◆関西電力 闇歴史◆033◆

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◆老朽美浜3号機、内部告発やトラブルが続く(2021年)
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 運転開始から40年を超えて2021年6月23日に再稼働した関電の美浜原発3号機で、内部告発やトラブルが続いている。やろうと思えばできたバックフィットも先送りして、再稼働を優先している。安全より経済性優先の関電の経営方針は、何も変わらず一貫している。10月25日が特重施設設置期限で、それが未完成のため10月23日に「定期点検」入りと称して停止せざるを得なかった。特重施設が間に合わなかったので止まるのではなくて、定期点検のために止まるだけですと、空々しい(>_<)

(1) 杜撰な安全工事に対して内部告発

 美浜原発3号機では、杜撰な安全工事に対する内部告発があるにも関わらず、関電は問題ないとして無視し、規制委もこれに同調している。

 以下は、『はとぽっぽ通信』2021年8月第242号「老朽原発の再稼働阻止・・その危険性と知事同意後の取り組み(その①)」山本雅彦さん(敦賀市)の記事を掲載。
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美浜3号機の、燃料取替用水タンクの竜巻対策溶接工事の杜撰さを内部告発

 3月28日付け(2021年)滋賀民報に、美浜原発3号機の燃料取替用水タンクの竜巻対策のための鉄骨建屋の柱と梁(はり)の溶接工事に携わった吉本選(えらぶ)氏の「あまりにもずさんな工事だった」との告発記事が掲載された。その記事によれば、吉本氏は「鉄骨建屋の設計が悪く、柱と梁の溶接ができません。さらに、母材(部材)は長い間、野ざらしでひどく錆びていた」と。同氏は、工事を請け負った若狭町の建設会社の社長に、「見た目だけ溶接することはできるが強度が出ない。根本的にやり直すべき」と忠告しても「くっついていさえすればいい」と無視されたという。

 関電は、関係工事資料を確認した上で、目視点検の結果、問題は無かったと規制委員会に報告。規制委はこれを了承し、使用前検査に合格証を出そうとしている。

 しかし、これは安全対策工事に関する重要な告発である。事実とすれば、安全対策工事全体の信頼性が揺らぐ問題である。規制委は、関電の行った内部調査の報告をう呑みにするのではなく、関電に全ての情報を公開させ、第三者に該当箇所の強度確認試験を行わせるなど、規制当局としての責任を果たすべきである。
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 なお、福井県議会議員・さとう正雄さん(共産党)が、4月19日の議会全員協議会で取り上げて、関電にただしたところ、関電側は、発注した熊谷組を信頼している、などと答えたが、実際の調査は行っていないことが明らかになった。

 オール福井反原発連絡会(原子力発電に反対する福井県民会議、福井から原発を止める裁判の会、サヨナラ原発福井ネットワーク、原発住民運動福井・嶺南センター、原発問題住民運動福井連絡会)は、5月14日に、関電の森本孝社長と福井県の杉本達治知事に対して「全ての情報公開」を申し入れている。

(2) タービン動補助給水ポンプ「フィルター目詰まり」の重大な意味

 調整運転中の7月2日、蒸気発生器に給水するためのタービン動補助給水ポンプ周辺のトラブルが起きているが、運転を継続してきた。◆025◆

(3) 非常用ディーゼル発電機が動作テスト中に自動停止

 10月6日には、非常用ディーゼル発電機が動作テスト中に自動停止するトラブルがあったと報道されている。回転数が規定よりも高く示されたために警報が作動して停止したとみられ、関電が原因を調べているが、外部への放射能の影響はないとして、運転を続けている。
 非常用発電機が故障すると、全電源喪失につながるのではないか。もう1台の同発電機が正常に作動することが確認できたため、運転を続けているというが、2台の非常用発電機が存在していることに意味があるのではないか。

 その後、関電は、停止した非常用ディーゼル発電機は調速装置(ディーゼル機関の回転数を一定に保つ装置)に不具合のある可能性があることがわかったため、予備の調速装置に取り替え、正常に動作することを確認し、10月9日、保安規定を満足する状態に復帰したと発表。

(4) バックフィット無視など相変わらず安全より経済性優先

 以下、「老朽原発40年廃炉訴訟市民の会」のメンバーからのメールを転載。
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 関電が2021/10/23からの美浜3号機の定期検査について発表しました。
今後の予定として、
原子炉起動、臨界:2022年10月中旬
調整運転開始:2022年10月中旬
本格運転再開:2022年11月中旬
としています。
 美浜3号機は火山噴出規模引き上げのバックフィットが未だなされておらず基準不適合状態ですが、実は同じくバックフィットが求められている非常用ディーゼル発電機に接続される電気盤の高エネルギーアーク損傷対策もされないまま稼働しています。今回の定期検査で対策工事をするそうです。
 火山と違い、こちらは経過措置の期限が定められているのですが、今年の8/1以降の定期検査が終了するまでとなっています(規則改正は2017年)。これについては、再稼働前に福井県の原子力安全対策課に確認したところ、「電気系統はいろんなところにつながっていて、1箇所で設定値を変えても、他の箇所の設定が伴わないと問題が起きるので、全体としてやらなくてはいけないので大変さがある。」ということでしたが、すでに「(今年5月時点で)高浜3、4は対策工事が終了し、大飯3号機は対策工事中、大飯4号機は未実施」だそうですから、やろうと思えばできたものを再稼働を優先したのではないかと疑わざるを得ません。
 関電の安全より経済性優先の経営方針は何も変わらず一貫していて恐ろしいです。
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