大飯原発差止訴訟[京都地裁]の概要

  • 2012年京都地裁に提訴

    ……福島で起きた東京電力の福島第一原発事故で、原発の危険性が改めて明らかになりました。しかし、政府(当時は民主党政権、野田佳彦首相)と関西電力は、福島の事故の原因も被害の実態も不明のまま、現行の新規制基準もできていない中、2012年7月に大飯原発3、4号機を再稼働しました。私たちは、すべての原発の危険性を警告してその運転を差し止めるため、同年11月、1,107名の原告で大飯原発の運転差止等請求訴訟を京都地裁に提起しました。原発について関電のみならず国の責任を問うため、慰謝料も請求しています。

  • 原告は京都府を中心に3000人超

    …… その後、第七次まで原告の追加募集を行い、原告総数は3,457人となっています(2025年1月)。原告は、近畿2府4県で90%以上をしめ、京都府だけで70%ほどになりますが、全国42都道府県にまたがっています。

  • 大飯原発差止訴訟 三つの争点… その[1]若狭湾には、将来もM7 クラスの地震、基準地震動をこえる地震は来ないのでしょうか。

    ……日本は地震国です。陸域ではどこでもM7クラスの地殻内断層地震に見舞われることを覚悟しなければなりません。若狭湾でも近い将来にM7クラスの地震が起きる可能性が十分考えられます。若狭湾でM7クラスの地震が起こった場合、大飯原発の揺れの強さが現行の基準地震動以内に収まる保証はありません。

  • 大飯原発差止訴訟 三つの争点… その[2]大飯原発の原子炉が置かれている地盤は、本当に堅固で硬く、地震に対して安全な岩盤なのでしょうか。

    ……大飯原発の敷地には15本の断層破砕帯があり、関電が行った地質調査や地盤調査の元資料を詳しく調べたところ、断層に沿って深部にまで地層が乱れ岩盤が脆弱であることが明らかになりました。関電は規制委員会の審査会合において、調査結果の生データを判りやすい正確な形で提示することなく、堅固な岩盤であると誘導する曖昧な表現によって地盤の脆弱性を隠蔽し、自分勝手な都合のよい地盤構造モデルを捏造して審査をすり抜けました。捏造された地盤構造モデルでは基準地震動は過小に評価されます。大飯原発は地震に対して安全であるとは決して言えません。

  • 大飯原発差止訴訟 三つの争点… その[3]大飯原発で事故が起こったとき、はたして避難できるのでしょうか。放射線被ばくをしても健康被害は起きないとでも言うのでしょうか。

    ……原発がいかに危険か、避難がいかに困難か、これまで、多くの原告が陳述してきました。東電による福島第一原発事故の避難者も、原告としてあるいは証人として、被ばくの危険性、避難の困難性と避難の権利を強く主張しました。避難計画は形だけの机上の空論です。

  • 2025年9月に結審、判決は2026年7/14

    ……京都地裁の審理は、すでに12年を超えましたが、今年の9月25日、第47回期日で結審となりました。判決は2026年7月14日(14:00~)です。ただ、最近の原発差止裁判、原発賠償訴訟、東電の株主代表訴訟などでは、行政追随、原発推進の最高裁の意図が裁判所全体に貫徹されているように見えます。私たちの大飯原発差止訴訟は、そんな情勢の中での結審、判決となりますので、とりわけ原発に反対する多くの市民の声を裁判所に届けることが重要だと考えています。

  • 司法関係者の倫理と責任

    ……アール・ウォレン米国連邦最高裁長官(在任1953~74年)は、米国社会のもっとも困難な問題の解決に、行政部や立法部ではなく、司法部がまずイニシアティブをとりました。
    ・それに対してわが国の司法はどうか。実質的に司法判断を回避して放置してきました。巨大かつ悲惨な事故を起こした東電の福島第一原発事故は、司法が原発についての判断を実質的に回避して放置してきたからではないか。司法にも大きな責任があるのではないか。
    ・原子力規制委員会の適合性判断は、規制基準適合の判断にすぎず、安全を保証するものではない以上、司法関係者の責任は格別に重いはず。その責任を背負って原発裁判に関わることが、司法関係者の倫理であるというべきではないか。規制委員会の適合性判断を無批判になぞる裁判か、安全性(危険性)の判断を、裁判官として良心、倫理にしたがって行う裁判か。原発裁判はそのせめぎ合いの中にあります。

  • 裁判所宛署名の取り組み

    ……私たちは、憲法とそれを支えるべき裁判官の良心と勇気に期待しています。しかし、裁判官を本当に動かすのは、多くの人々が注目していることを示す、市民の運動と世論です。皆さまの、目に見える応援が力になります。そのために、広く「公正な判断を求める要請署名(個人署名)」をお願いしているところです。どうかよろしくお願いいたします。

(2025年9月)