◆関西電力 闇歴史◆108◆

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◆関電などによるバイオマス発電事業が破綻(2022年12月)
 結局、発電事業は大東建託に事業譲渡(2023年7月)
 関電の電源構成→原発は20.3%だが、
        →太陽光0.3%、地熱、風力、バイオマスは各0.0%
 【付 RE100 】
 【付 関電の電源構成】

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(1) 2013年12月9日、兵庫県森林組合連合会(県森連)、公益社団法人兵庫みどり公社、ならびに関西電力は、兵庫県、兵庫県朝来(あさご)市と協働で、朝来市における木質バイオマス事業計画を本格的に検討していくことに合意、協定を結んだ。

・未利用木材(間伐材)の搬出から乾燥、燃料チップ製造、燃料チップを活用した発電までを官民協働で行う今回の事業スキームは、「兵庫モデル」といわれ、国内初の取組み。地元の間伐材の有効活用が期待された。関西電力グループにおいては、初めての木質バイオマス燃料専燃発電所。2030年までに50万kW程度の再生可能エネルギー電源を開発することを目標とした。

(2) 2016年から、バイオマス発電事業を開始。年間の発電量は3700万kWh。ただし、当初から赤字が続いた。関電の発電所は、子会社の関電エネルギーソリューション。

【参考】 関電サイト(→こちら)より、兵庫県朝来市における木質バイオマス事業の概要。

(3) 2022年末に破綻。兵庫県森林組合連合会(県森連)が2022年11月に事業撤退を申し出て、関西電力は、2022年12月24日に発電停止。協定は2022年12月25日付けで解約された。5者の協定により、県内の未利用木材=間伐材を搬出し、燃料チップの製造及びバイオマス発電までを行う事業に取り組んできたが、木材価格の高騰「ウッドショック」の影響で燃料となる木材チップの確保が困難となったという。県森連は関電側から損害賠償を請求される可能性を想定し、2022年11月、大阪地裁に特定調停を申し立てた。関電は事業の譲渡を検討。

(4) 2023年7月6日、大東建託(株)は、関電エネルギーソリューション、兵庫県森林組合連合会と、間伐材などを燃料にした朝来バイオマス発電所と、間伐材などの供給センターの事業譲渡契約を締結。2024年度中の再稼働をめざしている。

【参考】大東建託のWebサイト(→こちらこちらも)より。当社は、RE100に加盟し2040年までに、事業活動で消費する電力を100%自社発電の再生可能エネルギーにすることを目標として掲げています。今後は、本発電所で発電した再生可能エネルギーを利用することで、当社グループにおける再生可能エネルギーの国内導入率は50%に達する見込みです。

【付 RE100 】
Renewable Energy 100%、アールイー100。企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ(リーダーシップ)。世界や日本の企業が参加。世界的に有名な加盟企業としては、AppleやGoogle、Microsoftやスターバックス、IKEAやネスレなどが名を連ねている。
「RE100とは?日本企業一覧・取り組み事例やメリットをわかりやすく紹介」→こちら
「RE100とは?意味・読み方や国内外の加盟企業をわかりやすく解説」
(環境価値証書についても)→こちら

(5) 2023年10月19日、新聞報道によれば、衆議院議員(兵庫5区)と県議が代表理事を務める兵庫県森林組合連合会(県森連)に、県が貸し付けた9億円が回収困難となっている。県森連の財政状況が悪化しているとの指摘がある中、県が貸付額を増やしていたことがわかったという。バイオマス発電事業が県森連の資金繰りを悪化させたとみられている。

【付 関電の電源構成】(→こちら
・関電の電源構成は、火力と原子力が中心となっている。LNG火力が第1位で22.3%、続いて、原子力20.3%、石炭火力19.5%となり、この三者で計62.1%をしめる。
・再生可能エネルギーの割合は、大規模水力8.8%を除けば、ごく小さい。とくに、太陽光0.3%、地熱風力バイオマスは各0.0%。この四者で計0.3%にとどまるのは、お粗末としか言いようがない。
・関電の風力発電事業→◆066◆
(2022年度実績)(以下、グラフ及び注記は関電サイトより)


[グラフの注記]
※1 この電気のうち、非化石証書を使用していない部分は、再生可能エネルギーとしての価値やCO2ゼロエミッション電源としての価値は有さず、火力発電なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持った電気として扱われます。
※2 当社がこの電気を調達する費用の一部は、当社のお客さま以外の方も含め、電気をご利用のすべての皆様から集めた賦課金により賄われており、この電気は再生可能エネルギーとしての価値を有さず、CO2排出量については、火力発電なども含めた全国平均の電気のCO2排出量を持った電気として扱われます。
※3 この電気には、水力、火力、原子力、FIT電気、再生可能エネルギーなどが含まれます。
※4 この電気には、他社から調達している電気の一部で発電所が特定できないもの等が含まれます。
注1) 四捨五入の関係で合計が100%にならないことがあります。
注2) 経済産業省の制定する「電力の小売営業に関する指針(2023年4月)」に基づき、算定・公表しています。
注3) 当社は再エネ指定の非化石証書の購入により、実質的に、再生可能エネルギー電気の割合の向上をはかります。

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