◆関西電力 闇歴史◆072◆

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◆関電の原発マネー不正還流(→◆018◆)は最悪の腐敗
 その追及は→①株主代表訴訟
(リンク上記◆018◆)、②刑事告発(本項◆072◆)
 
本項は、②刑事告発に関する経過
 …大阪地検は不起訴→検察審査会→9名全員が再捜査へ(2022年8月)

 【付 関電の三つの調査報告書へのリンク】
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◆[1] 2019年6月、内部告発文書の送付までの経過
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・1977~1987年…森山栄治氏が高浜町の助役を務める
・2018年1月…金沢国税局が高浜町の建設会社を税務調査
・2018年7月…関電が社内調査委員会を設置。社外委員3名、社内委員3名(人事担当役員、コンプライアンス担当役員、経営企画担当役員)により構成
・2018年9月…社内調査委員会の調査報告書ができる。岩根茂樹社長ら6人を社内処分としたが、報告書は公表せず。岩根茂樹社長(当時)は、報告書を受領したが、同月中に八木誠会長(同)とともに、森詳介相談役(同)に相談し、「コンプライアンス上不適切な点はあったが、違法性は認められない」などとして公表見送りを決めていた(注-1-)。その後の第三者委員会は、このときの3人の対応を「ガバナンス(企業統治)の機能不全を示すものであったと言わざるを得ない」と厳しく批判
・2019年3月…森山氏が死去
・2019年3~6月…「関西電力良くし隊」から、岩根社長や監査役宛に通告などの手紙4通(→◆041◆、(1)~(4))
・2019年6月…「関西電力良くし隊」から、最終的な内部告発文書が広く各方面に送付(注-2-)(→◆041◆、(5))
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(注-1-)〔会計不正調査報告書を読む〕【第91回】関西電力株式会社「調査委員会報告書(平成30(2018)年9月11日付)」→こちら
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(注-2-)底が深い原発マネー
関西電力という会社はコーポレートガバナンスが全く機能しない会社、こんな会社は原発を持つ資格なし、全機運転を止めて廃炉にする以外ない
……高浜町の東山幸弘さん( 2019年9月29日記す、原発なくす蔵)→こちら
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◆[2] 新聞報道後の経過[2019年9月~]
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・9月27日…岩根氏や八木前会長ら23人が計約3億円相当の金品を受け取ったと報道
・10月2日…2018年9月にできていたが非公表にされていた社内報告書を公表
【社内調査委員会の調査報告書こちら
・10月9日…八木氏が辞任。第三者委員会を設置
・12月13日…市民団体「関電の原発マネー不正還流を告発する会」が特別背任などの疑いで八木氏らを大阪地検に告発

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◆[3] その後、株主代表訴訟と刑事告発へ[2020年]
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・3月14日…金品受取り問題に関する第三者委員会からの調査報告書が関電に提出される。金品受領は75人、総額約3億6000万円と公表
【第三者委員会の調査報告書こちら
・【投稿】関西電力金品受領問題・原発の深い「闇」を隠す第三者委員会調査報告書
 Assert Web、投稿日:2020年3月31日 作成者:杉本 達也 →こちら

・6月8日…取締役責任調査委員会が旧経営陣の善管注意義務違反を認めた調査報告書を公表
【取締役責任調査委員会の調査報告書こちら

・6月9日…市民団体「関電の原発マネー不正還流を告発する会」が役員報酬補填問題などに絡み、業務上横領などの疑いで八木氏らについて告発状を大阪地検に提出
・6月16日…関電が八木氏ら旧経営陣5人に約19億円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴
・6月23日…脱原発個人株主5人が現旧経営陣ら22人に約92億円の損害賠償を求める株主代表訴訟を提起
・裁判は、関電会社訴訟株主提訴併合)と関電株主代表訴訟の二本立てで進行されている(→◆018◆)。
・8月17日…コンプライアンス委員会が役員報酬補填問題で八木氏ら3人の善管注意義務があったと認定
・10月5日…大阪地検が告発状を受理

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◆[4] 刑事告発、その後の経過[2021年~]
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・2021年11月9日…大阪地検特捜部が不起訴処分。「関電の原発マネー不正還流を告発する会」は9人を刑事告発していたが、特捜部は、いずれも関電に損害を与える故意性などは認定できないとして、9人全員を容疑不十分で不起訴にした。強制捜査等は行われず、嫌疑不十分で全員を不起訴処分にしてしまった。地検OBが多数関電役員に就任した経過があり、不都合な真実の隠ぺいに検察も加担するのか?
・2022年1月7日…1,194人で検察審査会へ申立

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[5] 検察審査会は大阪地検の全面的な誤りを指摘するも
 関電は「我 関せず」で、素知らぬ態度[2022年8月]

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・2022年8月1日…大阪第2検察審査会が3人を「起訴相当」と議決。経営不振を理由に電気利用者に料金の値上げを求めながら、その陰で元役員らの利益を図ったことについては、「電気利用者への裏切り行為」ととりわけ強く非難している。
・検察審査会は、会社法の特別背任容疑などで告発され、大阪地検特捜部が不起訴にした八木誠前会長(72)、森詳介元会長(81)、岩根茂樹元社長(69)の計3人を「起訴相当」とした。八木、森、岩根以外の6人は「不起訴不当」と議決した。
・「起訴相当」の場合、特捜部が再捜査し、原則3か月以内に刑事責任の有無を改めて判断する。再び不起訴としても、検察審査会が2度目の「起訴相当」の議決を出せば、検察官役に指定された弁護士が強制起訴することになる
・「不起訴不当」の場合は、検察が再捜査の上で不起訴とすれば、捜査が終結する
検察審査会の全面的な検察庁の誤りの指摘に関する弁護団声明こちら
・「原発マネー不正還流を告発する会」からの報告→こちら
・なお、関電は「当事者ではなく、お答えする立場にない」とのコメントを発表した。「原発マネー不正還流を告発する会」の加納雄二弁護士は「長年の癒着があったにもかかわらず、全く信じられない発言だ」と関電の姿勢を批判した

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◆[6] 2022年8月発表の検察審査会の詳細
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すべての容疑について不起訴が正当でなかったと判断
議決書「強制捜査や関係者から再度の事情聴取などを行って事実を明らかにしてほしい」

(1) 役員報酬の減額分の補填。退任した森元会長を含む18人に、退任後に補填することを決定。「公共性の高い企業のトップの地位にあったのに、みずからや身内だけにひそかに利益を図っており強い非難に値する。会社に損害が生じたことは明白だ」「内々に報酬額を決定しており、会長らに委託された権限の範囲を逸脱する」「自らの立場を利用して秘密裏に補填を行い、口止めまでしていた」
…会社法違反(特別背任)
★起訴相当→→森詳介元会長、八木誠前会長
●不起訴不当→八嶋康博元監査役

(2) 豊松秀己元副社長が納めた追加納税分の補填。豊松元副社長が国税局に納めた税金を補填。「会長、社長に委託された権限を逸脱」
…会社法違反(特別背任)、業務上横領
★起訴相当→→森詳介元会長、八木誠前会長、岩根茂樹元社長

(3) 福井県高浜町の森本元助役の関連会社に対する不適切な工事発注
…会社法違反(特別背任、背任)
●不起訴不当→八木誠前会長、岩根茂樹元社長、豊松秀己元副社長、白井良平元取締役、鈴木聡元常務執行役員、大塚茂樹元常務執行役員、八嶋康博元監査役の計7人

(4) 元助役側からの金品受領。「一部の役職員が不適切な工事発注に関与し利益の一部の還流を受けていたことは電気利用者などへの裏切り行為であり強い非難に値する。検察は強制捜査を行っておらず旧経営幹部らへの事情聴取も十分だったか疑問だ」「利用者からの電気料金を懐に入れていたに等しい」「悪しき慣行を正さなければ任務違背に当たりうる」
…会社法違反(収賄)
●不起訴不当→岩根茂樹元社長、豊松秀己元副社長

【参考】検察審査会の議決
11人の審査員のうち、8人以上が起訴を求めると「起訴相当」。
 起訴相当が2度議決されると強制起訴される。
②過半数(6人か7人)が再捜査を促すと「不起訴不当」。
③過半数(6人以上)が不起訴を妥当とすると「不起訴相当」。

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◆[7] 関西検察のOBと関西電力の密接な関係
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(1) 2021年11月9日、大阪地検特捜部が刑事告発を不起訴処分にしたときは、関西検察のドンと呼ばれた土肥孝治元検事総長が元監査役、佐々木茂夫元大阪高検検事長が現取締役、小林敬元大阪地検検事正が今回の事件の社内調査委員会委員長を務めるなど、大阪地検と関電の深いつながりが、起訴の決定を阻んだのではないかと疑われた。

 → 郷原信郎:関電経営トップ「居座り」と「関西検察OB」との深い関係こちら
 (2019.10.7 Yahooニュース)

(2) 2022年8月1日
以下は『検察審査会の全面的な検察庁の誤りの指摘に関する弁護団声明』
(→こちら)の一節。
(関電不正マネー還流事件刑事告発弁護団 団長 河合 弘之、事務局長 加納 雄二)
「…・・ 検察は、自らの判断が市民感覚と甚だしくずれていることを猛省すべきである。まして、今回の事件については、関西検察のOBと関西電力の密接な関係が取りざたされている。大阪地検は、市民の合理的な疑念を晴らすためにも、直ちに再捜査に着手して、起訴相当とされた被疑事実のみならず、不起訴不当とされた被疑事実についても速やかに起訴すべきである。・・…」

(3)【参考図書】
『日本を滅ぼす 電力腐敗 政・官・司法と電力会社との癒着・天下りの実態』

三宅勝久 著
新人物往来社文庫
2011/11/8発行(なので、内容は少し古くなるが、腐敗の構造は今に継続)
関西電力についても、二人の経産官僚の天下りについて記載