◆山は動き、風は変わりつつあります

◆ロウソク革命から、民主政権を誕生させ、平昌(ピョンチャン)オリンピックを経て、南北朝鮮関係は融和から停戦、統一に向かって、大車輪で動き始めました。この変化は、共和国(北朝鮮)の非核化、米朝会談へと発展する方向にあり、東アジアの緊張は雪解けを迎えつつあります。ほとんどの人々が、夢想だにしなかった変化です。韓国民衆の蜂起を契機に、世界の平和を妨げていた山は動き、風は変わりつつあります。唯一、この流れが読めず、逆らっているのが安倍政権です。

◆その安倍政権は、国会での多数を頼んで傲慢となり、国を私物化し、人々を愚弄する政治に突っ走り、憲法改悪、戦争政策、労働制度の改悪に猛進しようとしました。しかし、今、森友学園や加計学園、陸上自衛隊イラク派遣部隊日報などをめぐって、文書改ざん、事実隠し、国民無視(とくに自衛隊の文民統制の破壊は深刻)が次々暴露され、国民の追及に会い、腐敗しきった安倍政権は窮地に立たされ、崩壊寸前です。

◆これらの動きは、「きっかけ」があれば、世界は変わること、「きっかけ」は必ず訪れることを教え、粘り強く主張し、運動を続けていれば、「きっかけ」を掴むことができることを示しています。

◆原発をめぐる動きも、福島原発事故の大きな犠牲の上に、変わりました。いま、脱原発、反原発は民意となっています。この民意のゆえに、原発の安全対策費は高騰し、電力会社は老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなっています。また、福井地裁、大津地裁、広島高裁での原発運転差し止め決定など司法での勝利(電力会社にとっては「司法リスク」)も格段に多くなっています。さらに、民意の完全実行=原発全廃を迫る大きな運動を構築しましょう!

原発世論も、脱原発、反原発に向かっている

◆福島原発事故以前の世論調査では、脱原発、反原発の声は少数でした。しかし、福島事故は、原発が重大事故を起こせば、人の命と尊厳を踏みにじり、生活基盤を奪い、職場を奪い、農地を奪い、漁場を奪い去ることを実証しました。また、事故被害の悲惨さ・深刻さ、使用済み燃料の処理や保管の困難さなど、原発は、あらゆる視点から、人類の手に負える装置ではないことを明らかにしました。

◆一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても電気は足り、何の不都合もないことが分かりました。さらに、近年、LEDや新型家電など、電力消費の少ない器具が発展し、発電法、蓄電法も高効率になっています。天然ガスやメタンハイドレートなどの新燃料は次々に発見され、再生可能エネルギーが急速に普及しています。また、50年後には、世界の人口が減少に転じ(日本では、現在、年間0.8%の割合で人口が減少)、エネルギー需要も減少すると予測されます。したがって、原発は今や厄介もの以外の何物でもなく、原発を運転する必要性は見出だせません。そのため、日本でも、脱原発、反原発は社会通念=民意 となっています。

◆この民意を反映して、2015年、伊方町で行われた住民アンケートでは、原発再稼働反対が賛成の2倍でした。1昨年の鹿児島県、新潟県の知事選では、脱原発を掲げる候補が圧勝しました。1昨年末には、高浜原発の「地元中の地元」音海地区の自治会が、老朽原発運転反対を決議されました。また、昨年1月の高浜原発クレーン倒壊事故以降には、高浜原発全ての原発再稼働にも反対されています。さらに、昨年2月の朝日新聞、3月の毎日新聞の全国世論調査でも、原発再稼働反対がそれぞれ57%、55%で、賛成のほぼ2倍でした。

若狭でも脱原発、反原発の声は多い

◆「若狭の原発を考える会」は、若狭でアメーバデモと称する行動を、毎月2回・計4日間かけて行っています。このアメーバデモは、原発立地の若狭で、3~4人が一組になり、徒歩で、鳴り物を鳴らし、また、「反原発」の旗を掲げ、スピーカーで呼びかけながら、チラシを若狭の全ての集落の隅から隅まで配り歩く行動です。

◆このアメーバデモは3年以上継続され、お会いした住民1000人以上から直接お話をうかがいましたが、その中でも、「原発はいやだ」の声が圧倒的に多数であり、原発推進の声はほとんど聞かれていません。原発立地でも、脱原発、反原発が多数の願いなのです。

◆このことは、去る2月25、26日に23グループに分かれ、延べ220人が参加して実施され、5万枚以上のチラシを配布した「若狭湾岸一斉チラシ配布(拡大アメーバデモ)」(「大飯原発うごかすな!実行委員会」主催)でも、参加者の多くが実感されました。参加者は、若狭の多くの住民が、原発反対を訴えるチラシを暖かく受取って下さったことに感謝し、感激しました。

脱原発、反原発は国際的な流れ

◆国際的にも、脱原発の流れが加速されています。ドイツ、イタリアに続いて、リトアニアが脱原発に向かい、1昨年11月にはベトナムが原発建設計画を白紙撤回し、昨年1月11日には台湾が脱原発法を成立させました。また、5月21日にはスイスが原発の新設を禁止する法案を国民投票で決定しました。韓国の文在寅(ムンジェイン)政権も脱原発を目指し、アメリカでさえ、シェールガス発電などに比べて、経済的にも成り立たない原発を縮小する動きが広がっています。

相次ぐ老朽原発廃炉

◆四国電力(四電)は3月27日、老朽伊方原発2号機[出力57万kW:1982年3月営業運転開始]の廃炉を決めました。運転開始後36年越えで設計基準が古い2号機を、2011年3月の東日本大震災後にできた新規制基準の下で再稼働させるには、タービン建屋の耐震補強、非常用海水取水設備の造り替えなどの大規模工事が必要で、これらの工事に「伊方3号機の場合の1900億円に近い負担が想定された」(四電佐伯社長談)ためです。なお、伊方原発1号機(出力57万kW:1973年6月営業運転開始)は、2016年5月10日に廃炉か決定されています。

◆一方、昨年12月22日には、関西電力(関電)が、運転年数が38年を超えた老朽原発大飯1、2号機の廃炉を決定しています。これも、再稼働に2,000憶円以上の安全対策費がかかり、経済的にも成り立たたず、また、老朽原発である2号機を運転したとしても、稼働できるのはたかだか20年で、採算が合わないと判断したためです。

◆これらの原発の廃炉決定によって、福島の事故以降に廃炉が決まった原発は、福島第一以外でも、商用原発9基(美浜原発1号機、2号機・敦賀原発1号機・玄海原発1号機・島根原発1号機・伊方原発1号機、2号機・大飯原発1号機、2号機)と「もんじゅ」になりました。

◆一方、4月12日の朝日新聞は、日本原電の東海第2原発(本年11月で運転開始から40年)の審査が打ち切られる可能性があると報道しています。この原発を再稼働させるためには、11月までに設置変更、設備の工事計画および20年間の運転延長の許認可を得なければなりませんが、原子力規制委員会(規制委)の更田委員長は、「夏以降にも議論が残っているなら、時間的に許認可審査の終了は不可能」と述べています。ところが、工事計画の審査に必要な書類の4割は、今でも未提出で、設備の性能試験も遅れています。許認可が11月に出ず、この原発が廃炉となる可能性は大です。

◆なお、日本原電は、3月29日、東海第2原発の再稼働に際して、立地自治体の東海村だけでなく、周辺の5市(水戸、日立、ひたちなか、那珂、常陸太田の各市)にも「事前了解権」を認めるとする安全協定を結んでいます。「事前了解権」を周辺自治体まで拡大した安全協定は全国初です。

裁判でも脱原発、反原発側がたびたび勝訴

◆脱原発、反原発の民意を反映して、昨年12月13日、広島高裁は、伊方原発3号機運転差止めの決定を出しました。9万年前の阿蘇山の噴火では、火砕流が伊方原発まで届いており、今後もこのような噴火で、原発に大きな損傷を与える可能性があると判断したためです。なお、9万年前の阿蘇の爆発では、北海道に15 cm、関東に20 cm、関西に1 mの火山灰が積もり、日本中が火山灰に覆われたそうです。

◆脱原発、反原発の民意を反映して、福島事故以降に出された原発再稼働を認めない司法判断は4件【福井地裁(樋口英明裁判長)での「大飯原発3、4号機運転差し止め判決(本訴)」および「高浜原発3、4号機運転差し止め決定(仮処分)」、大津地裁(山本義彦裁判長)での「高浜原発3、4号機運転差し止め決定(仮処分)」、広島高裁(野々上友之裁判長)での「伊方原発3号機運転差し止め決定(仮処分)」】となり、事故前の2件【名古屋高裁金沢支部(川崎和夫裁判長)での「もんじゅ設置許可無効判決(本訴)」、金沢地裁(井戸謙一裁判長)での「志賀原発2号機運転差し止め判決(本訴)」】に比べて、急増しています。

安全対策費の高騰は、反原発運動、裁判闘争の成果

◆老朽原発廃炉の決定の大きな要因である安全対策費の高騰は、福島原発事故の尊い犠牲を踏まえて形成された脱原発、反原発の圧倒的民意を反映したものであり、粘り強い脱原発、反原発運動と裁判闘争の成果であるともいえます。もし、脱原発、反原発運動と裁判闘争による歯止めがなかったら、電力会社は、手抜きの安全対策で原発を運転し続けていたでしょう。その意味で、脱原発、反原発の運動や裁判は、原発重大事故を防いでいると考えることもできます。

事故だらけ、トラブル続きの原発の全廃を!

◆2015年8月に再稼働した川内原発1号機は、再稼働10日後に早速、復水器冷却細管破損を起こし、高浜原発4号機は、再稼働準備中の1昨年2月20日,1次冷却系・脱塩塔周辺で水漏れを起こし、2月29日には、発電機と送電設備を接続した途端(とたん)に警報が鳴り響き、原子炉が緊急停止しました。さらに、伊方原発3号機は、再稼働準備中の 1昨年7月17日、1次冷却水系ポンプで水漏れを起こしました。本年3月23日に再稼働した玄海原発3号機は、再稼働1週間後の3月30日に、脱気装置からの蒸気漏れを起こしました。配管が雨水によって腐食し、直径1.3 cmの穴が開いていたそうです【老朽配管の減肉(げんにく:厚みの減少)の可能性もあります】。

◆また、4月3日には、停止中の伊方原発3号機の補助建屋(放射線管理区域)内で、電動フォークリフトから出火しています。何れも、重大事故に繋がりかねない深刻なトラブルです。

◆なお、関電の関連企業は、1昨年3月以降、運搬中の鉄塔工事用の資材1トン近くをヘリコプターから落下させる事故を3度も起こしています。また、昨年1月20日には、長さ112メートルのクレーンを高浜原発2号機の使用済み燃料プール建屋の上に倒壊させました。予測できる程度の強風で倒れたのです。信じられない幼稚な事故です。

◆上記のように、福島事故以来再稼動した5原発(川内、伊方、高浜、大飯、玄海)の内、大飯を除く4原発が再稼動時にトラブルを起こしています。再稼働を進める全ての電力会社(九電、四電、関電)がトラブルを起こしたことになります。トラブル率100%です。

◆本来、原発再稼動は、電力会社にとって命運をかけた、もっとも緊張する行事であるはずです。それでも、再稼動を進めた全ての電力会社(九電、四電、関電)が、再稼動時にトラブルを起こしたという事実は、

①原発がきわめてトラブルを起こしやすく、点検・保守や安全維持が困難な装置であることを示唆し、
②配管の腐食や減肉、部品の摩耗などが進んでいること示しています。また、
③傲慢で安全性を軽視することに慣れ切り、緊張感に欠けた電力会社が原発を運転する能力・資格を有していないことを実証しています。さらに、
④規制委が適合とした原発のほとんどが再稼働前後にトラブルを起こした事実は、原発の再稼働にお墨付きを与えた新規制基準が極めていい加減な基準であり、原子力規制委員会(規制委)の審査が無責任極まりないことを物語っています。

◆規制委や電力会社の無責任振りは、今回の玄海原発3号機のトラブルでも露呈しました。九電は、「問題の配管を最後に点検したのは、2006年だった」と説明し、「保温材を外して配管を外して確認する必要はなく、外部からの目視で十分だと認識していた」と釈明しています。規制委は、12年も経た老朽配管の腐食を目視のみで判断するという杜撰(ずさん)審査を行っているのです。また、一方。九電の瓜生社長は、「7年間停止しており、再稼働で何が起こるかわからないということが現実になってしまい、残念」と、全く他人事のような、責任感のかけらも感じられないコメントを(薄笑いを浮かべながら)発しています。

◆電力会社の相次ぐトラブルは、東芝の放漫経営、神戸製鋼や三菱マテリアルズのデータ改ざん、日産やスバルの不正検査、在日米軍機や自衛隊機の相次ぐ墜落・部品落下、JR新幹線台車の亀裂などと通じるものがあります。

◆金儲けにのみに突っ走り、傲慢になりきった日本資本主義の倫理や技術は崩壊し、地に落ちていることを物語っています。自民党政権が、半世紀以上にわたって続けた人間性無視の政策、すなわち、極端な合理化、派遣労働、非正規雇用の助長、過剰な科学技術依存、後先考えぬ教育破壊、労働組合破壊、農業破壊、社会構造破壊の付けが回ってきたのだと考えられます。こんな社会は、一日も早く変革しなければなりません。原発全廃を変革の突破口にしましょう!

原発重大事故は明日にも起きかねません。
原発全廃運動の大きなうねりを!


「大飯原発うごかすな!」
4月22日(日)、関電包囲全国集会と御堂筋デモに大結集を!


主  催:大飯原発うごかすな!実行委員会
呼びかけ:
(1)オール福井反原発連絡会(原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、原発住民運動福井・嶺南センター、原発問題住民運動福井県連絡会)、
(2)ふるさとを守る高浜・おおいの会、
(3)若狭の原発を考える会


関電は、大飯原発3号機を3月14日に再稼働させ、
報道では、5月9日に4号機を再稼働させようとしています。
断固抗議、阻止する行動にたちましょう!

お問い合わせは右記まで;090-1965-7102(木原)、090-2741-7128(宮下)
ご参加、ご支援、カンパをお願いします。
(カンパ郵便振込先;加入者名:若狭の原発を考える会;口座記号・番号:00930‐9‐313644:
お振込みにあたっては、通信欄に「大飯原発うごかすな!実行委員会へのカンパ」とお書きください。


2018年4月13日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)