◆避難解除で帰還強要するな!◆高浜原発を再稼働するな!

【2017年4月14日,京都キンカンで配布。】

政府、3月31日、4月1日に福島4町村の避難解除
“日程ありき”で、避難者の高放射線地域への帰還を強いる政府
避難者の尊厳をないがしろにするものです

◆政府は、避難に関して、1年間の空間放射線量が20ミリシーベルト(mSv/y)以下になった地域の避難指示を解除し、避難者に帰還を強要しています。この線量は、一般市民の線量限度1 mSv/yの20倍であり、チェルノブイリの移住義務基準5 mSv/yに比べても極めて高いと言えます。

◆政府は、3月31日に福島県飯舘村、川俣町、浪江町に出していた避難指示の一部を解除、4月1日には富岡町でも解除しました(「居住制限区域」あるいは「避難指示解除準備区域」であった。右図参照)。これは、政府が掲げた「2017年3月末までに」という目標に沿うもので、“日程ありき”、“まず解除ありき”の決定です。避難指示が解除された地域では生活基盤の整備や、医療、介護などの生活関連サービスも復旧したとするには程遠い状態にあります。生活用水への不安もあります。したがって、帰還の意志のある住民は少数にとどまり、ほとんどが高齢者です。例えば、昨年の住民意向調査では、浪江、富岡両町で5割以上が「戻らないと決めている」と答え、30代以下で7割近くが帰還を断念しています。実際、全町避難の自治体として、2015年9月に初めて避難指示が解除された楢葉町では、今年3月時点の帰還率が11%(約740人)で、その中50歳以上は8割超を占めています。

帰還困難区域…放射線量が非常に高いレベルにあることから、バリケードなど物理的な防護措置を実施し、避難を求めている区域。
居住制限区域…将来的に住民が帰還し、コミュニティを再建することを目指して、除染を計画的に実施するとともに、早期の復旧が不可欠な基盤施設の復旧を目指す区域。
避難指示解除準備区域…復旧・復興のための支援策を迅速に実施し、住民が帰還できるための環境整備を目指す区域。

◆このような状況でも、強引に帰還を進める政府は、帰還に応じない人への支援の打ち切りの恫喝も行っています。「居住制限区域」、「避難指示解除準備区域」での東電の慰謝料支払いは、避難指示解除後1年までとなっていましたが、解除の時期にかかわらず、一律2018年3月に打ち切ることに変更されました。政府は「帰還は強制でなく、帰りたい人に帰るという選択肢を用意するだけ」といいますが、金銭面から帰還を強要しているのです。

◆一方、福島県を始め多くの自治体が、政府の意を受けて、自主避難者支援の打ち切りを決定しています。政府と福島県は、原発事故によって福島から逃れた自主避難者への住宅の無償提供を、3月末で打ち切りました。自主避難者は、現在の住宅から立ち退きを求められたり、新たに多額の家賃の発生に見舞われるなど、言い知れぬ不安にさいなまれ、悲鳴を上げています。避難者は、原発事故が無ければ普通に生活していた人達であることを忘れてはなりません。

◆自主避難者は、避難指示区域でない区域から子供の被爆を避けるためなどの理由で避難した人々で、福島県内外の自主避難者は約1万500世帯、約2万7000人に上ります自主避難者の多くの今後の住居が未定のままです。東電からの定期的な賠償を受けられない自主避難者にとって、住宅の無償提供は唯一の支援策・命綱であり、とくに母子避難者にとって、打切りは経済的な困窮に繋がり、子供の未来を断ち切る事態にもつながります。

◆なお、避難継続を希望する世帯を対象に、9道府県が財政負担などを伴う独自策で支援することを表明しています。しかし、他の多くの自治体は、公営住宅を希望する自主避難者の入居要件緩和を求めた国の通知にならった支援内容にとどまっています。自主避難者の住宅支援は避難先の選択で格差が生まれることになります。

◆以上の避難指示解除、自主避難者支援打ち切りの何れも、東電や政府の賠償負担や生活支援支出の軽減のためであり、責任回避のためです。人々の安全や生活の安寧を優先する考えはいささかもありません。

原発事故での被曝を避けるための避難生活は、断じて「自己責任」ではありません。避難者の生活を保障する責任があるのは原発を推進してきた政府であり、東電です。避難者の切り捨てを許してはなりません。

◆4月4日、原発事故被害者の救済を先導すべき立場にある、今村復興相が記者会見で、自主避難者の帰還について、「どうするかは本人の責任」とし、国の責任にを問う質問に「裁判でも何でもやればいい」と激高しました。避難者への配慮や現状(とくに、除染が一部地域の表層土壌のみにとどまり、高線量であるという現状)への理解に欠け、一方的に帰還に追い立てる政府の方針を露呈した発言です。立場の弱い避難者を切り捨て、賠償や支援の打切りを企む政府の姿勢が表れています。福島事故は終息したとして、オリンピックなどを利用して、経済的利益だけを得ようとする安倍政権の本音が漏れたのです。今村復興相は「故郷を捨てるのは簡単だが、戻って頑張っていくんだとういう気持ちを持っていただきたい」とも発言しており、避難者の苦悩に寄り添う気持ちは全くありません。

◆避難した人たちが前橋地裁に訴えた損害賠償請求訴訟では、先月、国と東電の過失を鋭く指摘した判決が出ています。最低でも、政府と東電には、住民が安心できる生活を取り戻すまで寄り添う責任があります。

関電は、5月中の高浜原発再稼働を企んでいます
断固阻止の大行動に起ちましょう!

◆去る3月28日、大阪高裁は、高浜原発3.4号機の運転停止仮処分の抗告審で、政府と関電の主張のみを追認し、圧倒的多数の脱原発、反原発の民意を踏み躙る決定を出しました。原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”を「安全基準」とし、この「安全基準」に適合しているとして、高浜原発3.4号機の運転差止め仮処分を取り消したのです。また、原発に「絶対的安全性」を求めるべきではないとしています。人の命と尊厳をないがしろにするものです。さらに、住民が“新規制基準”に不備があるとするのであれば、それを住民側が立証すべきだとして、「立証能力が無ければ泣き寝入りしろ」と言わんばかりの、裁判制度を根底から揺るがす要求をしています。

◆一方、原発重大事故時の住民避難について、「“新規制基準”では、多重防護の考え方に基づいて第1層から4層までの安全確保対策が講じられていて、炉心の著しい損傷を防止できる確実性は高度になっている」とし、「第5層(避難計画など)は、重大事故は起こりえない原発で、放射性物質が周辺環境へ異常放出される事態をあえて想定して、講じられる対策である」としています。その上で、第5層の対策は、電力会社だけでなく、国、地方公共団体が主体となって適切に実施されるべきものであるから、“新規制基準”が避難計画などの原子力災害対策を規制対象にしていないのは妥当であるとしました。大阪高裁は、新規制基準の下では、原発は事故を起こすはずがないという視点(すなわち、「新安全神話」)に立ち、不可能に近い被曝なしでの避難、長期の避難生活の悲惨さについて議論することを避けました。避難の問題を議論したら、原発の運転をできないことは、福島やチェルノブイリの大惨事によって実証されているからです。福島事故から6年、チェルノブイリ事故から31年経った今でも避難者の大半が故郷を失い、家族のきずなを引き裂かれ、心労と悲観、病苦から多数の方が自殺され、癌に侵され、発癌の不安にさいなまれていることを、大阪高裁は全く無視しています。このような決定に、断固とした抗議と反撃をしなければなりません。

◆この全く不当な大阪高裁の決定を受けて、関電は、多くの手続きを端折って高浜原発4号機再稼働の準備を進め、5月中の再稼動を企んでいると報道されています。許してはなりません。4号機が3号機に先行して再稼働されると考える理由は、3号機は、昨年12月から4月中旬までの予定で定期検査に入っており、定期検査終了まで燃料装填作業に入れないためです。4号機は、次の定期点検時期を迎えておらず、燃料装填ができる手前の段階にあります。

◆なお、私たちの再稼働反対の声が反映されなかったとき、高浜原発4号機は次のような流れで再稼働されると考えられます。この流れの中では、福井県や高浜町にはお伺いを立てても、滋賀県、京都府、高浜原発周辺の市町村の要望は全く無視されます。

関電が大型クレーン倒壊事故(1月20日)を受けた安全点検結果を高浜町および福井県に報告。
すでに、4月7日に報告している。藤田福井県知事は「改善が実施されたと受け止めたい」として、この報告を評価した。

関電が再稼働について福井県に説明。
西川福井県知事は、改めて県議会などでの地元同意手続きを取る必要はないとの考えを示している。

原子炉へ核燃料を装填。157体の装填に5日程度を要する。

原子炉格納容器の気密性、冷却水配管や弁からの漏洩などの検査。冷却水の温度と圧力を通常運転に近い状態まで上昇させ、問題が無ければ再稼働。極めて重要であっても点検が困難な圧力容器の脆化(ぜいか)、冷却細管の減肉などの詳細な検査は実施しない。

◆上記の状況の中で、4月2日、緊急に「高浜原発再稼動阻止行動についての相談会」が原子力発電に反対する福井県民会議の呼びかけで開かれ(於;京都)、下記の緊急行動を、「高浜原発うごかすな!」実行委員会の主催で行うことが決定されました。

◆なお、5月のリレーデモ、福井集会の詳細は変更されることがあります。今後の情報にご注意ください。

***********************************

4月27日(木)大阪行動

[1]「4.27高浜原発うごかすな!関電包囲全国集会」

◆日時;4月27日(木)16時30分より18時まで
◆場所;大阪関電本店前(大阪市北区中之島)
◆関電への申入れも行います。

[2] 御堂筋デモ

◆集会終了後、「うつぼ公園(大阪市西区)」に徒歩で移動し、18時30分にデモに出発、20時前に終了予定。
当日は週日ですから、集会に間に合わない方も多数あると考えられます。デモへの途中参加、大歓迎です。

***********************************

5月7日(日)高浜行動

[1] 高浜原発ゲート前抗議行動

◆日時;5月7日(日)12時、高浜原発先の展望台に集合。
◆高浜原発ゲート前にデモで移動の後、12時30分より抗議行動(関電への申入れ)。
◆後、高浜町文化会館へ移動。
当日9時頃、京都、滋賀などからバス配車の予定。乗車ご希望の方は早めにお申し込みください(4月25日一次締め切り、4月末日締切)。東京からも別途バスが出ます(6日発)。

[2]「5.7高浜原発うごかすな!現地集会」

◆日時;5月7日(日)14時より15時30分まで
◆場所;高浜町文化会館

[3] 高浜町内デモ

◆集会終了後、16時に高浜町文化会館より高浜町内デモに出発、16時40分頃、JR若狭高浜駅前で終了予定。
◆その後、高浜駅2階で交流会(お時間のある方は、ご出席ください)。
7日は、65人分の宿泊を予約しています。
翌日(8日)のリレーデモへの参加などのために、宿泊ご希望の方は早めにお申し込みください(4月25日一次締め切り、4月末日締切)。

***********************************

5月8日(月)~12日(金)
高浜~おおい~小浜~若狭~美浜~敦賀~越前~福井
リレーデモ

◆5月 8日(月)09:00高浜町申し入れ 09:30デモ出発 11:30おおい町申し入れ 13:00おおい町出発 16:00小浜市申し入れ 17:00終了 小浜市宿泊
◆5月 9日(火)09:00小浜市役所出発 13:00若狭町申し入れ 16:00美浜町申し入れ 16:30終了 美浜町宿泊
◆5月10日(水)09:00美浜町出発 13:00敦賀市 申し入れ 13:30敦賀市内街宣とチラシ配布 16:30終了 敦賀市宿泊
◆5月11日(木)09:00敦賀市役所出発 11:00南越前町申し入れ 16:00越前市申し入れ 16:30終了 越前市宿泊
◆5月12日(金)09:00越前市出発 11:00越前町申し入れ 13:00鯖江市申し入れ 16:00福井市申し入れ 16:30福井県申し入れ。
下記「5.12高浜原発うごかすな!福井集会」に合流

***********************************

5月12日(金)福井行動

[1]「5.12高浜原発うごかすな!福井集会」

◆日時;5月12日(金)17時より18時30分まで
◆場所;福井市中央公園

[2] 福井市内デモ

◆集会終了後、16時30分に福井市中央公園より県庁包囲デモに出発、20時前に福井市中央公園で終了予定。

***********************************

◆バス乗車や宿泊の申込みは「高浜原発うごかすな!」実行委員会・橋田(090-5676-7068)まで

***********************************

大阪高裁で逆転されたからと言って、
大津地裁の大英断を無駄にしてはなりません。
重大事故が起こってからでは遅すぎます。
原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

2017年4月14日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)