◆原発関係裁判(3)…最新の状況とこれからの運動

(2025/8/28 現在)

┌──【目 次】───────
[1]最新の状況(2025年8月~)
 ◆2025/8/27、川内原発、控訴棄却
[2]原子力政策の推移と市民の運動
 ◆3.11以後の原子力政策
 ◆2022年からの転換
 ◆「乾式貯蔵の高浜」
 ◆「新増設の美浜」
 ◆原発のない社会を実現するために
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【参考リンク「原発関係裁判(1)…3.11以前からの概況」→こちら
参考リンク「原発関係裁判(2)…2025年(7月末現在)の状況 」→こちら
 

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[1]最新の状況(2025年8月~)
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◆2025/8/27、川内原発、控訴棄却

  • 概 略
    ・川内原発設置変更許可処分取消訴訟(行政訴訟)、福岡地裁。
    ・九州電力の川内原発(1、2号機)。薩摩川内市。
    ・2019/6/17、福岡地裁で原告敗訴→福岡高裁で控訴審。
    ・2025/8/27、福岡高裁で控訴棄却。
    ・原告は、巨大噴火(破局噴火)による広範囲の火砕流など、火山問題のみを争点とした。しかし判決は、新規制基準の「火山ガイド」やそれによる審査の合理性を認めて、原告の控訴を退けた。

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[2]原子力政策の推移と市民の運動
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◆3.11以後の原子力政策

  • 原発依存度は可能な限り低減
    ・東京電力福島第一原子力発電所事故(2011.3.11~)の反省に立ち、原発依存度は可能な限り低減させていく。
    ・再生可能エネルギーの拡大をめざす。

◆2022年からの転換

  • 原子力「依存度低減」から「最大限活用」へ
    ・岸田文雄内閣は、2022年「GXグリーン・トランスフォーメーション実行会議」の初会合を開催。脱炭素に名を借りて原発政策の転換を始める。
    ・2023年、「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定し、原子力推進政策へ転換。2023年にGX脱炭素電源法が成立、2025年に全面施行された。老朽原発の40年超え運転が常態化している。
    ・脱炭素に名を借りた原発推進の実態化のため、第7次エネルギー基本計画を閣議決定し、原子力の最大限活用を明記している。
    ・政府は様々に原発支援政策を展開している。その一つが「長期脱炭素電源オークション」。これは脱炭素に名を借りた原発優遇制度で、名前だけでは再エネを普及させる制度にみえるが、実態は原発支援のための制度となっている。
    ・また、原発建設の費用高騰を懸念する電力会社を支援するために、建設費や運転維持費が上昇した場合、その費用の多くを電気料金で負担させようとしている。原発をもたない新電力の契約者にも、原発建設の費用を負担させようという、理不尽な制度といえる。
  • 関西電力は「乾式貯蔵の高浜」と「新増設の美浜」で原発依存
    ・関電は、政府の原子力政策のお先棒を担ぎ、原発推進の先陣をきっている。

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・GX参考年表→関西電力 闇歴史 ◆126◆
GX参考サイト→自然エネルギー財団「GXの原発新増設は現実的なのか?
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◆「乾式貯蔵の高浜」

  • 高浜原発では乾式貯蔵
    ・関電では、使用済み核燃料がプールで満杯になり、原発を止めざるを得ない状況が迫る。それを避けるために、使用済み核燃料をプールから出して、乾式貯蔵施設に移行する準備をすすめてきた。2025年、規制委も高浜原発での設置を許可。乾式貯蔵は、原発の運転を続けるための方策であり、中間貯蔵施設や再処理施設が実現不可能に陥っているための窮余の策に過ぎない。
    ・乾式貯蔵はプールで貯蔵するより安全だという意見もあるが、それは正しくない。プールで長期に保管されてきた使用済み核燃料の一部が乾式貯蔵施設に移された後には、発熱量も放射線量も桁違いに高い新しい使用済み核燃料が入ることになり、危険性はかえって高まる。そして、原発運転が継続される。
    ・関西電力は、高浜原発の乾式貯蔵施設の2025年内着工を見送り、2026年着工、完成を2028年ごろと変更。

◆「新増設の美浜」

  • 美浜原発では新増設
    ・関電は2025年、美浜原発の新増設(リプレース)に向け、中断していた地質調査などを再開する方針を表明している。
    ・また、「老朽美浜原発3号機運転禁止仮処分」抗告審第4回審尋期日(2025/7/11、名古屋高裁金沢支部)において、「原発を作り運転する企業の自由」「抗告人(=申立人)は被害者ではない(被害者になってから文句を言え)」などと発言した。東電福島第一原発事故を体験してからの主張とは思われない。

◆原発のない社会を実現するために

  • 原発訴訟の現状
    ・政府の原子力政策の転換という状況の中、2022年の泊原発廃炉訴訟の勝訴以降は、原告敗訴が続いている。
    ・裁判所は自ら司法の役割を放棄し、行政に追随しているようにみえる。東電福島第一原発事故の事故は、裁判所が自らの役割を果たさなかった結果ではないか。裁判所は、今また、次の原発事故の発生に加担するのか、責任が問われる局面にある。
  • 原子力政策、矛盾の深まり
    ・東電福島第一原発事故の収束、廃炉の行方はまったく見通しがない。2011年以来の「原子力緊急事態宣言」は、今も継続されている。汚染水放出、除染土の全国拡散、クリアランス金属(廃炉に伴う一定基準以下の金属)の再利用などは、放射線汚染を全国に広める危険性がある。
    ・六ヶ所再処理工場は完成せず、核燃料サイクル、再処理計画は頓挫し、展望がなくなっている。原発から出てくる使用済み核燃料の処理は、最終処分場はおろか、中間貯蔵施設にも目処が立たず、原発敷地内の乾式貯蔵で当面の破綻を回避している。目先の危機を回避することだけに精一杯の綱渡り状況となっている。
    ・2024年の能登半島地震をみれば、原発に対する地震のリスクはより深刻になり、避難計画の破綻は明確となった。
    ・一方、原発なしでも、電気は足りている。2013年9月から2015年8月まで2年近く、日本は原発ゼロであった。
  • 原発のない社会を実現するには
    ・裁判闘争では、法廷での理詰めの告発とともに、多数の市民が裁判に注目していることを示す運動と世論が求められる。運動と世論で裁判所と裁判官を包囲していこう。
    ・しかし、裁判闘争にとどまらない運動と世論も決定的に重要になっている。原子力政策の行き詰まりを訴え、再生可能な自然エネルギーに依拠し、省エネに徹した社会を訴えていこう。あらゆる選挙で原発に反対する勢力を大きくしていこう。
    ・「老朽原発うごかすな!実行委員会」(ニュースやチラシなど→こちら)から報告されているように、原発立地地域では、原発への不信や拒否の声は表面には出にくいものの、実際にはたくさんある。とりわけ老朽原発や原発新増設へ不安の声は大きい。電気の大消費地である大都市では、遠隔の過疎地に危険な原発を押しつけている現状をかえりみるときがきている。立地地域も消費地域も手を携えて、巨大な人権侵害をもたらす原発と決別していきたい。

(以 上)