声 明
ALPS処理汚染水の海洋放出を直ちに中止すること
2023年10月7日 使い捨て時代を考える会
政府と東京電力は福島県漁連をはじめとする多くの反対の声を無視して、ついに8月24日~9月11日に第1回目の放射能汚染水海洋放出を、10月5日に第2回目の放出を実施してしまいました。放射能汚染があると知りながら廃水を海へ捨てるとは常識では考えられないことです。大量に放射能汚染物質を流す行為は、国家と企業による犯罪とも言えるのではないでしょうか。
「科学的根拠」とは何を指しているのでしょう。放射能に関しては、過去の長い人類の歴史の中で、微量でも影響があると立証されているからこそ厳しい基準値が設けられているのです。薄めれば安全と言えるのでしょうか。薄めたものが魚や海藻などに蓄積され、生物濃縮で他の生物に影響を及ぼす可能性は否定できません。かつて起きた公害問題への対応として、希釈しても総量は変わらないからと総量規制方式になりました。薄めての放出は水俣病を経験した歴史的経過で人類が築き上げた経験を反故にするものです。
国と東電はトリチウムは「他の原発からも出ている」「中国や韓国の原発からも出ている」と言い訳をしています。確かに福島原発でも事故前に2.2兆ベクレル/年のトリチウムを放出していました。しかし、汚染水ではなんと22兆ベクレル/年の放出を予定しているのです。また汚染水にはトリチウムのみならず、ヨウ素129、ストロンチウム90、セシウム137、プルトニウム239、カドミウム113など62種類に及ぶ放射性核種も含まれています。その除去も100%できるものではありません。特にトリチウムは、水と分離できずALPSでは処理できないことが明らかになっています。すさまじい総量の放射性物質がすでに放出され、これからも放出され続けるのです。
海外の反応にしても、中国のみクローズアップされていますが、太平洋諸島はもとより欧米諸国の市民からも反対の声が上がっていることはまったく報道されていません。
風評被害と言いますが、放射能による健康被害は否定できない事実です。もろに生活を脅かされる漁民は最大の被害者ですが、地球に住む誰もが被害を受ける可能性を否定できません。風評などという言葉でごまかすのは許せません。
福島第一原発事故を正しく認識して、放射能をこれ以上ばらまく行為をやめ、まず閉じ込めてその後始末を検討していくという姿勢をとるべきです。汚染水発生の根本原因である原子炉建屋に日々流れ込みデブリに触れる地下水を止めなければなりません。タンクに溜めた汚染水についてはモルタル固化による保管なども検討するべきです。真摯に、嘘をつかずに原発事故の後始末に取り組むべきです。
「科学的」などという言葉でごまかすのはやめて、真に科学的な方策を一刻も早く練ることを願ってやみません。
私たちは、ALPS処理汚染水の海洋放出を直ちに中止することを求めます!