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◆11/20の第21回口頭弁論の報告
 ~救援新聞より

  • 救援新聞 京都版No.1351 2018年12月15日
    橋本宏一(日本国民救援会京都府本部 事務局長)

原発事故の避難はできない

大飯原発差止裁判で病院・特養勤務の原告陳述

◆京都などの住民3,323人が関西電力と国を相手に起こした大飯原発差止京都訴訟の第21回口頭弁論が、11月20日、京都地裁(第6民事部・藤岡昌弘裁判長)101号法廷で開かれました。今回も原告席や傍聴席(88席)は満席。原告弁護団の森田基彦、大河原壽貴、井関佳法の各代理人弁護士、さらに病院・特別養護老人ホームのスタッフの原告・西川政治さんが、提出した準備書面の要旨を次々陳述しました。

◆森田弁護士は、第54準備書面について陳述。「福島第一原発の事故をふまえて原子力等規制法が改正され、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全が加えられた。そのため住民の権利保護の目的が明確になった。大飯原発を運転しうる状況におくことは、原告らに常に生命・身体・健康等に甚大な被害が発生するかわからない差し迫った具体的危険性を強いるものであり、これを規制して、住民が自由に幸福を追求する権利(人格権)や生存権を守るべき義務が国にはある」と訴えました。

◆大河原弁護士は、第55準備書面で、今年7月4日名古屋高裁金沢支部が出した判決(福井地裁が大飯原発3・4号機の運転差し止めを命じた判決を破棄し稼働を容認した逆転判決)を批判。「新規制基準に合格していることを安易に安全とし、関電の主張をそのまま採用したもので、裁判所自らが主体的に原発の安全性・危険性について判断したものではない。福島原発の事故の原因や実相をも全く考慮していない、本判決は司法の判断を放棄した不当判決。当裁判所ではこのような電力会社の主張引き写し、立法・行政に追随するような判断に逃げない判断を」と迫りました。

◆井関弁護士は、第56準備書面を陳述。「原発立地の地域特性を原告側が過去にも基準値振動を超える地震が起きていて今後も発生する危険があると主張したことに対して、関電が地域特性は十分に把握できていて基準値振動超えの地震はおきないという。しかし、原告らの地盤調査や専門家の意見をふまえれば、大飯原発の敷地は、断層やずれ、傾き、歪みがある不整地盤にある。固い岩盤の上にあるとの主張も誤りで、はぎとり解析結果では、やわらかい表層地面内にあることが判明している。基準値振動超えの地震の危険性が一層明らかになった」と指摘しました。

◆原告の西川さんは、京丹後市網野町の丹後ふるさと病院、たちばな診療所を運営する特定医療法人・三青園常務理事兼事務局長、また特養「ふるさと」の経営責任をもつ理事も兼ねていること、その立場から、多くの患者、入所者、職員などが、大飯原発で事故が起こった場合どうなるのか、第57準備書面で次のように陳述しました。

◆「病院、特養ホームなどの患者、入所者、職員合わせて258人ほどがいる計算になる。大飯原発とは41.9キロ圏に位置する。前の国道178号線は海抜3~4メートルで津波の危険がある地震の避難路としては使えない。今年5月時点でストレッチャー移動患者・入所者91人、車いす移動155人、一人での歩行不能246人が存在している。自治体の救急車などでは到底避難させることはできない。福島のような原発事故が起これば多くの犠牲者が生まれる。これらの、われわれ大人が解決すべきツケを全部次世代に残して若者たちは希望がもてるのか。科学が経済成長戦略に屈するのか。このような事態にならない世の中をつくらなければならない」

◆次回第22回口頭弁論は、1月31日(木)午後2時30分から、同法廷で。傍聴券抽選の整理番号リングの交付は、1時50分頃から行われます。

◆第21回口頭弁論の報告

2018/11/20,大飯原発差止訴訟[京都地裁]の第21回口頭弁論,ご参加の皆さま,たいへんご苦労様でした。お疲れさまでした。

◆法廷での原告陳述は,京丹後市の西川政治さん(丹後ふるさと病院)。病院における原子力防災について。丹後ふるさと病院は,特別養護老人ホームふるさと,介護ステーションふるさとを併設し,医療と福祉を結ぶ連携体制をとっています。
陳述の内容は→こちら

◆弁護団からの準備書面は→こちら

◆以下,写真報告です。
(1)開廷前の裁判所周辺デモ。先頭でバナーをもつのは,竹本修三原告団長(右)と,弁護団の福山和人弁護士(左)。途中では,拍手で声援を送っていただいた場面もありました。

(2)長い横断幕は,京田辺市の原告がつくったもの。

▲原告の方から送られてきた写真

(3)弁護士会館地階大ホールでの報告集会の様子。この写真のときは,模擬法廷が続いていて,すでに終了した法廷からの原告や傍聴の方が席に着いたところ。このあと,竹本修三原告団長,中島晃弁護団長代行のあいさつ,意見陳述をされた西川政治さんからの感想など,渡辺輝人弁護団事務局長からの報告,吉田明生原告団事務局長からの報告とカンパなどのお願いと続きました。その後,会場からの質問,意見,アピールなど,ひじょうに積極的な意見交換がありました。

◆報告集会では,市川章人さんらの本『原発事故 新規制基準と住民避難を考える』,若狭の原発を考える会の「原発反対」ステッカーを紹介,頒布しました。また,多額のカンパをいただき,ありがとうございました。缶バッジ,クリアファイル,このあたりプレートなども頒布しました。

◆なお,今回,傍聴席が埋まらず,関電関係と思われる傍聴も多かった模様で,この点は残念でした。原告団世話人会として今後,3000人をこえる原告にどう訴えていくか,そこが問題だと思います。12月の世話人会の議題にして検討したいと考えています。

中島晃弁護団長代行のことば
市民が傍聴席を埋めるような裁判にしないと,いけない。
裁判官がちゃんとした判決を書けるようにするのが,傍聴の市民の役割です。

◆さらに井戸謙一弁護士のことば(別の講演会にて)をかみしめる。
原発問題も,司法問題も,市民が関心を失えば終わり。
問題意識を持ち,声を上げ続ける限り,未来は開ける。
司法の存立の基礎は市民の支持
裁判官魂を刺激し続ける。

◆次回,第22回口頭弁論は,2019年1月31日14:30からです。原告の意見陳述は,「安保関連法に反対するママの会」発起人で京都市内で「原発いらないコドモデモ」を行っている西郷南海子さんの予定です。

以上,概略のご報告まで。

◆11/20の第21回口頭弁論のお知らせ

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大飯原発差止訴訟[京都地裁]の原告の皆さまへ
次回 11/20(火)の裁判期日のお知らせ
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第21回口頭弁論について

前回,9/4の口頭弁論は台風直撃で開かれませんでしたが,
次回は11/20(火)14:00 より行われますので,
多くの皆さまにご参加いただきますよう,ご案内します。

◆次回の法廷の概略…次の通りです。
前回9/4の期日が台風で開かれませんでしたので,その予定と同様です。

(1)原告の意見陳述…京丹後市の西川政治さん(丹後ふるさと病院)「病院における原子力防災」について。前回の予定が順延になったものです。丹後ふるさと病院は,特別養護老人ホームふるさと,介護ステーションふるさとを併設し,医療と福祉を結ぶ連携体制をとっています。

(2)弁護団から(予定)
①7/4名古屋高裁金沢支部の判決への批判。
②国家賠償法上の違法と損害の問題。
③地盤特性,地震についてなど関電の主張に対する反論。


11/20の裁判に参加する方法…以下,三つの方法があります。

[1] 原告席…法廷の中で柵の内側に,原告として入ります。被告の正面になります。

・原告団が氏名を裁判所に通知します。希望される場合は★11月11日(日)★までに電話,FAX,葉書などで事務局宛ご連絡ください。
・合計35名ほどの原告が参加できますので,先着順で定数に達するまで募集します。

[2] 傍聴席…法廷の中で柵の外側。88席あり,そこに入るには,裁判所が抽選を行います。

・13:20~13:35の間に,京都地裁正面玄関前で,抽選リストバンドが配布されます。
・13:35からの抽選,傍聴券の配布は,地裁の北側正面玄関前となります。
・傍聴席は,原告でない方も,誰でも抽選によって参加することができます。
・傍聴席に入ることができなかった場合は,下記の模擬法廷にご参加ください。

★傍聴におこしください★ 最近の口頭弁論では,関電の関係者と思われる傍聴希望者が20名ほど来ていて,抽選の結果,10数名が傍聴席に入っています。関電の社員に私たち原告の主張を聞いてもらうのは良いことですが,原告の皆さん,脱原発を願う支援の皆さんの傍聴機会がなくなるのは困ります。11/20の傍聴席は,脱原発の声で埋めたいと思います。原告席に参加されない場合でも,ぜひ傍聴にご参加ください。

[3] 模擬法廷…弁護団が用意します(法廷と同じ14:00開始)。

そこに参加するには,
・京都地裁の構内の南東角にある「京都弁護士会館・地階大ホール」へ,直接おこしください。
・法廷よりもわかりやすく,弁護団が解説します。
・事前に提出されている被告(国や関電)側の書面があれば,その解説も行います。


報告集会の開催

・法廷の終了後(15:00頃から)「京都弁護士会館・地階大ホール」にて報告集会を開催します。
・裁判に関するご質問なども,弁護団から説明いたします。


開廷前のデモ

・市民に脱原発を訴えるため,従来通り,12:10 までに京都弁護士会館前(京都地裁構内の南東角)に集合して裁判所周辺のデモを行います。多くの皆さまが参加されるよう,訴えます。
・スタートは12:15 です。30分程度で終わる予定です。
・デモ後に,裁判所の傍聴席の抽選に応募することができます。


◆【取消】9/4の第21回口頭弁論のお知らせ

下記,期日は,台風接近のため 9/3に 取消となりました。
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大飯原発差止訴訟[京都地裁]の原告の皆さまへ
次回 9/4(火)の裁判期日のお知らせ
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第21回口頭弁論について

9/4(火)14:00より,京都地方裁判所において開かれます。
多くの皆さまにご参加いただきますよう,ご案内します。

◆次回の法廷の概略…次の通りです。

(1)原告の意見陳述…京丹後市の西川政治さん(丹後ふるさと病院)「病院における原子力防災」について。前回の予定が順延になったものです。丹後ふるさと病院は,特別養護老人ホームふるさと,介護ステーションふるさとを併設し,医療と福祉を結ぶ連携体制をとっています。

(2)弁護団から(予定)
①7/4名古屋高裁金沢支部の判決への批判。
②国家賠償法上の違法と損害の問題。
③地盤特性,地震についてなど関電の主張に対する反論。


9/4の裁判に参加する方法…以下,三つの方法があります。

[1] 原告席…法廷の中で柵の内側に,原告として入ります。被告の正面になります。

・原告団が氏名を裁判所に通知します。希望される場合は★8月26日(日)★までに電話,FAX,葉書などで末尾記載の事務局宛ご連絡ください。
・E-Mailでの応募と合わせて先着順とし,定数に達するまで募集します。
・合計35名ほどの原告が参加できますので,先着順で定数に達するまで募集します。

【注意】2017年に原告申込をされた方(=第六次原告)も,原告席に入ることができます。

[2] 傍聴席…法廷の中で柵の外側。88席あり,そこに入るには,裁判所が抽選を行います。

・13:20~13:35の間に,京都地裁正面玄関前で,抽選リストバンドが配布されます。
・13:35からの抽選,傍聴券の配布は,地裁の北側正面玄関前となります。
・傍聴席は,原告でない方も,誰でも抽選によって参加することができます。
・傍聴席に入ることができなかった場合は,下記の模擬法廷にご参加ください。

★傍聴におこしください★ 最近の口頭弁論では,関電の関係者と思われる傍聴希望者が20名ほど来ていて,抽選の結果,10数名が傍聴席に入っています。関電の社員に私たち原告の主張を聞いてもらうのは良いことですが,原告の皆さん,脱原発を願う支援の皆さんの傍聴機会がなくなるのは困ります。3/27の傍聴席は,脱原発の声で埋めたいと思います。原告席に参加されない場合でも,ぜひ傍聴にご参加ください。

[3] 模擬法廷…弁護団が用意します(法廷と同じ14:00開始)。

そこに参加するには,
・京都地裁の構内の南東角にある「京都弁護士会館・地階大ホール」へ,直接おこしください。
・法廷よりもわかりやすく,弁護団が解説します。
・事前に提出されている被告(国や関電)側の書面があれば,その解説も行います。


報告集会の開催

・法廷の終了後(15:00頃から)「京都弁護士会館・地階大ホール」にて報告集会を開催します。
・裁判に関するご質問なども,弁護団から説明いたします。


開廷前のデモ

・市民に脱原発を訴えるため,従来通り,12:10 までに京都弁護士会館前(京都地裁構内の南東角)に集合して裁判所周辺のデモを行います。多くの皆さまが参加されるよう,訴えます。
・出発は12:15 です。30分程度で終わる予定です。
・デモ後に,裁判所の傍聴席の抽選に応募することができます。


◆第6回原告団総会の報告

◆京都脱原発原告団は,「原発の再稼働を許さず,すべての原発を廃炉に」と7月22日(日)ハートピア京都(京都市中京区)で第6回原告団総会を開きました。
◆参加者は154名でした。
◆閉会時に参加者の皆さまから多額のカンパをいただきました。ありがとうございました。

(「原告団総会のお知らせ」チラシなど→こちら

【竹本修三・原告団長】

  • 開会挨拶と講演の講師紹介。くわしくは→こちら

【平原和郎・京大名誉教授】

  • 「地震予知連会長に聞く日本の地震予知の現状」と題して講演。2011年の東北地方大地震においてプレート境界で50メートル以上滑ったのは予想外であったこと,南海トラフの大地震には火山災害なども重なる可能性があるが,確度の高い地震予知はかなり難しい現状を指摘しました。また講演後,参加者からの質問に答え「災害列島の日本では多くの研究者は,原発はない方がよいと思っているのでは」などと述べました。

【休憩時間中に紙芝居を上演】

  • 原告団作成の『なくそう げんぱつ』
  • ネット上でご覧いただけます。→こちら

【渡辺輝人・弁護団事務局長】

  • この訴訟は大飯原発1~4号機の運転差し止めを求めたものであるが,すでに1~2号機の廃炉が決定しており,半分勝訴していることを評価すべきだと述べました。この廃炉は,多くの脱原発裁判,粘り強い市民の運動,世論の成果と強調。原告3323人ののうち8割をしめる京都府民が,大飯原発の過酷事故では避難が困難であることを追及していきたいと主張しました。

【中島晃・弁護団長代行】

  • 新聞コラムを引用し「法治国家」の崩壊,「放置国家」「呆痴国家」の出現を警告。裁判の勝利をめざそうと訴えました。

【福山和人・弁護士】

  • 3月の府知事選挙の候補者として奮闘しながら,選挙のときに配付した「クリーンな自然エネルギーで元気な京都を」というチラシを紹介(当日資料で配付)。新しい社会をつくっていこうと訴えました。

【島田広・弁護士】

  • 「福井から原発をなくす裁判の会」の弁護団長として,7/4,名古屋高裁金沢支部による不当な判決を強く批判し,最高裁に上告したかったが,断念した思いを語りました。
  • くわしくは→こちら

【吉田明生・原告団事務局長】

  • この間の裁判の経過,原告団の活動,会計報告,総会スローガンの提案を行いました。その後,会場からの質疑応答,アピールなどがあり,最後の総会スローガンなどを了承して,閉会しました。
    • 原告団・世話人会からの報告→こちら
    • 第6回原告団総会のスローガン→こちら
    • 書籍や資料など→こちら
    • このあたりプレートについて→こちら

  • 総会のときに受付で配付しました資料は,若干の残部があります。原告の方で,ご希望の方にはお送りしますので,事務局 「 kyotodatsugenpatsubengodanアットgmail.com 」(「アット」は「@」に変更してください)にご連絡ください。

【補足…おもな質問】

  • 非常に専門的な講演で,素人にはとても難しいものでした。結局は,全庁的な現象も殆ど確実なものはないと,ということが結論でしょうか?
    となると,地震がいつ起こってもよいような対策を進めていく以外ないと思われますが,今回の西日本暴雨は地震ではありませんでしたが,大規模な土砂崩れが各地に多発し,特に電車の電車の線路の地盤がくずれると,生活物資も送れないし,人々の日常生活もできなくなる事態を見て,地震の時でもこのような土砂くずれが多発すると思われますが,このような危険な線路は日本に多くあるのではないでしょうか?
    このようなことに対しての対策は,どうすればいいのでしょうか? 先生のご専門とははずれたものですが,何か提言があればお願いします。
  • アスペリティの挙動を考えると,地震の予知さらに耐震設計は不可能で,原発は安全であると証明できないと考えて良いですか。

【補足…おもな感想】

  • 大変勉強になった総会でした。学習会の内容についてはじっくりゆっくり再学習自習をしなければなかなか頭に入らないので,自宅で頑張ります。若狭の方々が奮闘されたのに最高裁への上告をやめたこと,勇気あることだと思いましたが,報告を聞いて裁判官の事も知ることが出来,権力のおそろしさも感じます。森友,加計が,又日報や報告書のかきかえが罪にならない一方で,国民の要望にこたえない権力側のことをよく学習することが,これからもっと重要だと思いました。毎週金曜の関電スタンディングアピールにぜひ皆さん参加してもらいたいです。送電線学習会,残念な事に参加出来ません。又昼間の企画もお願いします。…H.Yさん(下京区)

◆[第6回原告団総会]竹本修三・原告団長の開会挨拶と講演の講師紹介

[2018年7月22日 第6回原告団総会]

開会にあたって(講師紹介をかねて)

原告団長 竹本修三

◆私は昭和40年(1965年)に京大理学部を卒業し、宇治にある京大防災研に新設された地震予知計測部門の助手となり、伸縮計や傾斜計を用いた地震前後の地殻変動の研究に従事しました。

◆今日の記念講演をお願いした平原和朗さんは、私の10年後の昭和50年(1975年)に京大理学部を卒業し、院生として防災研に入ってきましたが、その後、防災研の助手となりました。私は平原さんに手伝ってもらって、京大宇治構内にレーザー伸縮計を設置して、「地表に設置されたレーザー伸縮計による土地伸縮変化の観測」という学術論文を仕上げたこともありました。

◆私は、平成元年(1989年)に京大理学部助教授として、地球物理学教室の出身講座に戻りましたが、それまで20年以上にわたって防災研の助手を務めました。その間に接した院生のなかで、一番優秀な院生が平原和朗さんでした。そこで、平原さんを何とか京大の地球物理学教室に欲しいと考えておりましたが、平原さんは平成2年(1990年)に京大防災研の助教授に昇進した後、平成8年(1996年)には名古屋大学の理学研究科教授に引っこ抜かれてしまいました。そのときに、とても残念に思いましたが、致し方ありませんでした。

◆ところで、私の2年上の地球物理学教室の同じ講座の卒業生に尾池和夫さんがいました。彼は、京大の理学部長・副学長を経験した後、平成15年(2003年)に京大総長になりました。それまで尾池さんは地震予知連絡会の委員でしたが、総長と予知連の委員との兼務はできないということで、私のところに予知連の委員のお鉢が回ってきました。そこで、平成16年(2004年) 1月から尾池さんに代わって、私が地震予知連絡会の委員を務めることになりました。

◆尾池さんの総長就任後、地球物理学教室で後任の教授人事が始まりました。 京大理学部・理学研究科では、ポストが空かないと、次の人事選考は始められないことになっています。選考委員会ではいろんな意見が出ましたが、私は一貫して名古屋大学の平原和朗教授を推しました。幸い、選考委員会では、この意見が通りました。そして、尾池さんの後任教授として平原さんを推すことが決まり、理学部教授会でもそれが承認されました。そして、平成17年(2005年)9月に平原和朗さんが名古屋から京都に戻って来られました。

◆平原さんが京都に来られたら、地震予知連絡会の委員のポストを彼に譲ろうと考えておりました私は、平成18年(2006年) 3月31日付で地震予知連絡会の委員を辞任し、同年4月1日付で平原さんが予知連の委員に就任しました。そして平原さんは、平成24年(2012年)11月より、地震予知連絡会の会長を務めておられます。

◆今日は「日本の地震予知の現状」をいう記念講演を平原さんにお願いしてありますが、私がこれまで京都地裁で意見陳述した内容と矛盾しないであろうと思っております。しかし、彼も偉くなったので、どんな話になるか、皆目、見当がつきません。

◆なお、昨年6月の第5回原告団総会で「耐震安全性における科学の問題」と題する記念講演をお願いした東大地震研究所教授の纐纈一起さんも今日の原告団総会に、お見えになっています。纐纈さんには平原さんの講演終了後に、短いコメントをお願いしたいと思っております。また、福井の「大飯原発訴訟控訴審」の弁護団長である島田広弁護士も遅れてお見えになることになっています。機会があればご紹介したいと存じます

◆では、平原先生、よろしくお願いいたします。

[◆第6回原告団総会の報告]に戻る

◆[第6回原告団総会]原告団・世話人会からの報告

[2018年7月22日 第6回原告団総会]

[1] 京都地裁における大飯原発差止訴訟

◆京都地裁における大飯原発差止訴訟は,すべての原発を止めるための第一歩です!

◆福島第一原発の過酷事故(2011年3月11日~)のあと,国内の稼動原発はゼロの状態になっていました。ところが,福井県にある関西電力・大飯原発は,当時の民主党政権のもと2012年7月に再稼働が強行されました(3・4号機)。京都脱原発弁護団・原告団は,大飯原発の運転差し止めと損害賠償を求め,2012年11月29日,京都地裁に1,107名の原告で運転差止の裁判を起こしました。

◆大飯原発は2012年の再稼働後,2013年9月に定期検査にはいって止まりました(3・4号機)が,2018年3月(3号機),5月(4号機)から再稼働されています。なおこの間,1・2号機の廃炉が決定しました(2017年12月)。

◆私たちは,多くの市民でたたかう脱原発訴訟をめざし,原告募集をすすめてきました。2013年12月に856名で第二次,2015年1月に730名で第三次,2016年1月に393名で第四次,2017年2月に184名で第五次,2018年3月に53名で第六次[追加]提訴を行い,現在,原告総数は3,323名となりました。原告募集はこれで終了しました。

◆京都地裁の大飯原発差止訴訟では3,323名が原告となっているほか,裁判傍聴は原告以外も多くの市民が参加しています。市民の願い,弁護団の熱意,研究者の知恵を結集して,脱原発を実現しましょう。

◆私たちは,開廷の前には毎回,裁判所周辺の30分程度のデモを行って,脱原発裁判の意義を市民に訴えています。14:00開廷の場合,12:15に京都弁護士会館前からスタートしています。

◆現在の弁護団,原告団の体制は以下の通りです。
・弁護団長…出口治男 弁護士。弁護団長代行…中島晃 弁護士。弁護団事務局長…渡辺輝人 弁護士。
・原告団長…竹本修三 京大名誉教授。原告団事務局長…吉田明生。事務局次長…山崎正彦,田中善久。

[2] 法廷での追及

◆これまでの各回の口頭弁論(2013年7月第1回~2018年6月第20回)の概略は,本総会案内のチラシとともに,全原告にお送りしました。また,訴状は,第六次原告まで,すべての原告にお送りしました。

◆最近では,本年3月27日に第19回口頭弁論,6月5日に第20回口頭弁論と回を重ねています。その中で,事故が起こった際の避難が困難であること,そして大飯原発の安全性,設定された基準地震動への疑問について,着々と主張を積み重ねています。

◆次回第21回口頭弁論は9/4(火),第22回は11/20(火)。時間はいずれも,14:00開廷です。

◆被告・関西電力は,主張するだけで保有している根拠資料すら提出せず,それどころか原発の地域特性の調査として当然になすべき重要な調査がなされないままです。また実施された調査結果は「科学技術を冒涜する所作」以外の何物でもないと言えるほどに,基準地震動が小さくなるよう歪めて評価していることを明らかにしました。
◆2017年12月に関西電力が高経年原発である大飯1・2号機の廃炉を決定したことは,私たちの大きな勝利ということができます。安全対策費が膨大になり,経済的合理性からペイしなくなったのです。

[3] 大飯原発,各地の法廷での追及

◆福井地裁…2012年11月,大飯原発3・4号機の運転差止を請求した(福井から原発を止める裁判の会)のに対し,2014年5月,その運転差止を命じる勝利判決が言い渡されました(樋口英明裁判長)。福島第一原発事故後初めての原発運転差止訴訟の判決は,歴史的な住民側勝訴判決となりました。その後,同じ裁判長の下で運転差止の仮処分も出されました。しかし,仮処分は福井地裁の意義審で覆され(林潤裁判長),名古屋高裁金沢支部の控訴審も2018年7月差止を認めない判決により覆されました(内藤正之裁判長)。

◆大津地裁…2013年12月,美浜,大飯,高浜の各原発で,関電,国に対し運転差止を請求して,審理が続いています(7/12第19回口頭弁論。福井原発訴訟[滋賀]を支える会)。なお,2016年3月には,関西電力高浜原発3・4号機の運転を禁止する仮処分決定が出て(山本善彦裁判長),稼働中だった3号機は運転を停止しました(4号機はトラブルで停止中)が,2017年3月,大阪高裁で覆されました(山下郁夫裁判長)。

◆大阪地裁…2012年6月提訴の大飯原発3・4号機行政訴訟は,審理が続いています(9/10第27回口頭弁論。美浜の会)。2017年12月に大飯原発3・4号機運転差止の仮処分が提起され,現在,審尋が続いています。

[4] この一年間の原告団のおもな活動

(1)毎月1回の原告団・世話人会

①原告団・世話人会の成立(2013/2/9)後,毎月1回,土曜日の午前に世話人会を開催しています(2018/7/7に第66回)。原告団の事務,いろいろな取り組み,裁判期日の内容の確認などを行っています。

②現在,原告団・世話人会は27名の世話人で構成しています。一昨年総会時の世話人は22名でしたので,新しい人が増えています。世話人は,随時,募集しています。

(2)広瀬隆さん&守田敏也さんジョイント講演会~日本列島の全原発が危ない!
次の大事故で市民の命と生活は?

①【2018年2月17日】お二人の熱意あふれる講演で,原発と闘う決意を新たにさせたと思います。参加者は222名で,ほぼ会場いっぱいの満席になりました。広瀬さんの本,守田さんの書籍を販売しました。

②閉会後もロビーにて講師を囲んで交流してもらうことができました。その後,懇親会を設けました。

(3)京都府知事選挙で,弁護団の福山和人さんを推薦

①【2018年3月22日告示→4月8日投票】
・福山和人さんは,京都脱原発弁護団の一員として奮闘されてきました。京都脱原発原告団は,立候補を予定されているかた二人に原発に関する政策を質問しましたが,福山和人さんは,推薦するのにふさわしい回答でした。

②質問と回答は,原告団Webに掲載。選挙結果は,質問状に答えなかった相手候補が当選しましたが,福山和人さんは,多くの市民の運動にも支えられて,その奮闘はめざましいものがありました。

(4)原告名簿,原告団ML,原告団Webの管理

①原告の皆さまへの連絡は,郵送希望の原告(1,000円の実費で登録)のほかは,原告団メーリングリスト(一斉メール送信,ML)で行っています。できるだけメールアドレス(携帯可)の登録をお願いします。また,最近,配信停止となるメールアドレスが増えていますので,携帯の機種変更などでメールアドレスが変更になった場合は,再度,事務局宛にご連絡ください。

②原告の皆さまで,住所が変更になった場合も,事務局宛にご連絡ください。

③原告名簿,原告団MLの管理につきまして,かなり改善を図りました。しかし,専従者がいる訳ではなく,あくまでボランティアベースの活動ですので,行き届かない点もあるかと思われます。今後とも,原告の皆さまのご協力を得て可能な範囲で改善していきますので,お気づきの点はご指摘ください。

(5)原告団が協力してきた署名など

①原発賠償京都訴訟の公正判決要請署名…終了しました。原発賠償京都訴訟は,2018年3月に判決がでましたが,避難者原告団は大阪高裁に控訴しました。大飯原発差止訴訟の原告団は,これまでと同様に引き続き全力で支援していきます。

②原発の電気はいらない署名…2017年3月から始め,2017年末で9111筆,2018年5月現在で,累計9801筆になりました。この署名は,引き続き集めています。

(6)缶バッジマシンの貸し出し

・缶バッジをつくるための缶バッジマシンは,京都木津川マラソンの東日本震災復興支援に応募して援助を受けたものです。
・マシン本体は他団体への貸し出しに応じています(無料)。パーツを用意されれば(対応パーツは「バッジマン」製),各団体でオリジナルの缶バッジをつくることができます。事務局にご連絡ください。

[5] 世話人会からの提起とお願い

(1)これからの運動の方向

・脱原発といってもいろいろな運動の形があります。また,それぞれの人には,得手,不得手のフィールドもありますし,好き,嫌いのフィーリングもあります。しかし,民主主義をめざす,脱原発の社会を実現するという共通点があるのですから,お互いの取り組みを尊重しあいながら,いろいろな動きが少しずつ足し算されていく感覚で多方面に伸びていく運動を期待したいと思います。
①関電は高浜原発,大飯原発の4基を再稼働し,名古屋高裁金沢支部は大飯原発の運転差止を命じた福井地裁判決を覆しました。この結果,地元の若狭はもちろん,京都府,滋賀県などで原発事故のリスクは各段に高まっています。大小の事故の起きる確率は高まっていますので,原告団としては,今後,舞鶴や宮津など,若狭の原発に近い京都府北部を中心に運動をつくっていきます。

②当面,舞鶴での集会や,「このあたりプレート」の配布を検討します。

③原告の募集が終了しましたので,今後は原告にはなっていない方にも,メールなどで広く訴訟案内などを送るようにします。

④裁判の進行,遠くない将来の判決を見据えて,行政や関電との関係づくりを検討します。この点については,経験のある他団体と協力したいと考えています。

(2)本日のカンパのお願い

・カンパ袋を配付資料にセットにしています。お帰りの際,出口で,ご意見用紙と一緒にお願いします。
・経済情勢の厳しい折りですが,当原告団の活動は,皆さまのカンパによって成りたっています。ぜひとも,ご協力いただきますよう,心からお願い申し上げます。
・領収書が必要な場合は,袋の表に住所氏名などを記入してください。後日,郵送します。

(3)その他いろいろなお願い

・以下,お願いばかりで恐縮ですが,可能な範囲でご協力ください。

①裁判期日には,原告席や傍聴席にて裁判に参加してください。開廷前には,弁護士会館前を出発して裁判所周辺のデモを行い,市民に脱原発裁判をアピールしています。時間などはその都度,ご連絡します。

②陳述書をまだ提出されていない原告の皆さまには,本総会の案内とともに書き方や用紙などを同封していますので,脱原発の思いを陳述書に書いて送ってください。原告になっているからといって,どうしても作成する義務があるというものではありません。あくまで任意ですが,裁判所,裁判官に思いを伝える機会として捉えてください。なお,陳述書のお願いは,今回の総会をめどに区切りをつけます。

③書籍,物品販売に協力してください。

④「このあたりプレート」を活用してください。
ご自分の土地などに,大型看板を出せる場合,ご連絡ください。

[6] 財政について

(1)財政の基本

・弁護団と原告団の活動は,皆さまのカンパでまかなっています。
・財政は弁護団財政一つです。
・弁護団は無報酬で活動しています。
・原告団,世話人の活動も,無償のボランティアが基本です。

(2)会計の報告

・(略)

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◆[第6回原告団総会]確認されたスローガン

大飯原発差止訴訟[京都地裁]第6回原告団総会にあたり
参加者一同で確認しましょう!

~原発事故で故郷を失うような事態,子どもたちを放射能にさらすような事態を二度と招かないために~
~若狭,京都,琵琶湖を,第二のフクシマにさせないために~

(1)すべての原発の新設と再稼働に反対しよう。
(2)40年超えの高経年原発を筆頭に,すべての原発の廃炉を求めよう。
*(3)原子力をベースロード電源とするエネルギー基本計画を改めさせ,節電,小規模分散,地産地消を基本とする再生可能な自然エネルギーの振興を求めよう。
(4)核武装の潜在能力を維持するための核燃サイクル,MOX燃料の使用は,即刻止めさせよう。
(5)原発事故に備える避難計画にとどまらず,全原発廃炉による原子力防災を前進させよう。
*(6)トルコ,インド,イギリスなどへの原発の輸出を止めさせよう。

(7)福島第一原発事故の原因究明を求めよう。
(8)福島第一原発事故について,国と東京電力,原子力ムラの事故責任を明確にさせよう。
(9)福島第一原発事故で被災,避難したすべての人に対する相当な補償を実現させよう。
(10)福島第一原発事故について,賠償を求めている全国の裁判を支援しよう。
(11)福島第一原発事故の被曝により,福島などで多発している甲状腺がんなどについて,実態解明と対策を求めよう。
*(12)学校教育や原発事故被災地における放射能の影響の過小評価,放射線安全宣伝,風評被害攻撃をうち破ろう。

(13)脱原発に道を開き,立憲主義,民主主義,平和主義を守る政権を実現しよう。
(14)あらゆる選挙において,原発推進勢力を排し,脱原発勢力を大きくしよう。
*(15)「原発ゼロ・自然エネルギー基本法」を成立させよう。
(16)原子力「推進」委員会と化している「規制」委員会の改廃を求めよう。
(17)福島第一原発事故に責任を負うべき裁判所が,今また原発推進に加担している責任を追及しよう。
(18)関西電力には,市民の声を聞くこと,原発から脱却した経営政策を強く要求しよう。
*(19)原発の電気はいらない署名などで,関西電力から新電力への切り替えを促進しよう。

*(20)京都脱原発原告団は,「市民参加の訴訟」をふまえ,脱原発市民運動との共闘をすすめよう。
(21)京都地裁における大飯原発差止訴訟に勝利しよう。
(22)原発の運転差し止めを求めるすべての裁判と連帯しよう。
(23)すべての原発運転差し止め裁判に勝利しよう。

以上,世話人会からの提案が,総会で確認されました。
(*は,昨年からの変更,または本年の追加です)

◆2018/7/4 名古屋高裁金沢支部の判決に対する抗議声明

名古屋高裁金沢支部による大飯原発訴訟控訴審不当判決に抗議する声明
2018年7月4日
大飯原発福井訴訟原告団
代表 中嶌 哲演
大飯原発差止訴訟福井弁護団
団長 島田 広

1 名古屋高等裁判所金沢支部は,2018年7月4日,福井地方裁判所が2014年5月21日に言い渡した,関西電力株式会社に対し大飯原子力発電所(以下「大飯原発」)の3号機及び4号機の原子炉について運転差止めを命じる判決(以下「福井地裁判決」)につき,原判決を取り消し,住民らの請求を棄却する不当判決を言い渡しました(以下「本判決」)。

2 福井地裁判決は,生命を守り生活を維持する利益を日本国憲法が保障する人格権の中核部分として位置づけ,これらがきわめて広汎に奪われる原子力災害の具体的危険が万が一でもあれば,原発の差止めが認められるのは当然,という判断を示しました。「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり,これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」と語る判決の言葉は,現在もなお癒えることのない福島第一原発事故の被害に真摯に向き合う倫理的な問いかけであり,人権を守る砦としての裁判所の責務に忠実に原発の安全性を厳しく審査した同判決は,国内外で多くの共感を呼びました。

しかし,関西電力や原子力規制委員会は,原判決の指摘を真摯に受け止めることなく,控訴審の審理中にもかかわらず遮二無二大飯原発の再稼働を強行しました。「第二のフクシマ」をまたなければ,関西電力をはじめ,立法府も行政府も,廃炉・脱原発を決断できないのか?とさえ思わせるような,愚かな原発再稼働が進む中で,司法が国民の期待に応え,再び原発の安全性を厳しく審査するのか否かが,注目されていました。

3 審理の過程の中で,関西電力は,住民側が提起した疑問点にはまともに答えようとせず,また,安全性に関する関西電力の主張の根拠となる,基準地震動の算定や地盤調査に関する生データの開示を,一貫して拒否しました。その態度は,自らの基準地震動策定や安全審査について裁判所が科学的に再検討を行うことを妨害しデータ隠しに終始する,きわめて不当なものでした。

4 こうした関西電力による不当なデータ隠しにもかかわらず,裁判の中で次々に大飯原発の危険性が明らかになりました。

(1)島崎邦彦・元原子力規制委員会委員長代理が,2017年4月に証言し,基準地震動策定の際に用いられる入倉・三宅式は,過去の地震データがない大飯原発で用いると,基準地震動の大幅な過小評価になることを,過去の複数の地震の科学的検証結果をもとに指摘し,政府の地震本部のレシピ改定にしたがった,より科学的で安全側に立った計算方法をとるべきであると指摘しました。

 島崎証言の指摘は,纐纈一起東京大学地震研究所教授も繰り返しこれを支持しており,きわめて信用性の高いものでした。

(2)物理探査学会元会長である石井吉徳氏はじめ複数の同学会関係者や,元京都大学防災研究所助教授の赤松純平氏が,関西電力の地盤調査がきわめて不充分で,しかも不充分な調査の結果すら関西電力の都合のよいようにゆがめて解釈されており,大飯原発の地盤は関西電力の想定より軟弱で,地下には断層の存在さえも疑われることを指摘しました。

 関西電力の安全設計が,基準地震動の計算方法に加え,地盤調査でも,基準地震動の大幅な過小評価を引き起こす重大な欠陥のあるものだったことが明らかになったのです。

(3)さらに最近,原子力規制庁が,大飯原発の大山噴火に伴う火山灰想定が過小であると指摘し関西電力による火山灰想定の欠陥が明らかになりました。

 このように,島崎氏の勇気ある証言を端緒として,①被告の地盤調査の問題点,②基準地震動の過小評価,③安全審査の欠陥など,生データの提出や各専門分野の有力な証人尋問によって解明する必要が生じており,住民側は複数の科学者証人の証人尋問を求め,法廷の内外で,審理を尽くし事実を解明するよう裁判所に繰り返し求め続けましたが,裁判所は,2017年5月に原子力規制委員会が大飯原発を安全審査合格とするや審理終結を急ぎ,基準地震動の計算方法や地盤調査という,まさに原発の安全性の根幹に関わる重要な問題も含め島崎氏以外の証人全ての尋問を「必要性なし」として拒否し強引に審理を終結するという暴挙に出ました。

5 本判決は,関西電力が基準地震動を策定した経緯や安全審査の過程について,関西電力の主張をそのまま引き写したかのような通り一遍の認定をしそれだけで,関西電力による安全性の証明はなされたものと認めました。これは,関西電力には,上記のような重大な疑間点に答える義務はないというに等しい,不当な判断です。

一方で,本判決は,住民側に対し高度の具体的危険性を立証するよう求め,しかも,自ら住民側が請求した証拠調べを軒並み却下して立証手段を奪っておきながら,具体的危険性の証明がないなどとして,原判決を覆しました。

こうした判決内容を踏まえ,控訴審の経過をひと言で言えば,原子力規制委員会の安全審査の結果さえ出れば,裁判所は,自ら主体的に原発の安全性を審査することなく,住民側の立証手段を奪ってでも強引に審理を打ち切ってこれに追随するだけだった,ということになります。

これは,もはや裁判ではありません。
福島の被害に背を向け,「見ざる,聞かざる,言わざる」の態度で行政追随を決め込み,あたかも「関西電力のサーヴァント(召使い)」(審理終結後の記者会見での中嶌代表の言葉)であるかのごとく,住民側の裁判を受ける権利を奪った不当な「裁判」に対し,満腔の怒りをもって,強く抗議します。

6 本判決は,行政追随を急ぐあまり,多数の事実誤認や論理破綻を犯しています。

(1)判断枠組みについて,いわゆる伊方型の判断枠組みを採用しながら,関西電力に求められる安全性の主張立証については,ほとんどその主張通りの認定に終始しており,先の高浜原発差止仮処分において大阪高裁が示したと同様の,電力会社寄りの事実認定となっています。

(2)基準地震動に関して,本判決は,地震の予知予測は正確に行うことができないことは疑いがない,全国的な観測網の整備が進んでから蓄積されたデータが少ない,クリフエッジとされた基準地震動の1.8倍を超える地震動は将来来ないとの確実な想定は本来的に不可能,との原判決の指摘はいずれも正当と認めています。そうであれば,それだけで,現在の基準地震動では本件原発の安全は到底確保できず,具体的危険の存在を認めた原判決は維持されるはずでした。

 ところが,本判決は,それは政策的な選択に委ねられるべきで,司法判断としては,「最新の科学的,専門技術的知見に照らし,その想定が合理的な内容となっているか否か」を問題とすべきだとして「クリフェッジとされた基準地震動の1.8倍を超える地震動」の可能性があっても,その想定は合理的なものでありうるかのごとき判断を示しています。

 電力会社の安全設計が完全に崩壊するクリフエッジを超える可能性があるとしても,具体的危険はないといいうるという判断は,恐るべき安全軽視であり,そもそも司法審査を放棄したとしか言いようがありません。

(3)本件訴訟の中心争点となった,大飯原発の基準地震動の著しい過小評価を指摘した島崎証言については,同証言が指摘する,関西電力の行った調査がきわめて不充分で,かつ,基準地震動の過小評価は関西電力の言うところの「保守的な評価」「不確かさの考慮」ではカバーしきれないほど大きなものであることを完全に無視しきわめて抽象的に,関西電力の主張通りに,関西電力の想定が保守的であると認めています。真摯に基準地震動の合理性を検討しようとする姿勢は微塵もありません。

(4)地盤調査について,原子力規制委員会の審査ガイドでは,敷地地下の地層が水平かつ成層でなければ,3改元的な評価をしなければならないのに関西電力がこうした調査をしていないことについて,本判決は,そもそも地層が均質な水平成層構造を呈していることなど考えにくい,という乱暴な認定をしました。そうであれば,審査ガイドにしたがって3次元的な評価をしなければならないのに,それをしていない関西電力の調査の不充分さについては,完全にこれを無祝しています。

 また,一審原告らが指摘した低速度層(軟弱地盤)の存在や,断層等の存在を示す回折波の間題については,いずれもその評価が判然としない,明らかでないという暖味な判断に終始しています。裁判所が判断できないと考えるのであれば,一審原告らが求めるように,関西電力の生データを提出させ,科学者証人の尋問を実施し審理を尽くすべきでしたが,そうした審理を一切放棄して,上記のような暖味な判断をくり返すのは,司法の責任放棄としか言いようがありません。

(5)大山噴火に伴う火山灰想定について,原子力規制庁が関西電力の現在の想定10cmを大きく超える層厚26cmの層厚を大飯原発とほぼ等距離の地点に認めたことに触れつつも,それは単なる可能性に過ぎないなどとして,関西電力の想定が信頼できるとしている点も,火山の危険性を著しく軽視したものといえます。

(6)法的にも,「安全」であるかどうかの判断基準として,福島原発事故の経験を踏まえて「危険性が社会通念上無視し得る」かどうかという規範を定立していますが,現在のわが国の地震学の最も権威ある学者2人が基準地震動の計算方法の誤りを指摘し元物理探査学会長を含む複数の学者から数々の地盤調査の問題点を指摘され,原子力規制庁からさえ火山灰想定の過小評価を指摘されている大飯原発の危険性が「社会通念上無視しうる」とは,到底いえるはずがなく,判決の論理は完全に破綻しています。

7 行政に追随し住民側の裁判を受ける権利を奪ってまで強引に判決をし,形式的には福井地裁判決を覆しても,かかる裁判とはいえない不当な判決によって,福井地裁判決の正当性は,いささかも揺るぐものではありません。また,福井地裁判決が指摘し控訴審の審理の中でさらに明らかになった大飯原発の危険性に対する市民の不安は,払拭されるどころか,ますます深まらざるを得ないでしょう。

私たちは,関西電力と国及び福井県に対し同原発が抱える根本的な危険性から眼をそむけることなく,直ちに同原発の運転を停止するよう,強く求めるものです。

◆2018/7/4 名古屋高裁金沢支部の判決要旨

平成26年(ワ)第126号大飯原発3,4号機運転差止請求控訴事件

【判決要旨】

1 原子力発電所の設備等について事故を起こす失陥があり,周辺の環境に対して放射性物質の異常な放出を招く危険があるのであれば,どの範囲の住民が運転の差止めを求め得るのかはともかく,人格権を侵害するとして,当該原子力発電所の運転差止めを請求することができる。その一方で,現在の我が国の法制度は,原子力基本法,原子炉等規制法などを通じて,原子力の研究,開発及び平和利用の推進を掲げ,原子力発電を一律に有害危険なものとして禁止することをせず,原子力発電所で重大な事故が生じた場合に放射性物質が異常に放出される危険などに適切に対処すべく管理・統制がされていれば,原子力発電を行うことを認めている。このような法制度を前提とする限り,原子力発電所の運転に伴う本質的・内在的な危険があるからといって,それ自体で人格権を侵害するということはできない。もっとも,この点は,法制度ないし政策の選択の問題であり,福島原発事故の深刻な被害の現状等に照らし,我が国のとるべき道として原子力発電そのものを廃止・禁止することは大いに可能であろうが,その当否を巡る判断は,もはや司法の役割を超え,国民世論として幅広く議論され,それを背景とした立法府や行政府による政治的な判断に委ねられるべき事柄である。

2 原子力発電所における具体的危険性の有無を判断するに当たっては,その設備が,想定される自然災害等の事象に耐えられるだけの十分な機能を有し,かつ,重大な事故の発生を防ぐために必要な措置が講じられているか否か,すなわち,原子力発電所の有する危険性が社会通念上無視しうる程度にまで管理・統制されているか否かが検記されるべきである。そして,原子炉等規制法の下,高度の専門的知識と高い独立性を持った原子力規制委員会が,安全性に関する具体的審査基準を制定するとともに,設置又は変更の許可申請に係る原子力発電所の当該基準への適合性について,科学的・専門技術的知見から十分な審査を行うこととしているのであって,具体的審査基準に適合しているとの判断が原子力規制委員会によってされた場合は,当該審査に用いられた具体的審査基準に不合理な点があるか,あるいほ具体的審査基準に適令するとした原子力規制委員会の判断に見過ごし難い過誤,欠落があるなど不合理な点があると認められるのでない限り,当該原子力発電所が有する危険性は社会通念上無視しうる程度にまで管理され,周辺住民等の人格権を侵害する具体的危険性はないものと評価できる。

3 本件発電所の安全性審査に用いられた新規制基準は,各分野の専門家が参加し,最新の科学的・専門技術的知見を反映して制定されたもので,所定の手続も適切に踏んでいるのであって,手続面でも実体面でも原子炉等規制法を始めとする関係法令に違反していると認めうる事情はなく,また,内容において不合理な点も認められない。

4 本件発電所の基準地震動及び基準津波は,最新の科学的知見及び手法を踏まえて策定されたものであり,そこで用いられた各種パラメータは安全側に配慮して保守的に設定され,性質や程度に応じて不確かさが考慮されているほか,計算過程及び計算結果に不自然,不合理な点は見当たらず,年超過確率も極めて低い数値になっていることからすれば,これらが新規制基準に適舎するとした原子力規制委員会の判断に不合理な点があるとは認められない。

 なお,基準地震動の策定に当たり,地震モーメントを求めるに際し用いられた入倉・三宅式について,地震動の事前予測に用いると地震モーメントが過小評価される旨の専門家の証言があるが,対象となる活断層の長さや幅を保守的に大きく見積もり,断層面積を地表地震断層の長さそのものから求めた数値より大きく設定することなどによって過小評価を防ぐことが可能であると考えられ,本件においても対象となる活断層の断層面積ほ,詳細な調査を踏まえて保守的に大きく設定されているから,1審被告の策定した基準地震動が過小であるとはいえない。

5 本件発電所の安全上重要な設備の耐震性,対津波安全性,異常の発生・拡大防止対策及び重大事故等対策(火山灰対策を含む。),テロリズム対策等は,最新の科学的知見及び手法を踏まえて講じられており,地震,津波を始めとした外部事象による共通要因故障のみならず,偶発的な設備の単一故障を仮定しても設備の安全性が確保されているほか,重大事故等対策の有効性も科学的手法によって検証されるなどしており,IAEAの国際基準等に反するともいえないのであって,これらが新規制基準に適舎するとした原子力規制委員会の判断に不合理な点は認められない。

6 以上によれば,本件発電所の安全性審査に当たって用いられた新規制基準に違法や不合理の廉はなく,本件発電所が新規制基準に適令するとした原子力規制委員会の判断にも不合理な点は認められず,本件発電所の危険性は社会通念上無視しうる程度にまで管理・統制されているといえるから,本件発電所の運転差止めを求める1審原告らの請求は理曲がない。

以 上