- 原 強(京都循環経済研究所)

大飯原発差止訴訟(京都地裁)第48回期日は9月25日(木)に行われました。
今回は、提訴以来の総仕上げの弁論が行われました。これまで多くの原告や証人が述べてきた証言・論点をふまえ、原告代理人の弁護士がリレーで弁論を行い、あらためて原告側の主張を裁判所に伝える機会になりました。
これまで原告側は、大飯原発が地震や自然災害に耐えられるのか、放射能が拡散する重大事故が起きるおそれがないのかということを主張してきました。この日も、地震大国日本では原子力発電所の建設には危険性がともなうこと、とくに大飯原発の敷地地盤には問題が多いこと、新規制基準との関係でも不整合な点があること、大飯原発が内陸型地震、スラブ内地震、南海トラフ大地震などによって過酷事故に至る危険性は十分にあること、などを主張しました。
また、原告側の主張は、原発事故が起きた場合、住民はとても避難できない、このような原発は認めることができないということでした。この日も、これまで証言してきた福島敦子さんをはじめとする原告の主張をあらためて紹介し、原発事故の際の避難の過酷な実態、避難計画の実現困難性を裁判所に訴えました。
今回、原告代理人側の弁論で強調されたのが、「判決に向けて求められる裁判官の態度」ということでした。「福島原発事故後、事故前に原発の運転を是認した裁判官が住民の差し止め請求を棄却したことについて反省の弁を述べる例が少なくなかったが、最近は住民の請求を棄却する事例がめだっている。そこに共通して見られるのは原子力規制委員会の許認可があれば安全性が確保されていると推認できるという点である、福島原発事故から14年、廃炉の見通しもなく、多くの被害者が今なお呻吟しているなかで、原発事故によって生じる深刻な人権侵害からの救済が裁判官にもとめられることである」との弁論は、原告、傍聴者に共鳴をよびました。
最後に中島晃弁護士が原告側弁論の「結語」を述べました。
中島弁護士は、「もし、私たちが暮らす150万近い居住人口を有する京都市の後背地ともいうべき若狭の海に面する大飯原子力発電所で、一旦福島原発事故のような惨劇が発生すれば、その被害は広範囲に及び、文字通り100万をこえるきわめて多くの人々が深刻な打撃を受け、経済的にも社会的にも重大な被害が及ぶことは言うまでもない。そうしたことからいえば、大飯原子力発電所について相対的安全性の考え方は決して採用されてはならず、その安全は絶対に確保されなければならない。そうしたことからいえば、いやしくもその安全性にいささかでも危惧懸念がもたれる時は、そこに暮らす人々の人として生きる権利、その平穏な生存を確保するという人格権にもとづき大飯原子力発電所の運転を差し止めることは、裁判所が国民から負託された当然の責務であるといわねばならない」としめくくりました。この弁論には拍手が起こりました。
関電、国の代理人も弁論を行いましたが、原告側の主張にまともにこたえるものでなく、ただ規制委員会が認めているのだから安全だという論点を繰り返すだけでした。
以上で弁論は終結し、長く続いてきた裁判は結審となり、判決の日時は来年7月14日と指定されました。
この日は、昼休みの時間帯に裁判所を1周するデモが行なわれました。結審にあたるということからメディアにも注目されました。
また、裁判所にこの間集約された署名の提出も行われました。
終了後には弁護士会館で報告集会が行われ、判決の日までさらに世論をたかめていこうと確認しあいました。