◆10/25「老朽原発・美浜3 号機もう動かすな!現地行動」の報告とお礼 [付]関電あて申し入れ書

【2021年10月27日,実行委MLで配付】

報告とお礼

10.25「老朽原発・美浜3 号機もう動かすな!現地行動」に約63 人

 危険きわまりない老朽原発・美浜3 号機は、特重施設の設置が期限(10 月25 日)に間に合わなかったため、僅か3ヶ月の営業運転で、10 月23 日、停止に追い込まれました。しかも、この原発は、短期間の運転の間に、二度も重大なトラブルを起こしています。

 ①稼働して間もない7 月2 日には、事故時に蒸気発生器に給水するポンプに大きな圧力がかかる異常を発生させています。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。多量の鉄さびは、今後も、配管破損や目詰まりを引き起こしかねません。このトラブルは、老朽原発を全国に先駆けて動かそうと準備してきたにもかかわらず、鉄さびによるフィルターの目詰まりにも気づかなかった関電と規制委員会のいい加減さを物語ります。

 ②10 月6 日には、非常用ディーゼル発電機で、回転異常を示す警報が作動し、自動停止したと発表されました。この発電機は、地震などで外部電源の供給が途絶えた時に、自動的に起動して安全上重要な機器を作動させるためのものですから、少なくとも、修理が完了するまでは、原発を停止するのが企業倫理です。それでも関電は、もう1 台の発電機が正常に作動することが確認できたとして、3 号機の運転を続けました。許されることではありません。

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、10 月25 日、「美浜3 号もう動かすな!現地行動」を呼びかけ、実行しました。関西、福井から参加した63 人は、美浜原発から海を隔てて望む「シーパーク丹生」で集会の後、美浜原発ゲート前を往復するデモで「老朽原発もう動かすな!」を訴えました。その後、美浜町「ハートピア」駐車場に移動の後、町内デモで関電原子力事業本部に向かい、事業本部前で45 分の抗議集会を行うとともに、関電への申入れを行いました(★裏面をご覧ください)。さらに町内デモを行い、美浜町役場前では、老朽原発再稼働に同意した美浜町を糾弾し、同意の取り消しを訴えました。町内デモでは、玄関や窓を空けて手を振られる町民、会釈をされる町民のエールに励まされました。ご参加の皆様、有難うございました。

ご参加、ご支援くださいました皆さん、
ありがとうございました。

 この他、「10.23 – 12.4 老朽原発このまま廃炉!キャンペーン期間」に協賛する行動が各地で展開されています。

 「老朽原発このまま廃炉!」の声をさらに拡大させましょう!原発の40 年超え運転を阻止すれば、2033 年に若狭から、2049 年に全国から稼働する原発がなくなります。

12月5日「老朽原発このまま廃炉!大集会inおおさか」
「10.23 – 12.4 老朽原発このまま廃炉!キャンペーン行動」で
老朽原発全廃を!

 10 月23 日に停止した美浜3 号機の特重施設の完成には約1 年を要するといわれています。一方、特重施設の設置が期限の6 月9 日に間に合わず、当面の再稼動を中止した老朽原発・高浜1、2 号機の特重施設の完成は早くても2023 年5 月、6 月頃といわれています。しかし、これらの老朽原発は、特重施設の完成後に再稼働されたとしても、2023 年末には停止に追い込まれる可能性が大です。それは、関電は「使用済み核燃料の県外中間貯蔵地を2023 年末までに探せなければ、老朽原発を停止する」と明言していますが、中間貯蔵候補地探しは至難であるからです。老朽原発停止を突破口に原発全廃に向かって大きく前進する好機です。

 ただし、10 月初めに誕生した岸田政権は、原発推進内閣、核依存内閣です。炭酸ガス排出削減を口実にして、原発の60 年運転の推進を掲げるだけでなく、80 年運転への道を開こうとしています。また、新型小型原子炉や核融合の開発を画策し、核燃料サイクルを推進しようとしています。これらの策動を葬り去るためにも今は正念場です。

 老朽原発の運転停止に追い討ちをかけ、「老朽原発そのまま廃炉」を勝ち取り、原発全廃へと前進しましょう!

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、1600 人が結集した昨年9 月6 日、1300 人が結集した本年6 月6 日の「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」をさらに拡大し、来る12 月5 日に「老朽原発このまま廃炉!大集会inおおさか」を開催し、10 月23 日(美浜3 号機停止日)~12 月4 日を「老朽原発このまま廃炉!キャンペーン期間」として、老朽原発廃炉に向けて「やれることは全てやる」ことを決定しています。

 皆様のご賛同、ご参加をお願いします。

 老朽原発廃炉を突破口に、原発のない、人の命と尊厳が
大切にされる社会を実現しましょう!

2021年10月27日老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)


▼2021年10月26日県民福井朝刊

▼2021年10月26日福井新聞朝刊

▼2021年10月26日中日新聞朝刊

▼2021年10月26日毎日新聞朝刊


関西電力株式会社:
 取締役会長 榊原定征 様、
 取締役社長 森本孝 様、
 原子力事業本部長 松村孝夫 様、
 美浜発電所長 高畠勇人 様

申し入れ書

 美浜原発3 号機の特重施設設置期限日の本日、関西電力(以下関電と略)原子力事業本部前に結集した私たちは、以下の理由により、老朽原発・美浜3 号機、高浜1、2 号機をはじめとする全原発の即時廃炉を申し入れます。

①原発を動かせば、何万年もの保管を要し、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料を生み出しますが、その処理・処分法はなく、中間貯蔵すら引き受ける場所がありません。

②政府や自治体は、私企業である電力会社が運転する原発の重大事故を想定した避難訓練を、血税を使って行っていますが、それは、原発は重大事故を起こしかねないことを政府や自治体が認めているからです。ただし、政府や自治体が実施している「避難訓練」は、僅かの人数が僅かの期間だけ参加する訓練です。政府や自治体は、原発事故では住民全員が、何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視して、「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしていると言っても過言ではありません。原発過酷事故時の避難は、訓練ができないほど深刻で困難なのです。

③関電の原発に関して、各種のトラブルが頻繁に発生、発覚しています。

 最近では、1 昨年10 月、高浜4 号機で、昨年2 月、高浜3 号機で蒸気発生器伝熱管の外側からの損傷・減肉が発覚しました。関電は、「持ち込まれた金属片」が配管を削ったためとしました。高浜4 号機では、昨年11 月にも蒸気発生器伝熱管の損傷・減肉が発覚しました。関電は、この損傷・減肉は、自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削って生じたとしました。なお、高浜4 号機の2 次冷却系には鉄さび約2.5 トンが蓄積していると報道されています。

 蒸気発生器に関わるトラブルは、6 月23 日に再稼働した老朽原発・美浜3 号機でも早速起こっています。7 月2 日には、緊急時に蒸気発生器に給水するタービン動補助給水ポンプの点検中に、同ポンプに大きな圧力がかかるトラブルが発生しています。関電は、「ポンプ入り口にあるフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と規制委員会のいい加減さを物語ります。10 月6 日には、非常用ディーゼル発電機を起動したところ、回転数異常を示す警報が作動し、自動停止したと発表されました。関電は、もう1 台の非常用発電機の正常作動を確認できたとして、原発の運転を続けました。この発電機は地震などで外部電源が途絶えた時に自動的に起動して安全上重要な機器を作動させるためのものですから、少なくとも、修理が完了するまでは、原発を停止するのが、企業倫理です。

 7 月3 日に再稼働し、7 月30 日に本格運転に入ったばかりの大飯3 号機でも、8 月4 日、タービンを回した蒸気を冷やす復水器に、海水を送る配管から水漏れが見つかりました。2系統ある配管の1 系統が雨水によって腐食し、直径4 cm の穴が開いていたのです。関電や規制委員会は、このような目視できる腐食さえ見落としているのです。

 上記の数々の配管トラブルは、若狭の原発の配管は相当危険な状況にあることを示します。老朽原発だけでなく、運転開始後40 年に満たない原発でも重大事故を起こしかねません。老朽原発の運転など、もってのほかです。

④若狭の原発の耐震性は疑問です。例えば、美浜3 号機は、活断層の巣の中にあり、原発敷地内にも多数の破砕帯がありますが、耐震性の評価にあたって、震源が近くにあることの配慮はなく、地盤変位に対する考察もありません。また、地震は、通常、繰り返し襲ってきますが、地震が繰り返された場合の考慮が不十分です。さらに、美浜3 号機の基準地震動の評価は、405 ガル、750 ガル、993 ガルと増大していますが、それに見合って原発の耐震性が強化されているとは言えません。原発には、取り替えることのできない部分が多数あるからです。「当初の安全余裕の食いつぶし」といわれる所以です。

 なお、昨年12 月4 日の大阪地裁森鍵一裁判長の判決は、原発敷地での基準地震動の推定について、原子力規制委員会が採用したのは平均値であり、バラツキを考慮していないので過小評価であるとしています。この判決に基づけば、同様な方法で推定された全ての原発敷地の基準地震動も過小評価していることになります。

⑤原発電力のコストは上限を試算できないほど高額です。去る7 月に試算された2030 年の原発の1 キロワット時あたりの発電コストは、前回15 年試算時の「10.3 円以上」から「11 円台後半以上」に1 割程度上昇しています。安全対策費が、1 基当たり約1369 億円と15 年試算時の約601 億円
から倍増したためです。福島原発事故の処理費用の見積もりが15 年の「12.2 兆円以上」から「23.8 兆円以上」に膨らんだことも響いています。一方、再生可能エネルギーは技術開発や普及によるコスト低減効果を織り込み、事業用太陽光の8 円台前半~11 円台後半を筆頭に、住宅用太陽光の9 円台後半~14 円台前半、陸上風力の9 円台後半~17 円台前半などと軒並み下がり、原発の優位性は否定されています。なお、他の電源のコストの上限は算出されていますが、原発だけ上限がありません。事故処理費用がどれだけ増えるか見込みづらいためです。使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理・保管費を含めれば、原発の発電コストは膨大になります。

⑥関電は、運転開始後40 年をはるかに超えた老朽原発の再稼働を巡って、立地自治体の議会や首長に同意を要請し、苦悩の選択を迫りました。それでも、福井県知事が4 月28 日に同意を表明した直後に、特重施設が設置期限・6 月9 日までに完成しない高浜1、2 号機の再稼働断念を発表しました。このように、関電は、自社の都合のみで、立地自治体や多くの人々を混乱に陥れています。このことと、一昨年来の原発マネー不祥事、使用済み核燃料中間貯蔵地探しに関わる再三の約束違反を考えあわせますと、関電は、企業倫理に欠け、の成算もなく約束し、それを平気で反古にする企業と言わざるを得ません。このような関電が、事故なく原発を運転できるとは考えられません。

 以上のように、原発は、使用済み核燃料の蓄積、重大事故時の避難の困難さ、トラブルの多さ、耐震性の低さ、発電コストの高さ、電力会社の企業倫理の低さ、規制委員会審査のいい加減さ、いずれの面からも、稼働を容認できる装置ではありません。原発は万が一にも重大事故を起こしてはならない装置です。即時廃炉を決断してください。

 なお、貴社が、私たちの再三の危険性指摘を無視して原発を稼働して、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます。

2021 年10 月25 日
「老朽原発・美浜3 号機もう動かすな!現地行動」参加者一同
老朽原発うごかすな!実行委員会
(連絡先;木原:090-1965-7102)