◆関西電力 闇歴史◆031◆

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◆関電は美浜3号機の使用済み燃料の交換可能年数を2倍に水増し(2021年)
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サヨナラ原発福井ネットワーク、若狭連帯行動ネットワークは、 2021年7月2日、福井県の杉本達治知事に対して、「-終局迫る原発、原発依存県政からの脱却を急げ!- 関電は、美浜3号機の使用済み燃料の交換可能年数を2倍に水増ししている!!」との申し入れを行った。

 再稼働された老朽原発の美浜3号機について、「実際には、3号プールは3.6回、4.8年で満杯になるところ、廃炉になった1・2号機のプールの空きを3号機用に使い、緊急時に炉心燃料をプールへ移せない恐ろしい状態にしている。いずれも、禁じ手を使うことを前提にした水増しで、許せない!」
「耐震性のない1・2号プールで使用済み燃料の長期保管は危険!!。3号プールに入れて保管すべき!」

【参考サイト】
(1)関電は、美浜3号機の使用済み燃料の交換可能年数を2倍に水増ししている!(2021.7.2 福井県との交渉、サヨナラ原発福井ネットワーク、若狭連帯行動ネットワーク)
こちら

(2)再稼働に備えて、美浜 3 号機のプールを空けるため、保管していた 1・2 号機分の使用済み燃料を急いで 1・2 号のプールに移動(戻)していた!
こちら

【申入書の要約と全文】
申入れの要約
「実際には、3号プールは3.6回、4.8年で満杯になるところ、廃炉になった1・2号機のプールの空きを3号機用に使い、緊急時に炉心燃料をプールへ移せない恐ろしい状態。 いずれも、禁じ手を使うことを前提にした水増しで、許せない!」 「耐震性のない1・2号プールで使用済み燃料の長期保管は危険!!。3号プールに入れて保管すべき!」
******* (以下、申入れ文)
福井県知事 杉本達治様

2021年7月2日

-終局迫る原発、原発依存県政からの脱却を急げ!-
関電は、美浜3号機の使用済み燃料の交換可能年数を2倍に水増ししている!!

サヨナラ原発福井ネットワーク
連絡先:若泉政人

 4月13日の交渉で網本課長は「美浜3号機には1・2号機の使用済み燃料は入っていないので、交換年数は9年と理解している」と答えました。福井県の「発電所の運転・建設年報(令和2年10月)」によれば、たしかに、使用済燃料貯蔵設備増強工事 (平成13年8月完成) を実施し、貯蔵容量が424体から1,118体となっています。

 しかし実際には、美浜3号では、床固定ラックでは基準地震動Ssを満たさないため、補助建屋基礎補強工事とラック取り換えが必要となり、国内初のフリースタンディングラックを導入した2020年4月竣工後は、貯蔵容量は1,118体から809体に減少しています。 関電は、美浜3号プールに貯蔵されていた1・2号の使用済み燃料150体を2016年度内に廃止予定の(耐震基準を満たしていない)1・2号プールへ戻すという本来やってはならない禁じ手を用いたのです。それでも、貯蔵容量から1炉心(157体)+1交換分(52体)を引いた管理容量は600体。すでに2019年度末の貯蔵本数は412体で、余裕容量は600―412=188体しかありません。つまり、あと3.6回で管理容量に達し、燃料交換は4回しかできません。にもかかわらず、関電は交換可能年数を9年と2倍も水増ししているのです。

 また、高浜1・2号機を稼働させ、高浜3・4号機とあわせて4機が稼働すれば、1~4号機のプールが供用されるため、貯蔵容量4,386体から管理容量3,550体を引いた余裕は715体で、1~4号の平均燃料交換回数は3.4回すなわち4,2年で満杯となります。 関電は、2023年末に中間貯蔵施設の建設候補地が決まらなければ、稼働している老朽原発(美浜3号機、高浜1,2号機)を停止させると杉本知事に「約束」しましたが、「この3機を稼働させても4回しか燃料交換できないが、2023年末までならあと2回は交換できてその間は稼げる」との打算で「約束」したのでしょう。使用済み燃料の行き場がない状況に何らの打開策もみえないまま稼働を認めた福井県は、さらに多くの行き場のない使用済み燃料を生み出させる手助けをすることになりました。末代にまでわたる県民へのこの罪はかぎりなく深く重いものです。

次に、具体的に質問します。

① 県が「9年分の燃料交換が可能と理解している」、その算定根拠を示してください。1・2号プールにはまだ102本の空き容量がありますが、これは使えないはずです。なぜなら福島みずほ事務所からの質問に対して規制庁は「2016年度内に1・2号プールへ150体を戻したことは廃止措置中のことだから問題ない」と回答しましたが、その際にわざわざ「原子力規制庁としては、廃止措置計画認可後に、御指摘のような使用済燃料の号機間輸送は実施されていないと承知しています。」と付け加えざるをえませんでした。 関電には、仮に1・2号プール102本分の空き容量を使えたとしても、それでも不足する空き容量を調達できるウルトラF級の隠し玉でもあるのでしょうか。

② 県も令和2年の「運転・建設年報」に1,118体と記載していますが、フリースタンディングラック導入により貯蔵容量が1,118体から809体に減少している事実をご存じなかったのでしょうか。であれば、県民の生命と財産を守るべき県の責務を果たせていないことになります。

③ 5月26日、「美浜1・2号機プールは、基準地震動変更に伴う補強工事を受けておらず、使用済み燃料の長期間保管は認められないと考えるが」の問いに県は「発電所の安全規制は、国が一元的な責任を有しており、国が責任をもって県民、国民の懸念に答える必要がある」とまるで他人事のようにFAX回答されました。耐震基準を満たさぬ脆弱な1・2号プールにあえて使用済み燃料を戻して保管しているなどというゆゆしき事実を知れば、ほとんどの県民が大きな懸念を抱くはずです。国のみならず県の責任も問われていると考えますが如何か。

④ MOX使用済み燃料の再処理を2030年代後半の実現を目標に進めると経産省は〈大本営〉発表をしていますが、余剰プルトニウムの削減問題が足かせとなり、規制庁は六ケ所村の再処理工場の稼働に制限をかけている状況です。その上さらに余剰プルトニウムを上乗せするだけの第二再処理工場など建設運転される見込みなどありえないことは誰の目にも明白です。しかも、予定地すら決まっていません。また、MOX使用済み燃料はプールで90年以上冷却しなければ、乾式容器に入れることができません。このまま高浜が最終処分地になることを承知で県は高浜3・4号機の稼働を認めておられるのでしょうか。

以上

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