◆7/24 第4回原告団総会…出口治男・弁護団長の開会あいさつ

  • ご紹介頂いた弁護団の出口治男です。
  • 先日、私は大津地裁で、高浜原発仮処分決定を出した裁判官と、偶々別の事件で出会いました。事件が始まる前、雑談の中で、私は、その裁判官に、「今回の決定は、大津の裁判所では、明治時代の大津事件で、時の政府の強大な圧力をはねのけて司法権の独立を守った児島惟謙以来の、司法権の独立の意義を世に明らかにした歴史的な出来事ですよ」と申し上げ、その姿勢に敬意を表しました。
  • この決定に対しては、経済界はあわてふためき、生気を失ったかのような攻撃を加えました。曰く「一地裁の裁判官が、エネルギー政策にダメージを与えるのはけしからん」曰く「原発事件は、専門裁判所でしかやれない仕組みをつくるべきだ」要するに、司法に対しては、直接手を出すことはできない、だから危ない決定を出すかもしれない地裁の裁判官が判断できないように、最高裁の目の届き易い裁判所をつくり、そこだけに判断させる仕組みをつくり、安心して原発再稼働をさせたい。こうした思惑がすけてみえるのです。傲慢極まる姿勢で、心の底から怒りを覚えます。このような傲慢な言葉がでてくる背後には、なりふり構わず原発を推進しようとしている現政権の姿勢があることは明らかで、こうした経済界の言葉は、虎の威を借りる狐の卑屈さを感じさせます。情けない限りです。
  • しかし、憲法76条はこう書いています。「すべて司法権は最高裁判所及び法律に定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」そして、事件を担当するすべての裁判官は「その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。」としているのです。
    大津地裁決定は、福島第一原発事故に正面から向き合い、途方もない、現在も進行中の人権侵害と環境破壊の事態をひきおこす危険性を「その良心に従って独立して職権を行」使して判断し、差止決定を導いています。経済界の攻撃は、かえって、大津地裁の歴史的判断の価値を高めるものといえましょう。
  • 最近、経済界だけでなく、政界においても、正気を失ったかのような傲慢な事態が多くなっているように思われてなりません。辺野古問題で沖縄県を相手に再び提訴した国の姿勢はその顕著な一例です。司法を自らに都合よく利用して、県と住民をねじ伏せようとする、誠に傲慢な動きです。話し合え、協議をしなさい。これが司法側の発信でした。しかし、政権は「これしかない」という頑なな姿勢で、司法を自らの政策実現の婢、下女としてしか考えていません。人権と環境をふみにじってやまない傲慢な姿勢をあらわにしています。
  • 私は、こうした経済界や政界の、人権を、環境をふみにじってかえりみない傲慢な猪突猛進に、心底怒りを覚えます。この国に、いまこそ正気を取り戻さなければならない。私達は、私達の大飯原発差止訴訟を通して、岐路に立つこの国の正気を取り戻し、人権と豊かな環境を守る戦いを戦っている。このことの意義を確認しながら、この訴訟に取り組んでいく覚悟を固めています。
  • こうした原告団、市民、弁護団の願いと法廷における闘争を今後さらに強めることによって裁判を勝利し、この国を正気あるものにしようではありませんか。本日の集会では井戸先生のご講演と山中さんのチェルノブイリの祈りの朗読劇を中心として、原発訴訟の意義と現状と展望が語られます。本日の集会が参加者の皆様全員にとって、大きな収穫となることを願ってやみません。
  • 一言ご挨拶を申し上げました。どうもありがとうございます。

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