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◆電気は足りてる~異常な「電気が足りない」宣伝~[付 容量市場]

[1] 異常な「電気が足りない」宣伝

・原発推進勢力によって、電気が足りないという宣伝が強まっている。
・電気が足りないという宣伝によって、原発推進に舵を切る維新(>_<)

・しかし、電気はいつも足りている。
・電気はいつも余っている……本当に電気が足りなくなれば、大停電=ブラックアウトの世界に突入する。
・ただし、ときどき、電気の余り分(3%とかの余裕分)が、少なくなってしまう “見通し” があるだけ。

【参考】電気が足りなくて大停電が発生したことはない。地震などにより、大規模な停電が起こることはあった。
┌─────────────(以下、「はんげんぱつ新聞」)
(2018年9月6日午前3時ごろ、地震によって大規模な2基の火力発電所が停止し、電気の供給が低下して周波数が乱れたために、ほかの発電所が連鎖的に停止した。)北海道電力では、泊原発1~3号機が停止中で、地震の揺れは1、3号機の最大加速度が6ガル、2号機で7ガルときわめて小さかったが、停電により6回線すべての外部電源からの供給が断たれた。泊原発は6年以上停止しており、核燃料は使用済み燃料プールに移されている。非常用ディーゼル発電機6台が起動してプールの冷却を実施。6時間余りで2回線が復旧され、午後1時までに3基とも外部電源への切り替えを完了した。
└─────────────

[2] 供給を増やして対応する

・余り分が少なくなったときにどうするか?
・供給を増やせば良い、というのが昔からの考え方。原発再稼働もここからでてくる。
・昔の電力会社は、電力の無限供給義務を負っていて、その代わり、地域独占と総括原価方式という甘い汁。
・つまり「電力は需要側が使いたい時に必ず供給されるもの」という考え方が支配的。

・関電でも、電力供給のために、黒四ダム、美浜原発、華々しい歴史を誇ってきたが、
巨大化した電力会社は、近年、原発マネー不正還流のように、醜悪な企業に変質。

関西電力闇歴史◆063◆…黒部川の出し平=だしだいら=ダムと宇奈月ダムの連携排砂で富山湾にヨコエビが異常繁殖、漁業に被害か。関電は、補償金は出しても因果関係は認めず)
関西電力闇歴史◆018◆…最悪の幹部腐敗、原発マネー不正還流)

・東電は、福島第一原発事故まで起こして、しかも刑事責任を逃れようと必死。
・原発優先で再生可能な自然エネルギーの普及を妨害し、既存原発の再稼働に躍起。

・電力システム改革([巨大電力会社]×[政府=経産省])、電力自由化の進展を経て[賛否は別にして]、

・これまでは電力の余り分が少なくなったとき(需給がひっ迫したとき)は、供給を拡大するだけであった。需要側の要求とは「欲しいだけよこせ」であった。
・供給側への要求…原発動かせ、老朽原発も再稼働、リプレイスだ、新型炉だ、小型原発だ……キリがない。
・しかし、電力需給ひっ迫を、すぐに供給側の対策に求めることは、今は無理。

・需要があるだけ供給を増やすということで良いのか、という地球環境の問題などを別にしても
電力会社の無限供給 “義務” は、電力自由化の時代にはすでに不可能。

・今は、供給をどんどん拡大することは不可能。
・昔の電力会社は、総額5000億円の原発を何基つくっても、総括原価方式で採算が保証されていた。
・しかし、総括原価方式がほとんどなくなっている今は、それができない。
・多額の投資(原発1基で1~2兆円)をして、回収できない恐れがある。
(電源の確保は、容量市場で行う方向)

・めったに起こらない稀な需要増大に備えるために、普段はほとんど使わないような予備力を用意して備えておくのは、経済的に不合理である(電気料金を高くする)が、かつての時代、地域独占と総括原価方式の時代には、可能であったし、そのようにされてきた。その経験から抜け出せないことから、最大限の供給を求める声は相変わらず根強い。しかし、今ではもう時代錯誤の声としか言いようがない。

[3] 需要を抑制して対応する

・供給を増やせないなら、需要を減らせば良い。
・供給力を増やすばかりが需給ひっ迫対策ではない。
・これからは、需要側が賢く効率的に電力を使用する時代に変わっていく。

・政府の「節電要請」が出ると、世論は、大変だ、電気が足りない、非常事態だ、となりやすいが、間違い。
・普段から節電すれば良い、または、電力の余り分が少なくなったときに、節電すれば良い。節電上等。

┌─────────────(以下、「日経エネルギーNext」安田陽さん、京大)
「お願い」ベースの節電は不確実、電力市場を活用したDR(デマンドレスポンス、「需要側の制御」)を。→こちら
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・経済的にも合理性のある需要抑制の方法がある、その制度化が必要(→ネガワット取引など)。
・「ネガワット取引」とは、アグリゲーター(仲介業者)等との事前の契約に基づき、電気のピーク需要の・タイミングで節電を行う、インセンティブ型(報酬などの動機付けがあること)のDRのこと。

・また、リアル発電所ではなくて節電所を!!(パク・スンジュン=朴勝俊さん、関西学院大)
・一定の条件下で100万人が各自(中小工場、商店、家庭ごとに)1kW(=1000W)節電する節電所ができれば、100万kW=原発1基分の需要抑制。

┌─────────────(以下、「日経エネルギーNext」安田陽さん)
この3月22日、東京および東北エリアで電力需給ひっ迫が発生したが、あくまで稀頻度の事象(地震による発電所の停止と急激な寒波到来)。しかも、東電PGの公開資料によると、当日8〜23時までの時間帯で約40 GWh(4000万kWh)の節電協力が得られたとのこと。1時間ごとのデータを見てみると、需要の大きな17時台に約5GW(500万kW)、原発5基分の出力に匹敵する量を需要側で対応。これは良い意味で驚異的な実績と言えるでしょう。
└─────────────

・広範囲に分散する小規模な電源をまとめて、コンピュータで総合的に管理する現代(明日)では、
電源=供給側の対策ではなく、需要側の対策こそ重要。

・需要側の対策とは次の二つ。

(1)需要側で実施するDR。

(2)断熱などの「省エネルギー」=エネルギー消費の効率化。個人レベルの我慢や努力ではなく、消費抑制でもなく、エネルギー効率のよい機器やシステムに更新すること。

・地球環境のためにも、エネルギー消費をより効率的にすることが大切。
(エネルギー消費を拡大するのではなく、減少させる方向へ)

ネガワット取引(資源エネルギー庁による)…アグリゲーターは電力会社が兼ねることも

[4] 補足説明

(1)経産省の誘導で、完全なフェイク報道がまかり通っている
  ↓ 一例
NHK クローズアップ現代(2022年6月13日)→こちら
  ↓ そのタイトル
「日本は停電がいつ起きてもおかしくない、“途上国”になってしまった」
経済産業省の幹部のひとりがこう打ち明けました。
いま、日本には電力が足りていない―
↑ 恐ろしいフェイク宣伝。節電要請をするのが途上国だって?? 笑ってしまうが、大問題。

(2)総括原価方式による規制料金は、いずれなくなる

・2020年4月から予定されていた電気料金の全面自由化は、新電力のシェアが小さかったため、見送られた。このことからも分かるように,電力産業において,関電など大手電力の支配力は依然として強大。
・新電力(複数社)のシェアが、大手電力に対抗できるほど十分に大きくなるまでは、規制部門の電気料金(経過措置料金、総括原価方式による規制料金)は、存続することになっている。しかし、いずれ、電気料金の規制料金はなくなり、すべて自由料金になることは確定している。
・なお、関西電力送配電株式会社などが課す託送料金には、地域独占と総括原価方式が適用される。ここで、発電部門と送配電部門がきちんと区別されているかどうかの問題が関係してくる。

(3)容量市場の目論見

・電力自由化で総括原価方式がなくなると、原発の維持費などが十分に支えられなくなる。そこで考えられたさまざまな支援策、つまり実質的な補助金政策の一つが容量市場。
・容量市場は発電会社が持っている設備能力(容量・kW)を売買する仕組み。老朽化した石炭火力や原発による電力容量も同じ価格で買い取られ、温存につながる。初めて入札された落札価格は高騰し、再エネを調達する新電力にとっては負担となる。そして、その費用はいずれ国民負担となる。
・原発を新規建設して容量市場で売りに出して資金を確保することも可能だが、計画から完成まで10~20年とかかる上に、かつて1基5000億円だったのが、今や1~2兆円に高騰していて、電力会社は新規建設には、手が出せなくなっている。しかし、老朽原発の維持費を確保する程度は可能。
・火力発電所の新規建設には通常、計画・アセスメント後から3~4年かかるが、先行きの見通しが立たないと事業は進められないので、あらかじめ4年後の発電能力を取引することでそれを担保しようというのが、容量市場の第一の目論見とみられる。

・以下は、eシフト事務局 吉田明子さんの発言
 
そもそも国が容量市場を導入した大義名分が電力容量不足なので、それについて精査が必要です。現在、電源は余っていますし、将来的にも、適切な対策をとれば電源不足にはなりません。東北大学の環境科学者、経済学者である明日香壽川(あすか・じゅせん)教授は、さまざまなデータを分析し、将来、電力の供給力が問題となる可能性は低く「日本では容量市場は不要」と結論づけています。理由は、さらなる省エネや再エネ普及強化に加え、電力の地域間融通やデマンドレスポンス、需給調整契約、蓄電機能の強化などさまざまな方法で需給バランスをとることが可能だからです。それらを実施しないまま、あえて容量市場が選ばれました。

(4)原発を支援する政策の例

・容量市場…下の [5] に説明

・会計制度
…原発優遇、ゴミの使用済み燃料を資産にするとか。
(原発を一挙に廃炉にすると電力会社が損金で破綻するので、それは無理とか言う人もいるが、そんなことは勝手な法律を作ってどうにでも解決できる)
金森 絵里『原子力発電と会計制度』によれば、原子力発電工事償却引当金、使用済燃料再処理等(準備)引当金、原子力施設解体引当金、特定放射性廃棄物拠出金および 2013 年および 2015 年に制度化された廃炉に係る会計制度における問題点を指摘。各種引当金に算入する範囲に、何を含め、何を含めないかが、会計制度上、たえずに問題となっている。また「2013 年報告書では、本来ならば減損するはずの資産を資産計上し、減価償却費を続ける理由として、料金による回収を前提としている・・・言い換えれば、本来、電気事業会計を基礎として電気料金が算定されるはずであるのに、2013 年報告書においては、電気料金の算定があってはじめて電気事業会計が成り立つという考え方が取られている。」という。参考…書評 今福 愛志[日本大学名誉教授、会計学])

・託送料金
…その中に、賠償負担金、廃炉円滑化負担金、電源開発促進税を入れている(再生可能エネルギー発電促進付加金も入っているが、これは未来への投資)。託送料金は、全国民が負担。なお、託送料金は、地域独占と総括原価方式の中で決められている。

(5)その他

安田陽…京都大学大学院経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座 特任
教授

・朴勝俊 パクスンジュン…関西学院大学 総合政策学部 総合政策学科 教授。
環境経済学。
節電所については、緑の党が詳しく説明しています(節電所=ネガワット=DR)。

[5] 容量市場は大手電力にとって棚ぼた利益

ここの内容は、下記サイトを参考にしたものです。

飯田哲也さんのサイト
原子力資料情報室
eシフト

容量市場…4年後の発電容量を確保するために、オークションを開く。2020年7月、第1回目の募集容量は、合計約1.8億kW。上限価格は1万4,138円/kWとされた。オークション後に公開された入札結果=約定価格はほぼ上限価格の1万4,137円/kWであり、業界に大きな衝撃。

なお、容量市場で指標価格を決めるのは、CCGT(複合サイクルガスタービン発電、コンバインドサイクル発電)の発電所建設を基準にしている。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた二重の発電方式。廃熱回収サイクルにより熱効率が60%以上と高効率。原発新設の費用が考慮されているわけではないので、原発について言えば、容量市場は既存原発への補助金となる。

売り手は発電所を保有する発電事業者。電源ごとに参加する・しないを決めることができる。

買い手は、電力システム改革で設立された電力広域的運営推進機関(OCCTO=オクト)。

OCCTOの買取費用は、各小売電気事業者が支払う。年間のピーク容量時点での利用割合に応じて負担、また送配電事業者も一部負担する。こうした費用は、最終的に電気料金や託送料金として消費者が支払わされることになる。

ただし、発電と小売の9割近くを占める大手電力は、両者が1つの会社内であるため、「右手」(小売部門)から「左手」(発電部門)への費用移動でしかないが、2016年4月の電力小売全面自由化後におよそ600社が誕生した新電力にとっては、ほぼ純粋な負担増となる。

新電力のシェアは約16%だから、1,600億円から2,400億円もの費用が、新電力から大手電力への移転となり、競争上、大手電力が有利な条件となる。

2020年の約定価格=1万4,137円/kW の場合、例えば、東海第二原発(売りに出たとすれば)105.6万kWが設備容量のため、2024年の1年で、約149億円を容量市場から得ることができる(そのとき、動いていないとダメだが)。

再稼働している大飯原発(3号機・4号機ともに118万kW)の場合、前記の約定価格なら、1基あたり166億円……経過措置後の計算では 112億円もの容量収入との計算となる。文字どおり「棚ぼた利益」。

ただし、2020年の場合、経過措置(2029年まで)があって、約定価格の総平均は 9534円/kWとなる。2021年は、制度の変更もあり、経過措置考慮後の総平均は、3,109円/kW と低下した。

2022年度は、現在進行形。結果は、まだかな?

いずれにしても、発電設備を持っている大手電力(発電総量の90%近く=数字は要確認=は大手9電力が保有)にきわめて有利。大手電力の発電設備は、総括原価方式の中で、消費者全員の負担で建設されたものであり、その設備を大手電力が独占しているのが、大きな問題。

【その他参考】

「右手」(小売部門)と「左手」(発電部門)の関係にも大きな問題。
 
発送電分離の次は「発販分離」

[6] 容量市場は大手電力にとって棚ぼた利益–(2)

容量市場の件で、追加。
・容量市場で指標価格を決めるのは、CCGT(複合サイクルガスタービン発電、コンバインドサイクル発電)の発電所建設を基準にしています。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた二重の発電方式。廃熱回収サイクルにより熱効率が60%以上と高効率(原発は30%)。

・原発新設の費用が考慮されているわけではないので、原発について言えば容量市場は既存原発への補助金となります。

・原発新設で指標価格をつくってみると、どんな数字になるか。
興味はありますね。

[7] 容量市場の大幅改変で原発新設、リプレースを後押し

引き続き、容量市場の情報です。
・前の「容量市場は大手電力にとって棚ぼた利益–(2)」に書いたように

> 容量市場は既存原発への補助金

であって、新規原発の建設を後押しするような制度設計にはなっていません。

・しかし、今、流れは変わりつつあります。
・経済産業省・資源エネルギー庁は、電力逼迫を奇貨として、電力の供給力アップに力を入れています。安定供給の錦の御旗の元、カーボンニュートラルに隠れて、原発の推進を念頭に置いた制度を設計しているのです。

・電源確保を目的とする容量市場は、現行の制度では、原発新設、リプレースには対応し切れていません。そこで、経済産業省・資源エネルギー庁は、固定費回収の予見可能性を確保して脱炭素電源(ここに原発が含まれる)新設を後押しする新制度について、議論を進めています

(2022/6/23 電氣新聞 TOPニュース。「脱炭素電源の固定費回収、供給開始期限を設定/来年度入札へ主要論点消化」)。電力労働運動近畿センターのML【電気新聞デジタル情報】220623 には何故か取り上げられていなかったのですが、重大なニュースだと思います。

・それによると、運転開始前の案件を入札対象とし、電源種ごとに期限を設定して、それまでに供給力提供を求めることにしています(ただし、達成できなければペナルティーが科される)。新制度の名称は「長期脱炭素電源オークション」として、2023年度の初オークションをめざすとしているようです。

・新制度での容量支払は複数年となり(現行制度は1年のみ)、入札から運転開始年度までの期間を電源によって多様化し、長期化しています(現行制度は4年後のみ)。新制度の開始期限は、原発は17年後の開始を設定していることを明示していることから分かるように、原発新設、リプレース推進制度であることは明白です。

資料は、以下をご覧ください。
(1)電氣新聞
(2)資源エネルギー庁の資料、2/17
(3)資源エネルギー庁の資料、5/25

【注意】以上の内容は、電氣新聞の概略報道と過去の資源エネルギー庁の資料によるものなので、今後、資源エネルギー庁から発表される内容(PDFファイル、近々発表されるはず)を読んでみないと確定的なことは言えない点に留意ください。

◆関西電力 闇歴史◆063◆

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◆黒部川の出し平=だしだいら=ダムと宇奈月ダムの連携排砂で
 富山湾にヨコエビが異常繁殖、漁業に被害か
 関電は、補償金は出しても因果関係は認めず
└─────────────────────────────────

 黒部川には、現在、5つの発電機能を有する利水ダム(黒部川本川に黒部ダム、仙人谷=せんにんだに=ダム、小屋平=こやだいら=ダム、出し平=だしだいら=ダムの4ダム、黒薙=くろなぎ=川支流に北又=きたまた=ダム)と1つの洪水調節機能を有する多目的ダム(宇奈月=うなづき=ダム)が整備されている。(黒部ダムには黒部川第四発電所があるので、黒四ダムともいう)

 黒部川は全国でも有数の流出土砂の多い河川であることから、これらダム群の最下流部に位置する関西電力の出し平ダム、国土交通省の宇奈月ダムでは、ダムに堆積する土砂を下流に排出できるよう、それぞれに排砂設備が設けられている。

 国と関西電力は、ダムの寿命を延ばすため、より自然に近い排砂の方法を模索するとして、前例のない排砂という実験を繰り返している。排砂は梅雨時期などの大雨に合わせて、毎年繰り返される。この仕組みのダムがあるのは、全国でも黒部川だけ。流される土砂は1回平均40万立方メートル。10トントラックで6万3千台分にも及ぶ土砂は、潮の流れで富山湾入善=にゅうぜん=沖へと流されていく。

 しかし、その排砂によって、富山湾では何が起こっているか。

┌─────────────
◆黒部川ダム排砂問題
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第19回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
不可解な事実 ~黒部川ダム排砂問題~
(制作:富山テレビ
こちら

◆なぜ網にかかる魚が骨と皮に…? 黒部川ダム排砂問題の不可解な事実
富山テレビ(2022年4月10日)が伝える。多くの写真を掲載しているので、必見。
#1→こちら
#2→こちら

 以下、その中から、引用してまとめる。

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◆漁 民
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 2000年代後半、黒部川河口海域の漁師たちは網にかかったヒラメ、カレイなどの魚が骨と皮だけになる被害を受け、危機感を深めた。“海の掃除屋”と呼ばれる「ヨコエビ」の異常繁殖による被害ではないか。ヨコエビという小さな(体長1センチ足らず)甲殻類が異常に増えたことで、刺し網漁の獲物であるヒラメ、カレイなどが食い荒らされると主張。それを見たダイバーは「魚の表面に全部虫がついている感じ。こんなにたくさんは見たことがない」と、海の中で目にした光景の異様さを口にした。

┌─────────────
◆関西電力
└─────────────
 排砂は、1991年12月に初めて非公開で行われ、1994年に本格実施。当時、ダムの宿命的な問題、排砂を解消する画期的な方法として注目を集めた。想定では流れ出るのは砂だけのはずだったが、土砂に混じった有機物が変質していて、ダム完成から6年でヘドロに変わった。関西電力北陸支社の当時の支社長は「みなさんのご理解が得られることが前提にならなければならない。すべてそういう形で進めていく必要がある」と述べていた。

 排砂のルールを公表すると同時に、関西電力は漁業団体に対して補償金を支払った。富山県漁業協同組合連合会に対して、初回排砂分として8億円、5回終了時に解決金の意味合いで約30億円、加えて毎年7000万円を支払う約束を交わした。県漁連がこれまでに受け取った補償金は約50億円(当時)。黒部川内水面漁業協同組合に対しても、アユやイワナなどの放流魚の補償として約4億円の補償金が支払われた。

┌─────────────
◆裁 判
└─────────────
 漁民らは不漁の原因は、出し平ダムの排砂と主張したが、関西電力は一切取り合わなかった。2002年12月、現場の漁師とわかめ組合は、富山地裁に裁判を起こした。「今の状態では、富山湾が危ない。危機感と関電に対して怒り心頭に達した」と提訴会見で語った。6年に及ぶ審理の末、地裁は排砂の影響で生育が鈍ったわかめにヨコエビが付いたと排砂との因果関係を一部認めた。しかし、ヒラメなどの漁獲量に対する影響は認めなかった。

 2011年4月、名古屋高裁で行われた控訴審で、漁師と関西電力の当事者間に和解が成立して裁判は終局した。2017年には黒部川ダム排砂評価委員会が「16年間の連携排砂により、排砂に関する一定の手法が確立されてきたと考えられる」として、現在運用している最新の手法やこれまでの検討の経緯、技術の蓄積を「黒部川 出し平ダム 宇奈月ダム 連携排砂のガイドライン(案)」として取りまとめた。
こちら

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◆評価委員会
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 国と関西電力は排砂の影響について、判断のすべてを第三者機関である「黒部川ダム排砂評価委員会」にゆだねている。委員は河川工学や海底地質学、生物学など11人の有識者が参加したが、報告はヨコエビなどの海底生物に主だった特徴は見られないというものだった。

 ダムの土砂を毎年大量に流すことが海洋に及ぼす影響について、評価委員会のメンバーは口を閉ざす。テレビでは、その中で一人の学者がインタビューに応じているが、内容のあることは言っていない。

◆6/4 第10回原告団総会の報告

◆京都脱原発原告団は,「原発の再稼働を許さず,すべての原発を廃炉に」と、6月4日(土)ハートピア京都(京都市中京区)と、オンラインZoomの併用で、第10回原告団総会を開きました。Zoom併用の総会は、昨年に続いて2回目でしたが、世話人や、Zoomに明るい原告らに全面的に支援してもらい、無事に終了しました。

◆当日の参加者数は、会場参加およそ50名、Zoom参加およそ50名。

◆この総会で、竹本修三・原告団長の退任が確認されました。竹本団長は、体調不良のためご本人およびご家族からの申出により、退任されますが、この日は奥様とご一緒におみえになり、退任のご挨拶がありました。竹本団長には、10年にわたって原告団長の重責を担っていただき、ありがとうございました。皆さまの拍手で、労をねぎらいました。原告団世話人会からは、世話人の赤松純平がご挨拶いたしました。

◆総会の記念講演は、元原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦先生で、大飯原発をめぐる基準地震動、入倉・三宅式の問題を鋭く指摘されました。難しい話ではなくて、よく理解できたという声がいくつか届いています。たいへん好評だったと思います。3・11大津波の対策を邪魔した人々という一般書を出したいとのことで、それに期待する書き込み(Zoomのチャット)もありました。また、「入倉・三宅式」批判は、既に『科学』に掲載、今後、わかりやすく書き直す必要があるとのことでした。

◆受付配付資料冊子「原告団からの報告+ご講演レジメ」は、以下からダウンロードできます→ こちら。「原告団世話人会から報告など」のパワーポイントのファイル(冊子の内容をわかりやすくしたもの)も、ダウンロードできます→こちら

◆「311子ども甲状腺がん裁判」を全国で支援し、勝利しよう~~の特別決議は、採択されましたので、裁判を支援する賛同団体に登録します。

◆6/3 第33回口頭弁論の報告

 2022年6月3日(金)に京都地裁で第33回口頭弁論が開かれました。
模擬法廷&報告集会は、弁護士会館で行いました。
事前のお知らせチラシ→こちら

  • 法廷傍聴、報告集会にご参加の皆さまは、たいへん御苦労様でした。
  • 6月より急にコロナ禍による傍聴席の制限がなくなり、全席およそ90席が使えるようになったのですが、傍聴希望者の方が少なくて抽選にはなりませんでした。今後は、傍聴支援の要請を旺盛にして傍聴席が埋まるように運動を展開していきます。
  • 今回は、原告団総会の案内チラシと一緒に口頭弁論期日案内も送付することになった関係から、開廷前の裁判所周辺デモは、4月下旬の段階で判断を迫られて、リスク回避を優先して中止と決めました。次回の口頭弁論期日からは、なるべく、デモも行うようにしたいと考えています。
  • 参加者が全員、抽選なしで傍聴席に入ったために、模擬法廷は、参加者がいませんでした。
  • 報告集会では、意見陳述をされた井上ひろみさんの発言があり、弁護団および原告団からの報告、参加者からは「5/29 原発のない明日を~老朽原発このまま廃炉!大集会inおおさか」の報告(2100名→こちら)がありました。50名ほどの参加でした。
  • 報告集会では、カンパをいただきました。感謝いたします。

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当日の原告側の主張は、以下の通りです。

 原告の意見陳述は、介護、医療関係の原告からの避難の困難性について。1980年代から京都市北区で原谷(はらだに)こぶしの里など老人福祉施設を運営する社会福祉法人 七野(ななの)会の代表、井上ひろみさんが、コロナ禍のもと高齢者施設における原発事故避難がどんなに厳しい状況になるかを切々と陳述。→甲610号証

 ほかに、第93準備書面…被告関電準備書面(32)に対する反論。
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なお、被告の国と関電からも書面が提出されましたが、法廷で要旨を読み上げたりせずに、単に「陳述します」と述べただけです。

 被告国からの書面は、こちら
 被告関電からの書面は、こちら
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弁護士会館にて報告集会。岩佐弁護士が「社会通念論」に関して報告。

◆5/29「老朽原発このまま廃炉!大集会 in おおさか」に2100人…報告とお礼

【2022年6月2日】

報告とお礼
5.29「原発のない明日を
―老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさかー」に2100 人

 福島原発事故から11 年が経ちましたが、この事故は、原発は、現在科学技術で制御できる装置でないことを大きな犠牲の上に教えました。その原発が老朽化すれば、危険度が急増することは多くが指摘するところです。

 さらに、去る2 月に始まったウクライナ紛争では、ヨーロッパ最大の原発・ザポリージャ原発やチョルノービリ原発が攻撃・占領され、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。

 原発、とくに老朽原発は、あってはならない装置です。

 ところで、昨年6 月23 日に当初の目論見より約半年遅れて再稼働した老朽原発・美浜3 号機は、特重施設の設置が期限に間に合わず、10 月23 日に、わずか4 ヶ月間の運転で停止を余儀なくされました。一方、老朽原発・高浜1、2 号機も特重施設が間に合わず、停止したままです。

 老朽原発停止の表向きの理由は特重施設が未完成のためですが、原発電気の消費地・関西と原発立地・若狭が固く連帯し、また全国からの支援を得て展開されたたび重なる「老朽原発動かすな!」の行動や各地での裁判闘争が、政府と電力会社の原発推進に向かった暴走に歯止めをかけ、「老朽原発廃炉!」の民意の形成を後押し、「原発停止」を勝ち取らせたと言っても過言ではありません。

 美浜3 号機、高浜1、2 号機の特重施設の完成は早くても本年10 月頃、来年5 月、6 月頃といわれていますが、これらの老朽原発は、特重施設の完成後に再稼働されたとしても、来年末には停止に追い込まれる可能性が大です。それは、関電が「使用済み核燃料の県外中間貯蔵地を来年末までに探せなければ、老朽原発を停止する」と明言していますが、中間貯蔵候補地探しは至難であるからです。老朽原発停止を突破口に原発全廃に向かって大きく前進する好機です。

 なお、「老朽原発うごかすな!」の闘いは、国内だけでなく、韓国をはじめ世界の脱原発運動から注目されています。

 現在、川内原発1、2 号機、高浜3、4 号機が運転開始後それぞれ37、36、37、37 年超えです。また、韓国の原発5 基も35 年を超え、2 基は来年40 年を迎えようとしています。もし、高浜1、2 号機、美浜3 号機、東海第2 原発の再稼働を許せば、世界の老朽原発稼働の前例にされます。一方、老朽原発の運転と原発の新設を阻止すれば、最悪でも、2033年に若狭から、2049 年に全国から稼働する原発が無くなり、世界の脱原発を先導できます。

 5 月29 日、大阪市西区のうつぼ公園で開催された「原発のない明日をー老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさかー」には2100 人が結集し、1 昨年の9.6(1600 人結集)、昨年の6.6(1300 人結集)「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」、12.5「老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか」(1600 人結集)を上回る大集会となりました。

 この集会には、コロナ禍で、市民団体や労働団体の組織参加は自粛されたものの、脱原発を目指す市民団体、労働団体、政党の多くの代表が参加されました。関西、福井をはじめ、遠く関東、東海、四国、鹿児島、青森、島根などからの参加も得ました。

 快晴のこの日、うつぼ公園では、赤く染められた「老朽原発うごかすな!」の大横断幕が参加者を待っていました。

 正午から始まった川口真由美さんのグループ、綾部うたごえサークル「広場」を中心とする歌声の皆さんなどのオープニングライブで盛り上がった後、大集会は13 時より、高槻市議・高木隆太さんの司会で始まりました。

 主催者挨拶に立った中嶌哲演さんは「ウクライナ紛争は、戦時下には原発施設そのものが核兵器に転嫁されかねないことを世界に実感させた。今や、戦争に反対し、老朽原発再稼働に反対する潜在的な世論は絶対過半数を超えている。その意思を顕在化させる最大のチャンスは今夏の参院選」と訴えられた。井戸謙一弁護士は、美浜3 号機運転差止仮処分裁判と子ども甲状腺がん裁判について語られ、甲状腺がん裁判では、20 代女性原告の証言に、傍聴席からすすり泣きの声が漏れ、裁判官も目頭を熱くしたかに見えたと報告されました。その後、名古屋地裁の老朽原発廃炉訴訟の草地妙子さん、老朽原発・美浜3 号機地元の山本雅彦さん、老朽・東海第2 原発地元の披田信一郎さん、原発事故避難者の佐藤勝十志さんの発言が続きました。次いで、全国から駆け付けた約20 人が登壇・紹介され、「なくそう原発・核燃、青森ネットワーク」の中道雅史さん、「さよなら島根原発ネットワーク」の芦原康江さんのアピールを受けました。さらに、「老朽原発うごかすな!」のポスターを掲げて集合写真撮影を行い、関西の市民団体「脱原発市民ウオークin 滋賀」「綾部うたごえサークル〝広場”」「ストップ・ザもんじゅ」「原発ゼロの会大阪」「原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会」「原発ゼロ・被災者支援奈良の集い実行委員会」の代表からの連帯のあいさつを受けました。後、社民党、新社会党、日本共産党、緑の党グリーンズジャパン、立憲民主党、れいわ新選組の代表(国会議員2 人を含む)に登壇いただき、紹介されました。さらに、労働組合関係団体「フォーラム平和・人権・環境」「全国労働組合総連合近畿ブロック」「大阪ユニオンネットワーク」からのメッセージを受けました。最後に、集会アピール「老朽原発をこのまま廃炉にし、原発のない明日を実現しよう!」が提案、採択されました(以下に掲載)。

 集会には、先述の6 政党および全国で脱原発、核施設建設反対を闘う18 団体からのメッセージが寄せられ、冊子として配布されました。

 集会後は、炎天下をものともせず、圧巻の御堂筋デモを行い、市民。通行人に「老朽原発このまま廃炉!」を訴えました。

ご参加、ご支援くださいました皆さん、
ありがとうございました。

「老朽原発うごかすな!」を7 月参院選の
争点とし、核依存、原発推進の岸田政権に
NO をつき付けましょう!

老朽原発完全廃炉を勝ち取り、
それを突破口に原発のない、人の命と尊厳が
大切にされる社会を実現しましょう!

2022年6月2日

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)

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▼2022 年5 月30 日しんぶん赤旗

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5.29「原発のない明日を-老朽原発このまま廃炉!大集会inおおさか-」
集会アピール

老朽原発をこのまま廃炉にし、原発のない明日を実現しよう!

 福島原発事故から11年が経ちましたが、この事故は、原発がひとたび重大事故を起こせば、職場を奪い、農地を奪い、漁場を奪い、学校を奪い、生活の基盤を根底から奪い去ることを、大きな犠牲の上に教えました。福島県の「震災関連死」は、原発事故のため、他県に比べて格段に多く、福島県が認定しただけでも2300人を超え、今でも増え続けています。この事故での避難者の多くはふるさとを奪われたままです。事故炉の内部は、ごく一部しか分からず、溶け落ちた核燃料の取り出しの目途も立っていません。大量の放射性物質汚染水が溜り続け、太平洋にたれ流されようとしています。汚染土壌の処理法はなく、ごく表層をはぎ取って保存する他はありません。政府はこの汚染土壌を全国の公共工事で使用しようとしています。

 一方、原発を運転すれば、何十万年もの保管を要し、子々孫々にまで負の遺産となる、使用済み核燃料が蓄積しますが、その処分法はなく、中間貯蔵すら引き受けるところがありません。

 さらに、去る2月に始まったウクライナ紛争では、ヨーロッパ最大の原発・ザポリージャ原発やチョルノービリ原発が攻撃・占領され、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。

 それでも、岸田政権は、ウクライナ紛争によるエネルギー逼迫や炭酸ガス削減を口実にして、老朽原発の再稼働を画策し、小型新型原子炉の導入、核燃料サイクルの遂行に、私たちの支払った税金や電気料金を使おうとしています。岸田政権は、人々を放射線被ばくにさらしてまでも原発を推進しようとする、核依存内閣です。

 ところで、関電は、昨年6月、運転開始後45年を超え、危険極まりない老朽原発・美浜3号機を稼働させましたが、この原発は、僅か4ヶ月の運転で停止を余儀なくされました。関電が、再稼働を画策している47年、46年超えの老朽・高浜1、2号機は停止したままです。

 老朽原発停止の表向きの理由は特定重大事故等対処施設が未完成のためですが、全国で展開された「老朽原発うごかすな!」の市民運動、裁判闘争などの行動が、政府と電力会社の原発推進に向かった暴走に歯止めをかけ、「老朽原発廃炉」の民意を後押し、「原発停止」を勝ち取らせたと言っても過言ではありません。

 もっともっと大きな行動を展開すれば、老朽原発を廃炉に追い込み、それを突破口に、原発のない社会を実現できることを予感させます。

 なお、「老朽原発うごかすな!」の闘いは、国内だけでなく、韓国をはじめ世界の脱原発運動から注目されています。
< em> 現在、川内原発1、2号機、高浜原発3、4号機が運転開始後36年を超えています。また、韓国の原発5基も35年を超え、2基は来年40年を迎えます。もし、高浜1、2号機、美浜3号機の再稼働を許せば、国内だけでなく、世界の原発の40年超え運転の前例にされてしまいます。一方、老朽原発の運転と原発新設を阻止すれば、最悪でも、2033年に若狭から、2049年に全国から稼働する原発が無くなり、世界の脱原発の動きを先導できます。

 「老朽原発完全廃炉」に向けて、やれることは全て実行しましょう!「老朽原発うごかすな!」を7月参議院選挙の争点にし、「美浜3号機運転差止め仮処分」を審理中の大阪地裁へのメッセージとし、核依存、原発推進の岸田政権にNoを突きつけましょう! 老朽原発完全廃炉を勝ち取り、それを突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現しましょう!

2022 年5 月29 日
「原発のない明日を-老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか-」参加者一同
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札幌地裁が泊原発1、2、3 号機の運転差し止めを命令(5 月31 日)
安全性の立証責任を果たさない北海道電力の無責任と迷走を批判

2020 年12 月の大阪地裁による大飯原発3、4号機運転差し止め、
2021 年3 月の水戸地裁による東海第2 原発の運転差し止め判決に次ぐ快挙!

全原発の運転差し止めを目指して前進しよう!

▼2022 年6 月1 日京都新聞朝刊

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◆6/3 第33回口頭弁論 原告提出の書面

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【原告】裁判資料ーー準備書面、意見陳述こちら
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【原告】裁判資料ーー証拠説明書と書証(甲号証)→ 以下に
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第93準備書面 関係]証拠説明書 甲第611号証
(2022年5月26日)

甲第611号証…大飯原発敷地の地盤震動特性 - PS 検層結果および地質柱状図による微細構造の影響について -


第92準備書面 関係]証拠説明書 甲第608~610号証
(2022年5月26日)

甲第610号証…口頭弁論要旨【井上ひろみさん】
甲第609号証…福島原発事故後の避難による高齢者死亡リスクの分析
甲第608号証…京都府地域防災計画(資料編)令和3年6月


【注】裁判資料ページ全体の構成変更にともない、第27回口頭弁論から、前回までのタイトル「原告提出の書証」を、「原告提出の書面」に変更しています。内容的には、証拠説明書と書証を掲載している点で、ほぼ同じです。(ページの上のプルダウンメニューから入る場合と、右の更新情報から入る場合と、両方に対応する形にしました。)


◆6/3 第33回口頭弁論のお知らせ

・すべての原発を止める第一歩として大飯原発3、4号機の運転差止を求める私たちの裁判は、6月3日に、33回目の期日となります。原告団総会の前日になりますが、よろしくお願いします。
・裁判の内容、当日の行動予定は、以下の通りです。
・ML登録をされている原告には、5/19頃にメール配信いたします。
・郵送による案内は、今回は原告団総会の案内とともにすでに全原告に発送しています。
・今回の重要な変更点は、以下の通りです。
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・開廷前の裁判所周辺デモは、行いません。
・原告席の募集は、先着順ではありません。
 5/25(水)までにご連絡いただいた希望者の中から、新しい原告を優先して選びます。
 詳しくは以下の 青字 部分をお読みください。
・模擬法廷、閉廷後の報告集会は、弁護士会館 地階ホールとなります。
└─────────────

◆特別のお願い
現下のコロナ状況のため、傍聴席は半数ほどに削減されています。可能な範囲で多くの皆さまの傍聴ご参加をお待ちしていますが、無理をされないようにお願いします。
発熱や風邪のような症状のある方、体調不良の方は、参加をお控えください。マスク着用をお願いします。咳エチケットの励行をお願いします。また、消毒液が用意されていますので、必ずお使いください。
・模擬法廷&報告集会の会場入口では、念のための連絡用として、氏名と電話番号をご記入ください。2週間程度で廃棄します。

◆弁護団の準備書面
大飯原発の地盤について、関電の主張に対する反論、など

◆原告の意見陳述
・宮津地労協や宮津原発ゼロネットなどで活躍されている濱中博さんが、大飯原発で事故が起こった場合の避難の困難性などを陳述します。
・1980年代から京都市北区で原谷(はらだに)こぶしの里など老人福祉施設を運営する社会福祉法人、七野(ななの)会の代表、井上ひろみさんが、コロナ禍のもと高齢者施設における原発事故避難がどんなに厳しい状況になるかを陳述します。

◆タイムテーブル
【コロナ禍の現状にかんがみ、開廷前の裁判所周辺デモは、行いません。】
・13:25(見込み)…傍聴券の抽選リストバンド配布開始。地裁北玄関前。傍聴は誰でも参加可能
・13:40(見込み)…裁判所による傍聴席の抽選リストバンド配付終了。直ちに抽選→傍聴券の配布。抽選にもれた方、入廷を希望されず模擬法廷に参加される方は14:30までに弁護士会館地階ホールの模擬法廷へどうぞ
・14:30…開廷、弁論開始。同時刻に弁護士会館地階ホールで模擬法廷も開始
・15:45頃から…閉廷後、弁護士会館地階ホールで報告集会。30~60分程度

裁判に参加する方法…以下、三つの方法があります。
原告の皆さまは下記、[1] 原告席か、[2] 傍聴席か、[3] 模擬法廷のいずれかでご参加ください。
原告でない方は、[2]か[3]でご参加ください。
[1] 原告席…法廷の中で柵の内側に、原告として入ります。
被告「関電、国」の正面に座ります。
・原告団が氏名を裁判所に通知します。希望される場合は★5/25(水)★までに
電話、FAX、葉書などで事務局宛ご連絡ください。
・コロナ以前は合計35名ほどの原告が参加できましたが、今回は、6名程度となります。
・定数に達するまで募集しますが、今回は先着順ではありません。
・5/25(水)までに原告席希望とご連絡いただいた方の中から、第7次原告の方を最優先し、次に6次→5次→4次→……と、新しい原告(原告番号の数字の大きい原告)を優先し、結果は、応募いただいた全員にご連絡します。
(原告番号とは、裁判所提出名簿や事務処理用の番号でして、原告の皆さま各人にはご連絡していません。)
・昨年12月に154名の第七次原告を追加提訴したことで、これら新しい原告の裁判参加を優遇するための措置ですので、ご理解ください。

[2] 傍聴席…法廷の中で柵の外側。88席ありますが、今回はその半分程度になる見込みです。
傍聴席に座るには、裁判所が抽選を行います。
・13:25~13:40(見込み)の間に、京都地裁正面玄関前で、抽選リストバンドが配布されます。
・傍聴席は、原告でない方も、誰でも抽選によって参加することができます。
・傍聴席に入ることができなかった場合、または、最初から法廷に入ることを希望されない場合は、次項に記載の模擬法廷にご参加ください。
[3] 模擬法廷…弁護団が用意します(法廷と同じ14:30開始)。そこに参加するには
・京都地裁構内の南東角の弁護士会館・地階ホールへ、直接おこしください。
・法廷よりもわかりやすく、弁護団が解説します。
・事前に提出されている被告(国や関電)側の書面があれば、その解説も行います。

◆報告集会の開催
・法廷の終了後、弁護士会館・地階ホールにて報告集会を開催します(15:45頃から16:30頃まで)。
・裁判の進行などを、弁護団から説明いたします。裁判に関するご質問なども受け付けます。
・コロナ禍の状況によっては、報告集会自体を取りやめる可能性もあります。その場合は、あらかじめ原告団Webサイト(「京都脱原発原告団」で検索可)に掲載します。
・電話でのお問い合わせは、090-5660-2416(吉田あて)。

◆老朽原発完全廃炉を突破口に
原発のない明日を実現しよう!

原発は、人の命と尊厳を脅かし、
戦争になれば攻撃目標になる

 福島原発事故から 11 年が経ちましたが、被害者の多くは今でも、避難先あるいは被害地・福島で、苦難の生活を続けておられます。事故を起こした原発の内部は、高放射線のため、ごく一部しか分からず、溶け落ちた核燃料の取り出しの目途も立っていません。大量の放射性物質汚染水が溜り続け、太平洋に投棄されようとしています。汚染土壌の処理法はなく、ごく表層をはぎ取って保存する他はありません。東電と政府は、この汚染土壌を全国の公共工事で「再利用」しようとしています。

 一方、2 月に始まったロシア・ウクライナ紛争では、チェルノブイリ原発や欧州最大の原発・ザポリージャ原発がロシア軍に攻撃・占拠されました。

 このように、原発は、人類の手に負える装置でないことは明らかです。また、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になります。

ウクライナ紛争に乗じた原発推進

 今、原発推進派は、ウクライナ紛争に起因するエネルギー逼迫に乗じて、原発稼動を声高に叫んでいます。

 例えば、「日本維新の会」は、3 月 15 日、ウクライナ情勢を受けたエネルギー資源価格の高騰対策として、老朽原発・美浜 3 号機、高浜1、2 号機の緊急稼働を求める要望を政府に行っています。また、自治体として最大の株主である大阪市の松井市長は、関電の株主総会で行ってきた脱原発提案について、内容を改める考えを表明しています。目の前の経済的利益のために「大阪市民だけでなく広域の住民に放射線被曝を強いる原発運転」を容認しようとする背信行為です。

 なお、ウクライナ紛争に関連して、安倍元首相は米国との「核共有」を主張し、高市政調会長をはじめ、自民党の多くがこれに同調しています。また、杉本福井県知事は、自衛隊による迎撃態勢の強化を岸防衛相に求め、福井県嶺南地域への自衛隊配備も要請しています。この機に、核武装の議論を進展させ、自衛隊を増強しようとする、火事場泥棒のような行為です。

地球温暖化防止を口実にした原発推進

 原発推進派は、炭酸ガスを地球温暖化の元凶に祭り上げ、その削減を口実にして、世界的な脱原発の流れへの反転攻勢を強めています。

 EUは、原子力発電を「温暖化ガス排出ゼロに貢献する経済活動」と認める「EU タクソノミー」に追加しようとし、岸田政権も同様な立場で原発を推進しようとしています。

 炭酸ガスが地球温暖化の主原因とする科学的根拠はきわめて希薄で、結論を得るにさらなる議論が必要ですが、よしんば、炭酸ガスが主原因であることを認めたとしても、原発が、炭酸ガスを増加させないとする原発推進派の主張は誤りです。

 原発の運転でも、炭酸ガスは増加します。原発では、原子核に閉じ込められた膨大なエネルギーを解放し、最終的には環境に放出するのですから、原発運転は、海洋を含む地球表面の温度を上昇させます。水への炭酸ガスの溶解度は水の温度が上昇すれば減少しますから、海洋の温度が上昇すれば、海洋に溶解していた大量の炭酸ガスの一部が大気中に放出され、大気中の炭酸ガス濃度が増加します。一方、原発の建設、核燃料の製造、使用済み燃料の保管、重大事故時の対策にも多量のエネルギーを要し、その過程で、炭酸ガスが発生します。また、これらの過程で使用されるセメントの製造工程で多量の炭酸ガスが発生します。

 結局、化石燃料も原発も炭酸ガスを増加させます。炭酸ガスを増やさないためには、太陽から今現在受けているエネルギー以外を使ってはならないのです。また、炭酸ガスを減らす唯一の方法は、植物、とくに樹木を育てて、植物に炭酸ガスを蓄えてもらうことです。

老朽原発運転と原発過酷運転を強いる
エネルギー基本計画

 岸田政権は、昨年 10 月 22 日に、第 6 次エネルギー基本計画を閣議決定しましたが、この計画では、2030 年に原子力を 20~22%にしようとしています。

 原発電力 20~22%を達成するために、政府は、2030 年には 15 基となる老朽原発の再稼働と建設中の 3 原発の稼働を画策し、以下のような、原発利用率の引き上げのための原発過酷運転も行おうとしています。危険極まりない老朽原発運転と原発過酷運転を許してはなりません。

●定期検査間の運転期間の長期化 現在は 13ヶ月ごとに定期検査していますが、18 ヶ月~24ヶ月に変えようとしています。

●検査内容の変更による定期検査の効率的実施と原発酷使 現在の定期検査では、原子炉を停止し、平均 90 日をかけて一斉分解点検していますが、これを、米国の 30 日に倣って短縮しようとしています。短縮のために、「状態監視保全」方式(早めの部品交換をせず、機器ごとに劣化状況に合わせて保守する方式)を導入し、機器を限界まで酷使しようとしています。

●原子炉を止めないでおこなう検査「運転中保全」の導入 「安全上重要な機器」は予備系統で多重化されてはいますが、検査中は予備系統がなくなります。

(以上の検査内容の変更は 2009 年に行われていましたが、変更の実行は福島原発事故で中断されていました。)

老朽原発運転と原発過酷運転を強いる
のは、「巨大資本に奉仕する国造り、
戦争出来る国造り」のため

 政府が、老朽原発の運転、原発過酷運転に固執するのは、

①使用済み核燃料、核廃棄物の保管・処理費や事故による損失を度外視すれば、安上がりな原発電力によって、電力会社や大企業を儲けさせ、

②総括原価方式の下で集めた電気料金を、原発を介して、ゼネコンや原発関連大企業へ垂れ流すためです。さらに、第 6 次エネルギー基本計画では、原発の他に、再生可能エネルギーを拡大するだけでなく、炭酸ガス排出量の多い石炭火力を 19%も残そうとしています。それは、

③戦争になり、天然ガスや石油の輸入が途絶えたときの基盤電力を、国内で調達できる電源である原発、再生可能エネルギー、石炭火力で確保するためです。すなわち、老朽原発の再稼働は、「巨大資本に奉仕する国造り、戦争出来る国造り」のために行われているのです。

老朽原発廃炉を突破口に原発全廃を!

 昨年 6 月 23 日に当初の目論見より約半年遅れて再稼働した老朽原発・美浜 3 号機は、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置が期限・10月 25 日に間に合わず、10 月 23 日に、わずか 4ヶ月間の運転で停止を余儀なくされました。一方、関電が昨年 6 月に再稼働を目論んだ老朽原発・高浜 1、2 号機は停止したままです。

 老朽原発停止の表向きの理由は特重施設が未完成のためですが、全国で展開されたたび重な
る「老朽原発うごかすな!」の行動や裁判闘争が、政府と電力会社の原発推進に向かった暴走に歯止めをかけ、「老朽原発廃炉!」の民意の形成を後押しし、「原発停止」を勝ち取らせたと言っても過言ではありません。

 停止している美浜 3 号機、高浜 1、2 号機の特重施設の完成は早くても本年10月頃、来年5月、6 月頃といわれていますが、これらの老朽原発は、特重施設の完成後に再稼働されたとしても、来年末には停止に追い込まれる可能性が大です。それは、関電が「使用済み核燃料の県外中間貯蔵地を来年末までに探せなければ、老朽原発を停止する」と明言していますが、中間貯蔵候補地探しは至難であるからです。老朽原発停止を突破口に原発全廃に向かって大きく前進する好機です。

 一方、日本原電が再稼働を企む老朽東海第二原発の安全対策工事の完成時期は 2 度目の延期となり、約 2 年遅れて、2024 年 9 月と発表されています。また、30 km 圏の 14 市町村の実効性のある避難計画が出そろう見通しも立っていません。

 老朽原発をこのまま廃炉に追い込み、原発全廃へ前進しましょう!

世界が注目する
「老朽原発うごかすな!」の行動

 今、「老朽原発うごかすな!」の闘いは、国内だけでなく、韓国をはじめ世界の脱原発運動から注目されています。

 現在、川内原発 1、2 号機、高浜原発 3、4 号機が運転開始後それぞれ 37、36、37、36 年超えです。また、韓国の原発 5 基も 35 年を超え、2 基は来年 40 年を迎えます。もし、高浜 1、2号機、美浜 3 号機の再稼働を許せば、国内だけでなく、世界の原発の 40 年超え運転の前例にされてしまいます。

 一方、老朽原発の運転と原発新設を阻止すれば、最悪でも、2033 年に若狭から、2049 年
に全国から稼働する原発が無くなり、世界の脱原発を先導できます。
 

「老朽原発うごかすな!実行委員会」は

5 月 29 日(日)、大阪で
「原発のない明日を‐老朽原発このまま廃炉!大集会 in おおさか‐」を計画し、今までを格段に上回る結集を目指しています。

 また、この大集会を頂点として、ヒトリデモ、アメーバデモ、原発電気不買運動など、創意工夫を凝らした行動を実行します。

皆様のご支援、ご参加をお願いします。

2022 年 4 月 12 日
老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先:木原(090-1965-7102)

◆関西電力 闇歴史◆062◆

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◆関電の不適切取引3件を、コンプライアンス委員会が指摘、
 3件のうち、2件はすでに昨年も報道、
 報道に対し関電は素知らぬ顔をしていたが
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 関電のコンプライアンス委員会が、これまでの不適切取引3件を指摘したと、朝日新聞が報道した(2022年4月22日)。高浜町森山栄治元助役関連の利益供与も含まれている。

 2020年3月の第三者委員会調査報告書により、総論的に問題点の指摘があったが、関電によれば、今回の調査結果は、その追加各論にあたるものとされている。

 関電の原発マネー不正還流を告発する会」は、捜査権のない弁護士等による委員会ですらこれだけのことを調べられるのに、大阪地検はなぜ不起訴にしたのか、として、地検に再捜査を申し入れ、検察審査会へ起訴相当の議決を行うよう補充書を提出した。
地検への申入書はこちら

 なお、今回の3件の指摘のうち、2件は、昨年すでに報道されてきたもので、この「関西電力 闇歴史」に掲載している。

1.土砂処分問題…詳しくは
 →◆関西電力 闇歴史◆034◆
 新聞報道に対する関電のコメントが、なんとも素知らぬ顔をしているのが、おかしい。なお、工事の元請けのゼネコンと下請けの地元業者の間に吉田開発を介在させ、「監理業務」の名目で関電が支払っていたのは、約2億円とのこと。

2.土地賃借問題…詳しくは
 →◆関西電力 闇歴史◆035◆

3.A倉庫問題。これは新しく明るみに出た問題。関電は、資材置き場を年間5000万円で賃借していたが、相場は1600万円で不相当に高額。高浜町の幹部および町議A氏からの要求があった。大阪国税局の指摘を受けて減額交渉を始めた後も、減額分を補うため、町議の親族会社に相場より高額で土砂の処分工事を発注していたという。高浜町の野瀬豊町長は「町内にもうわさがあるもののそのレベルのことで、事実かどうかはわからず、私からはあったともなかったとも申し上げることはできない」「当時の幹部の年齢も考えると何があったかの事実の検証は難しい」としている(福井新聞)。

以下は、関電のプレスリリース。

・コンプライアンス委員会の調査結果を踏まえた当社の対応について
 こちら
・別紙1:コンプライアンス委員会の調査結果の概要 [PDF 99.66KB]
 こちら
・別紙2:「再発防止策の視点」と再発防止対策 [PDF 230.47KB]
 こちら
・添付資料1:調査報告書(概要) [PDF 414.31KB]
 こちら
・添付資料2:調査報告書 [PDF 2.23MB]
 こちら

◆新電力や原発をめぐる状況~2022年4月

【Memo】2020年12月~2021年1月、卸電力市場の暴騰

◆2020年12月~2021年1月の冬は、日本卸電力取引所の電力価格が暴騰
・通常価格… 8~10円/kWh
・高くなる時間帯でも…50円/kWh程
・これまでの最高価格…75円/kWh程
・2021/1/6…100円/kWhを記録
・2021/1/15のピーク…251円/kWh!

◆ほぼ1年前のことですが、2021/3/25に、新電力大手の「F-Power(エフパワー)」が倒産
F-Powerは、新電力の大手として知られ、2018年4月には電力販売量で一時、新電力のトップにもたったことがある。その倒産の理由は、その後、現在に至る新電力の苦境の典型となっている。

◆倒産の理由(1) 逆ざや
2020~21年の冬は、日本卸電力取引所の電力価格の暴騰により、150円で仕入れた電気を20円で売るという状況で、売れば売るほど赤字になる事態であった。

◆倒産の理由(2) インバランス料金
小売電力会社は、自社が契約を取った顧客に対する電力の供給については、全量を確保する責任を負っていて、それができなかった場合、不足電力を補ってもらうことになる送配電会社にインバランス料金という罰金を支払う仕組みになっている。このインバランス料金は、市場全体で需給バランスが不足したときには、市場価格よりかなり割高になる。
◆実際にインバランス料金の推移の一例をみると、
・2020年12月1日時点では最高価格は7.91円/kWh
・2021年1月 1日には100.25円/kWh
・    1月 5日には190円/kWh
・    1月 7日には400円/kWh
・    1月11日には511.3円/kWh

◆ 経済産業省 資源エネルギー庁は2021年1月15日、卸電力市場価格が高騰していることを受け、インバランス等料金単価の上限を200円/kWhとする措置を1月17日の電力供給分から適用すると発表。2022年4月からの導入が検討されていた料金単価の上限設定を、前倒しで導入した形だ。
……が、しかし、深手を負った新電力にとっては、とき既に遅し!

◆ 帝国データバンクは2021年5月21日、新電力会社706社の経営実態調査に関する調査結果を発表した。調査によると、インバランス料金の支払い猶予措置を受けている新電力会社は、全体の4分の1にのぼる。

【Memo】2021年秋~2022年現在まで、卸電力市場で高値が継続

◆2021年秋から高騰して継続
・7.9円/kWh(9月)→12.1円/kWh(10月)→18.5円/kWh(11月)→17.3円/kWh(12月)→21.9円/kWh(1月)→20.6円/kWh(2月)→27.8円/kWh(3月)と推移
・2022年3月には64円を記録。地震で火力発電所が停止、ウクライナ戦争で燃料不安と価格上昇
・2022年1~3月の間に、北海道電力、東北電力、JERA、関西電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力において燃料制約(燃料不足として発電機の運転を抑制)が発生

◆【新電力の苦境…低圧】テラエナジー 竹本了吾社長……「実際のところかなり電力小売り会社は厳しい状況ですね。一般家庭だと約25~30円の単価で販売しているんですね。普段の仕入れだと10円とかそれくらいで仕入れているんですけれども、ここ数か月は時間によっては40円とかで仕入れないといけないようなことになっているので、本当に売れば売るほど赤字が出てしまう。」

◆2021年度1年間で、過去最多となる計31社の新電力会社が廃業や事業撤退などに追い込まれ、そのうち14社が倒産。4月6日現在、日本で登録されている新電力の事業者数は752社。このうち200社は、現時点では販売を行っていない。残りの事業者の中で大手電力の1割程度の販売量を持つ企業は数十社。
新電力が販売電力量に持つシェアは、21年12月で、全国平均21.7%。家庭用中心の低圧では23.8%。

◆【新電力の倒産や撤退など】
【2020年以前】
・2016/ 4、日本ロジテック協同組合が破産
・2017/11、大東エナジーの「いい部屋電気」が電力事業からの事実上撤退
・2018/ 8、福島電力が電力事業からの撤退、破産
・2020/ 1、エレトス合同会社が破産
・2020/ 2、AKUBIでんきおよびgreen energyが破産、電気契約の廃止
【2021年~】
・2021/ 3、ピタでんを運営するF-Power(エフパワー)が会社更生
・2021/ 5、パネイルが民事再生を申請
・2021/ 6、JBR(ジャパンベストレスキューシステム)、電力小売り撤退
・2021/ 7、フェニックスエナジーが破産開始決定
・2021/ 8、ファミリーエナジーが破産
・2021/ 9、アンフィニが民事再生を申請
・2021/12、グリーナでんき(自然エネルギー100%の電気を販売)が
低圧小売事業をTGオクトパスエナジーに事業譲渡
・2022/ 3、ホープエナジーが破産
・2022/ 3、エルピオが電力小売事業を停止
・2022/ 3、熊本電力が撤退。エビス電力へ契約を移すよう利用者に連絡
・2022/ 4、AGエナジー(AG Energy)が小売電気事業を終了

【Memo】高圧、特別高圧、自治体の電力調達

◆【高圧、特別高圧の料金値上げ】ウクライナ情勢で燃料高騰。大手の新電力は、調達困難、法人向け電気料金の引き上げを続々と通知

◆【自治体の電力調達】新電力切り替えが裏目、市施設の電気代高騰、従来契約より5000万円増加……静岡県掛川市が支払う公共施設の電力料金が高騰している。市が中心となって設立し、2021年4月に稼働した自治体新電力「かけがわ報徳パワー」に切り替えたため、従来より、電気代が約5000万円増加。

◆【高圧、特別高圧の小売から撤退】三井物産などが資本参加する中堅新電力のシン・エナジー(神戸市)が4月末をめどに、特別高圧・高圧分野の小売事業から撤退。ハルエネ(東京・豊島)、リケン工業(神戸市)など、中堅クラスの新電力も、企業向けの高圧電力販売から撤退を決めている。

◆【大手電力も新契約を停止】大手電力が法人(高圧、特別高圧)の新契約を停止。新電力から大手電力に戻ろうとする利用者が、行き場をなくしている。一方、どの電力小売り事業者とも契約が成立しない場合に備えたセーフティーネットとして「最終保障供給」と呼ばれる仕組みがあり、主に法人向けであれば大手電力の送配電部門に供給義務が課せられている。最終保障供給の料金は標準メニューの約1.2倍と割高だが、足元では市場価格の高騰を背景にこの料金よりも高いプランしか提示できない「逆転現象」も起きている。

【Memo】原発をめぐる最近の状況

◆【電力価格の高騰、エネルギー供給の不安】
・CO2削減 →火力発電の縮小が続いてきた。
・地震で火力発電所が停止 →東京などで電力供給不安
・ウクライナ戦争 →石油、天然ガスの価格高騰、エネルギー供給不安、エネルギー多消費型社会に限界

→ 原発再稼働(大阪市松井市長)、小型原発など「新技術」の開発

◆【太陽光など再エネの系統制約】再エネ受け入れ停止……四国電が4/9、東北電が4/10。中国電が4/16予定。これまで九州電でも。

◆【原発は技術力低下と人材減少のダブルパンチ】4/15(金) 産経……東日本大震災後、原発の新設が進まないことなどを理由に、一部の事業者が撤退を決めた。設計図やノウハウの譲渡などサプライチェーン内での自助努力は重ねられる。それでも、原子炉内に挿入される核燃料をカバーし放射性物質の漏出を防ぐ被覆管の製造メーカー(*)が解散し国内調達が不可能になるケースも生じるなど、体制の維持は年々難しくなっている。
部品だけでなく人の不足も深刻だ。日本電機工業会のまとめでは、大手メーカーで、大型設備の製造に不可欠な溶接や組み立て、機械製造に携わる技術者は平成22年度からの10年で、45%減少。原子力事業者の就職説明会「原子力産業セミナー」でも、専攻が原子力関連でない学生の参加数は大幅に落ち込む。
将来が見通せず、社会的な風当たりも強い中、技術継承は綱渡りを余儀なくされ、さらに人材も減少していく構図だ。

(*)沸騰水型を中心としたジルカロイ被覆管を神戸製鋼所が製造し、加圧水型は旧住友金属が製造していたが、この両社が合同出資し合併させた新会社(2000年)が、ジルコプロダクツ。以後国内原発の被覆管すべてはこの会社で製造されてきたが、2017年に解散。