◆2月6日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者ほか2名。
使い捨て時代を考える会;4名。

今回は以下の質問書を提出し、話し合いました。
質問書
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  1. 1月20日に高浜原発1、2号機再稼働準備のための工事中に、15mほどの強風によって大型クレーンが倒壊し、2号機の原子炉補助建屋と、核燃料プールのある燃料取扱建屋の屋根を変形させるという大変危険な事故が起きたと報道されています。この程度の強風でこれほどの事故が起きるなど、工事の安全対策に大きな疑問を感じています。
    • ①この事故について詳しくご説明ください。
    • ②核燃料保管庫が大きな損傷を受けた場合、どのような事故に発展しうる危険性があるのか、お聞かせください。
    • ③このような事故が起きることが予測できなかったのでしょうか? 工事の安全対策についてお聞かせください。
  2. 緊急時対策所および耐震棟について質問します。
    • ①前回高浜1・2号の間に緊急時対策所が設置してあり、別途耐震棟をつくると聞きしましたが、それぞれどういう機能のものですか。
    • ②緊急時対策所には職員が寝泊まりすると聞きしましたが、職員の安全は確保できるのですか。
    • ③耐震棟は準備工事に入ったそうですが、いつまでにできるのですか。またベント付フィルター装置についても準備に入ったと聞きしましたが、いつまでにできるのですか。
    • ④全体で7300億円という工事費用は高浜原発全体の安全対策費用ですか。
  3. 使用済み核燃料の処理・処分についての今後の見通しをどのように判断しておられますか。
  4. 電力自由化によってこれまで他社に切り替えた消費者はどのぐらいの割合ですか。原発に依存しない電力会社を選んだ消費者が少なくないと聞きますが、そのことについてどのように考えられますか。
  5. 原発は本当に安いのですか。コスト計算の根拠を具体的に教えてください。原発は重大事故が起きれば甚大な被害が生じます。福島原発事故では被害総額は11兆円を超えたと言われています。たとえ重大事故が起らないとしても、発生する核廃棄物の後処理に莫大な費用が要します。何を指して「原発は安価」とされているのですか。
  6. 原発事故処理費用のうち、賠償分について、「本来過去に積み立てておくべきであった費用」を、原発の電気を拒否する新電力も含めて、託送料金に上乗せして、2020年から40年間徴収する方向が出されていますが、福島原発事故の教訓があるというのに、さらに原発の再稼動を行って、それらが事故を起こした場合の賠償費用を新電力からもとろうというのは納得できません。貴社のお考えをお聞かせください。

以上
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話し合いの内容(Q;こちら側の発言  A;関電の発言)
Q 質問1(クレーン事故)について聞きたい。
A 最終調査結果が出ていないのでしばしお待ちください。

Q 現時点で分かっていることを聞きたい。
A 高浜1、2号機の格納容器にトップドームという屋根を追加でかけることになった。40年超えなので工事をする。クレーン4台中の1台が倒れた。クレーンは第1段階、第2段階となっていて100メートルぐらいのところにトップがある。クレーンの全長は120mほど。おそらく風の影響で先端が燃料プールのある燃料取扱建屋に倒れたと思うが、原因は調査中。建屋の屋上の手すり壁(こしかべ)が破損した。建屋本体を点検したが、有意な損傷はなかった。

Q 瞬間風速も調査中か。
A クレーンのところの風速はわかっていない。

Q 雪が降って作業が中断したが、大丈夫か。
A 慌ててやることではないので…。

Q 倒れたのは想定外だったのではないか。
A(工事を請け負っていたのは)クレーン専門の会社だが、瞬間風速42m/秒でいけるとなっていた。

Q 怖い話だ。
A そこも調査中だ。

Q 当日は15m/秒だったと聞いているが、風速はわからないということか。
Q 想定外とすると、福島事故もそうだった。この程度で事故が起きるとは。大丈夫はずだと見積もっていたのに、クレーンが倒れるという大事故が起きてしまったということだ。関電が大丈夫だ、事故は起きないと言っても、信用できないというということになる。
A 調査中だ。42m/秒と評価していたが、風速がそれ以上だったのかどうかも含めて調査中だ。風速は地形の影響などもある。

Q 手すり壁の損傷で良かった。天井が壊れたかもしれないのだ。
A 壊れるか否かも調査中。

Q 建屋にどれだけ燃料があったのか。
A 259体あった。使用後のものと使用前のものがある。
A 今回は放射能の飛散はなかった。一番大切なのは燃料プールの水が保たれていることだ。水を確保するのが大事だ。

Q 背筋が寒くなる事故だった。核燃料のことを考えると大変なことが起きたのだ。
A 相当の耐震設計でできているし、たくさん何重もの給水システムも持っている。

Q 高浜1,2号機は保管庫での燃料棒のリラッキングをしているのか。つまり燃料プールの空きが少ないので、本来の隙間をさらに詰め込んで保管しているのか? 上からの衝撃があった時どうなるのか。
A この建屋はリラッキングの対象かどうかは記憶していない。影響を最小化するために放水して、空中に(放射能が)巻き上がらないようにする機能を備えている。

Q 放射能が出たら放水車のようなもので放水して放射能を落とすというやつのことか。あれで本当に効果があるのか?
A 効果があるということになっているので…。効果があるから設置しているのだろう。

Q 燃料は何本の燃料棒で1体になっているのか。組成は。
A 新品はほぼウランだが、使用済み燃料はプルトニウムが1%、ほかに悪さをするものが3%だ。

Q それぞれ何体あるのか。
A 使用済み215体、未使用44体。未使用には1回使ったもの、2回使ったもの、3回使ったものが混ざっている。

Q 完全に使ったものはプルトニウムが多くなると聞いている。(保管されている燃料は)プルサーマルのMOX燃料どころではないと、福島の環境創造センターの職員がいっていたが本当か?
A ウランが95%残る。残り5%がそのほかのものだ。

Q リラッキングされていると聞いているが、上からの衝撃は大丈夫なのか。
A全部が全部リラッキングされているわけではない。

Q 上からの衝撃で核燃料が詰まってしまうことないのか。詰まった場合に、臨界が起きるということはないとは思うが、どんな事故が起りうるのか。詰まってしまったらどうなるのか。
A 当然天井が抜けないようにすること、水を確保することは対策しているが、落下物については今は答えられない。すみません。起りうることとして水を確保することはきっちりやっている。

Q 崩壊熱で水と反応することもありうる。福島原発事故の例を考えると、燃料プールは直接外界と接しており、そういう意味では格納されている、熔融した炉よりも心配だ。
A 今回の事では心配をかけたことをお詫びする。

Q 孫が4人いるが心配だ。ニュースが流れたのが翌日だった。風向き考えたら京都に放射能が届いている。逃げられない。
Q ニュースに流すのが常に遅れるので信用できない。
A 大規模に拡散しないようにしている。

Q 当たり前だ。
Q あのような事故が起きるとは通常考えられない。普通、原発でなくても、工事現場でクレーンが倒れるなどあってはならない事故だ。街中でクレーンが倒れたら、大変な被害が出ることは明らかだ。それが、厳重な安全管理が必要なはずの原発の工事であのような事故を起こすとは、あまりにも安全対策が不備だということではないか。
A 申し訳ない。

Q このような事故が起きるわけがないと思っているところに起きた。原発が動いていなくても大事故が起きる可能性がある。ささいな事故でも怖い。風速15m/秒で起きるなんて話にならない。風力についてどこまでシュミレーションしているのか。
A 42m/秒ということで…。

Q100m上空の風速を想定していないのでは。事故から20日も経っているのにまだ調査ができていないのか。
A 報告書を出すのに時間がかかっている。規制庁などを意識して作るので。

Q 関電の状況把握に緊張が感じられない。社を代表して言っていると思うが。
A さまざまなところの確認をとったら報告を出す。

Q 事故報告について書面で回答してもらいたい。
A 文書としては出せないので、プレスリリースを見てもらいたい。

Q 100メートルのクレーンが倒れる事故が起きた。安全対策をしているということが信じられない。
Q たくさんの安全対策が必要な施設はやめてもらいたい。
A 今回の事故は申し開きできない。

Q 菅元首相は福島の時、避難で困っていた。的確な情報が伝わらないと避難もできない。
A(同席した社員が)もう時間なので。

100mのクレーン倒壊というありえない事故をめぐって、関電を追及した。さすがに言い訳はできないようだが、単純な事故なのに未だに調査報告ができていないことに不信感が募る。