◆関西電力 闇歴史◆014◆

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◆福井県知事はドタバタ劇を演ずるダイコン役者(2020~21年)
【付 エネ庁の暗躍】
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 関電は、再稼働の見込みが立たなかった高浜原発1、2号機を含めて、老朽原発再稼働に猛進していた。地元同意をとるためには、当該原発が実際に再稼働できるかどうかなどお構いなしであった。

 それに振り回された福井県知事は、ドタバタ劇を演じるダイコン役者にされたが、高浜町も関電にコケにされたとしか見えない。
さんざん高浜町に迫った挙げ句に再稼働できず◆013◆

(1)【中間貯蔵施設でごねてみせ】2020/10/22、高浜原発1、2号、美浜原発3号機の再稼働を巡り、杉本達治 福井県知事は、関電が使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の県外候補地を提示することが同意の「前提」だと主張。12/25、関電は候補地の年内提示は困難と表明したが、2021/2/2にも改めて主張。「(同意の是非を巡る)議論の入り口に立っていない」と述べた。しかし、2/12に資源エネルギー庁長官および関電社長と面談するや、再稼働受け入れに転換し、2/16、県議会に再稼働論議を要請。ただし、知事の方針転換に議会の自民党は反発。
この間資源エネルギー庁が暗躍( ↓ 末尾)。

(2)【やっぱり金が目的】杉本達治 福井県知事は2021/4/6、畑孝幸 県議会議長と面談し、運転開始から40年を超えた原発1か所当たり最大25億円が国から県に交付されると明らかにした。県への交付金は最大50億円となる見通し。後から振り返れば、これは大きな効き目があったことが分かる。

(3)【関電は高浜再稼働が無理と表明】知事の再稼働同意が見えてきたと判断した関電は、4/22、高浜発電所1、2号機の特重施設(特定重大事故等対処施設いわゆるテロ対策施設)について、設置期限6/9までに完成できないことを表明。知事の原発視察4/24の二日前であった。

(4)【知事が原発を視察。Youは何を視察してきたの?】2021/4/24、杉本達治 福井県知事は、運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機を視察。冒頭で「県民の目線で安全、安心な対策が取られているか確認したい」と述べた。再稼働の同意判断の材料とするということで、再稼働に向けデジタル式に更新された中央制御盤や、有事の際の対応拠点となる緊急時対策所などを確認したという。高浜1、2号機は特重施設(特定重大事故等対処施設いわゆるテロ対策施設)の工事が完成していなくて、後に4/30に判明するように、安全対策工事も完了していなかったのに、いったい何を確認してきたのか。
Youは何を視察してきたの?
もはや県民目線じゃなくて、金目でしょ。

(5)【知事は既定路線で再稼働に同意】2021/4/28、杉本達治 福井県知事は県庁で記者会見し、運転開始から40年を超える関西電力美浜原発3号機(美浜町)と高浜原発1、2号機の再稼働への同意を表明。

(6)【知事の同意直後に実は無理と発表】福井県知事が2021/4/28に同意を表明した直後の4/30に、関電は、高浜2号機の安全対策工事(40年超運転に必要)が遅れ、当面の再稼動が不可能になったと発表した。すでに4/22には、特重施設(特定重大事故等対処施設いわゆるテロ対策施設)が間に合わないと発表していたが、安全対策工事までも、いつ完了するかわからないと発表。

(7)【関電は再稼働ポーズで核燃料を装荷】2021/5/14、関電は、運転開始から40年を超えた高浜原発1号機の原子炉に核燃料を装荷する作業を始めた。計157体の燃料集合体を入れ、5/17に完了。ただし、特重施設(特定重大事故等対処施設いわゆるテロ対策施設)が6/9の設置期限までに完成しないため、審査は受けることができず、関電が自主的に制御棒が正常に動くかどうかといった点検をするという。6/9以降に再び原子炉から集合体を取り出す。地元に対する再稼働ポーズにすぎない。

(8)【高浜は約2年間お預け】2021/7/21の福井新聞によると、関西電力高浜原発1、2号機で建設中の特重施設(特定重大事故等対処施設いわゆるテロ対策施設)の完成時期が2023年5月ごろの見通しであることが7月20日、関係者への取材で分かったという。特重施設が完成しなければ再稼働できないため、少なくとも約2年間は運転できないことになることが明白になった。

エネ庁の暗躍】

 老朽原発再稼働に向けては、福井県に対する資源エネルギー庁幹部の激しい裏工作がありました。エネ庁から原発等立地道県への出張は、2019年4月~2021年2月26日までに、計517回にのぼったとのことです。そのうち、福井県は110回で、長官の訪問も3回ありました。老朽原発再稼働をすすめるために知事や町長から同意を取り付けようと、エネ庁の長官や幹部が裏工作に走り回っていたのです。これらの出張については、その目的や成果などを記録した「復命書」があるはずですが、開示されていません。
「しんぶん赤旗・日曜版(2021年9月5日号)」による。

・2020年10月から12月…のべ27人のエネ庁幹部が福井入り。
・10月16日…保坂長官が杉本知事と面談し、美浜3号機、高浜1、2号機の老朽原発を再稼働する「40年超運転」への同意を要請。
・10月22日…杉本知事は、関電が使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の県外候補地を提示することが同意の「前提」だと主張。
・12月25日…関電は候補地の年内提示は困難と表明。
・2021年1月~2月17日…エネ庁幹部、のべ18人が福井入り。
・2月12日…保坂長官が杉本知事と面談し、むつ中間貯蔵施設共同利用案などを示し、2023年末までに確定を約束。梶山経産大臣もリモート参加。ただし、むつ市長は「可能性ゼロ」と反発。
・2月16日…杉本知事は、県議会に再稼働論議を要請。

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