◆関西電力 闇歴史◆126◆

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◆使用済み核燃料の中間貯蔵施設をめぐる関電と福井県の動き

 (まとめ:空約束から実効性なき新ロードマップ…2025年8月まで)
 第一局面…空約束。福井県の要請と関電の空約束
 第二局面…ロードマップ。関電が「絵に描いた餅」のロードマップを提示
 第三局面…新ロードマップ。ロードマップは1年で破綻、すぐに新ロードマップを提示
 【付 GX参考年表、GXサイト、第4次エネ基~第6次エネ基と原発再稼働】
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◆第一局面…空約束
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◆福井県の要請と関電の空約束

  • (1) 福井県が「使用済み核燃料の中間貯蔵施設を県外に」と要請。
  • (2) 関電が空約束を繰り返す。

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◆第二局面…ロードマップ
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◆関電が「絵に描いた餅」のロードマップを提示

  • (1) 県外候補地の多様化と責任分散…フランス、六ヶ所再処理工場、上関町、むつ市。どこも当初から強い懸念のある候補地ばかりだが、関電に直接責任のない候補地ばかり。
  • (2) 県外を前提にしつつ県内貯蔵に道を開く…原発敷地内に乾式貯蔵施設。乾式貯蔵は、満杯に近い燃料プールに空きをつくり、原発運転を継続するための施設。
  • (3) 2024年8月、六ヶ所再処理工場が着工から約30年、27回目の完成延期。完成時期は2026年度中だが、宮下宗一郎 青森県知事「直ちに信頼することはできない」。

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◆第三局面…新ロードマップ
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◆ロードマップは1年で破綻、すぐに新ロードマップを提示

  • (1) 県外候補地の多様化と責任分散により、数字合わせだけでロードマップをすぐに改訂できる。その柔軟性=無責任性が明らかになった。
  • (2) ロードマップ見直しで関電は「実効性がなければ、老朽原発は運転しない」と表明したが、新ロードマップも実効性はなく、関電の約束は守られなかった。
  • (3) 関電は、新ロードマップ発表後、表向きは県外候補地を追及しつつも、事実上、県内での乾式貯蔵に移行していくための具体策を進めている。
    • ①新たな資金提供…関電は杉本知事の姿勢につけ込んで、札束攻勢「新たな資金提供」50億円(原発稼働率で増額)を具体化。
    • ②高浜(第1期分)で乾式貯蔵施設を具体化すること。ただし、六ヶ所再処理工場の規制委審査が進まないことにより、県の建設同意も遅れている。
    • ③美浜でリプレイス…政府の原発支援政策を当てにしつつ、地元の原発推進勢力を納得させるあめ玉。
  • (4) 杉本知事の基本姿勢…「県外だけを主張しているより、見返りがあれば、県内でも構わない」「地域振興という札束と引き換えに県内貯蔵を認める」というのでは?
  • (5) 関西電力は使用済み核燃料を2035年までに搬出できない場合は「使用済み核燃料プールに戻す」との方針を示しており、地元自治体から反発が相次いでいる。この件を巡り、美浜町議会原子力発電所特別委員会は「立地目線を意識し、配慮ある対応」を求める要望書を関電の高畑勇人原子力事業本部長代理にに提出した(2025年10月2日)。要望書は原発の反対派、推進派が一致しての内容。ただし、町議会としては「35年末までに搬出を始めると確認したので、プールに戻すという文言の撤回や修正は求めず、今回は了解する」とのこと。


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【関連項目】
・原子力政策の推移と市民の運動、参考年表など→◆原発関係裁判(3)
・新ロードマップ→◆121◆
・新旧ロードマップ図解の対照→◆119◆
・ロードマップが破綻→◆114◆
・中間貯蔵施設をめぐる空約束→◆012◆
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・この項の全体のPDFファイル[198 KB]
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【付 GX参考年表】
………(岸田文雄首相、2021年10月4日~2024年10月1日)
・2022年7月GX実行会議の初会合を開催。脱炭素社会の実現をめざすGX(グリーン・トランスフォーメーション)を検討。首相は電力の安定供給確保に向け、まず原子力発電所の再稼働などの具体策を示すよう指示した。なお、GXとは、化石エネルギーに依存している経済・社会・産業の構造を、非化石エネルギー中心の構造に移行させるための改革で、「カーボンニュートラル」や「脱炭素」の実現をめざすとされる。
・2023年2月…「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定。原発の新増設(「次世代革新炉への建て替え」)、原発の最大限活用を明記。エネルギーに関する世界的、国内的な危機に対応し、脱炭素も同時に実現するには原発の復活が不可欠として、第6次エネルギー基本計画に記載のある「原発依存度を可能な限り低減する」は消えている。
・2023年5月…原子力基本法、電気事業法、原子炉等規制法、再処理等拠出金法、再生可能エネルギー特別措置法の5本の法改正を束ねた「GX脱炭素電源法」が成立(他にGX推進法も成立)。「原則40年、最長60年」の運転期間の規定を原子炉等規制法から電気事業法に移し、運転延長を経済産業相が認可する仕組みに変更。
………(石破茂首相、2024年10月1日~2025年10月21日)
・2025年2月第7次エネルギー基本計画(エネ基)の閣議決定。「原発依存度を可能な限り低減する」とした第4次エネ基(2012年末に誕生した第二次安倍晋三政権、2014年4月)~第6次エネ基(2021年10月)までの表記を削除、原発回帰の姿勢を鮮明にした。原子力は、電源構成のうち約20%をしめるという目標を掲げた。
・2025年6月…GX脱炭素電源法が全面施行。原発運転60年超が可能になる。
・2025年8月…巨額の電源投資を支援する長期脱炭素電源オークション(2024年1月開始)で、ガイドラインを改訂。原発の新増設を支援する体制がつくられている。
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【付 GX サイト】→自然エネルギー財団「GXの原発新増設は現実的なのか?
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【付 第4次エネ基~第6次エネ基と原発再稼働】
・第4次エネ基…2014年 4月閣議決定。原発依存度は省エネ・再エネなどにより「可能な限り低減」とし、原子力についての具体的な数値目標は明記されていない。しかし、原子力は「重要なベースロード電源」とされたために、原発の再稼働が不可欠となり、規制委は40年超えの老朽原発をふくめ、次々と原発の再稼働を進めるようになった。
・第5次エネ基…2018年7月閣議決定。「2030年のエネルギーミックスにおける電源構成比率」として、原発の発電量構成比20~22%の実現をめざすとされた。その目標達成のため、原発の再稼働が進んだ。
・第6次エネ基…2021年10月閣議決定。第5次と同じく、「2030年度時点における電源構成上の見通し」として原発は20~22%程度を見込む。
・第7次エネ基…(上記「GX参考年表」2025年2月の項を参照のこと)
 
・原発再稼働
以下の原発再稼働の経過は「東京電力福島第一原発事故後の原発再稼働と差止裁判の提訴(2011~2014年)」から続く。2014年以前の経過はそちらを参照のこと。
全体をまとめた経過は「東京電力福島第一原発事故後の原発再稼働をめぐる経過[127 KB]」。
各原発の再稼働年月日、稼働年数(40年超えの老朽原発かどうか)→資源エネルギー庁「原子力発電所の現状
【2014年】
………(安倍晋三首相、2012年12月26日~2020年9月16日)
………(2014年 4月、第4次エネ基の閣議決定)
8月…川内原発1号機(新規制基準施行後としては初の再稼働)
10月…川内原発2号機
【2016年】
1月…高浜原発3号機
2月…高浜原発4号機
8月…伊方原発3号機
【2018年】
3月…大飯原発3号機
3月…玄海原発3号機
5月…大飯原発4号機
6月…玄海原発4号機
………(2018年7月、第5次エネ基の閣議決定)
………(菅義偉首相、2020年9月16日~2021年10月4日)
【2021年】
6月…美浜原発3号機(福島事故後、40年超の老朽原発の再稼働は初)
………(岸田文雄首相、2021年10月4日~2024年10月1日)
………(2021年10月、第6次エネ基の閣議決定)
【2023年】
8月…高浜原発1号機
9月…高浜原発2号機
………(石破茂首相、2024年10月1日~2025年10月21日)
【2024年】
11月…敦賀原発2号機、審査に不合格(唯一の例外)
11月…女川原発2号機。東電福島第一原発事故後、初めて再稼働するBWR(沸騰水型)
12月…島根原発2号機。BWR
………(2025年2月、第7次エネ基の閣議決定)
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