◆12月16日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者など3名。
使い捨て時代を考える会;4名。

 前回,11/18の話し合いの時に提出した要請書(下記)に文書で回答するように口頭で申し入れたが、「文書回答はできない、話し合いの場で回答する」と言われ、この日は要請書への関電の回答を聞くということから始まった。

要請書…………………………………………………………………………………
 経営トップが辞任する事態での危険な原発運転は許せません
直ちに停止することを求めます

 貴社の役員等20名が、福井県高浜町の元助役森山栄治氏から約3億2千万円の金品を受領していたことが明らかになり、八木会長、岩根社長をはじめとする役員の辞任が報じられています。経営陣のトップが辞任するという混乱のさなかでの原発稼働は通常にもまして大変危険です。重大な事故が起きたら責任ある対応ができるのでしょうか。住民の安全はだれが守るのでしょうか。直ちに原発を停止することを求めます。

 不正な金品の原資は、貴社の発注した原発関係の工事費からの還流であるといわれています。不正還流は明らかになっている期間だけでも8年間で、それ以前の30年にわたる期間であるとも考えられています。長期間にわたって動いた汚れた金は最終的には消費者の支払う電気代であります。高い電気代が汚れた使途に流れ、50万円の洋服となって着服されたのだと知ると、庶民の感覚と違いすぎて声もありません。

 このような不正の中で進められた原発の建設・稼働は許されるものではありません。直ちに原子力からの撤退を表明してください。この要請に責任ある経営者からの返答をお待ちいたします。よろしくお願いします。
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話し合い内容 Q(こちら側の発言),A(関電の発言)

A 要請の趣旨は理解した。役員の金品受領についてはお詫び申し上げるしかない。信頼を裏切った。第三者委員会による調査の中間報告があったが、具体的な中身はわからない。越年で調査することになったことは報道で知った。真摯に対応し膿みを出し切る。明確な答えはまだ出せないが、セキュリティー、安全性を確保して、温暖化対策も考えて、バランスの良い電源構成でやっていく。安全確保は一定規模で維持するように考えている。安全性は死守していきたい。安全が最優先だ。この要請を本社に伝えた。会社の総意で回答している。 以上が回答である。

Q とにかく今の状況で動かすのは理解できない。すぐに止めてと要請しているのだ。

A 安全という観点で日々やっている。新体制のもとに指揮命令系統も作っている。

Q  社長だけ代わっていないが、トップだけ代わったのではないでしょう。原子力事業の中心は代わっているのか。

A 本部長など役職にある人は代わった。

Q お金を受け取った人は交替しているのか。

A 第三者委員会で調査している。

Q 本人が知っているはずだ。受け取った人自身はわかっているのに変ではないか。

A 私たちの知りえないことなので…。

Q トップが辞任したりするような事態であるときに危険なものを動かしているのは非常識だ。

Q 急に代わった人や、調査されている原発部署の責任者などは、は気もそぞろであると思うが、それでやれるのか。

Q どういう論理で動かせると言えるのか。現場担当者が(金品受領対象に)どれだけ出てくるのか。内部はわかっているはずだ。

Q 安全というが、原発を止める以外に安全はあり得ない。

Q 事件が公に出てから2~3か月たつが、動かし続けていることに怒りを感じる。

Q もし事故が起きたら大変なことになる。関係者は調査対象に何人いるのか。その中で安全第一とはどういう論理か。我々の怒りは納得できるか。怒りは深まっていくばかりだ。

Q 調査対象は何人か現時点で答えてもらいたい。その後の対処はどうなっているのか。

Q 交替したら慣れないから安全とは言えない。このことに疑問はあるか。

A おっしゃることはよくわかる。何人かは現時点ではわかっていない。

Q この三人(対応している社員三人のこと)で答えられるほど軽い問題ではない。

Q この建物で金品授受が行われたなんて生々しいですよね。

Q 受け取った人はどうしているのか。

A ここには今はいない。

Q 住民の関電に対する怒りはすごい。12月8日の関電包囲に1100人が集まった。告訴人は1000人と考えていたが3200人になった。この怒りを感じているか。トップはどのぐらい感じているのか疑問だ。国が後ろにいるから守られていると思っているのか。

Qいつ地震が起きるかわからない状況で、避難はどうなるのか。先日の避難訓練では悪天候で海への避難を見合わせたというが知っているか。

A 知っている。

Q (京都府の避難ガイドを見せて)被爆の安全に取り組んでいるのか。

A 避難訓練には当社も参加した。粛々と進めている。

Q 福島は原発からおよそ30キロ圏で、帰還困難区域になった。京都府はもっと近いところにあり、住民が強い被爆をする危険性があるが、被曝線量の測定体制もできていない。そういう危険な施設を扱っているのだ。大変なことだ。はっきりするまで止めてもらいたい。

Q 事故はいつ起きるかわからないということは切実な問題だ。

Q 関電から聞いたことはすべてウソだった。安全第一と言うなら、不祥事が起きたら止めるべきではないか。不祥事を起こした人、代わった人、それで運転できるのか。今、平然と運転しているなんて考えられない。止められないならそのことを証明してもらいたい。安全というが、福島の前は「事故は起きないから安全だ」と言っていた。隕石よりも確率が低いと言っていた。この間チェルノブイリ、福島で起きたではないか。絶対安全とはウソだ。経済的に成り立っているというのもウソだ。

Q しわ寄せは皆さん(社員)にもいっている。社債発行ができなくなった。原発が動けば経営が成り立っていたというのもウソだ。電気が足りないというのもウソだった。

A  ……

Q 原発を擁護することはみんなウソだった。森山事件でみんな納得するようになった。大ウソがすべて露出した。失礼な言い方かもしれないけど。
ウソでなかったのか聞かせてもらいたい。社内ではどうなのか。社内の努力は評価するが。
システムに疑問を感じている。これで再稼働はない。岩根さんに手紙を書くつもりだ。(らちが明かないなら)無期限断食をしようと思っている。

Q 社員のほうが不信感を持っているのではないか。

Q キンカン行動をしているが、政党でも団体でもなく一人一人がやっている。みんな一人になってもやろうと思っている。良心持っている人もいると思う。市民も良心を持っている。声を上げなくても応援してくれている。

Q 経営は赤字になるはずが黒字になっていて、原発以外の部門で固定資産が減っている。営業費は各部門とも減っている。努力していると思うが、どのぐらい減っているのか教えてもらいたい。

Q本来やるべき業務に影響はないか。たとえば斜めに傾いた電柱がほったらかしになっている。経費削減の対象なのではないか。皆さんも無理をしているのではないか。

Q ハピタ君のコマーシャルがなくなったがどうしたのか。

A この状況で見合わせている。

Q 関電に戻ってきてほしいという電話が来たが、値下げの原資はどこにあるのか。独禁法に抵触する不当行為ではないのか。関電は体力があるからやれている。森山資金を作った電気代は総括原価方式による高い電気代だ。

Q 森山資金のもとになった建設資金などに公金は使われていないか。

A 確認する。

Q 原発がらみで自治体にお金が入っている。

Q ふつうは10%削減だったらただ事ではない。わかりますか。

A はい

Q 東電の経営も厳しい。設備の維持に無理をしている。そのせいで千葉県の森田知事は大変だった。電柱の維持などは東電の責任だ。

Q 高浜4号機の不具合についてどこまでわかったか。原因がわからないのに再稼働とは安全第一ではないではないか。普通は再稼働できない。規制委員会が止めているが、もし規制委が止めなかったら関電は動かしていたと思う。破断したら大変だ。

Q 蒸気発生器の細管はウィークポイントであるということを関電はご存じのはず。細管の交換ができないので、栓をして動かしてきた。最近は技術は上がっているとは思うが。

Q ほかでも減肉しているのではないか。60%の減肉は大変なことだ。細管は交換できない。黒い金をばらまいて黙っててくれという以外ない。

Q 消費者が離れてきている。月に7万件が離れている。売り上げが落ちている。構造的流れに不安と危険を感じる。送配電を任せておけない。独禁法違反で、これで値下げというのは不当ダンピングだ。電気は公益事業だ。

Q 原発やめたら関電に戻りたいと思っている。

A 個人としてはよく理解できるが、すべてその通りではない。

Q たとえば?

A 電力不足と言って世間に知らせたことは、トータルで積み上げたら足りないという試算だったからだ。

Q でも足りていたではないか。すごく甘く見ていると思った。3.11以降の関電の原発重視の姿勢が理解できなかった。ベストミックスとかバランスといって、さっきの説明でも、原発推進を温暖化問題の対策の為と言っていたが、神戸製鋼の石炭火力発電所はどうするのか。関電はここから電力を買うということで、この石炭火力発電所建設を推進している。秋田などでの石炭火力計画はやめたそうだが、神戸では推進している。温暖化対策に完全に反しているではないか。そもそも石炭火力は水銀などの有害物質も大量に放出すると言うではないか。直ちにやめてもらいたい。ベースロード電源の考え方はおかしい。欧州では再生可能エネルギーをベース電源にしている。他のエネルギーにお金を使ってもらいたい。

Q 関電に温暖化を語る資格はない。関電は再生エネルギーに関心を持っていない。独占・政府援助で回っている。末期症状ではないか。

Q 世界のSDGsの動きとずれている。

A SDGsには取り組んでいる。

Q 火力、原発を含めてSDGsを考えてもらいたい。

Q 子や孫の世代のことをしっかり考えてもらいたい。お金のことしか考えていないように見える。

Q なぜ原発をやめられないのか。原発(の社会的構造)に組み込まれているからやめられないのか。資産投入でやめたら欠損が出るからか。原発に関係する職員は何人いるのか。

Q 簡単にやめられないからこそ今すぐやめるべきだ。原発はやめても後始末が大変だ。廃炉の工事計画も、核のゴミ処理計画すら立っていない。そのツケは森山問題だけではない。放射能をこれ以上増やすべきでない。原発やめてどうするかみんなで検討するべきだ

Q MOXは処理できない。増えていく。高浜に保管と言っているが、保管しなければならない期間がすごく長い。

Q そういうことも含めて今すぐやめるべきだ。

Q いますぐ原発を止めること、原発から撤退することしかない。

Q 関電の裁量で、定期検査の間の期間を長くすることが可能になると聞いたが、それは危険だ。不具合を見つけるのが遅くなり、メルトダウンする可能性もある。

Q 蒸気発生器は破断の危険性がある。ECCS(緊急冷却装置)がついているが、実証できていない。実証はできない。伊方裁判で明確になったが、国側は答えられなかった。数字のつじつま合わせはできるが、60%減肉で運転は信じられない。40年たつがその問題は解決していない。

Q 1991年の美浜原発の蒸気発生器破断事故では緊急冷却装置の作動がぎりぎりで、メルトダウン危機一髪だったと聞く。蒸気発生器の破断は非常に深刻だ。そのことをわかっているのか?

Q 大飯も調べるのか。

A 調査対象になっている。

Q 高浜1号機の圧力容器は脆性温度が99度まで高くなっていると聞いている。国内の稼働可能な原発の中でももっとも脆性遷移温度が高いと聞いている。冷却したら破断するのではないか。

Q この事件の主人公は関電だ、被害者のように装うのはおかしい。関電の体質を変えてもらいたい。

Q 資料を示して答えてもらいたい。技術の分かる人に来てもらいたい。

Q この話し合いは2011年3月11日以降続けてきたが、大阪本社では署名もガードマンが受け取る事態だし、国会議員が行っても会わない。話し合いは大事だ。

A 大事なことは理解している。

Q 値上げの公聴会の後にこの話し合いに経理の分かる方が説明に来た。そういうこともあったということを伝えたい。

Q 値上げをしたら大黒字になり不信感を招いた。原発は厄病神だ。経営の分かる人に同席してもらいたい。

A意見は伝えて、社内で相談する。

以上

【感想】
「話し合いで返答」した内容は最初の数行。何も答えていないのと同じ。その後はこちらが言いたい放題で約1時間20分話し合った。関電側は低姿勢でこちらが言うことを聞くのみ。いつもは関電側が「そろそろ時間ですから」と促すけど、今回はそれもなし。