◆関西電力 闇歴史◆104◆

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◆被ばく労働に頼らないと動かない原発の非人間性、非倫理性を告発
 『原発ジプシー』『原子炉被曝日記』
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 「原発を動かしてはいけない 10のわけ」◆101◆)の中に、
【事故が起こらなくても】
(4) 定期点検などで労働者の被ばくが不可避。非正規労働者が多く、健康管理は不十分。
(5) 日常的に放射性物質の希ガス、トリチウム、その他の汚染物質を放出し、環境を汚染。
が挙げられていますが、これらを明らかにするルポルタージュを、2編。

 日々の被ばくという恐怖にかられながら、隠された被ばく労働の実態を告発している。労働者の健康と生命を引き換えになりたつ発電装置。結局は人海戦術、被ばく労働に頼らないと動かない原発の非人間性、非倫理性を鋭く指摘。

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◆原発ジプシー…美浜原発での二次系、一次系作業
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『原発ジプシー[増補改訂版]――被曝下請け労働者の記録』堀江邦夫 著。現代書館2011/05/31。四六判 上製、 352ページ(なお、旧単行本1979/10/26、講談社文庫1984/10/01あり)
美浜原発、福島原発、敦賀原発で原発下請労働者として働いた告発ルポルタージュ。放射能に肉体を蝕まれ「被曝者」となって吐き出される棄民労働の全て。

【目 次】(◇図解はとくに興味深いもののみ)
Ⅰ 美浜原子力発電所(1978/09/28~12/02、1~3号機が稼働)
 二次系での作業の日々

採用決定
原発労働者の過去
貝の腐臭の中で
粉塵まみれの”ネッコー”作業[p.033…高圧給水加熱器内のピン・ホール検査 ]
健康を守るために
鉄板の上をイモ虫のように[◇p.051…湿分分離加熱器での作業 ]
元漁師の青年たち
「ケガした者は、電力さんにあやまれ!」
“完全装備”
白血球が下がった“鬼軍曹”
定検を“無視”した原発の設計[◇p.075…科学技術庁のポスター「エネルギー・アレルギー」(1978年)。セミ・ヌードの女性
「わしらを差別するのか」

 いよいよ一次系へ

管理ナンバー21851639
ピンハネの実体
マンジュウの味
全面マスクの労働者
「死の影」
スイッチ押し作業
防護服やマスクは自己流で…
「計画線量」の無計画性
“出向”という名の使い捨て
“救いの神”と“死神”
赤ランプ――汚染
「早く出なければ!」
エア・マスク
破壊される海
“休職勧告”された老人
減少する発汗量
美浜原発との分かれ

Ⅱ 福島第一原子力発電所
(略)
Ⅲ 敦賀発電所
(略)

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◆原発被曝日記
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『原発被曝日記』森江信 著。技術と人間1979/11/20 。四六判 上製、252ページ(講談社文庫1989/01、樋口健二さんが解説)

 福島原発、敦賀原発、島根原発、玄海原発、東海村、大阪に事業所をおく原発関連サービス会社で、原子炉の清掃などに従事した労働者の体験ルポ。福島原発、浜岡原発、伊方原発など六つの現場で、約三年間にわたり放射能洗浄などの仕事をした日々をつづる。

興味深い図…床除染作業p.21、洗浄装備p.24、復水器断面p.28、スミヤろ紙とスミヤの取り方p.30、フィルターエレメント取り外しp.34、給水スパージャー交換工事p.201

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