◆関西電力 闇歴史◆071–1◆美浜原発3号機

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◆美浜原発3号機…老朽原発を再稼働(>_<)
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[1] 2021~23年、再稼動前後
 2021年わずか4か月の稼働中にもトラブル → (2) (3)
 1次冷却材ポンプ封水注入フィルタからの汚染水漏れ(2022年8月)→ (6)
 ホウ酸水注入系の圧力低下(2022年8月)→ (7)

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▲左の1、2号機は廃炉。右端、老朽原発の3号機は再稼働。

(9) 2023/1/2、予備変圧器を経由した外部からの受電ができない状態となった。送電線の一部で停電が発生したことによる。その後、送電線が復旧して予備変圧器に異常がないことを確認したが、運転上の制限の逸脱。

(8) 2022/8/30、前日(22時間前)発表で突如、再稼働の傲慢さ。以下おもな経過。
・5/29「原発のない明日を―老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか―」に2100 人
・7/24…美浜町「老朽原発・美浜 3 号うごかすな!現地全国集会」に300人、町内デモなど
・8/1…封水注入フィルタ装置のボルトが指示どおり締められていなかったことによる放射性物質を含んだ水7トンが漏洩。8/10再稼働予定を延期。→ (6)
・8/10…美浜町「老朽原発・美浜3号再稼働阻止現地緊急行動」に80人。町内デモなど
・8/19…関電は、追加点検の結果を踏まえて工程を判断するという条件で、原子力規制委員会に、23日に再稼働の予定と報告。23日再稼働は、当初は福井県にも知らせず、プレスリリースもなしで再稼働させようとしていた疑い
・8/21…ホウ酸水注入系、アキュムレータの圧力が規定値を下回り、制限逸脱。→ (7)
・8/29…15:00頃、翌日に再稼働するとプレスリリースで発表。発表の翌日に再稼働するのは、極めて異例。前日発表、それも22時間前発表とは、関電の傲慢さ、住民無視、市民無視の悪意を感じさせる。姑息さと臆病さも。デモ申請は72時間前までに必要なので、間に合わない。デモ申の72時間前もおかしい(>_<)が、デモをしないでも、抗議はできる。
・8/30…13:00に、再稼働。美浜原発前、美浜町の関電原子力事業本部前で、緊急の抗議行動。前日の連絡にもかかわらず、30人が参加。

(7)2022/8/21、一次冷却系統のほう酸水注入のための機器の圧力低下→再稼働未定
(ホウ酸水注入系、アキュムレータ=蓄圧機について、目次ページの図→こちら
 ・老朽原発美浜3号機、8/1の放射性物質を含む水7トン漏洩に続いて、8/21また、「運転上の制限」逸脱のトラブル。
・「運転上の制限」(LCO : Limiting Conditions for Operation)逸脱とは、保安規定に定められている機器等に不適合が生じ,一時的に LCOを満足しない状態が発生したこと。事業者は LCO 逸脱を宣言し,あらかじめ定められた時間内に当該機器を復旧させるか,それができない場合は原子炉を停止させるなどの措置を講じなければならない。
・今回は、一次冷却系統のほう酸水注入(これって緊急時の動作)のための機器の圧力が低下。中央制御室で警報が鳴るも、3分で回復し、制限逸脱から回復したという。
・タンクの圧力は正常な数値に戻ったものの、原因は不明で調査中とされていたが、後、作業用の資機材が当たったためと、下請けの責任に転嫁。
・美浜3号機では、昨年、わずか4か月、再稼働されていたときにも、2件の大きなトラブルを起こしている。上記、(2) (3)を参照のこと。
・大事故を未然に防ぐためには、日頃から不注意、不安全な行動による小さなミス、ヒヤリハットが起きないようにすることがきわめて重要。一歩間違えれば大事故が起きる可能性がある原発では、こうした考え方が必須のはず。小さなトラブルも起こさないようにし、起こってしまった場合にも的確な対策を講じることが必要だが、関電は大丈夫か。

【補足–②】
関電のプレスリリースでは、2022年8月29日に、下記記載がある。運転上の制限逸脱のアキュムレータ圧力低下は、作業用足場の資材などが弁に当たっただけ。不注意な下請けが悪い、という感じ。
→関電のプレスリリースはこちら
→関電の運転上の制限に関する情報はこちら

【補足–③】
 一次冷却系統のほう酸水注入のための機器とは…原子炉冷却水喪失事故時など、1次冷却系統の圧力が低下した際には、原子炉の暴走を防ぐために、ほう酸水を1次冷却系統に注入しなければなりませんが、ほう酸水は、逆止弁を介して1次冷却系につながっている蓄圧タンク(アキュムレータ)に蓄えられています。そのタンクの圧力が低下していることが確認されたのです。
 下請け任せの上に、責任感と科学的常識のない、関電および下請けの技術者、作業者、監督者、点検者・・・が原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が腐敗しているのです。この事態は、一旦、体制全てを解体して、総点検しなければ、改善されません。ただし、体制を根本的に刷新して判断すれば、原発運転は、無理だという結論に至るでしょう。無理な原発を動かそうとするから腐敗が生まれるのかもしれません。「先端科学技術」といわれた原子力は、今や、「腐敗した科学技術」の象徴です。(再処理工場稼働の26回延期、東海再処理工場高レベル廃液処理の中断頻発、もんじゅの廃炉と廃炉作業の遅れ、福島事故炉の廃炉作業の遅れ、使用済み燃料貯蔵地探し期限の再三の延期、原発特重施設の建設の遅れ、などなどもこのことを実証しています。)(「若狭の原発を考える会」木原壯林さんの指摘)

【補足–④】
 ハインリッヒの法則とは…事故の発生についての経験則。1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常、いわゆるヒヤリハット(ヒヤリとしたりハッとしたりする危険な状態)が隠れている、というもの。

(6)2022/8/1放射能汚染水7トンが漏洩→再稼働延期
(1次系ポンプ封水注入フィルタについて、目次ページの図→こちら
再稼働予定8/10の直前にトラブル。関電によると、原子炉補助建屋内で、放射性物質を含む水約7,000リットル(7立方メートル、7トン)が漏れた。放射能は220万ベクレルと推定され、外部へは漏れていないという(370万ベクレルを超えると法令上のトラブル扱いとなる)。漏えいがあったのは1次冷却水を循環させるポンプに注入する高圧の封水(「封水」とは、高温・高圧の1次冷却水を原子炉圧力容器に送るポンプから1次冷却水が外部に漏れないようにシールするためにポンプの外側に満たした高圧水のこと)を浄化するフィルターの付近。7/31の点検では漏えいは確認されていなかった。
・同機は10日に再稼働を予定していたが、再稼働は延期。
一次系の汚染水がもれるというのは、たいへんな深刻な事態だ。関電のプレスリリースを読んでも、なぜ一次系の汚染水が漏れたのか、理解不能。新聞記事を読んでも分からない。新聞記者は、関電の発表をそのまま垂れ流すだけでなくて、もっと大事な問題点をきちんと質問してくれないと(>_<)。
・関電のプレスリリース→こちら(この件の図解は最終ページp.17、添付資料7)

【補足–①】
上記、封水注入フィルタ室からの汚染水の漏えいは、2007年に大飯原発1号機で同じようなトラブルが起きている。関電のプレスリリースでは、2007年9月7日に、下記記載がある。
「大飯発電所1号機の原子炉手動停止に伴う点検結果について
(1次冷却材ポンプ封水注入フィルタからの水漏れの原因と対策)」
こちら

(5)2022/6/10、運転再開予定の前倒しを発表
・その後、関電は、10/20に予定していた美浜3号機の運転再開(並列=送電線に接続)を8月12日に前倒しすると発表。再稼働(原子炉起動)は8月10日と推測された。特定重大事故等対処施設の運用開始は、2022年7月下旬という

(4)2021/10/25、特重施設未完で停止
・6/23再稼働から4か月後の10/25、特定重大事故等対処施設の未完で停止せざるをえなくなり、形式的には、定検に入った。運転再開予定は、2022年10/20とされた。

(3)2021/10/6、非常用ディーゼル発電機が停止
・非常用ディーゼル発電機を起動したら、中央制御室で警報が鳴り、自動停止した。保安規定では非常用ディーゼル発電機は2基がいずれも動作することが求められている。
・自動調速装置に不具合があったということで交換。この自動調速装置を設置しているのは高浜1、2号と美浜3号のみで、いずれも中央制御室の制御盤のデジタル化に伴い、手動から自動化する際の作業でミスと分かった。そのミスが分かったのは、高浜2号で点検してみて、同じ事象が発生したから。
・規制委(原子力規制部検査グループ安全規制管理官、実用炉監視担当)「美浜3号は、最初は偶発的ではないかということで収めようとしていたのです。実はうちの事務所(原子力規制事務所)の方でも、これは偶発ではないだろうなと結構いろいろとああだこうだと問いかけをしていて、その間、実は関西電力の方でも、高浜2号でも試験をするので注意深く見てみようということでやったら、(美浜3号と同様に)動いているではないかという話になったということです。」規制委がいろいろ問いかけをして初めて、関電が調査に動いたということで、関電に安全第一という姿勢がみられない。

(2)2021/7/3、フィルターが鉄さびで目詰まり
・蒸気発生器中の2次冷却水が喪失したとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかるトラブル。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としているが、老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかったのか。

(1)2021/6/23、老朽原発として初めて再稼働するもトラブル続出
・2021年6/23、40年超え老朽原発として初めて再稼働。
・しかし、トラブルが続いた。以下、(2) (3)を参照のこと。

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[2] その他、美浜3号機のこれまでのトラブル–別記項目へのリンク
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・老朽美浜3号機、内部告発やトラブルが続く(2021年)→◆033◆
・関電は美浜3号機の使用済み燃料の交換可能年数を2倍に水増し(2021年)→◆031◆
・老朽美浜3号機の「フィルター目詰まり」の重大な意味(2021年)→◆025◆
・美浜原発3号機で 死亡5名、重軽傷6名の重大事故(2004年)→◆004◆
・美浜3号機…建設時、生コンに大量加水、強度検査も不正(2000年)→◆084◆

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[3] 関西電力「美浜発電所3号炉 高経年化技術評価書(40年目)
 2015年11月」
(→こちら)からみた美浜原発3号機 事故・故障等一覧
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・美浜3号機のトラブルはひじょうに多い。それぞれの内容は調査が必要。
・「高経年化対策に関する報告書」の一覧 →こちら

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
「2018~22年度のトラブル 一覧表」、「関電の原発の稼働状況 一覧表」 → ◆071◆

・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆(このページ)
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆
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