◆6月21日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当ほか1名。
使い捨て時代を考える会;4名。

今回は以下の質問書を提出し、話し合いました。

質問書
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  1. 貴社は5月に高浜4号機を、6月に高浜3号機を再稼働させました。これについて質問します。
    • ①免震棟(あるいは耐震棟)ができていない、ベント付フィルター装置もまだできていないと聞きますが、もし重大事故が起きたらどのように対処するのですか。
    • ②6月6日に日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センターでプルトニウム被爆事故がありました。これも人為的なささいなことから起きたミスでした。職員の安全の確保はできますか。
    • ③再稼動するにあたっての住民の避難計画を提示してください。原発から30㎞圏内には福井県民より京都府民の方が多く住んでいることを認識しておられますか。それにもかかわらず、再稼動について京都府の同意を得ないのはなぜですか。
    • ④使用済み核燃料の再処理はできますか。
  2. 1月に起きたクレーン倒壊事故に関連してお聞きします。
    4つのクレーンが、1・2号の横にずっと設置されており、その倒壊範囲内に3・4号機の緊急時対策所用の非常電源車4台がすべて置かれていると聞きました。これでは安全対策になっていないのではないですか。その配置図を福井県での説明会では配布したけれど、京都府には全く知らされていなかったと聞きます。住民を無視したのではありませんか。
  3. 電力自由化によってこれまで他社に切り替えた消費者はどのぐらいの割合ですか。原発ゆえに貴社から他社へ切り替えるという消費者も多数います。今後も増加するでしょう。消費者は原発に依存しない電力会社を望んでいるからです。貴社の経営には深刻な影響があると思われますが、そのことについてどのように考えられますか。
  4. 原発事故処理費用のうち、賠償分について、「本来過去に積み立てておくべきであった費用」を、原発の電気を拒否する新電力も含めて、託送料金に上乗せして、2020年から40年間徴収する方針が出されていますが、福島原発事故の教訓があるというのに、さらに原発の再稼動を行って、それらが事故を起こした場合の賠償費用を新電力からもとろうというのは納得できません。貴社のお考えをお聞かせください。

以上
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話し合いの内容(Q;こちら側の発言  A;関電の発言)
始める前に口頭で高浜原発4号機、3号機の再稼動に抗議し、すぐに停止させるように要望。
A(1-①について)緊急時対策所が1・2号機内部に設置してある。きちんと(安全は)確保できている。プラスαでサポートする職員の居住空間として免震事務棟を今作っている。

Q どこに作っているのか。免震棟なのか。
A 緊急時対策所は耐震で、免震重要棟は免震だ。どこにあるかはわからない。原子炉から100メートル以上離さいないといけないとなっている。

Q このことはこの前のときに調べてもらうことになっていたが。
A どこでしょうね。

Q 分からないというのは不安だ。前回の宿題だったので、次回までに回答してもらいたい。
A 距離は取れている。

Q 距離が取れすぎていたら仕事ができない。近すぎても被曝が心配だ。とにかく不安だ。
A プラスαで、(安全性を高めるために)重ねて作っている。

Q 緊急時対策所が1.2号機内にあるという現時点でも不安な状態だ。そこでは事故が起きた時に汚染がひどいのではないか。
A 福島事故から想定して、汚染のレベルを考えてやっている。

Q 東電は事故のとき退避しようとした。
A 全員退避というのには諸説あるので…。

Q どう考えてもこのままでは汚染する。
A 福島のような汚染が起きないとして再稼動が認められる。そういう前提なのでレベルが高くなっている。

Q 私たちから見ると非常に甘いレベルだと思える。安全対策ができていないのに再稼動に前のめりになっているように見える。
A 必要なことはしている。水素爆発の可能性は相当低いけれども、そのための安全装置をつけている。

Q 大丈夫と言われても信じられない。水素低減のための装置のレベルでは、加圧水型でも水素を低減しきれないという計算をして、問題にしている研究者もいる。そのような意見も無視しているのではないか。コアキャッチャーも付けていないではないか。
A コアキャッチャーという特定設備は要求されていない。同等のものがある。

Q とても同等とは思えない。水を溜めてそこに溶融した炉心を落とすなどと言うやり方は、どう考えても水蒸気爆発の危険性がある。コアキャッチャーが付いていないということでも無理なのに、安全ということが信用できない。
Q 安全性を高めるためにいろいろやっているが、そんなことまでして、なぜ原発にこだわるのか。そこまでの安全対策が必要な設備にこだわる理由がわからない。
A 総合的に厳しく考えた上で判断している。

Q もっと安全な設備でやったほうがいいのではないか。
A 原子力だけやっているわけではない。

Q 原発にそこまでお金をつぎ込んでやることが得策とは思えない。無理しているから経費節減することになり、安全対策などの見えないところにしわ寄せが行く。
Q 危険なことをなぜあえてやるのか。
A 他の電源にも投資している。子会社などでやっているので、投資額などで見ると小さいかもしれない。

Q 設備投資全体は減っているのに、原子力への投資だけ突出している。
A 経費を切り詰め、周辺資産を減らしている。

Q 原発へ大変な投資をしているが、その投資は無駄だ。7基動かそうとしているが、投資をしたら使わざるを得なくなる。40年超えの原発を何年動かすつもりなのか。
A 何年動かすかはまだ決まっていない。
A(1-②について)大洗のことを言われても…。

Q ずっと慎重に研究してきたが、研究者や技術者が減っていってプルトニウムを扱うということへの常識が忘れられているような状態で事故が起きた。
A 大洗の事はJAEA(研究開発機構)に申し入れてもらいたい。

Q そういうことを言っているのではない。同じような甘い体制で事故が起きることを言っている。クレーン倒壊もそうだ。
A JAEAの事は言語道断だと思う。

Q クレーン事故について京都府に対し大成建設がやったので関電は関係ないというひどい説明をした。
A 当社の関与が甘かったのでということを言った。法的に言って当社の責任は明らかだ。その場にいなかったので分からないが、失礼なことを言ったのかもしれない。

Q 近年は作業員の被ばくが減っているというデータはあるか。
A データは知らない。

Q 安全対策をしているなら減っているはずだ。
A 線量管理は厳重になっている。

Q 福島事故で労働者が福島に集中しており、安全管理がずさんになっていると聞いた。
A 放射線管理は厳重化しているはずだ。

Q 関電として把握しているだろうから公開してほしい。
A ちゃんとなっていると思うし、法制度的にもきちんとしている。

Q 公開してもらいたい。
A 職員の個人情報でもあるし…

Q 個人名ではなく、被曝線量がどの位かを知りたい。きちんと管理しているなら、どういう管理をしているのかも教えてほしい。
Q 高浜から30キロ圏内に京都府民が多いのは知っているか。
A 舞鶴市が多い。

Q なぜ京都府が立地自治体並みでないのか。
A 安全協定のことを言っているのか。長い(話し合いの)中で決まってきたので、京都府を軽視することはできない。

Q クレーン倒壊に関して、高浜3・4号機にどのような影響があるかと言う地図を関電が作成して規制庁に提出している。福井県には説明したが、京都府では出されなかったと聞く。
この地図によれば、高浜1・2号機の原子炉建屋の追加工事のために、高浜3・4号機の規制基準審査の時にはなかったアームの高さ112mの大型クレーンが4台、2019年まで常時高浜1・2号機の周辺に設置されていることになっている。しかもクレーンが倒壊したら影響をうける範囲に、3・4号機の緊急時対策所用の非常電源車4台が全部置かれており、ほかにも重要設備がこの範囲内におかれている。これでは大地震などクレーンが同時に倒壊するような事故が起きたときに、非常用電源車はすべて壊れる可能性もあり、分散配置になっていないではないか。こんなのは規制基準違反だ。あまりにもいい加減だ。
A 説明とは協議会ではなく幹事会でのことか。

Q 市民が出た説明会だ。福井県には出されていたのに、京都府の説明会には配られなかったと聞いたが。
A 京都府にはすべて出している。(関電が国に出したから京都府にも届いているはずということらしい)

Q 京都府が認識していないということか。それについてはこちらでも確認してみる。
しかしそれなら電源車は今は別の場所に移動させているのでしょうね?
A 分散配置になっている。もう時間なので。

Q 移動させていないのか?これで分散配置しているというのか。
A そう思う。

Q この関電の作成した地図ではまったく分散配置になっていない。すべて大型クレーン4台が倒壊したら壊れるような位置に配置されているではないか。倒れたらどうなるか、わかっているでしょう!そんないい加減な安全対策でいいというのか!

広報担当者は「もう時間なので」と言って、席を立ち退席してしまった。残された社員が一人で見送ってくれた。こんな対応は初めて。