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◆高浜3号機、下請け作業員が燃料移送用のプールに転落!
30分後に引き上げられ、腰の骨を折る重傷であったが
被ばく線量に問題なしとして、1日も休まず出勤
【付 加圧水型原発における核燃料の交換】
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定期点検中の高浜原発3号機で、2025年4月30日夜、下請け作業員(43歳)が燃料移送用プール(水は放射性物質を含む)へ8m転落し、30分後に引き上げられたとのこと。水深は約4メートルだったが胸元までつかった状態でとどまり、周囲にいた作業員に補助クレーンを使って救出された。水は飲んでいないという。作業員が転落した開口部は縦約1.6メートル、横約2.2メートルで、クレーン作動のために設けてあり、シートで覆われていた。作業員は歩行可能エリアではないことを認識せず、シートの下に床面があると思い込んでいて落下した。作業計画書には開口部に関する注意事項の記載はなかった。
転落した作業員は引き上げられてからシャワーで全身洗浄。管理区域から退出した際の外部被ばく線量は0.01ミリシーベルトで、1日の計画線量0.9ミリシーベルトを下回った。内部被ばくの影響を示す実効線量も0.01ミリシーベルト未満と評価し、法令に定める線量限度の年50ミリシーベルトに比べて十分低いとした。事故当時、プールには核燃料は入っていなかった。
関電の説明のほかには調査報道もごく少なくて、不明な点が多い。燃料移送用プールの水は汚染水だが、どのくらいのレベルなのか。転落した労働者の被ばく線量は、発表の通りかどうかは確かめようがない。転落して30分も水につかっていたのに、「水を飲んでいない」というのは、本当か。腰の骨を折る重傷なのに被ばく線量に問題なしとして、1日も休まず出勤というので、大丈夫か。原発ではこれで普通なのか。
なお、燃料プールの水については、以下のような指摘もある。「燃料プールの水は、膨大な濃度のトリチウムを含んでいるはず。トリチウムの放射線エネルギーは小さいので、外部被曝量は多くないかもしれないが、飲んでしまったら、大変な内部被曝になるのでは。原発から排出される水のトリチウムの許容濃度は6万ベクレル/リットルとなっているが(環境中の濃度は約1ベクレル/リットル)、これは、燃料プールの水などが放出されたときに、問題にならないように恣意的に決められた値だと思われる。」
関電の説明
「原子力発電所の運営状況、保全品質情報等」(2025年5月1日)によると、以下の通り。
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高浜発電所3号機(第27回定期検査中)において、4月30日20時23分頃、原子炉格納容器(管理区域内)の燃料取替クレーンの手すりに汚染拡大防止の養生を実施していた作業員が、床面の開口部に気付かず水張り中の原子炉キャビティ※1に落水しました。このため、直ちにクレーンで作業員を引き上げました。
作業員はシャワーによる全身洗浄等の除染を行った後、退出モニタで身体汚染がないことを確認し、管理区域から退出しました。その後、ホールボディカウンタ※2やアラーム付きデジタル線量計※3による測定の結果、異常は認められませんでした※4。

※1:料取替え時に水を満たすことにより、燃料から放出される放射線を遮へいするために設置しているプール。事象発生時は燃料装荷の準備のため、原子炉キャビティには深さ約4mの水が張られていた。
※2:体内に摂取された放射性物質の量を体外から測定する装置。
※3:作業員の管理区域立入毎の被ばく線量を測定する装置で、被ばく線量や入域時間が設定レベルに達したときにアラームが鳴る仕組みになっている。
※4:体内に摂取された放射性物質による今後50年間の実効線量(減衰や体内からの排泄等を考慮して算出される線量)は、0.01mSv未満であり、作業時の外部被ばく線量は0.01mSvであった。
この値は、法令に定めのある線量限度の年間50mSvに比べて十分低い。
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ジャーナリストの取材では
まさのあつこ 地味な取材ノート
(関電に対する質問と関電の回答。以下は上記サイトの要点のみ抜粋)
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燃料移送用プールに落下して腰を骨折。
だが、1日も休まず出勤:高浜原発3号機の下請作業
Q:8m落下する危険がある場所で命綱はしていなかったのか?
A:作業員の作業経験が浅かった。他の作業員は知っていた。
Q:「作業員はシャワーによる全身洗浄等の除染を行った後」、「身体汚染がないことを確認」したとありますが、除染前の線量は?
A:管理区域に入る時と出る時に測定しており、引き上げた直後には線量を測定していない。出ようとした時に退出モニタの警報が鳴ったので、シャワーを浴びた。
Q:以前にも同様の落水事件が起きている(2008年に大飯原発1号機で落水事故)が?
A:作業に従事し始めて4ヶ月の経験の浅い方で、この方は開口部であることを認識していなかったが、他の方は知っていた。
Q:落下された方の状況は?
A:4月30日夜間に落水して、病院に行ったのは5月1日。腰の骨を骨折。右親指打撲。4週間の治療期間だが、軽作業は可能だということで、机上の事務作業なら良いということで、5月1日から出社している。
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【付 加圧水型原発における核燃料の交換】
・上図で原子炉容器の蓋の下部から「約8m」となっている部分まで、水で満たす。放射線遮蔽のため。
・「燃料取替クレーン」を原子炉圧力容器の上まで持ってきて上蓋を開ける。
・「核燃料」を引き上げ、吊り下げたまま適当な位置まで水中を移動させる。
・吊り下げた縦向きの「燃料棒」をキャビティ下部で横向きに寝かせる。
・以上が格納容器内の作業。それから、寝かせた燃料棒を格納容器から外に出す。
・「燃料移送管」というトンネルの中を通して「使用済燃料ピット」(プール)まで移動する。
・「使用済燃料ピット」で縦向きに戻して(立てて)保管する。
・以上のような過程、「加圧水型原発の使用済み核燃料取り出しの危険性」については、下記に解説あり。細いトンネルの脆弱性、燃料棒がトンネルを通過しているときに大地震が来たら(×_×;)などなど。
→ 広瀬隆 著『日本列島の全原発が危ない! 広瀬隆 白熱授業』p.119
DAYS JAPAN(デイズジャパン)2018年1月号増刊号
→ チラシ「使用済み核燃料プールが危ない」(2017年12月15日,京都キンカンで配付)

▲加圧水型原子炉の燃料プール(ピット)の概念図
格納容器で青太線より上の部分は、燃料棒を出し入れするときに、点線部=使用済燃料プール水面と同一レベルまで水を張る。上図では水面が少し違っているように見えるが、同一とみなしてください。格納容器で、その水を張る部分を、原子炉ウエルという。