◆関西電力 闇歴史◆071–2◆高浜原発3号機

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◆高浜原発3号機…40年間近でトラブルが続発
 相次ぐ伝熱管損傷も無視
【付 原子力規制検査における対応区分】
【付 原子力規制委員会の検査指摘事項】

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[5] 相次ぐ蒸気発生器細管の減肉、割れ
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【参考…高浜原発の蒸気発生器細管の損傷。検査のたびにみつかる】
(①②~は、高浜3、4号機で発生順の通し番号。すでに8回連続!)
【高浜3号機】
2017年 7月に再稼働
①2018年 8月に 1本
③2020年 1月に 2本
⑤2022年 3月に 4本
⑦2023年10月に 2本
【高浜4号機】→◆071-3◆
2017年 6月に再稼働
②2019年 9月に 5本
④2020年10月に 4本
⑥2022年 6月に12本
⑧2024年 1月に4本

(4)第26回、2023年9月~。2本
…蒸気発生器伝熱管1本が外面の減肉【最大減肉率:63%】、もう1本が内側からの応力腐食割れ
・定期検査において、蒸気発生器伝熱管2本で損傷が発見された。1本で管の厚みが減少しており(外面からの減肉)、1本は内側からの割れ。小型カメラで原因の調査などをするため、2024年1月上旬を予定していた本格運転が遅れる可能性。関西電力は「内側の傷は、加工の際にかかった力により、ひずみができたことが影響したとみられ、外側の傷は、配管の表面にできた鉄の酸化物で削れたとみられる」と発表。伝熱細管損傷は、破断すればメルトダウンを起こしかねない。
・しかし、関電は、これまでと同様の原因推定と小手先の処置のみで、2023年12月22日に再稼働した。

(3)第25回、2022年3月~。4本
…蒸気発生器伝熱管3本が外面の減肉【最大減肉率:57%】。内面で応力腐食割れが1本
・外面の減肉について、摩耗痕のあるスケールは回収できなかったが、各蒸気発生器から採取したスケールの性状、摩耗試験等の調査の結果、スケールによる減肉と推定
【スケールに対する対策】→薬品洗浄の前に小型高圧洗浄装置による洗浄を実施し、薬品洗浄を実施
【規制庁は再稼働優先】
蒸気発生器伝熱管については、2018年、2020年の定期検査においても、同様の減肉があった。規制庁は、「次もやっぱりまだこういう事象が起きる可能性というのは否定できないという感じですよね、それは皆さんもそう思ってられますよね。」との認識で稼働を了承。原子力規制は安全最優先でなく、再稼働優先。

(2)第24回、2020年1月~。2本
…蒸気発生器伝熱管2本が減肉【最大減肉率:56%】。
・AおよびC-蒸気発生器内にガスケットフープ材(ガスケット=固定用シール、フープ=金属製薄帯板)を確認。C-蒸気発生器伝熱管の損傷原因を異物と推定。B-蒸気発生器伝熱管の損傷原因となった異物は流出したものと推定。(蒸気発生器はA~Cの3基設置されている)
【スケールに対する対策】→薬品洗浄を実施(薬液を二次系配管の中をまわし、不純物を除去してスケール付着を防ぐこと、「水質調整」)

(1)第23回、2018年8月~。1本
…蒸気発生器伝熱管1本が減肉【減肉率:20%未満】。
・減肉指示のあった箇所付近にスケール(2次冷却水に含まれる鉄の微粒子が伝熱管に付着したもの)を確認。スケールの回収中に破損したため、スケール以外の異物による減肉と推定。異物は流出したものと推定。しかし、このスケール説には、疑問の意見もある。

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[4] 高浜3号機、トラブル続発で規制委が報告書の提出を求める(2023年8月)
 その後、規制委が約40時間の追加検査を実施する
 また、原子力規制検査における対応区分が引き下げられた
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・高浜3号機では、2022年7月~2023年4月、重大事故に対処する設備でトラブル(運転上の制限の逸脱)が1年間に4件(下記 [3] 印)発生した。このため「原子力規制検査における対応区分」において、「事業者が行う安全活動に軽微な劣化がある状態」とみなされ、追加検査が必要になった。原子力規制委員会は、2023/8/23、関電に対し、再発防止に向けた報告書の提出を求める通知を発出。規制委は関電から報告書を受け取り次第(期限は11月末)、原子力規制庁の検査官により、のべ40時間程度の追加検査を実施し、有効な再発防止策がとられているかなどを確認する。

・また、高浜3号機について、原子力規制検査における対応区分を引き下げた。原子力規制検査では、「事業者の自律的な改善が見込める」とされる第1区分から「発電所の運転が許容されない」とされる第5区分まであり、年1回、各発電所ごとに対応区分が定められている。高浜原発3号機について原子力規制検査における対応区分を1段階引き下げ「規制機関による対応が必要」とされる第2区分とした。対応区分が引き下げられるのは、東京電力の柏崎刈羽原発に続いて2か所目。
【 参 考 】 明日に向けて 守田敏也website
「明日に向けて(2373)……高浜原発3号機に対し原子力規制委員会が「追加検査の対応区分引き下げ」を通告! 超老朽1号機だけでなく3,4号機も危険。関電は高浜原発を全て止めるべきだ!」
こちら

・高浜原発では1、2、4号機でもトラブルが多い。規制委の山中委員長は「高浜原発は労働災害も多く、何らかの組織上の問題があると推測する。一度きちんと見直して、総合的な原因究明をして欲しい」と述べた。
 
◆009◆再稼働を急ぐ老朽原発で、労災人身事故が多発(2019~21年)
◆010◆安全文化の欠如でクレーン倒壊(2017年)
◆021◆蒸気発生器で伝熱細管の損傷が多発(2018~22年、高浜3、4)
◆047◆老朽原発、高浜原発1、2号機運転延長担当の課長が自殺(2016年4月)
◆058◆高浜1、2号機再稼働策動のデタラメ、その1~その3(2021~22年)
◆067◆保安規程違反のまま特重施設を運用(2022年)
◆070◆高浜4号機、並列直後に発電機と原子炉が自動停止(2016年2月29日)

【付 原子力規制検査における対応区分】こちら(2023/8/23現在)
(第1区分)事業者の自律的な改善が見込める状態…下記以外のすべての稼働原発
(第2区分)監視領域の軽微な劣化…高浜3号機
(第3区分)監視領域の劣化…該当なし
(第4区分)複数/繰り返しの監視領域の劣化…柏崎刈羽1~7号機
(第5区分)許容できない管理状態…該当なし

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[3] 重大事故に対処する設備でトラブルが続発
 規制委が再発防止に向けた改善計画の提出を求める(2023年4月)

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 原子力規制委員会は2023/4/25の定例会合で、高浜原発3号機の重大事故に対処する設備でトラブルが相次いでいるとして、関電に対し、再発防止に向けた改善計画の提出を求める(下記のが対象トラブル)方針を確認した。規制委は今後、改善計画の実施状況を確認する約40時間の「追加検査」を実施する。2020年に始まった新検査制度でトラブルの重要度を評価した場合(原子力規制委員会の検査指摘事項)、4段階中3番目の「安全への影響があり、規制関与の下で改善を図るべき水準」にあたるとのこと。

  • 2023/4/22…運転上の制限の逸脱。蒸気発生器水位計のうち、ATWS緩和設備(異常な過度変化時において、原子炉トリップに失敗した場合に原子炉を未臨界にする設備→ こちら )に使用している1系統の指示値が低下(「シグナルセレクタCH除外」の警報)。関電サイト( →こちら)。
  • 2023/4/20…通信事業者による衛星通信回線不具合による衛星電話(携帯)の使用不能。重大事故時に外部と連絡を取る衛星電話が使えなかった。
  • 2023/3/15…原子炉補機冷却水冷却器(原子炉の運転に必要な各系統の機器…ポンプ,冷凍機,熱交換器などの冷却を行う系統。機器の冷却により原子炉補機冷却系に吸収された熱は、原子炉補機海水系との熱交換器を通じて海水へ放出→ こちら )からの冷却水の漏えい。漏えいの可能性があるC原子炉補機冷却水冷却器を詳細に点検した結果、伝熱管1本に微小な貫通穴を確認。また、当該冷却器の伝熱管全数(2810本)について、渦流探傷検査(ECT)を実施。その結果、当該伝熱管1本を含む108本の伝熱管の厚さが判定基準を満足していないことを確認したことから、それらの伝熱管を施栓し、使用しないこととした。
  • 2022/10/30…非常用ディーゼル発電機ターニング装置の不調。非常用ディーゼル発電機の定期的なターニング(ディーゼル機関内の油潤滑を行うため、定期的に主軸を別のモーターを用いて回転させる作業)を実施したが、ターニング完了後、ターニングギアが外れなくなり同発電機を自動起動できなくなった。
  • 2022/7/21…タービン動補助給水ポンプ(外部電源を喪失したときなどに蒸気発生器に給水する重要機器)の周辺の床に、油約8リットルが漏れる。
  • 2022/7/13…原子炉水位伝送器フランジ部からのにじみ漏れ(下記 [2] (6) 参照)
  • 2022/7/6…特定重大事故等対処施設に、必要な部品が取り付けられていなかった。
  • 2022/6/7…使用済燃料ピットエリア監視カメラ(重大事故等時に水位・温度を監視)の動作不能。
  • 2022/3/30…蒸気発生器伝熱管の損傷(下記 [2] (5) 参照)

▼原子炉補機冷却水冷却器こちらによる。

【付 原子力規制委員会の検査指摘事項】
 検査の結果、事業者の活動目的の達成状況が十分でない事項で事業者に指摘する必要があると判断したもの。重要度評価を行い、以下の4つのレベルに分類される。
:安全確保の機能・性能への影響があるが、限定的かつ極めて小さなものであり、
 事業者の是正プログラムにより改善すべき水準。
:安全確保の機能・性能への影響があり、安全裕度の低下は小さいものの、
 規制関与の下で改善を図るべき水準。今回は、このレベル。
:安全確保の機能・性能への影響があり、安全裕度の低下が著しい水準。
:安全確保の機能・性能への影響が大きく、施設の使用などが許容できない水準。

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[2] いろいろなトラブルで再稼働延期(2022年6~7月)
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2022年3月定検~

(4) 7月21日、外部電源を喪失したときなどに蒸気発生器に給水する重要な「タービン動補助給水ポンプ」(→◆025◆)周辺の床に、油約8リットルが漏れる→このため、予定の7/23に再稼働できず。7/23再稼働予定→ポンプのトラブル→7/24再稼働→7/26並列

(3) 7月13日、原子炉容器内にある水位計(原子炉水位伝送器フランジ部)で、放射性物質を含んだ水のにじみ跡を確認。原子炉容器内の水位を確認する伝送器(原子炉容器内部から中央制御室に情報を伝える)の検出部フランジ(配管継手)部で水のにじみ跡が確認された。関電は原因を明らかにせず、部品を取り替えただけ。
 

 
(2) 7月6日、特定重大事故等対処施設で、一部の部品が装着されていないことが判明(高浜4号機でも同様のトラブル)→◆067◆

(1) 6月7日、使用済み燃料ピットエリアにある監視カメラ1台の映像が映らない不具合が起き、機器を交換

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[1] 関西電力「高浜発電所3号炉 高経年化技術評価書(30年目)
 2014年1月」
(→こちら)からみた高浜原発3号機 事故・故障等一覧
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・高浜3号機のトラブルは蒸気発生器伝熱管で多い。その他の内容は調査が必要。
・「高経年化対策に関する報告書」の一覧 →こちら

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
「2018~22年度のトラブル 一覧表」、「関電の原発の稼働状況 一覧表」 → ◆071◆

・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆(このページ)
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆
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