◆関西電力 闇歴史◆071–6◆高浜原発1号機

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◆高浜原発1号機–トラブルまとめ
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▲高浜原発。手前が1、2号機。奥が3、4号機。

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[7] 蒸気漏れで出力を40%に抑制
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・2024年1月22日、高浜原発1号機で配管(原子炉格納容器外のタービン建屋「給水ブースターポンプ」付近)から蒸気が漏れる不具合が見つかったと発表した。ポンプは3台あり通常は2台を稼働し、蒸気発生器への給水ポンプを補助する役割。配管は放射性物質を含まない冷却水などが循環する「2次系」の施設にあり、環境への影響はないという。当面、配管への負荷を減らすため、通常の40%の出力で発電する。
・関電によると、最初に蒸気漏れが発見されたのは、発電用の蒸気発生器に高温の水を送る補助的な配管3本のうち1本。21日午後11時25分頃に点検中の職員が発見した。さらに22日午前5時ごろ、別のポンプで、冷却水が通常よりも多く漏れていることが新たに確認された。ポンプは残り1つあるが、2つのポンプを止めて点検するため冷却水の供給が減ることから、22日午前9時すぎから出力を通常の40%まで下げた。
・高浜原発1号機は、2024年で運転開始から50年となり、廃炉になっていないものとしては国内で最も古い原発で、東京電力・福島第一原発の事故のあとおよそ12年にわたり運転を停止していたが、2023年7月に再稼働した。
・2/6の関電のプレスリリースによると、原因が分かったとして、出力を100%に戻すとのこと。→こちら。新聞報道では、2/8に100%復帰。

▼関電のプレスリリースより

▼福井県の原子力安全対策課 …高浜発電所1号機の出力降下について(給水ブースタポンプの調査状況)(2024年1月31日)。図解が詳しい→ こちら

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[6] 50年超え60年運転へ、保安規程の変更を申請
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・関電は、2023年11月2日、50年超え運転にむけて、運用体制などを定めた保安規程の変更を、規制委に申請した。運転開始から60年時点でも問題なく運転できるとしている。50年超え運転に向けた申請は、初めて。
・高浜1号機は国内で最も古い原発。2023年7月に再稼働。2024年11月に運転開始から50年を迎える。
・原発の運転期間は、福島第一原発事故をうけて「原則40年、最長60年」となっていたが、岸田政権は2023年5月に、60年運転を可能とする法律「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」を作っていて、2025年6月に全面施行される予定。

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[5] 運転上の制限逸脱
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・2023/7/28に再稼働した老朽原発・高浜1号機で、8/15、「格納容器内高レンジエリアモニタ(高レンジ)CH4故障」警報、保安規定の運転上の制限逸脱が発生。格納容器内高レンジエリアモニタ※1は、事故時の格納容器の放射線量率を確認するために設置されている。
 以下、関電のプレスリリース。
・格納容器内高レンジエリアモニタ(高レンジ)の関連機器を調査した結果、当該モニタから中央制御室に指示値を伝送する回路に瞬時的な電圧の変動を確認しました。この電圧変動は、回路の構成部品の一部に一時的な不具合が発生したことによるものと推定し、それらを予備品に取り替え、健全性に問題がないことを確認したことから、8/22、15時00分に保安規定の運転上の制限を満足する状態に復帰しました。
※1:事故時の格納容器の放射線量率を確認するために設置しているモニタ。高浜発電所1号機の高レンジエリアモニタ(高レンジ)は、CH3とCH4の2台があり、そのうち1台(CH4)で指示値の低下を確認したもの。

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[4] 火災報知器の場所が工事計画と異なる位置に
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・高浜1、2号機をめぐっては、規制委が2023年3月、火災防護対策が不十分だと指摘。関電が追加工事を終え、5月15日から規制委の使用前検査を受けたところ、火災感知機が工事計画と異なる4か所に設置されていたことが新たにわかった。
・6/1の報道では、火災検知器4基が工事計画と異なる位置に設置されていることが分かった。その後、関電が調べたところ、この4か所を含めて約90か所で、再び追加工事が必要であることが分かった。
・関電は6/1、高浜原発1、2号機の再稼働時期が「未定」と発表した。「火災防護対策に係る対応のため」としている。当初は1号機を6月3日、2号機を7月15日から再稼働させる予定だったが、原子力規制委員会の指摘を受けて5月に「遅れる見通し」に変更していた。

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[3] 2018~22年度のトラブル
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(以下、詳しくは→ Ver5_kanden_trouble_2018-22[151 KB]
【高浜1】
・2018/10/6…高浜1、格納容器上部遮蔽設置工事における協力会社作業員の負傷、鉄材が落下し作業員に
・2020/4/11…高浜1、安全対策工事で協力会社作業員が脚立から転落→◆009◆(4)
・2021/12/1…高浜1、事故対応訓練中の協力会社作業員の負傷(入院2か月)、移動したホースが当たった
【高浜1、2】
・2019/9/19…高浜1、2、安全対策工事で協力会社作業員のCO中毒、9人が搬送、換気が不十分→◆009◆(1)
・2020/3/13…高浜1、2、安全対策工事で協力会社作業員がトラックにひかれて死亡、トラックが誘導なくバック→◆009◆(3)
・2021/10/19…高浜1、2、深夜のタワークレーン解体作業で重傷→◆009◆(7)
・2022/1/31…高浜1、2、アスファルト固化建屋で火災、溶接補修で養生シート発火
・2022/12/9…高浜1、2、海水電解装置建屋で火災。分電盤の母線に取り付けられた接地器具に過電流が流れ、接地器具の被覆から発火

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[2] 関西電力「高浜発電所1号炉 高経年化技術評価書(40年目)
 2013年11月」
(→こちら)からみた高浜原発1号機 事故・故障等一覧
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・高浜1号機のトラブルはひじょうに多い。初期には「原子炉自動停止」が目立つ。それぞれの内容は調査が必要。
・「高経年化対策に関する報告書」の一覧 →こちら

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[1] 老朽高浜1、2号機の再稼動…別記項目へのリンク
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・高浜1、2号機…2021年再稼働できず ◆013◆
・高浜1、2号機運転延長審査 ◆047◆
・高浜1、2号機…火災が発生 ◆058◆
・高浜1、2号機再稼働のデタラメ-その1~3 ◆058◆
・高浜1、2号機再稼働のデタラメ-その1 ◆014◆
・高浜1、2号機再稼働のデタラメ-その2 ◆013◆

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
「2018~22年度のトラブル 一覧表」、「関電の原発の稼働状況 一覧表」 → ◆071◆

・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆(このページ)
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆
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