◆安倍晋三氏の国葬に反対する!

【2022年8月19日,京都キンカンで配付】

福島原発事故を招き、それでも事故被害者の
切り捨てを謀り、原発推進に奔走し、米国との
核共有を主張した安倍晋三氏の国葬に反対する!

若狭の原発を考える会・木原壯林

 つい10年前までは、節約を否定して消費をあおる、物価高を招いてインフレを進める、格差を広げる、嘘をつく、捏造する、公文書を改ざん・破棄する、歴史認識を歪曲する、市民の権利を制限する、戦争を準備する、政治的立場を利用して私利私欲を誘導することは、悪であった。しかし、長期に亘って政権に居座った安倍晋三氏は、これらを全て推進し、浪費をあおり、物価高を招き、格差を拡大させ、嘘で固めた政治を重ね、かつての悪を当たり前のこととした。大仰に言えば、有史以来の倫理観を逆転させ、改ざんしようとしたのである。その安倍晋三氏が、殺害され、国葬が行われようとしている。理不尽この上ない。

安倍氏は、原発に関しても、以下の例のような大罪を犯している。

●原発全電源喪失に関わる警鐘を無視して、福島原発事故を招いた

 例えば、2006年12月、共産党の吉井英勝衆議院議員は「質問主意書」を第一次安倍政権に提出し、「原発からの高圧送電鉄塔が倒壊すると、原発の負荷電力がゼロになって原子炉が停止するだけでなく、停止した原発の機器冷却系を作動させるための外部電源が得られなくなるのではないか」と質したが、安倍首相は「外部電源から電力の供給を受けられなくなった場合でも、非常用所内電源(バックアップ電源)からの電力により、原子炉の冷却は可能」と答弁している。吉井議員はさらに、スウェーデンのフォルスマルク原発では、4系列あったバックアップ電源のうち2系列が事故で機能しなくなった事実を示し、日本の原発の約6割はバックアップ電源を2系列しか持たないが、2系列で同時に事故が発生すると、冷却不能になる」と指摘し、非常用電源喪失に関する調査や対策強化を求めたが、安倍首相は「我が国の原子炉施設は、フォルスマルク発電所とは異なるから、同様の事態が発生するとは考えられない」とこれを一蹴している。

 福島原発が重大事故を起こした最大の原因は、バックアップ電源の喪失である。もし、安倍首相がバックアップ電源を検証し、海外並みに4系列などに増やしていたら、福島原発事故は避けえたかもしれない。安倍首相がバックアップ電源対策を拒否し、事故を未然に防ぐ最大のチャンスを失したことは、明らかに犯罪行為である。

●嘘で固めて、オリンピックを招致

 2013年9月、安倍首相は、ブエノスアイレスでのIOC総会で、福島原発の汚染水問題に関して、「状況は完全に制御されている」「汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされている」という大嘘をつき、世界の人々を騙して、オリンピックを東京に招致した。

 福島原発事故から11年を経た今でも、事故を起こした原発の内部は、高放射線のため、ごく一部しか分からず、溶け落ちた核燃料の取り出しの目途も立っていない。大量の放射性物質汚染水が溜り続け、太平洋に投棄されようとしてる。「コントロール不能」であることは明白である。

●首相を辞めた後も、原発と核兵器の拡大に奔走

 安倍元首相は、首相辞任後の2021年4月、自民党の「最新型原子力リプレース推進議員連盟」の最高顧問に就任し、原発と核兵器の拡大を画策している。

 安倍元首相は、2月に始まったウクライナ紛争に因るエネルギー逼迫に乗じて、「原発再稼働」を進めるだけでなく、「リプレイスも考えなければならない」とし、小型モジュール炉への建て替え、高温ガス炉などの推進を画策している。また、戦争の危機をあおって、米国との「核共有」を主張している。火事場泥棒のような行為としか言いようがない。

 以上のように、安倍元首相は、福島原発事故を回避する方策をとらなかったのみならず、圧倒的な脱原発の民意を蹂躙して、福島事故後も原発推進に奔走している。また、福島原発事故避難者の支援の打ち切りをほのめかし、まだまだ放射線レベルの高い福島原発被害地への避難者の帰還を強要する棄民政策を実行している。

 その大罪人・安倍晋三氏の国葬は、許されるものではない。