◆10月4日に行った関電との話し合い記録

関電側;広報担当者ほか1名。
使い捨て時代を考える会;4名。

今回は以下の質問書を提出し、話し合いました。
質問書
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<li>フランスのクルゾ・フォルジュ社と日本鋳鍛鋼が製造した鍛造鋼に強度不足の疑いがあるとの発表がありました。貴社の高浜2号、大飯1、2号機にも使われている可能性があるとのことですが、その事実はありますか。強度不足か否かはどのようにして調査していますか? 老朽原発の運転延長に不安はないのですか。</li>
<li>使用済み核燃料について詳しい情報をお知らせください。(ホームページということであれば、そのアドレスもしくはそのページをプリントアウトしたものをお示しください)
<ul>
<li>①これまで貴社の原発の生み出した使用済核燃料の発生量と貯蔵量と移動量(青森などへの)を、燃料集合体数と重量で。</li>
<li>②貯蔵中の使用済燃料の現状について、各原発の貯蔵プールの容量と残存余力。</li>
<li>③青森の再処理工場に移送ということについて、過去の実績および今後の見通し。</li>
<li>④高レベルの廃放射性物質について、その最終処分の技術概要とその実績、今後の見通し。</li>
<li>⑤最終処分場の場所(候補地)の確保に関する情報。</li>
</ul>
</li>
<li>原発は本当に安いのですか。コスト計算の根拠を具体的に教えてください。原発は重大事故が起きれば甚大な被害が生じます。福島原発事故では被害総額は11兆円を超えたと言われています。たとえ重大事故が起らないとしても、発生する核廃棄物の後処理に莫大な費用が要します。もう一度お聞きしたいのですが、何を指して「原発は安価」とされているのですか。</li>
<li>前々回、原発について「安定とは言っていない。ベースロード電源」だと答えられました。「ベースロード電源」とはどういう意味で使い、原発をなぜ「ベースロード電源」と位置付けているのですか。</li>
</ol>
以上
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話し合いの内容(Q ;こちら側の発言  A ;関電の発言)
Q まず質問1についてお答えいただきたい。
A 規制委員会から「使っているか」「使っていて問題がないか」という2段階の質問を受け、9月2日にカプセルの蓋の部分に日本鋳鍛鋼のものが使われていると発表した。問題がないかどうかについての報告期限は10月末になっている。

Q 大丈夫という根拠はどうやって示すのか。
A 報告の内容をきちんと見てみないと分からないが、製造記録、具材、サンプルなどで個別にきちんと調べて報告する。

Q どんな形のサンプルか。当初の強度に問題がないのか調べているのか。
A 製造サンプルだと思う。当初の強度の問題なので、製造時のサンプルで確認するので良いと考えている。正式な報告はまだ出ていないので、ここでの断言はできないが、強度に問題がなかったと現時点では聞いている。炭素濃度が濃かったと言われている。

Q 濃度分布が問題ではないか。
A 正式には10月末までに報告する。規制委員会のホームページに上がると思う。

Q いつも規制庁のホームページに報告を上げているなどと説明されるが、規制庁に上がっている報告は非常にわかりにくい。関電が消費者にわかりやすい形で、関電のホームページできちんと報告すべきだ。

Q 技術畑の人に説明を聞き、討論したいが。
A それは…。

Q もんじゅが廃炉になるということについての見解は?
A 質問にないので(回答を)準備していない。電事連ではMOXともんじゅは別の話となっているので、そちら(MOX)はそちらで淡々と進めていく。もんじゅは研究炉なのでいろいろと判断されているのではないか。

Q もんじゅは廃炉を延々と延ばしてきて、ここで廃炉にするというのは、原発の問題が露出したということではないか。関電も他社の問題とは言わず原発のことを考え直すべきではないか。
A もんじゅは研究炉だから…。

Q 原発は間違いなく斜陽産業だ。会社がつぶれるという不安はないのか。
A (斜陽産業で潰れることは)他の会社でもありうることだ。バランスよくやっていく。Q いつもバランスよくというが、どういうバランスか。
A いろんなものをバランスよく持って行きたい。使用に耐えないものはどんどん廃炉にしていっている。

Q 廃炉が決まったのは美浜1・2号だけではないか。そもそも高浜1.2号、美浜3号など40年越えの原発を維持してバランスとは納得しがたい。安全性、コストなど総合的に考えるのがバランスということではないか。
A 福島事故のことを考えて、やっている。

Q 賠償を税金で賄うと言っているが、とんでもない話だ。廃炉費用を新電力に乗せるというのも信じられない話だ。
Q 事故の後始末まで税金なんて!私企業としてやれるという論理が分からない。
A 今そのことを議論している。一般企業なら倒産だ。それをさせないために…。

Q 民間企業が国の税金を使って生き延びるというのは疑問だ。そういうこともあるのに再稼動なんて信じられない。
Q 私企業だから倒産はある。倒産するから国に助けを求めるとは!
A (事故炉ではなく)通常の廃炉費用は、これまでの受益者負担としてみている。

Q 原発に反対してきたのに廃炉費用をなぜ負担しなくてはならないのかと言う気持ちはある。しかし100歩譲って、福島事故までの廃炉費用を市民が負担していくとしても、あのような事故が起きたにもかかわらず、再稼動して、その後事故が起きたら、その後の廃炉費用も私たち市民が負担するなど認められない。
Q 企業倫理の問題だ。
A (廃炉費用については)まだ議論しているところだ。

Q 福井県の西川知事は嶺南地方の原発を守るために自衛隊に守ってほしいと発言した。それは税金を使うということだ。原発がなくなれば不要なものだ。廃炉にすれば合理的なのに、美浜なども運転を延長するとなると安全性を高めるための出費などお金がかかる。すべて市民にお金の負担がかかってくる。お金をかけてなぜそこまでやるのか。動かさなくても維持費がかかっている。
A 原子力は固定資産だから(維持費もかかる)。

Q なぜ動かすのか。
A 福島のような事故を起こさないために安全対策をしている。

Q 避難計画にもお金がかかっている。30キロ圏の自治体や京都府などの広域自治体はそのためにものすごい時間と労力をかけているが、それでも避難計画はまともに作れない。避難者の受け入れ側の自治体も受け入れ計画に頭を悩ませている。これらはすべて私たちの税金が使われている。再稼働のためにものすごい税金がすでに使われている。なぜ原発にこんなにお金を払わされなければならないのか?また30キロ圏内だけ避難すればいいというものではない。飯館村は何キロか知っているか?
A 正確には知らないが30キロは超えている。

Q 福島事故では想定外と言ったが、もはや想定外ではない。複数の冷却材が破裂したらどうするのか。1か所を想定しているが、2か所は想定されていない。すべてを想定できないのが科学だ。対処できない。蒸気細管が破断したらどうなるのか。福島と同じ事故が起きないようにというのは疑問だらけだ。賠償金も後始末も大変ではないか。
A 欧州に廃炉にしたところがあるので、参考にしている。

Q 美浜の延長のためにかかる費用の概算は出ているのか。あと、高浜、大飯、美浜のフィルタ付ベントと免震事務棟の設置状況はどうなっているか、教えてほしい。関電のホームページを見てもわからない。
A 40年の延長の許可はまだ出ていない。
A (もう一人の女性社員)もう時間ですから。

このあと「原発を推進する関電をやめ他社に替えた」「もし再稼動するなら他社に替える」という2種の署名を提出。この署名提出に関して関電の見解を求める文書も同時に提出した。

賠償費用や避難計画費用などを税金でまかなったり、廃炉費用を電力料金に上乗せするなど、あきれた話だということを繰り返し伝えたが、全く国民・消費者の不信感を理解しないような対応だった。