関西電力 闇歴史」カテゴリーアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆129◆

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◆高浜4号機でMOX燃料が異常燃焼か?
 サヨナラ原発福井ネットワーク、若狭ネットが福井県に申し入れ!

 (2025年12月25日)
 「プルサーマル運転を即刻中止させ、原因究明して下さい。
 プルサーマル依存の関電ロードマップの脆弱性と危険性を再認識し、
 これ以上、使用済燃料を生み出さない方針へ転換して下さい。」

【付 ふげん廃炉の「絶望的な綱渡り」―破綻した核燃料サイクルの象徴】
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◆MOX燃料の異常燃焼か?
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  • MOX(モックス。ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料を、ウラン燃料用の原発で燃やすプルサーマル発電を行っている高浜原発4号機で、継続して使用する予定だったMOX燃料の集合体16体のうち8体を、2025年10月の定期検査後、運転再開時に、一転して使用しなかった。
  • 報道では、燃焼度(燃え具合)が制限を上回る恐れがあったのではないかと指摘されている。しかし、関電は、「高浜発電所4号機のMOX燃料に関する報道がされておりますが、装荷されていたMOX燃料に異常が生じた事実はございません。」と否定している。
  • 長沢啓行・大阪府立大名誉教授(生産システム工学、若狭ネット資料室長)の指摘……異常な燃焼が生じていたのではないか。燃料を製造したフランスでの品質管理についても調査すべきだ。
  • 森と暮らすどんぐり倶楽部のブログ」の批判……高浜原発4号機で、プルサーマルのMOX燃料が異常燃焼を起こしているようです。その原因を関電は説明しようとしません。異常な会社と言えます。

【参考】MOX燃料について
◆関西電力 闇歴史◆003◆ 高浜原発用のMOX燃料製造データ改ざんを隠ぺい(1999年)
【付 (10) ◆大手電力がプルトニウムの所有権を交換(2024年2月)
【付 (9) ◆高浜原発のMOX燃料
【付 (8) ◆MOX燃料を使っている原発と不良品多発問題 】MOX燃料を製造しているフランスの工場(オラノ社メロックス工場)の問題
【付 (7) ◆MOX燃料の経済性
【付 (6) ◆MOX燃料の危険性
【付 (5) ◆毎日新聞の連載「迷走プルトニウム」(2022年9月
【付 (4) ◆廃止措置中の東海再処理施設も難題山積
【付 (3) ◆核燃料サイクルと会計問題 …再処理等拠出金法
【付 (2) ◆核燃料サイクルとその破綻–六ヶ所再処理工場の完成延期
【付 (1) ◆MOX燃料をめぐる資源エネルギー庁との交渉

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◆異常燃焼ではないか?福井県への申し入れ
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  • 市民団体のサヨナラ原発福井ネットワーク、若狭ネットは、福井県へ申し入れ書を提出した(2025年12月25日)。この問題をめぐる全体的な状況は、若狭ネットのサイトに詳しい。
  • 若狭ネットのサイトでの解説
    ・毎日新聞(2025年12月17日配信)記事の引用あり。
     記事タイトル…高浜原発4号機で「異常燃焼」か MOX燃料の使用計画に変更 関電
  • 申し入れ書(全文)
  • 「MOX燃料の異常燃焼」の問題は、フランスにおけるMOX燃料の製造、日本の破綻した核燃料サイクルなど、「ふげん廃炉」と共通する問題がある。

【付 ふげん廃炉の「絶望的な綱渡り」―破綻した核燃料サイクルの象徴】
守田敏也さん。2025年12月24日、明日に向けて(2551)
「2025年12月23日午後、福井県敦賀市にある廃炉作業中の「ふげん」(新型転換炉)で、放射性物質トリチウムを含む水約20mlの漏洩が起きました。法令上の報告対象であり、素早く報じられました。
漏れた20mlは養生されたビニールシート内に留まり、3名いた作業員に被曝はなく、施設外への影響もなかったと発表されています。しかし配管内の残量も明らかにされておらず、より深刻な事態が隠れている可能性もあります。」として、ふげん廃炉、MOX燃料、その再処理の問題を指摘。

◆128◆←←関西電力 闇歴史→→◆130◆(未)】

◆関西電力 闇歴史◆128◆

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◆関西電力グループで相次ぐ不正!
 「関西電力送配電」有害物質PCBの基準値超え放置、2025年2月発表
 「かんでんエンジニアリング」油漏えい事故で虚偽報告、2025年7月発表
 「かんでんエンジニアリング」警備費用水増しで社員が金品受け取り、2025年10月発表

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◆「関西電力送配電」
 有害物質PCBの基準値超え放置、2025年2月発表
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◆有害物質PCBの基準値超え放置、虚偽報告

  • 関西電力グループの「関西電力送配電」(大阪市北区)は、電柱上の変圧器に有害物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)が基準値を超えて混入していたことを把握しながら放置し、国などに虚偽の報告をしていたと発表した(2025年2月3日)。白銀隆之社長の報酬を1か月、30%減額する。
  • 調査にあたったコンプライアンス委員会は社外の弁護士をはじめとする9人で構成し、31人のグループ社員に聞き取りした。調査によると、関電は少なくとも20年以上前から環境汚染や健康被害の恐れがあるPCBが基準値を超えて混入している変圧器の存在を確認していた。こうした事実を認識しながらも、長年この問題を放置していた。問題が起きた原因を「コンプライアンスよりコスト削減を優先する意識が強かった。最終的な責任者である配電部門に対して環境部門が口をはさみにくい風土があった」と認定し、「組織の縄張り主義があった」と結論づけた。

◆変圧器の有害物質PCB混入で長年にわたる放置、虚偽報告

  • なお、関西電力や子会社の関西電力送配電は、長年にわたりPCB混入に対処せず放置していたり、自治体に虚偽の報告をしたりしていた。1998年には既に、環境汚染や健康被害の恐れがあるPCBが基準値を超えて混入している変圧器の存在を確認していた。
  • そして関西電力送配電では、2024年10月にも、変圧器の有害物質PCB混入で国に虚偽報告をしていたことが発覚している。当時の配電部門トップで、虚偽の報告を指示していた高市和明副社長は退任した。白銀隆之社長は「従業員の範たる役員がこのような事態を招いたことを重く受け止め、心からおわび申し上げる」と陳謝していた。→◆116◆

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◆「かんでんエンジニアリング」
 油漏えい事故で虚偽報告、2025年7月発表
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◆油漏えい事故で虚偽報告、担当執行役員は退任

  • 関西電力グループの「かんでんエンジニアリング」(大阪市北区)は、2024年5月に発生した油漏えい事故で、消防署に油の種類について虚偽の報告をしていたと発表した(2025年7月31日)。
  • 虚偽報告を判断した執行役員は、本人の申し出により同日付で退任した。

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◆「かんでんエンジニアリング」
 警備費用水増しで社員が金品受け取り、2025年10月発表
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◆社員13人が警備会社と共謀し費用を水増しし、
見返りに金品や会食接待などの利益供与を受けていた(>_<)

  • 関西電力グループの「かんでんエンジニアリング」(大阪市北区)で、社員が発注先の警備会社と共謀し、警備員数や警備時間を書き換え、工事現場の警備費用を水増ししていた(2025年10月24日発表)。
  • 水増し請求に関与したのは、地中送配電工事に関わる社員13人で、社員12人が、見返りに金品(少なくとも現金600万円)や会食接待などの利益供与を受けていたという。19~24年度に警備員数や警備時間を改ざんし、実際より費用が多くかかったように見せかけていた。水増し額は2023~24年度だけで数千万円に上る見込み。2025年6月、コンプライアンス相談窓口への内部通報で発覚し、社外の弁護士らが調査していた。
  • かんでんエンジニアリングの大久保昌利社長は「コンプライアンス(法令順守)を重視する組織風土が不十分であった。調査を継続して二度とこのようなことが起こらないように全力を尽くす」と陳謝した。大久保社長は経営責任をとって11月から2か月間、役員報酬の月額20%を返納する。
  • 別の警備会社との間でも水増しがあった可能性を含めて、調査は継続している。調査終了後に関係者の処分を検討するとのこと。

◆127◆←←関西電力 闇歴史→→◆129◆

◆関西電力 闇歴史◆127◆

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◆仮処分の審尋 2025/7/11で、関電が傲慢で攻撃的な姿勢!
 関電「原発の運転は、本来行使できる権利であり、自由」
 →いいえ、関電にはそんな権利や自由はありません!
 関電「原告住民側は被害者ではないので、立証責任を負う」
 →いいえ、立証責任の転換は公正な裁判に必須です!

 【付 原発差止裁判の立証責任】
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◆美浜3号機運転差し止め仮処分
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◆美浜3号機運転差し止め仮処分

  • 福井県の住民10人が2023/1/13、福井地裁に提訴。関電の老朽原発、美浜3号機を動かしてはならないことを求めた。
  • しかし、福井地裁では2024/3/29却下の決定。

◆美浜3号機運転差し止め仮処分の即時抗告審

  • 住民側は、名古屋高裁金沢支部に即時抗告。
  • 名古屋高裁金沢支部では、2025/7/11の第4回審尋で終了。
  • 2025年内には決定が出るか。
  • 関電は、第4回審尋の中で、傲慢で攻撃的な姿勢をあらわにしてきた。
    週刊金曜日 脱原発弁護団全国連絡会(2025年8月7日)

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◆関電の傲慢で攻撃的な姿勢
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◆2025/7/11の第4回審尋において

  • 関電は
    ①「原発を運転することは、本来行使できる権利であり、自由である。」
    ②「抗告人=住民側らを被害者とみなして、立証責任の転換をすべきではない。」
    (抗告人=住民側は被害者ではなく、被害を立証する責任は住民側にある。)
    と主張。
  • これに対して、井戸謙一弁護士は「関電は、今までこのような主張はしていなかった。この姿勢の変化は注意しなければならない」と述べている。

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◆原発運転は、本来行使できる権利や自由ではない!
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◆関電に権利や自由がない理由

  • 原発は事故が起こったときの被害は他の災害に比べて桁違いに大きいので、安全性を最優先にしなければならない。そのため、事業者=電力会社が、一存で決める「権利」や「自由」はない。
  • ①許可・認可制であること…原発は原則的に禁止されており、原子力規制委員会(規制委)が許可(新規制基準に適合)した場合にだけ例外的に運転が認められている。原発の設置、運転には、規制委による審査と認可、および経済産業大臣による認可が義務付けられている。
  • ②法制度による制約…「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」のように、原発の活用を促進する仕組みは、既存の法制度の下で行われている。これは、国がエネルギー政策の一環として原発の利用を位置づけているわけで、事業者=関電が自由に選択する権利とは異なる。関電は、国策のお先棒を担がせてもらっているのに過ぎない。
  • ③安全性の確保と規制…関電は、原発の運転において安全性の確保を最優先事項とすべきであり、規制委の厳格な審査と安全基準に適合する必要がある。そのため、自由な運転はできない。安全規制の遵守や地元自治体の理解、さらには法制度の変更に従う必要があり、単純な権利や自由とはいえない。

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◆住民側は被害者であり、立証責任は関電側にある!
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◆住民側は被害者である理由

  • 原発事故の可能性が否定できない以上、住民側は潜在的被害者であり、事故が起こらなくても事故の危険におびえて生活しなければらないことだけでも被害者である。
  • 過酷事故が起こってしまった後でしか、被害を主張できないとすれば、被害の巨大さからして理不尽極まりない。

◆立証責任は関電側にある理由

  • 「住民側=原告が許容限度を超える被ばくの具体的な可能性があることを相当程度立証すれば、電力会社側=被告が具体的な危険がないことを立証しなければ、危険があると推認する」という立証責任の転換は、住民側の負担を減らし、公正な裁判を実現するために不可欠。社会的インフラという公的役割を担う、巨大な電力会社には、資力もあり社会的責任もある。

◆原告の立証ハードル

  • 原発の運転差止めを求める裁判で、立証責任が原告側に課されたり、再転換された場合、原告側には、次のような高い立証ハードルが課せられる。
  • 具体的な危険性の主張・立証: 原告は、原発に安全性を欠く点があることを具体的に主張、立証する必要がある。
  • 訴訟継続中の状況変化: 訴訟が長引く中で、新規制基準の策定や審査結果、また科学的知見の変化などが生じるため、原告はその都度、最新の知見に基づいて安全性の問題を立証しなければならない。
  • 科学的知見の専門性: 原発の安全性をめぐる議論はきわめて専門的であるため、科学的知見をもたない裁判官が判断することの難しさがある。

【付 原発差止裁判の立証責任】
・日本の民事訴訟における立証責任は、元々、原告(原発裁判では住民側)にある。しかし、原発差止裁判では、原子力分野という専門性の高い特殊性を考慮し、原告の立証負担を軽減するため、裁判所の判断によって、実質的に被告である事業者や国側に立証責任が転換されたり、立証の必要性が認められたりしてきた。こうした立証責任の転換、緩和は、多くの公害事件や薬害事件の裁判の中で確立されてきた。
・福島事故後、転用方式を是正した川内原発仮処分宮崎支部決定(2016/4/6)では、立証責任は、事実上被告に転換された。
・その内容は ↓
・被告事業者は、具体的審査基準に不合理な点のないこと、適合判断に不合理な点がないことを主張立証しなければならず、これを尽くさない場合は、具体的審査基準に不合理な点があること、適合判断に不合理な点があることが事実上推認される。
・原告の立証活動は、被告事業者の主張立証に対する反証となる。
・こうした「立証責任の転換」は、その後の伊方仮処分広島地裁決定、伊方仮処分松山地裁決定、広島高裁決定でも採用され、定着するかに見えた。しかし、その後、原告側の立証負担を増加させる“再転換”の判断が出てきている。「基準地震動を上回る規模の地震の具体的危険性は、利益を受ける原告側が主張・疎明責任を負う」などという判決である。
・井戸謙一弁護士は『原発訴訟における立証責任転換論とは』において、“再転換”は「日本の公害裁判の歴史を50年巻き戻し、この50年間の学者、法律家、裁判所の努力を無にする」と言う(下記図解とも)。

◆126◆←←関西電力 闇歴史→→◆128◆

◆関西電力 闇歴史◆126◆

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◆使用済み核燃料の中間貯蔵施設をめぐる関電と福井県の動き

 (まとめ:空約束から実効性なき新ロードマップ…2025年8月まで)
 第一局面…空約束。福井県の要請と関電の空約束
 第二局面…ロードマップ。関電が「絵に描いた餅」のロードマップを提示
 第三局面…新ロードマップ。ロードマップは1年で破綻、すぐに新ロードマップを提示
 【付 GX参考年表、GXサイト、第4次エネ基~第6次エネ基と原発再稼働】
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◆第一局面…空約束
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◆福井県の要請と関電の空約束

  • (1) 福井県が「使用済み核燃料の中間貯蔵施設を県外に」と要請。
  • (2) 関電が空約束を繰り返す。

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◆第二局面…ロードマップ
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◆関電が「絵に描いた餅」のロードマップを提示

  • (1) 県外候補地の多様化と責任分散…フランス、六ヶ所再処理工場、上関町、むつ市。どこも当初から強い懸念のある候補地ばかりだが、関電に直接責任のない候補地ばかり。
  • (2) 県外を前提にしつつ県内貯蔵に道を開く…原発敷地内に乾式貯蔵施設。乾式貯蔵は、満杯に近い燃料プールに空きをつくり、原発運転を継続するための施設。
  • (3) 2024年8月、六ヶ所再処理工場が着工から約30年、27回目の完成延期。完成時期は2026年度中だが、宮下宗一郎 青森県知事「直ちに信頼することはできない」。

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◆第三局面…新ロードマップ
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◆ロードマップは1年で破綻、すぐに新ロードマップを提示

  • (1) 県外候補地の多様化と責任分散により、数字合わせだけでロードマップをすぐに改訂できる。その柔軟性=無責任性が明らかになった。
  • (2) ロードマップ見直しで関電は「実効性がなければ、老朽原発は運転しない」と表明したが、新ロードマップも実効性はなく、関電の約束は守られなかった。
  • (3) 関電は、新ロードマップ発表後、表向きは県外候補地を追及しつつも、事実上、県内での乾式貯蔵に移行していくための具体策を進めている。
    • ①新たな資金提供…関電は杉本知事の姿勢につけ込んで、札束攻勢「新たな資金提供」50億円(原発稼働率で増額)を具体化。
    • ②高浜(第1期分)で乾式貯蔵施設を具体化すること。ただし、六ヶ所再処理工場の規制委審査が進まないことにより、県の建設同意も遅れている。
    • ③美浜でリプレイス…政府の原発支援政策を当てにしつつ、地元の原発推進勢力を納得させるあめ玉。
  • (4) 杉本知事の基本姿勢…「県外だけを主張しているより、見返りがあれば、県内でも構わない」「地域振興という札束と引き換えに県内貯蔵を認める」というのでは?
  • (5) 関西電力は使用済み核燃料を2035年までに搬出できない場合は「使用済み核燃料プールに戻す」との方針を示しており、地元自治体から反発が相次いでいる。この件を巡り、美浜町議会原子力発電所特別委員会は「立地目線を意識し、配慮ある対応」を求める要望書を関電の高畑勇人原子力事業本部長代理にに提出した(2025年10月2日)。要望書は原発の反対派、推進派が一致しての内容。ただし、町議会としては「35年末までに搬出を始めると確認したので、プールに戻すという文言の撤回や修正は求めず、今回は了解する」とのこと。


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【関連項目】
・原子力政策の推移と市民の運動、参考年表など→◆原発関係裁判(3)
・新ロードマップ→◆121◆
・新旧ロードマップ図解の対照→◆119◆
・ロードマップが破綻→◆114◆
・中間貯蔵施設をめぐる空約束→◆012◆
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・この項の全体のPDFファイル[198 KB]
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【付 GX参考年表】
………(岸田文雄首相、2021年10月4日~2024年10月1日)
・2022年7月GX実行会議の初会合を開催。脱炭素社会の実現をめざすGX(グリーン・トランスフォーメーション)を検討。首相は電力の安定供給確保に向け、まず原子力発電所の再稼働などの具体策を示すよう指示した。なお、GXとは、化石エネルギーに依存している経済・社会・産業の構造を、非化石エネルギー中心の構造に移行させるための改革で、「カーボンニュートラル」や「脱炭素」の実現をめざすとされる。
・2023年2月…「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定。原発の新増設(「次世代革新炉への建て替え」)、原発の最大限活用を明記。エネルギーに関する世界的、国内的な危機に対応し、脱炭素も同時に実現するには原発の復活が不可欠として、第6次エネルギー基本計画に記載のある「原発依存度を可能な限り低減する」は消えている。
・2023年5月…原子力基本法、電気事業法、原子炉等規制法、再処理等拠出金法、再生可能エネルギー特別措置法の5本の法改正を束ねた「GX脱炭素電源法」が成立(他にGX推進法も成立)。「原則40年、最長60年」の運転期間の規定を原子炉等規制法から電気事業法に移し、運転延長を経済産業相が認可する仕組みに変更。
………(石破茂首相、2024年10月1日~2025年10月21日)
・2025年2月第7次エネルギー基本計画(エネ基)の閣議決定。「原発依存度を可能な限り低減する」とした第4次エネ基(2012年末に誕生した第二次安倍晋三政権、2014年4月)~第6次エネ基(2021年10月)までの表記を削除、原発回帰の姿勢を鮮明にした。原子力は、電源構成のうち約20%をしめるという目標を掲げた。
・2025年6月…GX脱炭素電源法が全面施行。原発運転60年超が可能になる。
・2025年8月…巨額の電源投資を支援する長期脱炭素電源オークション(2024年1月開始)で、ガイドラインを改訂。原発の新増設を支援する体制がつくられている。
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【付 GX サイト】→自然エネルギー財団「GXの原発新増設は現実的なのか?
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【付 第4次エネ基~第6次エネ基と原発再稼働】
・第4次エネ基…2014年 4月閣議決定。原発依存度は省エネ・再エネなどにより「可能な限り低減」とし、原子力についての具体的な数値目標は明記されていない。しかし、原子力は「重要なベースロード電源」とされたために、原発の再稼働が不可欠となり、規制委は40年超えの老朽原発をふくめ、次々と原発の再稼働を進めるようになった。
・第5次エネ基…2018年7月閣議決定。「2030年のエネルギーミックスにおける電源構成比率」として、原発の発電量構成比20~22%の実現をめざすとされた。その目標達成のため、原発の再稼働が進んだ。
・第6次エネ基…2021年10月閣議決定。第5次と同じく、「2030年度時点における電源構成上の見通し」として原発は20~22%程度を見込む。
・第7次エネ基…(上記「GX参考年表」2025年2月の項を参照のこと)
 
・原発再稼働
以下の原発再稼働の経過は「東京電力福島第一原発事故後の原発再稼働と差止裁判の提訴(2011~2014年)」から続く。2014年以前の経過はそちらを参照のこと。
全体をまとめた経過は「東京電力福島第一原発事故後の原発再稼働をめぐる経過[127 KB]」。
各原発の再稼働年月日、稼働年数(40年超えの老朽原発かどうか)→資源エネルギー庁「原子力発電所の現状
【2014年】
………(安倍晋三首相、2012年12月26日~2020年9月16日)
………(2014年 4月、第4次エネ基の閣議決定)
8月…川内原発1号機(新規制基準施行後としては初の再稼働)
10月…川内原発2号機
【2016年】
1月…高浜原発3号機
2月…高浜原発4号機
8月…伊方原発3号機
【2018年】
3月…大飯原発3号機
3月…玄海原発3号機
5月…大飯原発4号機
6月…玄海原発4号機
………(2018年7月、第5次エネ基の閣議決定)
………(菅義偉首相、2020年9月16日~2021年10月4日)
【2021年】
6月…美浜原発3号機(福島事故後、40年超の老朽原発の再稼働は初)
………(岸田文雄首相、2021年10月4日~2024年10月1日)
………(2021年10月、第6次エネ基の閣議決定)
【2023年】
8月…高浜原発1号機
9月…高浜原発2号機
………(石破茂首相、2024年10月1日~2025年10月21日)
【2024年】
11月…敦賀原発2号機、審査に不合格(唯一の例外)
11月…女川原発2号機。東電福島第一原発事故後、初めて再稼働するBWR(沸騰水型)
12月…島根原発2号機。BWR
………(2025年2月、第7次エネ基の閣議決定)
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◆125◆←←関西電力 闇歴史→→◆127◆

◆関西電力 闇歴史◆125◆

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◆明石昇二郎『敦賀湾原発銀座[悪性リンパ腫]多発地帯の恐怖』(1994年)
 敦賀原発10キロ圏内で、冬季風下地域の対岸3集落では、
 悪性リンパ腫による死亡者発生率は、全国平均の12.22倍(>_<)
 10キロ圏に美浜原発をかかえる関電も抗議文をだす!

【付 玄海原発と白血病】
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[1]週刊誌で『敦賀湾原発銀座[悪性リンパ腫]多発地帯の恐怖』の連載
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◆週刊プレイボーイ誌に記事を連載

  • 1994(平成6)年、週刊プレイボーイ誌(集英社)は、ルポライターの明石昇二郎さんによる『敦賀湾原発銀座[悪性リンパ腫]多発地帯の恐怖』という記事を、11/22号(11/8発売)から4回に分けて連載した。
  • 記事の内容は、原発が多数立地する若狭湾近辺で、悪性リンパ腫、白血病、甲状腺がんなどの放射線被ばくと因果関係が指摘されている病気が発生しているという噂が地域住民の間で広がっている。そこでこの噂が真実であるか、否か、という疫学調査を、1994年夏に実施した結果を示している。
  • なお、悪性リンパ腫と白血病とは同じような病気にみられるが、統計上、別々に集計され、別の疾病とされる。悪性リンパ腫はリンパ系の腫瘍化で、白血病は白血球の顆粒球の腫瘍化。

▼週刊プレイボーイ 1994/11/22 第29巻 第44号 No.47(11/8発売)

◆記事の内容

  • 調査にあたっては、疫学の専門家の意見を聞いたり、人口動態について福井県に問い合わせたり、各方面の協力を求めている。しかし、県の協力はまったく得られなかった。
  • 調査の結果では、調査区域内(日本原電の敦賀原発から半径10キロ圏内)では、全国平均よりもはるかに上回る平均値で、悪性リンパ腫が発生していたというものであった。なお、敦賀原発1号機は、1970/3に営業運転開始、2015/4に廃止。
  • 悪性リンパ腫の患者は、敦賀半島の対岸、それも冬場の風下に当たる地域に集中している。敦賀原発10キロ圏内で、冬季風下地域にあたる対岸の3集落では、過去3年間(1991~93年)の悪性リンパ腫による死亡者発生率が、全国平均の12.22倍という、恐るべき数値を示した。
  • なお、調査区域(敦賀原発の半径10キロ圏内)は、敦賀半島の大部分(関電の美浜原発、水晶浜などを含む)、敦賀湾の対岸に及ぶ。

▼敦賀原発10キロ圏(地理院地図に加筆)

『敦賀湾原発銀座[悪性リンパ腫]多発地帯の恐怖』改訂・増補版、明石昇二郎著、2012年、宝島SUGOI文庫(1997年、技術と人間から刊行の同書名の改訂・増補版)。調査区域の地図、調査方法(個別訪問と面接)、調査結果などの詳細を掲載。本項「関西電力 闇歴史◆125◆」全体が、おもにこの本による。さらにくわしくは、こちらで。

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[2]記事に対する異様な反発
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◆各方面からの反応

  • 週刊プレイボーイの連載記事には、各方面から反応があった。とくに地元福井県庁、栗田幸雄県知事を中心として異様な反発を呼び、週刊プレイボーイ誌側との間で論争を呼びおこした。敦賀原発を運転していた日本原電や、日本原電と関係の深い関西電力も記事に反応した。
    (→◆030◆「関電とゾンビ企業・日本原電との腐った関係」)

◆地元福井県庁、栗田幸雄県知事の異様な反発

  • 11月8日、プレイボーイ誌発売。『敦賀湾原発銀座「悪性リンパ腫」多発地帯の恐怖』第一回「ガン患者激増の噂を追って」の記事が掲載。
  • 11月11日午前、福井県の栗田幸雄知事が記者会見で「記事は科学的根拠がない」として、プレイボーイ誌編集長と現地取材したルポライターに抗議、記事の訂正を求める。
  • 11月11日、栗田知事が午前中に記者会見を開いた後、知事の命を受けた県職員2名がすぐさま特急と新幹線を乗り継いで、おまけに地元テレビ局のテレビカメラまで引き連れて、東京の集英社本社に乗り込んだ。マスコミ受けを狙ったパフォーマンスであった。

【参 考】
「県・国(行政)の対応の事実経過一覧表」は、下記のPDF p.62に詳しい。
 
原子力発電所をめぐる世論形成と噂
――プレイボーイ誌の「悪性リンパ腫多発記事」に起因する論争の分析――』
(三隅譲二、中川康)

◆事前に求めていたコメントは無視

  • プレイボーイ誌特別取材班では、この調査結果を掲載する2週間前に、この地域に原発をもつ日本原電や関西電力、通産省、「ふげん」「もんじゅ」をもつ動燃〔動力炉・核燃料開発事業団〕とその動燃を監督する科学技術庁、それに「人口動態統計」をまとめている厚生省、環境庁などに対し、今回の調査で得たデータのブライバシーに関する情報以外の部分をすべて提供し、コメントを求めていた。
  • しかし、事前に求めていたコメントへの対応は、以下のように木で鼻をくくったものであった。
  • 日本原電…広報部・大森佳軌副長「特にこれについて、あまり甲し上げるわけにはいかない。専門家にお聞きしたほうがいいのでは。コメントは差し控えたい」
  • 関西電力…地域共生本部報道グループ・山中隆副長「御社で行った調査に関して、当社はコメントする立場ではこぎいませんから」

◆福井県の反発に続き、日本原電と関電から抗議文

  • 11月15日、日本原電(敦賀原発)、関西電力からの抗議文が編集部に届く。お互い運絡を密に取りあっていたのか、その内容は酷似。
  • 事前に求めていたコメントは完全に無視していたのに、週刊誌で大きく報道され、福井県が素早く抗議に動くや、遅れじとばかり抗議文を送りつけてきた関電や日本原電の対応は、不自然としか言いようがない。
  • 日本原電からの抗議文の全文は、宝島SUGOI文庫(p.110~112)に掲載。
  • この抗議文をうけての明石昇二郎さんと関西電力地域共生本部報道グループ・山中隆副長との電話でのやりとりが、宝島SUGOI文庫(p.113~124)にくわしい。

【付 玄海原発と白血病】

 玄海原発(九州電力)の30キロ圏にある壱岐市では、白血病死亡率が原発稼働後、約6倍に増加したと、『壱岐新報』が報道している。なお、「玄海原発 白血病」で検索すれば、下記のような原発を原因とする主張のほか、原発とは無関係とする主張(九州電力など)もでてくる。
→「玄海原発と白血病」森永 徹(元純真短期大学・健康科学)


▲玄海原発と壱岐市の位置関係
内部被ばくを考える市民研究会」より

(1)「壱岐新報」社説:2019.2.20
高い白血病死亡率、玄海原発の影響か
身体への影響は皆無なのか → こちら および「次の記事
 
「県福祉保健部によると、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)周辺に位置する県北地域を中心に、玄海原発稼働後から成人T細胞白血病(以下ATL)による死亡率が高いことがわかった。」
「放射性物質の放出になるトリチウム(放射性水素)は、体内に入ると白血病を誘発するとされる。玄海原発は全原発の中で最もトリチウムの放出量が多く、全国1位だ。」
(2)「壱岐新報」社説:2019.3.05
原発稼働後、約6倍に増加 → こちら
 
「対10万人数の白血病死亡率は、玄海原発稼働前と後とでは6から7倍に増加」

◆124◆←←関西電力 闇歴史→→◆126◆

 

◆関西電力 闇歴史◆124◆

┌─────────────────────────────────
◆関西電力が各方面に万博チケットを無料配布!
 原発立地地域の振興のため高浜町、おおい町、美浜町へ、
 さらに原発立地県や電力関係の報道記者へも

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 関西電力グループは、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の入場券20万枚を購入。関電の森望社長が2023/10/30の記者会見で明らかにした。グループ企業社員や協力企業の社員にも福利厚生の一環として配布するとしている。その後、2024/12には、5万枚の追加購入を決めた。万博運営主体の日本国際博覧会協会(万博協会)は経済界に700万枚の前売り券の購入を求めてきたが、それに応えるもの。ただし、関電が購入した25万枚の万博チケットは、グループ企業や協力企業以外にも配付されている。
 関電が購入した万博チケットの原資は、利用者が支払う電気料金だけに、勝手な使い途は許されないはず。

┌─────────────
◆原発立地の3町、高浜町、おおい町、美浜町へ!
 配付の目的は、原発立地地域の振興(×_×)

└─────────────

 原発が立地する福井県嶺南地域では、美浜町、おおい町、高浜町の原発立地3町について、関電は原発立地地域の振興を目的に、小中学生と保護者480人を無料招待する。各町と共同でバスも運行する。さらに美浜町は独自でもバスを運行し、町内すべての小中学生が無料で会場まで往復できるようにする。

【参考】
 なお、福井県は、県内の小中高生約8万人を対象に、万博チケットを無料配布する。学校を通して入場に必要なチケットIDを配るというもので、受け取った後は都合のいい日時を選んで各自で予約する。そのため、大阪までの交通費や家族のチケットの購入費は自己負担になる。

┌─────────────
◆原発立地県や電力関係の報道記者へも!
 配付の目的はどこにあるのか?

└─────────────

 『週刊金曜日オンライン』(2025/7/4)によれば、関電が、複数の記者クラブに所属する記者らに対し、大阪・関西万博の一日券(定価:大人7500円)を配布していた。報道機関に所属する記者の倫理が問われているし、配付した関電の意図も問われる。

 関電と報道機関との「距離の近さ」は、2012年8月3日『朝日新聞』夕刊に掲載された原発とメディアを巡る連載などで、ジャーナリズムの腐敗を示している。社会公正上、公正な意見を表明するべき記者やマスコミ機関が受け取ることは適切なのか、これは記者やマスコミ機関の報道を担うものとしての矜持に関わる。
 なお、日本新聞協会の新聞倫理綱領は、以下のように述べる。
 
「新聞は公正な言論のために独立を確保する。あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない。」

▼関電京都駅前ビル、山本道子さんのFB投稿より拝借

◆123◆←←関西電力 闇歴史→→◆125◆

◆関西電力 闇歴史◆123◆

┌─────────────────────────────────
◆高浜3号機、下請け作業員が燃料移送用のプールに転落!
 30分後に引き上げられ、腰の骨を折る重傷であったが
 被ばく線量に問題なしとして、1日も休まず出勤
【付 加圧水型原発における核燃料の交換】

└─────────────────────────────────
 定期点検中の高浜原発3号機で、2025年4月30日夜、下請け作業員(43歳)が燃料移送用プール(水は放射性物質を含む)へ8m転落し、30分後に引き上げられたとのこと。水深は約4メートルだったが胸元までつかった状態でとどまり、周囲にいた作業員に補助クレーンを使って救出された。水は飲んでいないという。作業員が転落した開口部は縦約1.6メートル、横約2.2メートルで、クレーン作動のために設けてあり、シートで覆われていた。作業員は歩行可能エリアではないことを認識せず、シートの下に床面があると思い込んでいて落下した。作業計画書には開口部に関する注意事項の記載はなかった。

 転落した作業員は引き上げられてからシャワーで全身洗浄。管理区域から退出した際の外部被ばく線量は0.01ミリシーベルトで、1日の計画線量0.9ミリシーベルトを下回った。内部被ばくの影響を示す実効線量も0.01ミリシーベルト未満と評価し、法令に定める線量限度の年50ミリシーベルトに比べて十分低いとした。事故当時、プールには核燃料は入っていなかった。

 関電の説明のほかには調査報道もごく少なくて、不明な点が多い。燃料移送用プールの水は汚染水だが、どのくらいのレベルなのか。転落した労働者の被ばく線量は、発表の通りかどうかは確かめようがない。転落して30分も水につかっていたのに、「水を飲んでいない」というのは、本当か。腰の骨を折る重傷なのに被ばく線量に問題なしとして、1日も休まず出勤というので、大丈夫か。原発ではこれで普通なのか。

 なお、燃料プールの水については、以下のような指摘もある。「燃料プールの水は、膨大な濃度のトリチウムを含んでいるはず。トリチウムの放射線エネルギーは小さいので、外部被曝量は多くないかもしれないが、飲んでしまったら、大変な内部被曝になるのでは。原発から排出される水のトリチウムの許容濃度は6万ベクレル/リットルとなっているが(環境中の濃度は約1ベクレル/リットル)、これは、燃料プールの水などが放出されたときに、問題にならないように恣意的に決められた値だと思われる。」

関電の説明

原子力発電所の運営状況、保全品質情報等」(2025年5月1日)によると、以下の通り。
┌─────────────
 高浜発電所3号機(第27回定期検査中)において、4月30日20時23分頃、原子炉格納容器(管理区域内)の燃料取替クレーンの手すりに汚染拡大防止の養生を実施していた作業員が、床面の開口部に気付かず水張り中の原子炉キャビティ※1に落水しました。このため、直ちにクレーンで作業員を引き上げました。
 作業員はシャワーによる全身洗浄等の除染を行った後、退出モニタで身体汚染がないことを確認し、管理区域から退出しました。その後、ホールボディカウンタ※2やアラーム付きデジタル線量計※3による測定の結果、異常は認められませんでした※4。

※1:料取替え時に水を満たすことにより、燃料から放出される放射線を遮へいするために設置しているプール。事象発生時は燃料装荷の準備のため、原子炉キャビティには深さ約4mの水が張られていた。
※2:体内に摂取された放射性物質の量を体外から測定する装置。
※3:作業員の管理区域立入毎の被ばく線量を測定する装置で、被ばく線量や入域時間が設定レベルに達したときにアラームが鳴る仕組みになっている。
※4:体内に摂取された放射性物質による今後50年間の実効線量(減衰や体内からの排泄等を考慮して算出される線量)は、0.01mSv未満であり、作業時の外部被ばく線量は0.01mSvであった。
この値は、法令に定めのある線量限度の年間50mSvに比べて十分低い。

└─────────────

ジャーナリストの取材では

まさのあつこ 地味な取材ノート
(関電に対する質問と関電の回答。以下は上記サイトの要点のみ抜粋)
┌─────────────
燃料移送用プールに落下して腰を骨折。
だが、1日も休まず出勤:高浜原発3号機の下請作業
Q:8m落下する危険がある場所で命綱はしていなかったのか?
A:作業員の作業経験が浅かった。他の作業員は知っていた。
Q:「作業員はシャワーによる全身洗浄等の除染を行った後」、「身体汚染がないことを確認」したとありますが、除染前の線量は?
A:管理区域に入る時と出る時に測定しており、引き上げた直後には線量を測定していない。出ようとした時に退出モニタの警報が鳴ったので、シャワーを浴びた。
Q:以前にも同様の落水事件が起きている(2008年に大飯原発1号機で落水事故)が?
A:作業に従事し始めて4ヶ月の経験の浅い方で、この方は開口部であることを認識していなかったが、他の方は知っていた。
Q:落下された方の状況は?
A:4月30日夜間に落水して、病院に行ったのは5月1日。腰の骨を骨折。右親指打撲。4週間の治療期間だが、軽作業は可能だということで、机上の事務作業なら良いということで、5月1日から出社している。
└─────────────

【付 加圧水型原発における核燃料の交換】
・上図で原子炉容器の蓋の下部から「約8m」となっている部分まで、水で満たす。放射線遮蔽のため。
・「燃料取替クレーン」を原子炉圧力容器の上まで持ってきて上蓋を開ける。
・「核燃料」を引き上げ、吊り下げたまま適当な位置まで水中を移動させる。
・吊り下げた縦向きの「燃料棒」をキャビティ下部で横向きに寝かせる。
・以上が格納容器内の作業。それから、寝かせた燃料棒を格納容器から外に出す。
・「燃料移送管」というトンネルの中を通して「使用済燃料ピット」(プール)まで移動する。
・「使用済燃料ピット」で縦向きに戻して(立てて)保管する。
・以上のような過程、「加圧水型原発の使用済み核燃料取り出しの危険性」については、下記に解説あり。細いトンネルの脆弱性、燃料棒がトンネルを通過しているときに大地震が来たら(×_×;)などなど。
→ 広瀬隆 著『日本列島の全原発が危ない! 広瀬隆 白熱授業』p.119
DAYS JAPAN(デイズジャパン)2018年1月号増刊号
チラシ「使用済み核燃料プールが危ない」(2017年12月15日,京都キンカンで配付)


▲加圧水型原子炉の燃料プール(ピット)の概念図
 格納容器で青太線より上の部分は、燃料棒を出し入れするときに、点線部=使用済燃料プール水面と同一レベルまで水を張る。上図では水面が少し違っているように見えるが、同一とみなしてください。格納容器で、その水を張る部分を、原子炉ウエルという。

◆122◆←←関西電力 闇歴史→→◆124◆

◆関西電力 闇歴史◆122◆

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◆関西電力と地震研究者の“癒着”の指摘!
 日本の地震研究のリーダー格であった東大名誉教授が
 関電副社長の “激励と協力を賜って” 組織した「古地震研究会」で
 若狭湾で巨大な地震や津波が起こったことはないとしている。

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 日本で古い記録に残る大地震といえば、福島第一原発事故でも注目された貞観[じょうがん]地震(869年、『理科年表』でM8.3±1/4)が代表的だが、さらに古い地震の記録もある。その一つが、701(大宝[たいほう]元)年の大宝地震で、『続日本紀』に記述されている。震源は判明していないが、現在の京都府を中心とした日本海側の地域に津波の伝承が残っている。なお、701(大宝元)年には、持統天皇のときに大宝律令ができている。

 『日本の地名 由来のウソと真相』(楠原[くすはら]佑介 著、河出書房新社)の中の、天橋立[京都府]◎天橋立という珍地名の謎を解く「沈島伝説」(p.124~131)という項目で、興味深い記載があった。
(以下、敬称略)

▼『日本の地名 由来のウソと真相

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◆沈島伝説と大宝地震
└─────────────

  • 『日本の地名』では、若狭湾に冠島(大島とも、標高170 m)、沓島(くつじま、小島とも、標高70 m)という二つの島があり、現在は2.6 km離れている。しかし、この二つの島は、もともとトンボロ(陸繫砂州、りくけいさす)でつながった一つの島だったのでは。伝承によれば、701(大宝元)年の地震により島が沈み、二つの島になったという。
  • ただし『理科年表 2024』では以下のように記す。
    丹波:地[ち]震[ふる]うこと3日。被害が不明なのでMも不明。藤原京では感じなかったらしい。若狭湾内の汎海[おおしあま]郷が海に没したという「沈島伝説」は否定されている。
  • このように、現代の地震学では「沈島伝説」には根拠がなく、単なる伝説とされている。
  • ただ、興味をひくのは、関電との関係にある。長年、日本の地震研究のリーダー格であった萩原尊禮[たかひろ]東大名誉教授は「古地震研究会」によって冠島沈島伝説などを検証し、『古地震 歴史資料と活断層からさぐる』(1982年、萩原尊禮編著、東大出版会)を刊行している。その研究会には、“畏友”の吉田登[みのる]関電副社長の “激励と協力を賜った”として謝意を呈している(『古地震』p.312 あとがき)。

▼『古地震 歴史資料と活断層からさぐる

  • 『古地震』では、第Ⅱ部第6章「大宝元年の地震の虚像―若狭湾冠島・沓島の沈没」の中で「一 冠島沈没の資料吟味」「二 冠島の地学調査」で15ページにわたり、詳しく検証し、伝説に過ぎないとしている。
  • また、大宝地震については結論として「局発地震であり…大きくみても北丹後地震より一階級小さいM6.5程度であろうか」としている。なお、北丹後地震は1927年、M7.3。
     
  • 一方、『日本の地名』の著者は、その論理には問題点があると、以下のように指摘している。
     
  • その問題点(1)…大宝地震の震源の位置は、冠島のすぐ西側とか南南西8 km地点ではなく、島の東18 kmの若狭湾断層群ではないか。なお、『日本の地名』の著者は「若狭湾断層群」としているが、これは大飯原発に近い海底断層のFO-B[エフオービー]、FO-A[エフオーエイ]断層のことで、陸域の熊川[くまがわ]断層に連なっている。
  • その問題点(2)…天橋立をつくった大量の土砂は、いったいどこから運ばれたか、という問題。『古地震』は、一回の地震で島が60 mも沈降することはありえないというが、沈降したのではなく、若狭湾の二つの島の間のトンボロの土砂を津波が押し流したのではないか。『日本の地名』では「3.11の東北地方太平洋沖地震による大津波は、釜石湾口の水深60 mの海底に固定された津波防止用の防潮堤を根こそぎ覆していることからも、ありえないことではない。」としている
  • その問題点(3)…『日本の地名』では、以下のように記している。「『古地震』第Ⅱ部第6章の執筆者3名の一人はほかならぬ関西電力建設部の課長であった。前記した “激励と協力”の内実を、私は知らない。だが、こういう現象は、われわれの社会では、通常 “癒着”と呼ぶ。」と。
     なお、『日本の地名』の「『古地震』第Ⅱ部第6章の執筆者3名」の部分は、正確には、6章一の執筆者が1名、6章二が3名、というのが正確。後者の3名のうちの一人とは、同書の執筆者紹介から大長[だいちょう]昭雄とわかる。
     また、大長昭雄は「関西電力建設部の課長」と記述されているが、当時「課長」であったかどうかは確認が取れなかった。

【参考】吉田登[みのる](1908~1999年)→こちら
1951年に関電の建設部土木課長となり、その後、建設部長、取締役建設部長、常務取締役、取締役副社長として、黒部第四発電所、その後は揚水式発電所の建設に関わった。萩原東大名誉教授が “激励と協力を賜って”と『古地震』(1982年刊)に書いた当時は取締役副社長。

【参考】大長[だいちょう]昭雄(1929~?)
1963年度土木学会・奨励賞を受賞「アーチダムの基盤内の浸透流に関する実験的研究」。1979年に地震学会講演予稿集春季大会で「大宝元年(701)の地震について–史科学, 地形学および地震学上からの考察」との論文がある(『古地震』と同じ4名の共著)。『古地震』の執筆者紹介によれば、ダム工学、地震工学を専門とし、関電の建設部副調査役のほか、大阪市立大非常勤講師など。

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◆『日本の地名』…「天橋立」と「浦島伝説」
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  • 「天橋立」という地名は、若狭湾内にあって海に没したという「汎海[おおしあま]郷の土砂でできた橋立(水平に長く延びた地形)」のことではないか。汎海郷の「凡[おおし]」は官がつけた冠称で、「天橋立」とは「海[あま]郷の土砂でできた橋立」を意味するのでは。
  • 伊根町には浦島太郎伝説に関係すると考えられる神社があり、巨大津波に襲われた歴史を物語るのではないか。「浦島伝説」は単なる伝説とは片付けられないものがある。
  • ネットを検索すれば、Wikipedia(大宝地震)のほかにも、「丹後に伝わる津波伝承」「近畿北部に大津波“10m超”も(Yahoo!News.2024/11/7配信 リンク切れ)」「天橋立・舞鶴大津波 史実か(京都新聞、福井原発訴訟(滋賀)支援サイト、甲第113号証)」などの記事がヒットする。

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◆若狭湾での巨大な地震や津波は否定できても、
 関電と研究者の親密な関係は否定できない

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  • 若狭湾には関電の原発が集中している。関電が、若狭湾では巨大な地震や津波が起こったことはないという主張のために、「古地震研究会」によって手を打っていることが分かる。関電建設部の土木課長、後に取締役副社長になった人物が、日本の地震研究のリーダー格であった東大名誉教授の“畏友”となり、“激励と協力”を惜しまなかった関係には、“癒着”と指摘される要素をうかがうことができる。
  • 大宝地震が歴史的事実であったかどうか、どの程度の規模であったのか、若狭湾各地を大津波が襲ったのかどうか、などは、今は分からない。ただし、過去にM7クラスの地震がおこったことがないとしても、将来にも起こらないとは言えない。地震予知はできないのだから。日本海に「海域活断層」のリスクが大きいことは、2024年の能登半島地震でも明らかになっている。
  • 若狭湾における過去の地震や津波は否定できても、関電と地震研究者の過去の親密な関係は否定できない。そして、関電は現在も、若狭湾やその周辺ではM7を超える地震はないという立場をとっている。
  • しかし、もしも若狭湾のFO-B、FO-A断層とそれに連なる陸域の熊川断層、それらと共役[きょうやく]断層となる上林川[かんばやしがわ]断層などでM7クラスの地震が起こった場合、大飯原発の揺れの強さが現行の基準地震動以内に収まる保証はない。原発は「止める、冷やす、閉じ込める」ができなかった場合、どうなるか。福島第一原発事故が多大の犠牲の上に教えてくれている。原発の運転は、人格権侵害の危険性がある。

◆121◆←←関西電力 闇歴史→→◆123◆

◆関西電力 闇歴史◆121◆

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◆関電は、破綻した「使用済み燃料対策ロードマップ(工程表)」を見直したが
 「新ロードマップ」は、またしても老朽原発の運転を継続するための詭弁!
 六ヶ所再処理工場にも中間貯蔵施設にも「実効性」はない!
 関電は、使用済み燃料を乾式貯蔵施設に保管して原発延命を企む!
 【付 六ヶ所再処理工場–アクティブ試験と新規制基準】

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【関連項目】
・使用済み核燃料の中間貯蔵施設をめぐる関電と福井県の動き
 (まとめ:空約束から実効性なき新ロードマップ…2025年8月まで)→◆126◆
・新旧ロードマップ図解の対照→◆119◆
・ロードマップが破綻→◆114◆
・中間貯蔵施設をめぐる空約束→◆012◆
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▼2023年10月、関電が「使用済み燃料対策ロードマップ」を示す
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 関電は、「使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を福井県外に探す」と何度も福井県と約束しながら、すべてを反故にしてきた(◆012◆)。最近では、2023年10月、いかにも近々、青森県の六ヵ所再処理工場への搬出が可能であるかのように見せかけた「使用済み燃料対策ロードマップ」を福井県に示した。

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▼2024年8月、関電のロードマップは早くも破綻◆114◆
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 ところが、関電がロードマップで示した願望は、2024年8月、日本原燃が27回目の六ヵ所再処理工場の完成延期(約2年半)を表明した(◆003◆ 付(2))ことによって破綻。ロードマップは、老朽原発の運転を継続するための詭弁で、実現性が全くない「絵に描いた餅」であった。

┌─────────────
▼2024年9月、関電は2025年3月末までにロードマップを見直すと大見得を切る
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 それでも、関電は開き直って、またもや「ロードマップを本年度末(2025年3月31日)までに見直す。実効性のある見直しができなければ、老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機を運転しない」と大見得を切った。

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▼2025年2月、関電は福井県に「新ロードマップ」を提出◆119◆
└─────────────
 関電は、2月13日、「実効性のある見直しができた」とする「新ロードマップ」を福井県に提出した。しかし、その内容は「使用済み核燃料のフランスへの搬出量を倍増させる(合計:ウラン使用済み燃料380トン、MOX使用済み燃料20トン)」とか、稼働延期を繰り返し稼働の見込みが極めて薄い再処理工場(青森県)への2028年度からの搬出(198トン)などであった。今回も、小手先の奇策、詭弁を弄して、誤魔化す内容であった。福井県外に、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を見つける、という約束は以前として無視されている。
【参考】2023年10月のロードマップ、2025年2月の新ロードマップの図解→◆119◆

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▼2025年3月24日、福井県も老朽原発の稼働継続を容認
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 使用済み核燃料の県外搬出を求めていたはずの杉本達治・福井県知事は、3月24日、関電が再提出した「新ロードマップ」を、「実効性があるものと判断する。」と容認した。老朽原発に対する不安が広がっている県民の意見は聞いていない。またもや、老朽原発の稼働継続のための「出来レース」をやってのけたわけである。何度、福井県民をないがしろにすれば気が済むのか。

┌─────────────
▼期限の2025年3月31日、やはり実効性のある見直しはなされず
└─────────────
 関電の森望社長は、2024年9月5日、杉本福井県知事と面談し、使用済み核燃料の県外搬出に向けた「ロードマップ」を、「本年度末までに見直す。実効性のある見直しができない場合、高浜1、2号機、美浜3号機を運転しない」と述べている。しかるに、3月31日になっても、実効性ある見直しはできていない。実効性がまるでない「新ロードマップ」で誤魔化そうとしている。関電の「新ロードマップ」は、またもやその場しのぎの空約束と約束反古を繰り返すものである。

┌─────────────
▼2025年3月31日、約束反故の関電糾弾、老朽原発を運転するな!の集会とデモ
└─────────────
 老朽原発うごかすな!実行委員会」は、ロードマップ見直し提出期限である3月31日、美浜町の関電原子力事業本部前において「3・31使用済み核燃料の行き場はないぞ 関電は約束まもれ!美浜集会」を開き、町内デモを行った。原子力事業本部に対しては、「関電は老朽原発、高浜1、2号機、美浜3号機を運転するな!」「嘘と欺瞞の関電を許さない!」の抗議と警告を表明した文書を手渡した。右翼の集会妨害は、シュプレヒコールで反撃、約200人が参加。
  
  

┌─────────────
▼関電の「新ロードマップ」が既に破綻している理由
└─────────────
(1) 六ヶ所再処理工場にも中間貯蔵施設にも「実効性」はない。六ヵ所再処理工場の2026年度内での竣工はきわめて困難。六ヶ所再処理工場の設計工事認可審査で耐震補強工事が必要になっても、アクティブ試験に伴う「レッドセル問題◆003◆ 付(2))」(主工程が極度に汚染され立入不可)で補強できず、不合格になる可能性がある。

(2) 仮に竣工できたとしても、高々10%操業にとどまらざるをえない。「余剰プルトニウムを持たない」との国際公約から、原子力委員会の「プルサーマルに必要な量だけ再処理認可」方針があるため。したがって使用済み燃料を再処理工場にどんどん搬出することはほぼ不可能。

(3) 関電の原発で約4分の1をしめる高燃焼度使用済み燃料は、六ヶ所再処理工場での再処理も、中間貯蔵施設への搬出もできない。使用済みMOX燃料も同様。

(4) 関電は「使用済MOX燃料の再処理実証研究」として、2027年度から使用済MOX燃料を含む400トンをフランスに搬出する計画。しかし、再処理後に生まれる高レベル廃液ガラス固化体について、関電や電事連は「高レベル廃棄物は日本に返還される」ことを認め、返還先は「今後検討する」とのみ答えている。そして青森県は、六ヶ所村では受け入れない旨を表明している(3月8日東奥日報、4月1日共同通信)。青森県が受け入れないのであれば、福井県で受け入れるのか。

【参考】森重晴雄さんのFB投稿によれば、
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・青森県民の癌患者や小児がん患者は再処理試験開始以来20年間全国ワースト1位。
・再処理施設の430トン試験処理以来、青森県の癌死亡率や小児がん発病率は何れも日本ワースト第1位。
・青森県の小児がん発生率が全国平均のなんと約27倍。
・フランスで再処理し返還された残骸にはプルトニウムなどの放射性物質が残っている。その残骸を収納した保管容器は完全に閉じ込め出来ないので僅かずつ漏れる。しかも10年に1回、保管容器の蓋と本体のあいだにあるパッキンを交換しなければならない。パッキンは10年で劣化する。保管容器は開放せざるを得ない。その時にいくらフィルターを通しても環境中に放射性物質が放出される。
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 六ヶ所再処理工場の本格操業では、年間800トンの処理量が予定されている。これまでのアクティブ試験の430トンから倍増に近い。がん発病率がどうなるのか、青森県はこれ以上放射性廃棄物を受け入れた場合のリスクを考えざるを得ないのでは。

 
【付 六ヶ所再処理工場–アクティブ試験と新規制基準】

  • アクティブ試験とは…使用済み核燃料430トンを溶解、その高レベル廃液を用いたガラス固化体の製造試験、ガラス溶融炉の安定運転性能の確認および処理能力の確認のためのテスト運転。2006年3月31日に開始。
  • 2006~08年にかけて、使用済燃料を用いたせん断、溶解処理が実施され、これに伴って、環境中にトリチウム、炭素14、クリプトン85、ヨウ素129などの放射性物質が大量に放出された。
    →原子力資料情報室…六ヶ所再処理工場の放出放射能に関する情報『アクティブ試験計画書』
  • 2007年11月、2008年10月にガラス固化設備の試験が行われた。
    ・白金族元素が炉底部に堆積して流下不調
    ・東海村に設置している実規模のモックアップ試験施設で原因究明、対策の構築
    ・モックアップ試験にて白金族元素の炉底部への堆積を防ぐことができた
  • 2012年12月~2013年5月に改善したガラス固化試験を実施
    ・安定運転の確認、2013年5月にガラス固化試験を終了
    ・事業者としての検査は終了
    ・今後、新規制基準への適合が必要。事業者自らが行う使用前事業者検査としてガラス固化試
    験を実施する必要がある。(規制当局は、事業者の活動を確認する立場)
    ・ガラス固化試験(2013年度)から六ヶ所再処理工場のガラス溶融炉は、10年以上運転していない。2013年度以降の若手社員は、使用前事業者検査で、初めてガラス固化の運転操作を行うことになる。
    ・高レベル放射性廃棄物の現在量(はんげんぱつ新聞、2023年3月末現在、【付(2) 核燃料サイクルと、核のごみ】)によれば、六ヶ所再処理工場には、ガラス固化体346本のほかに、244立方m(約460本相当)の高レベル廃液が残っている。
  • 新規制基準への適合
    ・2014年に新規制基準への適合性審査を申請
    ・2020年7月に事業変更の許可を取得
    (つまり新規制基準に沿ったさまざまな対策を反映する許可を得る)
    ・2022年12月に第1回の設計及び工事計画の認可(設工認)を取得
    ・2022年内に主要な安全対策工事をおおむね終了したとされ、2022年12月に第2回設工認、すなわち竣工に必要な「安全対策工事を進めるための設計および工事計画の認可」を申請。しかし、建物などの耐震設計に必要な「地盤モデル」の全面的な見直しなどにより、この審査が想定より大幅に遅れ、長期化している
    ・2024年8月29日、日本原燃は再処理工場の完成時期を約2年半延期し、2026年度末にすると発表。延期は27回目
  • 上記は、以下の資料ほかによる
    六ヶ所再処理工場のガラス固化試験について(2022年8月23日、日本原燃株式会社)
    再処理工場のしゅん工に向けた進捗状況(2025年3月24日時点、日本原燃株式会社)

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【参考(1)】
◆003◆ MOX燃料、核燃料サイクルなど
【付(2) ◆核燃料サイクルとその破綻–六ヶ所再処理工場の完成延期】…六ヶ所再処理工場は完成延期を重ねている。レッドセル問題とは。処理できない使用済み核燃料(使用済みMOX燃料、高燃焼度燃料の使用済みウラン燃料)。
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【参考(2)】
◆082◆
核燃料サイクル5施設(青森県六ヶ所村)…日本原燃株式会社の①再処理工場、②低レベル放射性廃棄物埋設センター、③ウラン濃縮工場、④高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター、⑤MOX燃料工場
【付(1) 電事連の核燃料サイクル、新聞広告】
【付(2) 核燃料サイクルと、核のごみ】…ガラス固化体、核のごみ、最終処分場、高レベル放射性廃棄物の現在量(はんげんぱつ新聞、2023年3月末現在)、人工バリアなどについて。
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▼乾式貯蔵施設の建設へ
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 六ヶ所再処理工場中間貯蔵施設も、もはや満杯に近い関電の使用済み核燃料の解決策にはならない。結局、関電の使用済み燃料は、乾式貯蔵施設に保管され続けることになるのでは。福井県の原発サイトに建設されようとしている乾式貯蔵施設を、今後、長期にわたる使用済み核燃料の保管場所にしようというのが、関電の狙い。乾式貯蔵施設が「円滑な搬出のために必要」という関電の説明は、虚言。乾式貯蔵施設が、原発延命のために使われることがいよいよ明らかになっている。

 2025年3月26日、高浜原発の乾式貯蔵施設について、原子力規制委員会は計画に問題はないとして、審査に事実上、合格したことを示す審査書案をとりまとめた。

 杉本福井県知事はこれまで、「新ロードマップ」の実効性が確認できなければ、老朽原発の運転は認められず、乾式貯蔵施設建設の事前了解はあり得ないと発言してきた。しかし、「新ロードマップ」を容認した現在、規制委の審査合格後には、乾式貯蔵施設建設の事前了解に踏み込む可能性が高まってきた。

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◆関西電力 闇歴史◆120◆

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◆大飯原発3号機、人為ミスで放射性のガス漏れ(>_<)
 たまたま無人だったが、
 危険な原発を扱っているのに
 扱いがあまりにも安易すぎ(怒)

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 2025/3/6、関西電力は、稼働中の大飯原発3号機の排気筒から放射性ガスが漏えいしたと発表。原因は、工事担当者らの認識不足という。中央制御室の運転員が必要な連絡を受けていなかったため、配管の弁を開いたこととみられる。

 関電によると、2月27日午前、廃棄物処理建屋のガス分析装置室にある装置を取り換えのため外した際、工事担当者が弁による遮断が必要なことを認識しておらず、中央制御室の運転員に連絡しなかった。工事担当者の上司も確認しなかった。運転員が別の作業で午後0時49分から18分間弁を開いた結果、ガス分析装置室にあるダクトを通じて排気筒から放射性ガスが漏えいした。

 なお、関電のプレスリリースは、以下の通り。
「今回排気筒から排出された放射性気体廃棄物(以下、ガス)の放射能量は、約1.38×109 Bqと評価しており、保安規定に基づく発電所の放出管理目標値(1.0×1015 Bq/年)に比べ十分低く、周辺環境への影響はありません。また、大飯発電所周辺に設置している環境放射線モニタリングポストの指示値に有意な変化は認められず、その他のプラントパラメータや運転状況にも異常はありませんでした。」

 当時、この場所は無人だったというが、もしも作業員がいたら、どうなっていたのか。危険な原発を扱っているのに扱いがあまりにも安易すぎる。

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