◆「核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団」は、韓国の文在寅大統領に要請文を提出しました

【2018年10月19日,京都キンカンで配付。】

「核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団」は、
韓国の文在寅大統領に要請文を提出しました

(韓国では、「反原発」を「反核」、「ツアー」を「巡礼団」と呼びます。
また、抗議集会などが禁止されているため、「記者会見」の名目で集会を行います。)

◆韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、2017年6月、韓国の最も古い原発・コリ原発1号機の閉鎖式典で、
①原発建設計画の撤回(6基)、
②老朽原発の寿命延長はしない、
③慶州ウオルソン1号機の早期閉鎖、
④新コリ原発5、6号機増設計画については市民が決める、
⑤脱原発ロードマップを策定する、
と宣言しました。しかし、同大統領は、その宣言を反故にし、2018年3月、韓国が外国で初めて請け負ったアラブ首長国連邦のバカラ原子力発電所の完工式に出席し、また、5基の新核発電所をコリとウルチンに建設を進めるとするなど、核マフィアとともに原発の稼働政策を進めています。

◆この状況の中、9月13日(木)~16日(日)、韓国の「核廃棄のための全国ネットワーク(準)」などが企画された「核と戦争のない世界のための日韓反核ツアー」に、「若狭の原発を考える会」などから13名が参加し、韓国の4か所(24基)で稼働する原発の内、2か所の原発の現地で反原発を闘う人達と交流するとともに、反基地を闘っている方たちとも交流を深めました。ツアーの中で、文在寅大統領に原発と基地に関する以下のような要請文を提出することが話し合われ、10月8日のソウルの青瓦台(大統領官邸)前広場で開かれた「記者会見」で伝達されました。


韓国 文在寅大統領殿

私たち「核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団」は、9月13日から16日まで、ソウル~大田(テジョン)~霊光(ヨングァン)~星州(ソンジュ)~慶州(キョンジュ)と延べ1000キロに及ぶ韓国の反核・反原発の現場、サード反対の現場をめぐって地域住民のお話を聞き、経験を分かち合い、討論をしました。

韓国政府と原発推進勢力は、3.11福島事故前の日本とまったく同じように、韓国の原発は世界一安全で、完全な安全対策が採られていると強弁しています。しかし私たちは訪問した韓国の各地域で、現実はまったく異なるという住民たちの具体的な声を聞きました。

原発立地である全羅南道の霊光では、韓国型原発である3、4号機建設時の手抜き工事や不良部品問題が明らかになり、住民はいつ重大事故が起こるか知れない不安の中で暮らしています。使用済み核燃料の中間貯蔵施設という、引き受け手のない政府の計画を原発立地の住民たちに引き受けさせるため途方もない金を使った分裂工作が行われています。

また慶尚北道慶州の月城原発に隣接するナア里の住民たちは、赤ん坊から高齢者まで体からトリチウムが検出され、移住の権利を求めて丸4年を超えるテントろう城闘争を続けています。テントの前に棺桶を用意して死ぬ覚悟で闘っています。地元住民の多くは、生活のために原発の定期点検時に派遣労働者として被爆労働につかざるを得ません。

韓国の原発推進勢力の拠点である原子力研究院がある大田では、原子力研究院が数々の汚職や不正の温床で、危険きわまりない使用済み核燃料再処理実験が行われている核施設であり、一日も早く解体すべきであることを地元住民や若者たちが告発しています。

韓国政府は、これら地元住民たちの訴えを黙殺し、原発を動かし続けています。原発を動かす限り増え続ける使用済み核燃料の貯蔵プールはすでに飽和状態になっているのに、貯蔵プールの危険な稠密化や使用済み核燃料再処理の嘘によって期限を引き伸ばしつつ2024年までに原発敷地内に中間貯蔵施設を作るとして世論を欺こうとしています。

さらに慶尚北道星州のソソン里では、朝鮮民主主義人民共和国の核ミサイルからの防御を口実に朴槿恵政権末期に2基、文在寅政権成立後に仮配備された4基、計6基のサードミサイルが未だに撤去されていません。朝鮮半島に吹いている平和の風はソソン里にはなぜ吹かないのか。警察権力の暴力と対峙して闘う地元住民の怒りと闘いに私たちは感動しました。

私たちは、4.27以降3回にわたる南北首脳会談によって朝鮮半島平和と非核化の道が切り開かれつつあることを心から歓迎しています。だからこそ朝鮮半島の真の平和のためには、サードミサイルシステムが星州ソソン里から撤去されねばならず、朝鮮半島の真の非核化のためには韓国から米軍の戦術核と原発がなくならねばならないと考えます。3.11原発事故の現場である福島、原発集中地域である若狭、また最大の原発電力消費地である首都圏と関西から参加した日本の参加者は、安倍政権の原発再稼働強行・原発新設・原発輸出策動、そして9条改憲や戦争政策を阻止するために努力するとともに、韓日民衆が共同して、核と戦争のない世界を実現するために、今後も全力を尽くします。

「核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団」の日本参加者と韓国各地からの参加者は、この旅で学んだことに基づき、文在寅大統領に以下のように要求します。

1. ロウソク市民の要求である脱核の公約を守り、原発全廃に向かえ!
1. 老朽原発の稼働、中間貯蔵施設の押し付け反対!原発新設・輸出を直ちに止めよ!
1. 核マフィアの総本山・原子力研究院を解体し、脱核時代のために再編せよ!
1. 日々被曝を強制される原発隣接地域住民の移住の権利を保障する法律を制定せよ!
1. 違法なサード配備を撤回し、住民への弾圧と監視を直ちに止めよ!
1. 文在寅大統領は、ナア里・霊光・大田・星州ソソン里の住民たちの声に耳を傾けよ!

核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団
参加者一同


2018年10月8日、韓国ソウルの青瓦台前広場で、核廃棄のための全国ネットワーク(準)などが取り組んだ「文在寅大統領に送る要請書」の伝達のための行動


▲(横断幕)文在寅大統領は脱核公約を履行し原発全面閉鎖に直ちにとりかかれ!


▲(丸いプラカード)電気は余ってる!核発電所、もうやめて!


相次ぐ老朽原発廃炉:
それでも高浜1,2号機、美浜3号機を動かし、
全国の老朽原発再稼働を先導しようとする関電と政府

◆原発の安全対策費は、福島事故の大きな犠牲の上に、また、反原発の闘いの故に、高騰し続けています。そのため、傲慢な電力会社と言えども、安全対策費がとくにかさむ老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなり、福島事故以降9基の老朽原発の廃炉が決定しています (福島第1、2を含めれば、廃炉は19基)。また、去る9月27日には東北電が34年越え女川原発1号機の廃炉の検討を始めたと報道されました。

◆それでも、関電は、来年以降、老朽原発高浜1号機(来年で45年越え)、2号機(来年で44年越え)、美浜原発3号機(来年で43年越え)を再稼働させ、全国の老朽原発の再稼働を先導しようとしています。安倍政権のエネルギー政策に迎合するものです。

◆しかし、安全対策費が膨大で、経済的にも成り立たない、老朽原発の運転を関電に断念させることは、私たちの行動如何では、可能であろうと考えます。老朽原発運転を止めさせ、原発新設を止めさせれば、美浜町の原発は即時ゼロに、高浜町の原発は7年後にゼロになり、2033年には、若狭の全原発が廃炉に向かいます。もちろん、その前に重大事故が起こる可能性もありますから、断固として、原発の早期全廃を勝ち取らなければなりません。

脱原発・反原発の声を大きくし、
高浜、美浜の老朽原発を廃炉に追い込みましょう!
原発のない新しい社会を創造しましょう!

2018年10月19日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)