【2019年8月16日,京都キンカンで配付】
福井県知事から、「老朽原発運転延長、使用済み核燃料の処理・保管などに関する公開質問状」への回答を得ました。
国、原子力規制委、関電任せで、県としての主体性なし。「福島のような事故が若狭で起きたら?」の問いにも「仮定の話には答えられない」と逃げの回答。
◆「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」は、「老朽原発運転延長、使用済み核燃料の処理・保管など」について、福井県知事に公開で質問していましたが、回答を得ましたので、知事の回答と回答時の意見交換について報告します。
◆公開質問状は7月中旬に提出し、7月31日に回答を得ました。回答は、福井県知事自身ではなく、担当部署の3人によって伝達されました。したがって、意見交換は回答伝達者との間のものです。また、意見交換の一部は、紙面の都合で、割愛しました。
公開質問事項、回答、意見交換
質問1 老朽原発の運転延長について
質問1-1
◆関西電力が、来年にも老朽原発を再稼働させようとしていることは、住民の命と財産を守る義務がある自治体にとって重要かつ焦眉の課題です。
老朽原発再稼働について、賛否のご意見をお聞かせ下さい。また、重大事故の確率の高い老朽原発でも再稼働は止む無しとお考えの場合、住民の安全を守るために特別の施策をされますか。施策があればお示し下さい。
回答
◆高浜1、2号機、美浜3号機については、今年の2月に安全対策工事完了時期が延長となり、現在、関西電力が、40年を超える運転に必要な安全対策工事を実施しています。県としては、まず国が40年超え運転の必要性とプラントの安全性について、責任をもって考え方を示し、国民、県民に対してしっかり説明し、理解を得ることが重要であると考えています。
質問1-2
◆若狭に集中した原発群は,福井県民のみならず,関西一円の住民にとっても、琵琶湖の放射性物質汚染をはじめとして、不安の種となっています。しかも、老朽原発の運転延長によって、その不安は飛躍的に大きくなると考えられます。福井県は、福井県およびさらに広域の住民にとって増大する事故のリスクへの不安を、どのように評価していますか。また、老朽化によるトラブルの要因(圧力容器や配管の脆化,疲労,腐食、熱交換器の細管破断など)の一つ一つについて、福井県はどのように検討されていますか。
質問1-3
◆原子力規制委員会(規制委)は、老朽原発の問題を検討したことになっています。しかし、高浜1、2号機の審査に典型的なように、他の原発の審査に比べて異例の短期間で審査を行い、運転延長認可限度期日に間に合わせることを優先しました。また、審査の手抜きも各所にありました(例えば、蒸気発生器の耐震性は美浜3号機の実証データで代用し、審査段階で行うべき耐震安全性の詳細評価を審査後で可としています)。このような規制委の審査で、40年を超えた原発の安全性は本当に確保されているとお考えでしょうか。
回答
◆質問1-2、1-3に一括で回答します。事故リスクの評価についてですが、現在、同じ敷地の中で高浜3、4号機は運転をしており、美浜1、2号機の廃止時の工事が行われている状況の中、まず、事業者が安全に現場で工事をすることが重要であり、安全管理と労働災害の防止という観点から、工事の状況を確認しています。県の原子力安全専門委員会においては、40年超えの高浜1、2号機、美浜3号機について、国と事業者からそれぞれ審査の状況、結果、安全対策工事の内容について説明を受け、専門的な見地から内容を確認し、意見をもらっているという状況です。
質問1-4
◆規制委は審査結果について、「新規制基準に適合したのであって、安全を保証するものではない」という姿勢です。このことは、安全に関する責任は、原発を動かす関西電力、それを容認する町議会議員、町長、福井県議会議員、福井県知事にあることを示唆しています。したがって、それぞれの首長、議員には、町民、県民の命と財産を守り、安全をはかるために、独自に問題点を検討し、自主的に判断できる能力が求められています。
県知事、議員が、老朽原発の再稼働について、どのような見解をお持ちなのか、明らかにすべきであると考え、また、県知事、議員がその見解を住民に明らかにする場と機会を準備すべきであると考えますが、いかがですか。
回答
◆県としては、まだ安全対策工事が途中の段階なので、老朽原発再稼働についてどう議論し、判断するのかという状況に至っていないという見解です。
質問2 老朽原発の延長運転についての立地自治体および周辺自治体住民の意見聴取の必要性について
質問2-1
◆福井県として,住民の原発に対する不安に積極的に対応する必要があると考えます。とくに、40年超え老朽原発の再稼働は、これまでの原発再稼働とは比較にならないほど大きな問題を包含していますので、その再稼働にあたっては、福井県として改めて広く住民の声を聞く必要があると思われます。福井県として、住民の不安に応える場(住民説明会の開催など)や住民が意思表明できる機会(住民投票など)を作ることが求められているのではないでしょうか。そのような場や機会を設ける計画はありますか。
質問2-2
◆日本初であり、「例外中の例外」であるはずの老朽原発の再稼働については、原発重大事故で影響を受ける可能性が高い周辺自治体(隣接する府県、市、町など)の意見も聞く必要があると考えますが、福井県知事としてどのようにお考えですか。なお、高浜1、2号機、美浜3号機と同様に老朽原発である東海第2原発の再稼働について、日本原電や茨城県は周辺自治体の意見を聞く機会を設けようとしています。ここで、例えば、京都府庁は高浜原発から60.2 kmの位置にあり、88.5 kmの福井県庁より近く、多くの京都府民が原発過酷事故を深刻に危惧していることを付言しておきます。
回答
◆質問2-1、2-2に一括で回答します。従来から、エネルギー政策、原子力発電所の安全規制については、国が一元的に責任を有しており、国自らが、原子力発電の重要性、必要性、プラントの安全性について国民、県民に対して説明責任を果たすべきだと考えています。40年超え運転について、先月知事から国と関西電力に対して、立地地域だけでなく電力消費地域を含めて、十分説明をし、理解を求めるように要請をしたところです。国民、県民への理解活動は重要だと理解しているので、今後も、国、事業者それぞれに対して電力消費地も含めてしっかりと説明するよう求めていきます。
質問1、2についての意見交換
質問
◆老朽原発等についての回答の中で、県と国が責任をもって考え方を示し、県民の理解を得るとおっしゃいました。「国民、県民の理解」という言葉をお使いになっていますが、「国民、県民が理解をした」というのは、どういう状況のことをおっしゃっているのですか。そこが分らずに、言葉だけを言われても困るので、お聞きしたい。また、老朽原発については、安全対策工事中なので判断しないということですね。
回答
◆国民、県民の理解についてですが、数字として一概にこれだけ達成できればどうという問題ではないと考えています。これまで高浜、大飯の再稼働も含めて、総合的に判断をしています。まずは、国などに、今後どういう活動をされ、どういう状況であるかということを聞いた上で判断するということで、基準が明確に決まっているということではなく、その時点において判断されるものと理解をしています。
質問
◆そういうことではなく、理解をしていただくために、多分、県はいろいろなことをしなければならないわけです。その時、どういう状況が、県民が理解した状況だとお考えなのかと聞いているのです。
回答
◆まず、説明責任は国と事業者にあります。その中でどういう活動をされて、どう理解しているかという説明を受けた上で判断をするということです。
質問
◆県が何かをして、県民に理解を得る努力をするということはないわけですか。
回答
◆国に一元的に責任があると考えています。
質問
◆まあ、それがお答えならそうなのでしょう。もう一つ、老朽原発については、今後どうするかという判断はしていないということですね。
回答
◆そうです。どういうふうに議論していくかという状況にも至っていないという認識です。
質問
◆一つは、40年超えの老朽原発の問題ですが、工事が終わってから判断するなんて、膨大なコストをかけて、膨大な安全対策工事をして、「はい完成しました。この再稼働認めるか、認めないか。」なんていうのは、もう見え見えじゃないですか。国や事業者の責任だとおっしゃるなら、せめて、県が老朽原発の経済的、技術的な面も含めて、若狭のこれからの計画を立てていく上で、老朽炉を動かすのがいいのかどうなのか、きちんとした説明会や、議論する場を持っていただくことはできないのですか。
もう一つは、今後、廃炉についても頑張ってもらわなければならないけれど、原子力安全対策課の中の廃炉新電源対策室や、地域振興課の皆さんには、もっともっと充実強化して、計画を立てていただく必要があると思います。杉本体制になって、どうなっていますか?
回答
◆今からどんどん廃炉が進んでいきますので、新しい計画の中で、廃炉によるビジネスについて、地元企業ができるだけ受注できるようにという視点も持っています。
意見
◆現在、原子力発電に反対する県民会議の呼びかけで、いろんな方が集まって、廃炉問題について検討されています。廃炉ビジネスには我々なりに、いろいろ心配していることもありますので、今後、提言を提出するつもりです。
回答
◆ご意見は参考にさせていただきます。
質問3 使用済み核燃料の保管と処理・処分について
質問3-1
◆県知事が公の場で約束したとき、その約束は、県民との約束であることに鑑み、関西電力の約束違反についてお尋ねします。福井県は、この約束違反を県民を愚弄するものとして、厳重に抗議すべきではないでしょうか。また、福井県は、この約束を前提とした原発稼働への同意を取り消し、使用済み燃料を生み出す原発の全廃を、関西電力に求めるべきではないでしょうか。
質問3-2
◆福井県は若狭の原発のプールに保管されている使用済み核燃料について、県外への搬出を主張してきました。一方、規制委は乾式キャスクによる原発敷地内保管をほのめかしています。今後の使用済み核燃料の保管について、中間貯蔵候補地が福井県外に見出せない現状の中でも、使用済み核燃料の福井県外搬出先を近い将来に見出せるとお考えですか。また、見出せる見通しが暗いとすれば、どうすればよいとお考えですか。
回答
◆質問3-1、3-2に一括で回答します。使用済み燃料の中間貯蔵の県外立地という問題については、長期に渡る重要な課題として関西電力がこれまで検討を進めてきており、国の使用済み燃料対策推進協議会においても、政府と事業者が協力をして使用済み燃料対策について検討を進めています。世耕経産大臣も事業者と連携を強化して官民を挙げて取り組みを積極的に進めたいと述べているように、国がリーダーシップをとって進めていく必要があると考えています。
関西電力が2020年頃の計画地点確定、2030年頃の操業開始について、基本的な計画、枠組みに変更は無いが、昨年末までに示そうとしていた候補地は提示されませんでした。福井県は、これまで発電は担ってきましたが、使用済み燃料については県外で対応すべきという考えを一貫して示しているので、県民の安心のためにもこの方針を守っていくのが重要であると考えています。杉本知事は先月関西電力と面談した際にも、岩根社長から、2020年までにできるだけ早期に具体的な地点を示すと、自ら先頭に立って取り組む決意を示されたので、県としては、その約束通り計画地点が示されると考えています。
一方で、中間貯蔵の立地については、関係者との調整、交渉が必要で、一事業者だけではなかなか対応できるものではないという認識もあり、核燃料サイクル政策を担っている国が、事業者任せにすることなく積極的に関与し、県外搬出への道筋を示して、早期に実現するよう引き続き求めて参ります。
質問3-3
◆関西電力が使用済み核燃料の中間貯蔵施設の候補地を探しているなか、おおい町の中塚町長は、昨年8月28日、「原発構内で金属製の容器に保管する乾式貯蔵も一つの選択肢」と述べています。また、高浜町の野瀬町長は、昨年11月30日、「原発の使用済み燃料を一定期間保管する中間貯蔵施設について、県内も含めて検討する必要がある」との考えを示しています。福井県としては,原発立地町内あるいは県内での中間貯蔵についてどのようにお考えですか。
質問3-4
◆使用済み核燃料を乾式で中間貯蔵する場合、その期間は50年を限度にするといわれていますが、その50年間に最終処分地が見つかる可能性は低く、原発敷地内での「中間貯蔵」を容認した場合、「中間貯蔵」とは名ばかりで、原発立地自治体は「核のゴミ(使用済み核燃料)捨て場」を引き受けることになりかねません。しかも、原発の稼働を続ければ、使用済み核燃料は増えるばかりです。したがって、「中間貯蔵」を容認することは、超長期にわたる厳重な管理と広大な敷地が必要な「核のゴミ」の管理を、未来の住民に押しつけることになりますが、いかがお考えですか。福井県は、これ以上「核のゴミ」をつくらせないためにも、関西電力にきっぱりと廃炉を求めるときではないでしょうか。
質問3-5
◆炉心に隣接する燃料プールが、地震などの災害時にきわめて危険な状態に陥りかねないことは福島第一原発事故でも明らかになっています。したがって、燃料プールは一刻も早く空にしなければなりません。
燃料プール内で放射線量や発熱量が減少した使用済み核燃料を乾式貯蔵するとしても、空いた燃料プールに発熱量や放射線量が大きい新しく発生した使用済み核燃料を入れれば、燃料プールの危険性がさらに高まります。一刻も早く燃料プールを空にするためにも、使用済み燃料を増やす原発を廃止しなければならないという視点はありませんか。
回答
◆質問3-3、3-4、3-5に一括で回答します。使用済み燃料については、技術的な観点から湿式とか乾式とかいった保管方法の議論はありますが、一貫して、使用済み燃料の貯蔵については、県外で対応すべきという考え方を示しているので、先ずは県外の中間貯蔵施設を早急に確保することが重要と考えます。原子力政策については、40年超運転、廃炉、使用済み燃料の中間貯蔵、様々課題がありますが、県民の安全確保が何よりも最優先という大きな方針に変更はなく、その方針の下、これからの課題にも対応していく考えです。
質問3についての意見交換
質問
◆使用済燃料は、県外保管でという方針に変わりはないということですが、その中で、「県民の安心のために県外」とお答えになりました。それなら、県外に持っていけば、持ってこられた県の方が安心かといえばそうはならない訳で、解決策にはならないと思います。関電は県外に探すといっていますが、今度また約束が守れなかったらどうするのですか。その場しのぎのようなことをやっているように思うので、そこをどうするのかお聞きしたい。
回答
◆中間貯蔵については、福井県として、県外搬出を約束戴いているという立場で、県民の安心のためにも、方針をはっきり示すよう申し入れしています。6月に、関西電力から安全環境部長に廃炉の状況の報告がありましたが、その時も、責任を持って廃炉を円滑に進めるよう、使用済燃料の中間貯蔵の県外立地について改めて申し入れています。引き続き様々な機会をとらえて、結果を出すように求めていきます。
質問
◆前県知事は、関電から県外に搬出先を見つけるとの意見を得て、そのすぐ後で、大飯原発の再稼働に許可を与えています。今度もし、また裏切られたらどうするのですか。そう考えると、やっぱり責任は県知事にもあると思います。そういう時の責任はどうするのかとお聞きしたのです。関電側に立つのではなくて、県としての独自性を持たなければ関電に要求はできないと思います。福井県が嫌なものを、よその県が引き受けることがあり得るのかということも含めて判断していただきたいと思うのですが、どうなのでしょう。
回答
◆そこのところはまだ仮定の話なので、お答えはできませんが、結果を出すように国、事業者に求めていきます。
質問4 原発の稼働に関する自治体の姿勢と責任について
質問4-1
◆福井県は、どのような根拠があって若狭の原発は過酷事故を起こさないと考え、原発の稼働を容認されているのですか。国策や経済のためなら、過酷事故のリスクは容認されると考えているのですか。
回答
◆基本的な考え方に変わりはなく、福島のような事故は二度と起こさせないということを肝に銘じ、県民の安全を第一、最優先に、これからの様々な課題に対応していきます。その上で、原子力政策については、国民生活の安定、産業の振興、エネルギーの安全保障に直接関わる重要な国策なので、国が中心になって担っているエネルギー基本計画の中に定められているように、原子力依存度20%~22%という目標を掲げており、それを実現させる道筋など、国の考えを明らかにするよう求めていきます。
質問4-2
◆原発稼働の可否は、住民の安全・安心にとって避けて通れない課題です。したがって、首長や議会議員の選挙では原発の問題が重要な争点になってしかるべきです。しかし、実際の選挙では、原発に関する議論を避けている候補者もいます。また、首長や議会議員が原発の稼働への同意、不同意を決定するにあたっては、事前に、自らの考えを住民に説明し、住民の意見を反映する機会を持つべきだと考えますが、住民と対話する機会が十分に設けられているとは考えられません。それでも、原発立地町の町議会では、「自分は素人であるから、新規制基準を信じるほかはない」、「国から求められる限り再稼働すべき」、「規制委が新規制基準に適合としているから」などの理由で、多くの議員が原発再稼働を容認しています。また、町長は議会の容認を基に再稼働に同意し、県知事は立地町の意向を踏まえて再稼働を認めています。住民の安全・安心を軽視する無責任な自治体運営ではありませんか。ご所見を伺います。
質問4-3
◆1昨年12月、関西電力は、福井県やおおい町に相談することなく、突然かつ勝手に大飯原発1、2号機の廃炉を決めました。県や町は、国策だからとして原発を続けてきましたが、関西電力によって突然はしごを外されたと言うべきでしょう。このような事態が生じるのであれば、原発立地自治体は、その将来設計が描けなくなります。したがって、原発立地自治体には,国策や関西電力の意向に従うだけでなく、地方自治の精神の下、住民の側に立った判断が強く求められているといえます。
福井県は、突然の原発廃止のように相互信頼を顧みない関西電力や国を今後も信頼して、原発政策を続けますか。
質問4-4
◆万一、若狭の原発で過酷事故が発生した場合,原発の危険性を指摘する多くの声を無視して、原発の再稼働を容認した立地自治体の首長には責任があると考えますが、どう責任をとられるのでしょうか。
回答
◆質問4-2、4-3、4-4に一括で回答します。他の自治体、議会について県としては申し上げる立場にはありませんが、一自治体としては、40年以上に渡って様々な努力を重ねて、消費地を含む日本全体のために、責任をもっていろんなトラブル、あらゆる問題の解決をしながら、原子力発電所の安全な運転に貢献してきました。これまで様々な事故、トラブルを経験してきましたが、決して安全神話に陥ることなく、本県独自に原子力専門の組織体制を作り、安全を国や事業者任せにせず、絶えず厳格に事業者を監視してきました。過酷事故が発生した場合ということについては、仮定の話なのでお答えできることではありませんが、福島のような事故は二度と起こさせないということを肝に銘じて、県民の安全を最優先に様々な課題に対応していきます。
質問4についての意見交換
意見
◆例えば若狭の原発から京都市は60数 ㎞、ここ福井県庁よりも近いんです。私は福井県の皆さんが若狭の原発で色々ご苦労なさっていることは評価したうえで、なおかつ県民、国民、また関西の人たちの理解を得るよう努力していただきたい。福井県は原発を抱える当該の県として、周辺自治体、関西の地方自治体、そういう所としっかり協調したりコーディネイトして、きちんとした説明や、理解を得るようなことを、リーダーシップをとってやっていただきたいと思います。例えば、東海第二原発の再稼働をめぐっては、周辺自治体ともいろいろ議論されています。
質問5 脱原発に向かう最近の動きと原発に頼らない地域づくりについて
質問5-1
◆若狭の発展を担う福井県には、「原発に依存しない町づくり」について考え始める計画はありますか。あれば、取り組みをお聞かせください。もし、原発を存続させるので、そのような取り組みは不要と考えられるのなら、どのようにして原発依存社会を継続させ、発展させていくのかをお示しください。
質問5-2
◆前述のように、私たちは,長期にわたって若狭の各地で原発に反対するチラシを配布していますが,直接ご意見を伺った住民のほとんどは,原発はない方が良いと言われます。ただし、この声が顕在化しているとは言えません。原発立地自治体の行政機関として、原発に関する住民の生の声をもっと聞き、原発事故の不安がない町づくりについて話し合う必要があると考えられますが、そのような場を設置するお考えはありませんか。
回答
◆質問5-1、5-2に一括で回答します。国のエネルギー基本計画の中でも可能な限り原発依存度を軽減するとうたっており、長期的には原発のみに依存した地域経営というのは難しくなると考えられます。こうしたことから、原子力のみに頼ることなく、再生可能エネルギーなど様々なエネルギーを活用した産業の活性化、町づくりなども盛り込んだ、新しい計画を策定し、嶺南地域を中心に「エネルギーコースト」の実現を目指していきたいと考えています。
質問5についての意見交換
質問
◆国はエネルギー基本計画の中で、だんだん原発は止めていくと言っています。嶺南で原発のない社会ができた時に、新しい社会を建設しようと思ったら、10年や20年ではだめだと思います。例えば大飯原発1.2号機は、前触れもなく突然廃炉が通知されました。おおい町としては、それで予算系統もずいぶん翻弄されたでしょう。そんなことがあっては、県民の生活の安定は図れないと思うので、今から、「もう原発は無くなる」という前提のもとに政策を進めるべきではないかと思うが、いかがでしょう。
回答
◆原発がどんどん減っていくと、そうしたら何で食べていくのかということになります。例えば、嶺南地域ですと、今まで農業というのは儲からない産業という状況でしたが、大規模な施設園芸の農業とか、水産業とか、儲かる産業が広がってきています。また、4年後には新幹線が通っていますから、観光業という面でも芽吹きがあるのではと思っています。そういう原子力関係ではない産業について、この計画にもしっかり盛り込んで、20年後、30年後どう嶺南地域を発展させていくかという計画を作っていきたいと思っています。国の基本方針によれば、原発は減っていくということなので、原発だけに頼らない産業構造を作っていくことが大事ではないかという視点です。
質問
◆「原発だけに」ではなくて、完全になくなると思っていらっしゃるのかどうかということです。
回答
◆国の基本計画では、20%ということです。ただ、計画自体は10年を見込んでいるので、10年の間には完全には無くならないと思います。多様化はしていかなくてはいけないが、20年、30年後にどうなるかはまだ見込めていないし、それに向けた計画はできていないということです。
意見
◆10年やそこらで、産業構造を変えていくことはできないでしょう。今から決意をもって、原発のない社会創りを考えなければならないと思います。
質問6 その他
質問6-1
◆昨年12月12日、大山の大噴火時の若狭への火山灰降下量について、規制委は、関電による評価は過小であると認定し、5月28日関電に対し、美浜、大飯、高浜原発の再稼働審査の一部やり直しに必要な申請を年内に提出するよう命令する方針を決定しました。しかし、稼働中の原発4基の停止は求めていません。大量の火山灰降下は、原発過酷事故に繋がりかねません。住民の安全を守るべき自治体は、原発を止めて、審査のやり直しを求めるのが当然だと考えますが、なぜそうしないのですか。
回答
◆規制委員会は、大山は現在、活火山ではなく、噴火が差し迫った状況にあるとは言えず、原子力施設が大きな影響を受ける恐れがある切迫した状況にないことから、直ちに原子炉の停止を求める必要はないとしています。県としては、原子炉変更許可申請がなされて、その審査の中で火山の影響評価と合わせて火山灰の対策、その対策の手順についても審査が行われるものと考えており、事業者および規制委員会の対応を注視して参ります。
質問6-2
◆昨年12月、インドネシアでは、警報がない津波が発生しました。高浜原発の敷地は海抜3.5 mの低地にあり、警告によって防潮ゲートを閉めなければ、津波による過酷事故が起こりかねません。なお、若狭湾の海底にも土砂崩れの跡があるともいわれています。それでも、福井県は高浜原発の稼働を容認し続けるのですか。
回答
◆更田委員長は、高浜3、4号機は稼働しているが、対策を直ちに講じなければならない訳ではないとし、一方で、1~4号炉の稼働時には、津波に対する対策を講じる必要があるという見解を示しており、関西電力からの設置変更許可申請が必要であるとしています。規制委員会が審査を進めていることから、県としては、規制委員会と事業者の対応を注視して参ります。
質問6-3
◆福井県議会は昨年11月26日、若狭湾沿岸の地域に自衛隊の配備を求める意見書を可決しました。「原発への弾道ミサイル攻撃やテロの抑止力となり、地域住民の安心を確保するため」としています。福井県知事は、自衛隊を配備しなければ安全を確保できない原発は廃炉にすべきであると考えませんか。
回答
◆県議会で可決された意見書ですので、その内容についてお答えするものではありませんが、県民の安全を第一、最優先にこれまでの様々な課題に対応していく姿勢です。
質問6-4
◆現在、原発ではサイバー空間の安全性確保が課題になっています。米国とイスラエルが、サイバー空間でイランの核施設に侵入して破壊したように、サイバー空間の安全対策に重要な課題があると思われます。関西電力の原発に関わるサイバー・セキュリティを、福井県はどのように確認され,評価されていますか。
回答
◆平成23年に原子炉等規制法の省令改正がなされて、運転用の制御システムを外部から遮断することが義務づけられ、新規制基準にも盛り込まれています。平成30年3月には、セキュリティのガイドラインを規制庁が定めており、そのセキュリティ対策を事業者が継続的に実施するよう求めています。
質問6-5
◆規制委は4月24日、原発の「特定重大事故等対処施設(特重施設:通称テロ対策施設)」が期限までに完成しなければ、原発が運転中であっても、運転停止を命じることを決めました。特重施設の当初の設置期限は、新規制基準施行から5年の2018年7月でしたが、期限内の完成が難しくなったので、規制委は「原発本体の工事計画の認可から5年」と猶予しましたが、工事完成は、猶予後の期限にも間に合いそうにもないのでこの決定になったのです。原発のように「万が一にも過酷事故を起こしてはならない施設」についての約束を守らせるのは当然で、これまで、たびたび約束を違えても、虚偽のデータを使用していたことが発覚しても、原発運転停止を命じなかった規制委の甘い姿勢こそ問題です。期限に間に合わないような杜撰な工事計画しか立てられない電力会社が、原発を安全に運転できるはずがありません。一方、自然災害、人為ミス、テロなどによる原発過酷事故は、特重施設の完成を待ってくれるとは限らず、過酷事故は今日にも起こりかねません。住民の安全を守るべき自治体は、特重施設の完成していない原発の即時停止を求めるのが当然だと考えますが、なぜそうしないのですか。
回答
◆原子力発電所の安全を一元的に担っている規制委員会が安全サイドに立って決定したことなので、規制委員会と事業者が責任をもって対応すべきものと考えています。
質問6についての意見交換
質問
◆サイバーセキュリティーの件ですが、外部からの遮断をしていると言われますが、今時、外部と繋がっているような原子力施設は世界中どこを探してもなく、当たり前のことです。何が問題かというと、やはり人の問題なんです。福島の事故は津波と地震といいますが、その前に東電が最初から想定されていた15 mの堤防などを作っていれば、また違った結果になった訳です。人の判断、人の過失と故意、これが原発の事故を招くということを踏まえて、色んな対策をして頂かないと、二度と福島のような事故を起こさないということにはならないと思います。
全体に関する意見交換
意見
◆西川知事時代には、このような話し合いの場はなかった。西川知事以前は、反原発団体とも対話して県民の理解を得るような努力をしていた。ぜひこれからもこのような申し入れに応じていただくようにお願いします。国が優先的にというなら、国を呼び、県がそういう場を作ればいいのです。住民の方が、何も知らなくて、故郷を失ってしまう、自分の生き方そのものが変わってしまうというようなことになりかねないのですから、しっかり説明責任を果たすべきです。
意見
◆経団連の中からも「もう原発は止めなくてはいけないのでは」という声が上がっています。もう原発は無くなるんです。再稼働したとしても20年です。呑気なことを言ってる場合じゃない。先見性を発揮して、「もうやめるんだ」と言わなくてはいけない。リーダーシップもとれない知事は、西川さんと入れ替わっても意味がない。
質問
◆来年4月から、原発の検査制度が変わり、事業者が自ら点検し、規制委員会に報告するのみとなり、例えば、配管などに多少のひびが見つかっても、事業者がまだ動かせると判断すれば、補修しないまま動かせるようになるというものです。そんな中で、どうやって県民の安全・安心を守っていかれるのか、今までの回答では、すべてがひっくり返ってしまいます。どうお考えですか。
回答
◆この件については、安全専門委員会の中でも質疑があったようですが、制度のいきさつなどは把握しています。検査制度の中でどう運用していくかというのは4月からの話なので、課としても確認をしていきたいと思います。
意見
◆原発問題というのは、今や、立地地域、立地県だけの問題ではありません。若狭の原発が万が一とんでもない事故をおこせば、びわ湖は汚染され、関西一円アウトです。若狭一円チラシを配ったり、現場の声を聴いたりしている関西の方がこうして今日見えています。現場主義を唱える杉本知事なら、この方たちの声をよく聞いて、対応についても配慮していただきたいです。
意見
◆今日はありがとうございました。今後とも地方自治法の精神を生かして、国や事業者任せではない県の政策運営をお願いします。関西の方にもご配慮をお願いします。
2019年8月16日発行
「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」
取りまとめ;若狭の原発を考える会
(連絡先;木原090-1965-7102)