震動を耐震基準とした大飯原発は,2016年熊本地震に耐えられない。

 熊本地震の観測記録の水平動成分は,断層モデルから射出される地震波のラディエーション・パターンとディレクティビティ効果とに起因して,断層走向に平行な方向および直交方向の成分が大きい。基準地震動はFO-B~FO-A~熊川断層を北西-南東走向の横ずれ断層としてモデル化しているため,水平動成分をNS・EWの座標系で表すと,最大で3割程度過小に評価することになる。

 以上のとおり,熊本地震にて現に観測された加速度記録を適用してみると,大飯原発の基準地震動が過小評価であることが判明する。大阪北部地震で現に観測された記録を元にした第60準備書面と併せ,想定地震と現に発生した地震との違いを顕著に表すものであり,第64準備書面その他でこれまで原告が繰り返し指摘してきた過小評価の危険性をさらに裏付けている。

◆原告第70準備書面 第1
本書面の概要(甲514)

原告第70準備書面
-2016年熊本地震を踏まえた主張-

2020年2月26日

目 次


第1 本書面の概要(甲514)

 被告関西電力は,FO-B~FO-A~熊川断層モデルによるM7.8の地震を想定し,独自に作成した地盤構造モデル(関電地盤モデル)によって基準地震動を策定している。すなわち,基準地震動を,地殻内地震のスケーリング則に準じたM7.8の地震の震源特性と関電地盤モデルによるサイト特性とにより計算しているのである。この際,スケーリング則が内包する1.4倍の偏差を考慮していないが,保守性については短周期の振動レベルを1.5倍にするなどしてこれを持たせているとしている。

 これに対して原告らは,既に第60準備書面において,大阪北部地震をFO-B~FO-A~熊川断層に適用して地震動を評価し,基準地震動が過小評価であることを明らかにしているが,本書面では,赤松意見書(甲514)に基づき,2016年に発生し,地殻内地震のスケーリング則に従う標準的な地震であったとされる熊本地震の加速度記録を用いて同様の評価を行うこととする。FO-B~FO-A~熊川断層で,スケーリング則に従う熊本地震と同じ震源特性を有する地震が発生したとき,基準地震動を越えないのであろうか。

 熊本地震は前震がM6.5,本震がM7.3と,本震の方が規模が大きくなっている(エネルギー費で15.8倍)。第60準備書面では大阪北部地震のM6.1を基準地震動における想定=M7.8にスケールアップして評価したが(第60準備書面3~4頁),本書面では熊本地震のM7.3等をそのまま適用して評価する。具体的には,熊本地震の震源断層の直近にある防災科学技術研究所の基盤強震観測網(KiK-net)の益城観測点(KMMH16)の,S波速度(Vs)2.7km/sの岩盤に設置された地中地震計で記録された,前震で289ガル,本震で287ガル(3成分合成)の加速度波形を,FO-B~FO-A~熊川断層に適用して原子炉基盤面の地震動を計算し,大飯原発の基準地震動と比較する。

 これにより,基準地震動が,スケーリング則の平均値による震源特性と,増幅率を小さくする関電地盤モデルであることとの相乗効果によって,過小に評価されていることを明らかにする(下記2項(1)ないし(6))。また,地震動は断層走向方向の成分および直交成分が大きいので,形式的に東西,南北方向成分で計算した基準地震動は過小評価であることも合わせて指摘する(下記2項(7))。これらは,第60準備書面同様,現に発生した地震の観測データを,FO-B~FO-A~熊川断層に適用して地震動を評価したものであり,実際にあった断層破壊過程が用いられているのであるから,地震動評価の信頼性は格段に高い。

 さらに,新たな視点として,FO-B~FO-A~熊川断層が震源断層となった場合,最新の技術・知見によって解明されてきた「おつきあい地震断層」により,敷地内断層破砕帯とそれに伴うシームが原子炉建屋の立地する基盤面に「くい違い」を生じさせる危険性のあることを明らかにする。この点について,原子力規制委員会では一切議論されていない。

◆原告第70準備書面 目次
-2016年熊本地震を踏まえた主張-

原告第70準備書面
-2016年熊本地震を踏まえた主張-

2020年2月26日

原告提出の第70準備書面

目 次

第1 本書面の概要(甲514)

第2 熊本地震で記録された地震波動が原子炉直下の地盤に入射した場合
1 熊本地震の前震(M6.5)と本震(M7.3)の強震動生成域
2 地震波の入射位置の設定
3 熊本地震の前震(M6.5)と本震(M7.3)の加速度記録
4 地盤構造モデルと地盤による増幅率
5 地盤モデルへの入力地震波
6 大飯原発サイト解放基盤における強震動
7 断層面上のすべり方向と強震動の振動方向との関係
8 まとめ

第3 「おつきあい地震断層」について
1 技術の進歩によって認知されるようになった「おつきあい地震断層」
2 FO-B~FO-A~熊川断層に伴う「おつきあい地震断層」の危険性
3 まとめ

第4 なぜMが小さいのに基準地震動を超過するのか
1 序
2 震源特性の違い
3 サイト特性の違い(関電地盤モデルと3号炉地盤モデルの違い)