◆河内川ダム疑惑で公開質問状…福井県知事宛に

┌─▼参考───────
若狭における福井県の「でたらめ行政」を検証する
~河内川ダム編 → こちら
└────────────


公開質問状

2022年1月19日

福井県知事 杉 本 達 治 様

福井県小浜市(以下 略)
松 本 浩(82歳)
「原発設置反対小浜市民の会」会員

 貴職におかれましては、日夜県政発展のためにご尽力のことと推察致します。
 さて、福井県施工の国庫補助(55%)事業河内川ダム建設工事(令和元年6月9日竣工)に係る多額の使途不明金につき県民の一人として看過できない重大な疑義がありますので、事の重要性に鑑み、ここに公開質問状を提出させて頂く次第です。
 何卒誠実かつ明快なご回答を賜りますようにお願い申し上げます。
 
 河内川ダムは、当初事業費234億円、その後415億円に増額された多目的ダムで、本県若狭町熊川地区の河内川(こうちがわ)に建設されました。
 本件ダムに係る幾多の問題のなかから関西電力株式会社(以下、関西電力)熊川発電所補償につき質問致します。
 熊川発電所は本件ダムの下流約1キロメートルに位置し、大正8年(1919年)に「若狭電気」が建設、現在は関西電力が所有する水路式発電所(出力80kW)で、ダム建設により取水設備と導水路の一部が水没することから同設備の移設工事及びダム建設工事中の発電停止による減電補償の2点が福井県と関西電力の補償交渉の対象となりました。
 「コンクリートから人へ」のスローガンを掲げて誕生した民主党内閣の国土交通省が全国の補助ダムの検証を要請、これに応じて福井県が平成22年10月に国に提出した「平成22年度河内川ダム事業検証報告書」が承認されて、河内川ダムの事業継続が決定されました。
 同報告書の「第3章事業費の検証」は「発電補償概算額」を次のように報告しています。
  発電所導水路 43,500千円  既設取水施設撤去工 6,060千円
  停止減電補償 3,000千円  永久減電補償 5,000千円
  運転再開補償 2,000千円   合  計 59,560千円
 上記のうち「既設取水設備撤去工」(6,060千円)は、福井県がダム本体工事で施工したので、これを除いた補償概算額合計は53,500千円になります。
 その後、平成28年5月~6月にかけて計7回にわたる「河内川ダム建設工事に係る発電所補償協議」が開かれています(県庁4回、ダム事務所1回、近畿整備局1回、国土交通省1回)。
 平成28年6月7日に県庁会議室で行われた協議により合意された「発電所導水路撤去設置工事概算工事費」(添付別紙)に基づいて、翌29年1月31日に関西電力と福井県の間で「発電所導水路等の移設に関する覚書」が交換され、関西電力が撤去工事を除く導水路等移設工事の全体を施工、その費用の一切(55,176,950円)を福井県が負担すると決定されました。
 
【第一の質問】 平成28年4月1日、福井県知事西川一誠は国土交通大臣宛「平成28年度河内川ダム事業に係る補助金交付申請書」を提出し、同日、国土交通大臣はその実施内容に「発電所補償1式11,000千円」を含む同申請を承認しました。
 さらに、翌平成29年4月3日、福井県知事西川一誠は国土交通大臣石井啓一宛「河内川ダムに係る補助金交付申請書」を提出し、同日、国土交通大臣は「発電所補償1式209,000千円」を含む同申請を承認しました。
 私は、本件2億2000万円(11,000千円+209,000千円)の発電所補償に疑念を持ちましたので、令和2年10月6日に貴職に対して本件11,000千円及び209,000千円の金額決定に至る打合せや協議記録の開示を請求しました。しかし、貴職は同年11月19日付けで「請求に係る公文書が存在しないため」との理由で非公開処分されました。
●「発電所補償費220,000千円」は、何時、何処で、如何なる部署又は個人、あるいは会議において企画されたものですか。また、その意志形成過程を示す「記録が存在しない」のは如何なる理由によるものですか。
 
【第二の質問】 福井県知事西川一誠は、平成30年2月23日、国土交通大臣石井啓一宛に「平成29年度補助金交付決定額の経費の配分及び内容の変更申請書」を提出し、国土交通大臣は平成30年3月16日、同変更申請を承認しました。
 その変更内容は、年度当初の「発電所補償1式209,000千円」を「発電所補償1式5,000千円と付替水路工1式204,000千円」の二つに分けるというものでした。
 令和2年10月6日に私は、本件変更に係る打合せ・協議等の記録の開示請求を致しました。しかし、貴職は「請求に係る公文書が存在しないため」という理由で令和2年11月19日付で非公開処分されました
● 本件変更は、何時、何処で、如何なる部署又は個人、会議等によって決定されたものですか。
● その意志形成過程を示す「記録が存在しない」のは如何なる理由によるものですか。

 
【第三の質問】 私は、前項質問の「付替水路工204,000千円」に疑念を持ち、貴職に対して令和元年9月18日に、同204,000千円の関係文書(契約書、設計書、工事完了届、検査調書、支出伝票)の開示請求書を提出、同年11月7日貴職により開示されました。
 開示された付替水路工204,000千円の使途工事は次の2件でした。
 ①付替水路工29―2 請負契約日:平成30年3月1日
   請負契約額2,444,040円  工事概要(工事用道路)
   請負業者(西野土木株式会社)
   工期:平成30年3月2日~同年5月31日
 ②付替水路工29―3 請負契約日:平成30年3月1日
   請負契約額2,440,800円  工事概要(工事用道路)
   請負業者(西野土木株式会社)
   工期:平成30年3月2日~同年5月31日
 貴職が204,000千円の使途工事として開示されたのは上記2件の工事のみであり、その合計 金額4,884,840円は、財源204,000千円の2.4%にも満たないものでした。
 しかも、当該2件の工事用道路工事は、平成30年度施工の付替水路工30―1設計書の「工事用道路工819,454円」及び「工事用道路防護施設工952,931円」と同一内容であるばかりか、当該「施工場所」の山林は当時はまだ民有林でした。
 その後の開示文書によりますと、福井県が当該山林地主(3名)に、土地売買契約に先立つ「工事施行承諾申入書」を出して事前の施工承諾を求めたのは、H氏の場合は平成30年6月25日、同氏から「工事施行承諾書」を得たのは平成30年6月27日です。T氏の場合は「工事施行承諾申入書」を出したのが平成30年6月25日で、同氏から「工事施行承諾書」を得たのは平成30年6月27日です。W氏の場合は「工事施行承諾申入書」を出して事前施工許可を求めたのは平成30年7月3日、同氏から「工事施行承諾書」を得たのは同年7月3日です。
 つまり、付替水路工29―2、付替水路工29―3、いずれも地主の施工許可を得る以前に、既に工事が完了していたことになり、公共工事の在り方としてはおよそ有り得ないことです。
● 福井県は、当該「204,000千円」の代価たる工事が存在しないのに補助金交付を申請し、国土交通省も工事が存在しないと知りながら交付決定をしたのではありませんか。
●「付替水路工204,000千円」は本当は何に使われたのですか。

 
【第四の質問】 平成31年2月12日、福井県知事西川一誠は石井啓一国土交通大臣に対して平成30年度補助金交付決定額の経費の配分および内容の変更」を申請し、同年2月25日、国土交通大臣は「付替水路工1式90,000千円」を補償工事に加える同申請を承認しました。
 私は、本件にも代価たる工事は既に存在しないとの疑念を持ち、令和元年9月18日に「付替水路工1式90,000千円の関係文書(契約書、設計書、工事完了届、検査調書、支出伝票)」の開示請求書を提出し、同年11月7日に貴職から開示を受けました。
 開示された付替水路工90,000千円の使途工事は次の2件でした。
 ①付替水路工30―1 請負契約日:平成30年5月10日
   請負契約額33,015,600円(工事財源は本工事費)
   請負業者(西野土木株式会社)工事概要(掘削工、法面整形工、他)
   工期:平成30年5月10日~平成31年3月14日
 ②付替水路工30―3 請負契約日:平成30年7月24日
   請負契約額41,314,800円(工事財源は本工事費)
   請負業者(西野土木株式会社)工事概要(掘削工、法面整形工、他)
   工期:平成30年7月24日~平成31年3月22日
 貴職が「付替水路工90,000千円」(補償工事費)の使途工事として開示されたのは上記2件の工事のみですが、どちらも本件9000万円の使途工事では有り得ないものです。
 「付替水路工90,000千円」が国土交通大臣に承認されたのが平成31年2月25日なのに対して、貴職がその使途工事とした「付替水路工30―1」の請負契約日は、その9ヶ月前の平成30年5月10日であり、「付替水路工30―3」の請負契約日は同じくその7ヶ月前の平成30年7月24日ですから、2件の工事ともに本件90,000千円を財源とする工事たり得ないのは明白であり議論の余地のないものです。
 また、本件30―1工事も30―3工事も共に実際の財源が「補償工事費」でないことは、両工事の「工事設計書事業費総括表」に「本工事費」と財源が明記されている事実からも明白であり、それは御庁河川課もお認めになったことです(令和3年4月23日)。
 福井県知事西川一誠が「付替水路工90,000千円」の交付申請した平成31年2月12日の時点では付替水路に係る掘削工・法面保護工等は「付替水路工30―1・同30―3」(※)が施工中であり、付替水路に係る導水管(ヒューム管)敷設工(19,532,350円)の施工契約も関西電力との間で締結済み(平成30年10月9日)であったので、それ以外の「付替水路工90,000千円」には代価たる工事が既に存在しなかったものです。
 
(※)平成29年1月31日交換(関西電力と福井県)の前記「発電所導水路等移設に関する覚書」は、平成30年3月22日締結(関西電力と福井県)の「発電所の導水路等移設に関する協定書」で変更されて、発電所導水管(ヒューム管)敷設工(19,532,350円)を関西電力が施工してその費用を福井県が負担し、その他の掘削、法面工は福井県が施工して関西電力に現物を渡すとなっています。
● 福井県は、当該「付替水路工90,000千円」の代価たる工事か存在しないのに補助金交付を申請し、国土交通省もそれと知りながら交付決定をしたのではありませんか。
●「付替水路工90,000千円」は本当は何に使われたのですか。

 
【第五の質問】 平成31年4月1日、福井県知事西川一誠は国土交通大臣赤羽一嘉に対して河内川ダム建設工事に係る「平成31年度補助金交付申請書」(付替水路工64,000千円を含む)を提出し、同4月26日国土交通大臣はこれを承認しました。
 私は令和2年7月3日、貴職に対して同「付替水路工64,000千円」に係る公文書(請負契約書、設計書、工事完了届、検査調書、支出伝票)の開示請求を提出し、同年8月14日開示を受けました。開示されたのは次の2件の工事関係文書でした。
 ①河内川ダム建設工事1―3 請負契約日:令和1年6月18日
   請負契約額50,930,000円(工事財源は本工事費)
   請負業者:西野土木株式会社 工事概要(橋梁下部工、吹付法枠工、他)
   工期:令和1年6月19日~同2年2月13日
 ②河内川ダム建設工事1―4 請負契約日:令和1年6月18日
   請負契約額60,984,000円(工事財源は本工事費)
   請負業者:西野土木株式会社(根固ブロック製作据付工吹付法枠工、他)
   工期:令和1年6月19日~同2年2月13日
 貴職が「補償工事費」として国土交通大臣の承認を受けた「付替水路工64,000千円」の使途工事は、2件とも「本工事費」で施工されており、一部付替水路の法面補強を含むもののそれは、関西電力の付替水路管理道路に係る法面補強工事で、補償工事費が財源ではありません。
● 福井県は、「付替水路工64,000千円」の代価たる工事が存在しないのに補助金交付を申請し、国土交通省もそれと知りながら交付決定をしたのではありませんか。
●「付替水路工64,000千円」は本当は何に使われたのですか。

 
 質問は以上です。どうぞ丁寧にご検討頂きまして2022年2月22日までに書面にてご回答頂きますようお願い申し上げる次第です。