◆関西電力 闇歴史◆071–3◆高浜原発4号機

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◆高浜原発4号機
 伝熱管損傷のほかにもトラブル続き

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[6] また伝熱管の損傷(2024/1/22)
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・2024年1月22日、定期検査中の高浜原発4号機で、蒸気発生器(SG、A~Cの3基ある)にある伝熱管に外面からの減肉損傷が見つかったと発表した。損傷が見つかった伝熱管は4本(A-SGの伝熱管2本およびC-SGの伝熱管2本)。4月5日を予定していた運転再開は遅れる可能性もあるとのこと。高浜原発3、4号機では定期検査のたびに、伝熱管の損傷が相次いて見つかっている。関電は今回の損傷もこれまでと同様、鉄の微粒子(スケール、2次冷却水に含まれる鉄の微粒子が、SG内に流れ集まって伝熱管に付着したもの)によると推定している。損傷が見つかった伝熱管4本は栓をして今後使わない。
・2月22日の発表では、2次系冷却水に含まれる鉄分が固まった鉄さびの塊も管周辺で見つかっており、運転による振動で配管と繰り返し接触したと推定とのこと。損傷の原因は、これまでの「微粒子(スケール)」から「鉄さび」になっている。
・なお、40年を超える長期運転を見据え、3号機は2026年10月までに、4号機では27年2月までに蒸気発生器を取り換える方針とのこと。

【参考…高浜原発の蒸気発生器細管の損傷。検査のたびにみつかる】
(①②~は、高浜3、4号機で発生順の通し番号。すでに8回連続!)
【高浜3号機】
2017年 7月に再稼働
①2018年 8月に 1本
③2020年 1月に 2本
⑤2022年 3月に 4本
⑦2023年10月に 2本
【高浜4号機】→◆071-3◆
2017年 6月に再稼働
②2019年 9月に 5本
④2020年10月に 4本
⑥2022年 6月に12本
⑧2024年 1月に4本

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[5] 復水器で海水混入
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・2023/5/29、タービンを回した後の蒸気(二次系)を水に戻す装置(復水器)の細管に穴が空いて、海水(三次系)が混入した。海水混入のあった復水器を点検。検査の結果、細管192本に微小な傷を検出したため、それらに施栓し使用しないことにしたとのこと。高浜4号機は、40年を迎えるにあたっての特別点検をしたのに。
↓ 以下、関電のプレスリリース
・高浜発電所4号機(定格熱出力一定運転中)において、5月29日20時13分、「復水ナトリウムイオン濃度注意」の警報が発信しました。関連計器の指示値を確認したところ、復水ポンプ出口のナトリウムイオン濃度の上昇に加え、2-復水器および蒸気発生器ブローダウン系統のカチオン(陽イオ
ン)電気伝導率も上昇していたことから、同日21時15分に2-復水器へ海水が混入していると判断しました。5月30日0時34分に、海水が混入した復水器のA2水室に供給している海水系統を隔離した結果、当該関連計器の指示値が低下したことを確認しました。その後、当該復水器以外の復水器を監視している計器の指示値に上昇等の異常はなく、冷却機能は正常であり、電気出力等も安定していることから、プラントの運転状態に問題はありません。

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[4] 制御棒も制御できない関西電力!
 中性子急減の警報が発信し、原子炉が自動停止(2023年1月30日)
 その直前、25日から制御棒関連の警報が3回でていたあげく

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 1月30日午後3時20分ごろ、原子炉内で中性子が急減したとの警報が出て自動停止した。4号機を含む加圧水型原子炉(PWR)では、中性子を吸収して核分裂反応を抑える制御棒(48本ある)が原子炉の上からつり下げられている。制御棒は通常、二つの爪で駆動装置に固定されているが、4号機では同月25日と29日、同装置の故障を知らせる警報が作動。30日午前0時すぎにも警報が出て、核分裂の連鎖反応を止める制御棒を炉心に送り出す装置の故障を検知し、固定用電磁石の電流が低下していることが分かった。そこで、原子炉内の制御棒を動かす装置を詳細に点検しようと、電磁石の電源の一つを切ったところ、原子炉が自動停止したという。

 原子力規制委の委員長は、 原発の安全確保の原則である「『止める、冷やす、閉じ込める』のうち、『止める』に関わる重要機能の一つにトラブルが発生した。大きな関心をもって対応に当たっている」と述べた。

 関電によれば、制御棒が落下した原因は、ケーブルが格納容器を貫通する部分に設けられている端子箱のところで他のケーブルに覆いかぶされて押されたためにはんだ付けが剥離し、制御棒を保持するための電磁コイルへの電流が弱くなったためと推定している。原因が解明されているとは言い難いにもかかわらず、関電は予備のケーブルに切り替え、3月24日に原子炉を起動、25日から発電を再開してしまった。
詳しくは→こちら

◆運転開始から37年、トラブル相次ぐ
 自動停止した高浜4号機は運転開始から37年がたち、関電は原則40年とする運転期間を超えて20年間の延長運転を、原子力規制委員会に申請する方針。立地自治体の県や町の了承を得る手続き中。最近では、経年劣化が要因とみられるトラブルも相次ぐ。
 関電の広報担当者は、30日夜、「これから調査する」「(どういう状況なのか)分からない」。規制委で報道各社の取材に応じた自動停止の原因や当時の状況などについて、ほとんど説明できなかった。
 高浜4号機は2019年以降、原子炉とは別の蒸気発生器内に長年の運転で鉄さびがたまり、配管に当たって傷つけるトラブルが続発。これまでの定期点検で3回確認され、対処しても再発を繰り返している。
 今回の停止と、経年劣化との関係を問われた関電の広報担当者は「原因調査をしないと分からないが、高経年化(経年劣化)とは関係ないと考えている」。

◆原子炉の自動停止、過去の例
 高浜原発では1988年12月にも、3号機内で中性子量の異常を知らせる警報装置が作動し、原子炉が自動停止するトラブルがあった。このときは制御棒4本が落下し、中性子量が急減したことがトラブルの原因。
 原子力規制庁によると、運転中の原発で原子炉が自動停止したのは、2011年10月、玄海原発4号機(佐賀県)でタービンを回した蒸気を水に戻す復水器に異常があったことを知らせる信号が出てタービンが止まり、原子炉が自動停止して以来とのこと。

◆4/24に再稼動
 関電によると、原因は、原子炉格納容器貫通部内で接続している電気ケーブルに接続不良が発生したことにより、制御棒駆動部のコイルに供給する電流値が低下し、制御棒1本が挿入されたため、中性子検出器の指示値が警報の設定値に至ったものと推定。これに対して、原子力規制庁の評価は「電流低下が発生するメカニズムについては、当該部分を実際に確認できていないことから、推測の域を出ないが、実際の電流低下のデータや当該部分にかかる負荷の状況から、関連する制御棒の電流低下が生じることはあり得ると評価する」とのこと。大丈夫か。安全最優先になっているのか。

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[3]「加圧器圧力逃がし弁出口温度高」警報で元弁を閉止(2022年10月)
 定検後の再稼働直前に。
 非常用ディーゼル発電機のトラブルも

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(1)高浜原発4号機は、2022年6月から定検。10月20日に、21日の再稼働を発表。21日再稼働の予定を関電が予告したのは、前日の20日。去る8月30日に再稼動した美浜3号機の再稼働予告も前日だった。関電は、直前の再稼働予告を定常化しようとしている。市民、地元住民、立地自治体などへの原発情報の提供を極力避けようとしているとしか考えられない。許されるものではない。

(2)ところが、再稼働当日の21日、再稼働直前に「加圧器圧力逃がし弁出口温度高」警報がなり、本弁を閉止する措置をとり、運転上の制限の逸脱により再稼働できなかった。弁に幅0.3ミリほどの傷が見つかり、そこから放射性物質を含む高温の水が配管の中に流れ出したことで温度が上昇したとみられるとのこと。定期検査中に、弁を分解した際に、小さな金属の粉が付着したのが原因という。再稼働の予定は発表されていなかったが、11/4、再稼働された。

(3)以下、「老朽原発うごかすな!実行委員会」のMLに配信された木原壯林さんの指摘。

 高浜原発4号機で21日発生したトラブルは、以下のように深刻なものです。

 トラブルは『1次冷却系の加圧器に設置されている「圧力逃し弁」の出口の温度が上昇しているとの警報が鳴り(1時間で42℃から77℃に上昇)、そのため、加圧逃し弁の元弁を閉止した』というものです。原子炉内で緊急事態が発生したとき、1次冷却系に緊急給水しなければなりませんが、1次冷却系の圧力が高すぎると、水が入りません。「圧力逃し弁」は、このような事態に至ったとき、1次冷却系の圧力を逃がすための弁で、緊急事態に対処する場合に、極めて重要なものです。この弁が正常に働かなければ、緊急給水できなくなる場合があります。高浜4号機には、3台設置されています。

 高浜4号機は、運転開始後37年の原発で、40年超えの運転を目指して特別点検を始めています。また、MOXを燃料とするプルサーマル運転を行っています。

 高浜4号機は運転後40年に至っていないにも拘らず、上記のようにボロボロです。45年を超えた老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の運転などもっての他です。美浜3号機、高浜1、2号機の完全廃炉を勝ち取り、それを突破口に、原発のない社会を実現しましょう!

(4)以下、福井県発表文書の高浜原発3号機の非常用ディーゼル発電機(高浜4号用でもある)の運転上の制限逸脱についての説明(2022年11月1日)。→こちら

-非常用ディーゼル発電機の運転上の制限の逸脱
・定格熱出力一定運転中の10月30日、A-非常用ディーゼル発電機(DG)の定期的なターニングを実施した。ターニング完了後、ターニングギアが外れなくなり、A-DGを自動起動できなくなったため、保安規定の運転上の制限を満足していない状態にあると判断した。
・その後、油圧ジャッキ等を用いて、固着したターニングギアを取り外し、A-DGの確認運転を行い、健全性を確認したことから、運転上の制限を満足する状態に復帰した。
・今後、ターニングギアの詳細点検を実施し、原因調査を行う。

【ターニングの目的】非常用ディーゼル機関の潤滑油膜の保持等のため、外部モータを駆動源とする装置を接続し、非常用ディーゼル発電機の回転軸をゆっくりと回転させるもの(5日に1回実施)。

(5)以下、「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)」の抗議声明より。(2022年11月4日)(全文は→こちら

 高浜4号はこの間、安全上極めて重要な設備で事故を続発させている。7月8日に高浜3・4号で6回連続となる蒸気発生器(SG)細管の減肉損傷事故。原子炉起動しようとしていた10月21日に加圧器逃がし弁の出口温度が高温となる事故。そして同30日、高浜4号用でもある同3号の非常用ディーゼル発電機が起動不能となる事故を起こした。通常であれば運転再開を中止した上で、原因究明と対策を徹底するのが当然だった。しかし、全てまともな調査もしないまま原子炉を起動した。運転を最優先させる、関電の変わらぬ安全無視の行為に強く抗議する。

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[2] 相次ぐ伝熱細管損傷
 原因究明も対策もなく、さらに拡大
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(1)2022年6月からの定検で、蒸気発生器伝熱管12本の減肉が確認されたが、前々回および前回の定期検査においても、蒸気発生器伝熱管の減肉が発生している。

(2)前々回(第22回、2019年9月~)
…蒸気発生器伝熱管5本が減肉【最大減肉率:63%】。
・A-蒸気発生器内にステンレス薄片を確認したが、摩耗痕が確認されなかったため、原因となった異物は前回の定期検査時に混入していたものと推定。なお、異物は流出したものと推定。

(3)前回(第23回、2020年10月~)
…蒸気発生器伝熱管4本が減肉【最大減肉率:36%】。
・A-蒸気発生器の減肉箇所にスケールが残存。C-蒸気発生器の減肉箇所近傍から回収したスケールにも摩耗痕を確認し、原因は、スケールによる減肉と推定。しかし、このスケール説には、疑問の意見もある。
【スケールに対する対策】→薬品洗浄を実施

(4)今回(第24回、2022年6月~)
…蒸気発生器伝熱管12本が減肉【最大減肉率:49%】。
・高浜原発3、4号機で、これで連続6回、定期点検の度に配管損傷が見つかっている。原因を特定し対処することができていないので繰り返され、しかも、これまで最大5本の損傷であったものが、今回は12本にまで拡大
・関電は、今後の再発防止策として、「蒸気発生器」の中を高圧の水で洗浄したうえで、酸化物を除去する薬品の量をこれまでより増やすとのこと。こうした対策をとったうえ、10月下旬に運転を再開させる計画で、スケジュールに影響はないとしている。

(5)参考サイト…蒸気発生器伝熱管の損傷について
・守田敏也さんBiog「明日に向けて」→こちら ほか
・美浜の会→こちら
・関西電力、プレスリリース→こちら
・関西電力、原子力発電について 公開情報、運転上の制限に関する情報→こちら

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[1] 関西電力「高浜発電所4号炉 高経年化技術評価書(30年目)
 2014年6月」
(→こちら)からみた高浜原発4号機 事故・故障等一覧
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・高浜4号機のトラブルは蒸気発生器伝熱管で多い。その他の内容は調査が必要。
・「高経年化対策に関する報告書」の一覧 →こちら

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
「2018~22年度のトラブル 一覧表」、「関電の原発の稼働状況 一覧表」 → ◆071◆

・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆(このページ)
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆
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◆070◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆072◆